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看護師派遣は禁止なのか?利用できる条件や注意点を徹底解説

医療や福祉の現場では深刻な人手不足が続いており、看護師も例外ではありません。そうしたなか、看護師派遣を活用できれば心強いと感じる方も多いでしょう。

看護師の派遣は禁止されていると思っている方が多いかもしれませんが、特定の条件下では可能です。

本コラムでは、看護師の派遣が可能な条件や注意点について詳しく解説します。人手不足が常態化している医療や福祉施設、健康経営に取り組むなかで看護師を求める企業の人事の方は、ぜひ参考にしてください。

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労働者派遣法に基づく「派遣の手引き」

この手引きでは、「労働者派遣法」に基づき人材派遣サービスをご利用いただく上での、コンプライアンス上の留意点等をわかりやすくQ&A方式で解説しております。看護師等の医療関係業務についても解説しておりますので、ぜひご覧ください。

  • 派遣禁止業務とは
  • 日雇派遣原則禁止の制度とは?(一定の条件にて看護師も派遣可能)
  • 「紹介予定派遣」のしくみは?(看護師は対象?)

ご一読の上、人材派遣サービスの有効利用にご参照ください。

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看護師派遣が全面禁止だと誤解されている背景

看護師の派遣は元々禁止されていましたが、2003年以降、段階的に制限が解除されています。ここでは派遣法改正の歴史と、看護師の派遣が全面禁止だと誤解されている背景について解説します。

以前は医療業務の派遣が全面的に禁止されていたため誤解が生まれた

1999年の労働者派遣法改正により、派遣業務は原則自由化され、派遣可能な業務を限定する「ポジティブリスト制」から、派遣禁止業務を限定する「ネガティブリスト制」へと移行しました。この際、ネガティブリストに「医療業務」が指定され、看護師派遣は原則禁止になりました。

看護師が派遣禁止のリストに入った背景には、医療現場が複数の専門職によるチーム医療を基本としており、メンバーの頻繁な交代がチームワークに悪影響をおよぼす懸念があったからです。医療行為の安全性確保という観点からも、派遣という形態は適さないと判断されました。

しかし、社会福祉施設などにおける医療ニーズの高まりに対応するため、2003年施行の派遣法改正で、病院、診療所、助産所等を除く施設(特別養護老人ホーム、訪問入浴、デイサービスなど)への医師、看護師等の派遣が原則として解禁されました。この改正は、社会福祉法人等での業務がチーム医療には当たらないとの見解に基づいており、医療関係者の派遣範囲を拡大することで、増加する医療を必要とする入所者のニーズに対応することを目指しました。

なお、上記で紹介したネガティブリストに看護師派遣が入っていることから、全面的な禁止だと誤解されていることが多いようです。

条件付きで看護師派遣が可能に

2003年から2006年にかけての労働者派遣法改正では、医療機関、非医療機関ともに条件付きで看護師派遣が解禁されました。有料老人ホーム、デイサービス、社会福祉施設、保育園などへの看護師派遣が広く認められるようになり、医療機関でも、産休・育休社員の代替業務や、紹介予定派遣であれば、看護師派遣ができるようになったのです。

さらに2012年と2021年施行の労働者派遣法改正では、へき地にある医療機関への看護師派遣や、社会福祉施設などへの日雇い派遣が可能になりました。

こうした改正によって、看護師の活躍の場が広がり、より柔軟な労働環境が整備されつつあります。ただし、医療の質と安全性を確保するため、一定の制限は設けられています。

看護師派遣ができる条件

ここからは、看護師派遣ができる条件について解説します。人手不足解消の糸口として、どのように看護師派遣を活用できるか、ご確認ください。

■参考資料
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(e-Gov 法令検索)
労働者派遣事業|厚生労働省

医療機関以外であること

病院、診療所、助産所、介護老人保健施設、介護医療院、医療を受ける者の居宅およびこれらに類する施設は「医療機関」とみなされ、原則として看護師の派遣は認められていません。

一方、医療業務を主業務としない社会福祉法人、産業保健、学校保健の領域では、併設された診療所も含めて看護師派遣が可能です。

産休・育休などの休業代替であること

看護師は慢性的な人手不足の状況にあり、かつ女性の就業者が多いことから、産休・育休による欠員が発生しやすい傾向にあります。そのため、産休・育休の代替であれば、医療業務をふくむ場合でも看護師の派遣が許可され、福祉施設はもとより、医療現場においても中長期の欠員に対する人材の補填が可能です。

正社員雇用を前提とした紹介予定派遣であること

看護師派遣は、正社員登用を前提とした紹介予定派遣も認められています。

紹介予定派遣とは、最長6ヶ月間の派遣就業期間が終了したあとに直接雇用へと転換することを前提とした派遣形態です。医療機関と派遣された看護師、双方の合意があれば正社員として雇用されます。

関連記事紹介予定派遣とは?一般派遣との違いや注意点、導入方法を解説!

コロナワクチン接種のための特例(2023年終了)

2021年から2023年にかけて、コロナワクチン接種を推進するための特例措置が導入され、条件付きで看護師や准看護師の派遣が可能となっていました。当初の派遣先は、へき地や臨時の医療施設に限られていましたが、のちに都市部の接種会場や、医療施設への看護師派遣も認められました。

このように、社会情勢に応じて派遣の可否が一時的に変更されることがあるため、非常事態の際は、厚生労働省が発信する最新情報を確認することが重要です。

【2021年法改正】看護師派遣の対象が拡大

2021年の派遣法改正では看護師派遣の対象がさらに拡大しました。へき地での医療業務や、福祉施設への日雇い派遣などが可能になり、看護師の活躍の場が増えています。

ただし、いずれの場合も事前の教育訓練や、派遣先でのフォロー体制の強化など、通常の派遣とは異なる専門職特有の対応が必要です。詳しく見ていきましょう。

へき地の病院での医療業務

2021年の派遣法改正により、医療人材の不足がより深刻な「へき地」の病院における医療業務が解禁されました。

へき地とは、近隣に医療機関がない地域(無医地区や過疎地)のことで、厚生労働省令(平成18年厚生労働省令第70号)が指定した地域を指します。具体的には、奄美群島や小笠原諸島、沖縄などの振興(開発)特別措置法などで定められた離島や、辺地法、過疎法、離島振興法、山村振興法などに基づく振興山村、過疎地域などが該当します。

これらの地域では、看護師だけでなく、医師やその他の医療専門職の派遣も可能です。

なお、へき地での勤務は、都市部とは異なる多様な医療ニーズがあるため、派遣前の研修や、派遣先でのサポート体制が重要となります。

■参考資料労働者派遣が可能となるへき地の範囲(厚生労働省)

社会福祉施設等への日雇い派遣

看護師の日雇い派遣に関しては、2021年4月の法改正により、社会福祉施設等に限って解禁されました。その背景には、短時間や短期間の就業を希望する看護師がいる一方、福祉施設では急な欠員に対応する必要があるためです。

日雇い派遣の活用は双方にメリットがありますが、利用者の安全を考慮し、派遣前に業務の共有や研修、派遣先でのオリエンテーションが必須です。

また、日雇い派遣を行う際には、労働条件の明示、適切な雇用管理、安全衛生対策など、労働関係法令を遵守することが重要です。

日雇い派遣とは?

日雇い派遣とは、労働契約の期間が30日以内である派遣のことです。

労働者派遣法では、特定の条件を満たす場合に限り、日雇い派遣が例外的に認められています。社会福祉施設への日雇い派遣は、その例外の一つです。日雇い派遣を行う際には、労働者保護のための適切な雇用管理が求められています。

■参考資料
日雇派遣の原則禁止について(厚生労働省)
クローズアップ 知っておきたい改正労働者派遣法のポイント|厚生労働省

なお、31日以上3ヶ月以内の派遣就業は「短期派遣」として日雇派遣と区別され、看護師派遣でも短期派遣求人が多くあります。31日以上の派遣契約を締結する場合は、週20時間以上の所定労働時間が求められます。例外として、以下の場合は週20時間未満の労働時間でも、31日以上の派遣契約が認められます。

参照:日本派遣看護師協会 | 『派遣で働くためのルール・条件』

派遣看護師の仕事内容

看護師派遣は、病院や社会福祉施設、保育園、民間企業など、さまざまな場面で活用されています。ここでは各職場での仕事内容を把握し、派遣看護師に依頼できる業務を理解することで、受け入れ時のイメージを具体化しましょう。

病院・クリニックの場合

病院やクリニックで就業する派遣看護師は、産休・育休の代替業務や、正社員雇用を前提とした紹介予定派遣などで医療業務を行います。

業務内容は、採血、点滴、服薬管理、ナースコール対応などが一般的ですが、病棟勤務と外来勤務では詳細が異なります。

なお、派遣ではありませんが、職場と直接雇用契約を結び、一定の期間働く応援ナース(トラベルナース)も地域の包括医療に携わることがあります。

社会福祉施設の場合

社会福祉施設で働く派遣看護師は、入所者や利用者の日常的な健康管理を主業務とし、バイタル測定、服薬管理、簡単な医療処置などを担当します。施設によっては、食事や入浴の介助といった介護業務への対応も求められることもあるでしょう。

なお、介護業務を行う場合は、看護師資格だけでなく介護関係の資格が必要になることがあります。

民間企業の場合

民間企業で働く派遣看護師は、産業医と連携し、産業保健業務などを担当します。従業員の健康診断関連業務、長時間残業者の面談、ストレスチェック、職場巡回などをはじめ、休職者への復職支援、復職後のフォローアップなどを行います。

また、福利厚生サービスを提供する企業では、コールセンターで顧客企業の従業員に対する心身の健康相談に対応することもあります。

保育園や学校などの場合

保育園では、子どもたちの健康管理と衛生管理を中心に業務を行います。具体的には、日々の健康観察、体調不良時の対応、感染症予防対策(手洗いや消毒の指導など)などが含まれます。

また、保護者や保育士に対する保健指導や、育児に関する相談対応も重要な役割です。

大学の保健センターなどで就業する場合、傷病の応急措置、健康相談、医療機関との連携が主な業務です。学生や教職員のメンタルヘルスケアも重要な役割となります。

このように、保育園や学校における看護師は、子供や学生、親、教職員の健康増進をサポートする役割を担います。単に医療的なケアを提供するだけでなく、予防的な視点や、心のケアも重視される点が特徴です。

まとめ

看護師の人手不足傾向が深刻なことから、看護師派遣の制限緩和が進んだ結果、現在では福祉施設や病院・クリニック、企業、学校など、多くの場面で看護師派遣が活用されています。さらに、日雇い派遣やへき地への派遣も、特定の条件下で可能になったことで、働き方の柔軟性が高まり、フルタイム就業が難しい看護師や、多様な働き方を希望する看護師が活躍できる機会も増えました。

派遣看護師が対応できる業務の幅も広がっているため、看護師の人手不足に悩む人事担当の方や、施設管理者の方は、看護師派遣の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

パソナでは、メディカル分野に特化した派遣サービスも行っています。看護師を含めた医療専門職の派遣サービスを検討されている方は、ぜひご相談ください。

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