おすすめ特集・コラムキャリア面談とは?独自調査で分かったリアルな課題と解決策を徹底解説

更新日:2026.06.17
- キャリア自律支援
キャリア自律の重要性が高まるなか、その実現手段として多くの企業が「キャリア面談」を導入していますが、取り組みの成果にばらつきが生じているのが実情です。現場からは以下のような「理想と現実のギャップ」に悩む声が聞かれます。
- 面談の質が上司のスキルに依存し、内容にばらつきが生じている
- 面談で引き出した本音が、人事施策(配置・育成)に活かされていない
- 面談の目的やゴールが浸透せず、形だけの運用になっている
パソナが496社を対象に実施した独自調査では、キャリア面談を実施している企業の89.6%が何らかの効果を実感しているという結果が出ています。その一方で、運用の仕組みやフォローアップの不足により、制度を十分に活用しきれていない実態も見えてきました。
本記事では、独自調査から判明したリアルな課題を深掘りします。そのうえで、形骸化を防ぐための「3ステップの進め方」や、実効性を高めるための具体的な改善策を解説します。
【組織のキャリアデザイン設計でお困りの担当者へ】
>>社員の活躍をサポートするパソナのキャリア自律支援サービスはこちら
パソナが496社を調査!「キャリア面談調査レポート」
導入状況・成果・課題をまとめて把握できるレポートとともに課題解決に向けた研修・面談支援・人材育成サービスをご紹介します。
- キャリア面談の制度導入や実施の状況
- 運用方法と実施頻度
- 面談担当者の属性
- 導入した目的とその効果
キャリア自律支援の推進や制度改善を検討されている人事・人材開発担当者の方におすすめの内容です。
キャリア面談とは?
キャリア面談とは、社員の中長期的なキャリア形成について話し合い、その実現に向けた行動や方向性を整理する場です。上司や人事担当者が一方的に解決策を提示するのではなく、質問や対話を通じて社員の考えを引き出し、強みや課題への気づきを促していきます。こうした内省を深めることで、主体的にキャリアを描く力を育み、自律的な成長へつなげることを目的としています。
関連記事: キャリアビジョンとは何か?キャリアビジョンを描く重要性やメリットを解説
なぜキャリア面談が注目されているのか
キャリア面談が注目される背景には、人的資本の情報開示の義務化により、人材育成やキャリア支援の取り組みを可視化する必要性が高まっていることがあります。また、ジョブ型雇用への移行やキャリア自律の浸透により、社員が主体的にキャリアを形成していくことが求められるようになりました。
さらに、人材流動化の加速に伴い離職リスクへの対応が重要視されているほか、働き方の多様化やテレワークの普及により上司が部下の状況を把握しにくくなっていることも、対話を通じた相互理解の必要性を高めています。
関連記事: キャリア形成とは?重要性やメリット、進め方から、企業に求められる支援まで徹底解説
1on1・人事面談との違い
キャリア面談と1on1・人事面談との違いは下表のとおりです。それぞれの違いを理解し、目的に応じて使い分けることが大切です。
|
項目 |
キャリア面談 |
1on1 |
人事面談 |
|
目的 |
中長期的なキャリア形成支援 |
部下の成長支援・モチベーション向上 |
評価・処遇(給与・昇進など)の決定 |
|
話す内容 |
キャリアビジョン、将来の志向、強み・弱み、スキル開発計画、キャリアパスの選択肢 |
業務進捗、悩み・課題、人間関係、モチベーション、短期的な成長テーマ |
目標達成度のフィードバック、評価結果の説明、次期目標設定、処遇の伝達 |
|
実施頻度 |
年1回程度 |
週1回~月1回程度 |
年2回程度(半期ごと) |
|
視点 |
・中長期 |
・短期〜中期 |
・短期 |
関連記事:1on1ミーティングの目的とは?メリットや実施ポイントを紹介
人事担当者に聞いたキャリア面談の目的と実施効果
企業はどのような目的でキャリア面談を導入し、実際にどのような効果を得ているのでしょうか。ここでは、パソナが人事部門を対象に実施したアンケート結果をもとに、キャリア面談の目的と効果について解説します。
キャリア面談導入の目的
キャリア面談を導入した目的は「社員のキャリア意識を高めるため」が72%と最も高く、多くの企業が社員自身の主体的なキャリア形成の促進を重視していることがわかりました。続いて、「社員の希望や志向を把握し、配置・異動に活かすため」(65%)、「離職防止やエンゲージメント向上を図るため」(56%)が挙げられ、組織運営や人材定着の観点からもキャリア面談を重要な取り組みと位置づけていることがうかがえます。
キャリア面談を実施して得られた効果
キャリア面談を実施したことによる効果を聞いたところ、特に多かったのが「社員の志向や希望を把握できた」(53%)、「社員のキャリア意識が高まった」(48%)、「育成・配置の判断材料として活用できた」(40%)の3点でした。本調査では、キャリア面談を実施している企業の89.6%が何らかの効果を実感していると回答しており、多くの企業が目的に対する効果や前向きな変化を感じていることがうかがえます。
キャリア面談調査レポート
496社の実態調査をもとに、キャリア面談の導入状況や運用実態、実施効果、現場が抱える課題を分析。調査から見えてきた課題の傾向を整理し、解決に向けたサービスをご紹介しております。
キャリア面談で扱うべきテーマと質問例
会社が設定したキャリア面談の目的に沿った、納得のいく面談効果を高めるためには、適切なテーマ設定と問いかけが欠かせません。ここでは、面談で扱うべき主なテーマと質問例をご紹介します。
キャリアの振り返り
これまでの経験や実績を社員自身に振り返ってもらうことで、自分の強みや価値観を自覚するきっかけとなります。上司が一方的に評価を伝えるのではなく、事実の棚卸しに留まらず「その経験から何が意味づけられているか」を引き出すことが重要です。社員に自らのキャリアを整理し言語化するよう促すことが求められます。
【質問例】
- これまでの仕事の中で、最もやりがいを感じた場面は何でしたか?その理由を教えてください。
- これまでの経験で、特に印象に残る成果は何ですか?その背景やプロセスを振り返ってみてください。
- ご自身の強みや持ち味が最も発揮できたと感じる場面はどのようなときでしたか?
- 仕事を通じて形成されてきた、ご自身の価値観や判断軸はどのようなものですか?
- うまくいかなかった経験から、今に活きている学びは何ですか?
今後のキャリア目標
将来どのような姿を目指したいのかを問いかけることで、社員が中長期的なキャリアビジョンを言語化する機会となります。あわせて、「やりたいこと(Will)」「できること(Can)」「求められていること(Must)」の三層を意識しながら整理することで、目標の解像度を高めやすくなります。目標に向けて主体的な行動を促すには「いつまでに」「どのような状態になりたいか」を引き出すことが大切です。
関連記事:Will-Can-Mustとは?フレームワークの具体例や活用メリットをご紹介
【質問例】
- 3年後にどのような仕事をしていたいですか?
- 今後はどのようなスキルや経験を身につけたいと考えていますか?
- 3〜5年後、どのような役割・働き方・ありたい姿をイメージしていますか?
- その姿を実現するうえで、今ある強みのうち活かせるものは何ですか?
- その目標に向けて、半年〜1年以内に踏み出せそうな「最初の一歩」は何でしょうか?
現在の業務における課題
社員が日常業務で感じている悩みや不安を把握することは、離職リスクの早期発見や配置転換の検討につながります。相手の意見を受け止める姿勢を意識し、社員が安心して本音を話せる雰囲気づくりを心がけましょう。
【質問例】
- 現在の業務で困っていること、または改善したいと感じていることはありますか?
- 最も時間やストレスを使っている業務部分は何ですか?
- その課題の背景には、スキル・情報・権限・人間関係・業務量のうち、どの要素が大きく関わっていますか?
- 自分の努力で解決できそうな課題と、上司・他部署の協力が必要な課題に分けると、それぞれどのような内容になりますか?
- 会社や上司がサポートできるとしたら、どのような関わりが有効だと思いますか?
キャリア面談の進め方【3ステップ】
キャリア面談を形骸化させず、実効性のある取り組みにするには「事前準備」「面談の実施」「フォローアップ」という段階的なステップを踏むことが大切です。
事前準備
キャリア面談を実施する前に、面談の目的とゴールをあらかじめ社員と共有しておきましょう。キャリアシート(自己申告シート)を記入してもらうことで、これまでの経験や将来の方向性を整理でき、当日の対話がより有意義なものになります。面談を実施する側も、社員の業務経歴や面談履歴、今後の目標などを事前に確認することができます。
キャリア面談の実施
面談を実施する際は、冒頭で雑談やアイスブレイクで心理的安全性を取り入れ、社員がリラックスして話せる雰囲気をつくりましょう。具体的なアクションプランについては、面談する側が一方的に指示するのではなく、オープンクエスチョンを用いて社員自身の気づきと主体的な言語化を引き出すことが求められます。上司は「話す」よりも「聞く」ことを基本とし、傾聴の姿勢を徹底することが、本人主体のキャリア形成を支える土台となります。
継続的なフォローアップ
キャリア面談は実施して終わりではなく、その後の行動によって効果が大きく左右されます。パソナの調査では、実施企業の23%が「面談後のフォローアップが不十分だった」と回答しており、継続的な対応が課題となっていることがうかがえます。面談を一過性のものにせず、設定したアクションの進捗を定期的に確認し、必要に応じて支援を提供することが求められます。
496社調査で判明!キャリア面談の実態と3つの課題
キャリア面談の重要性が高まる一方で、実際の運用ではさまざまな課題も存在しています。ここでは、パソナが実施した調査結果をもとに、キャリア面談の実態と現場で見えてきた課題について解説します。
キャリア面談の実施状況
- キャリア面談を実施している企業:47.4%(235社 / 496社)
- キャリア面談室を正式に設置している企業:15.9%(79社 / 496社)
キャリア面談を実施した企業の9割近くが何らかの効果を感じている一方で、実際に導入している企業は半数に満たず、面談室の設置まで進んでいる企業はまだまだ少ないのが現状です。未実施の理由としては「制度設計や運用方法が定まっていないため」「リソースや人員が不足しているため」が多く、導入にあたって制度設計や人員確保の壁に直面していることがうかがえます。
現場が感じている3つの課題
キャリア面談における現場の課題として、特に多かった回答が次の3点です。
- 1位:「上司によって面談の質や進め方にばらつきがあった」58%
- 2位:「面談内容が人事施策に活かしきれていない」37%
- 3位:「面談の目的やゴールが現場に十分に浸透していなかった」25%
面談担当者の70%が専門的な資格を保有していないという調査結果もあり、こうした点が面談の質に影響している可能性も考えられます。また、面談で把握した社員の志向や希望が配置・育成・評価などに反映されていない、制度の目的が共有されておらず「何のためにやっているのか」がわからないといった課題も存在しているようです。
キャリア面談調査レポート
496社の実態調査をもとに、キャリア面談の導入状況や運用実態、実施効果、現場が抱える課題を分析。調査から見えてきた課題の傾向を整理し、解決に向けたサービスをご紹介しております。
3つの課題を解消する改善策
キャリア面談を効果的に機能させるには、現場で起きている課題を早期に解消することが求められます。ここでは、パソナの調査結果で明らかになった「3つの課題」に対し、企業が取るべき具体的な改善策をご紹介します。
「面談の質のばらつき」をなくす対策
面談の質のばらつきを防ぐためには、まず面談シートを標準化し、誰が担当しても一定の流れで進められる仕組みを整えることが重要です。また、上司や担当者向けに面談スキルを習得する研修を実施したり、キャリアコンサルタント資格の取得を推奨・支援したりすることも有効です。さらに、必要に応じて外部の専門家やサービスを活用することも、面談の質を安定させる有効な手段となります。
人事施策に活かすための対策
面談で得られた情報を人事施策に活かすためには、人事部門も含めて面談内容を共有できる仕組みが必要です。そのうえで、面談で把握した社員の強みや志向が、その後の配置・育成・研修の計画に反映できるフローを整備します。面談の結果を具体的な人事施策へと結びつけることで、組織全体の人材活用の質を高めることができます。
目的・ゴールを現場に浸透させる対策
キャリア面談を形骸化させないためには、導入前に「なぜ実施するのか」「どのようなメリットがあるのか」を言語化し、面談を行う上司と部下、さらには人事担当者の間で共有しておくことが重要です。特に面談担当者は「キャリア面談が評価を行う場でない」ことをしっかりと理解し、評価と切り離した対話を意識することが求められます。
管理職向け キャリア面談力向上研修
キャリア自律を踏まえ、心理的安全性を土台に傾聴・共感・対話力を習得。支援できる上司を育て、キャリア面談の質向上や部下の主体性・定着につなげる研修サービス資料です。
まとめ
独自調査の結果から、キャリア面談は高い効果が期待できる一方で、運用面に課題を抱えている企業が多いことも明らかになりました。キャリア面談を成功させるためには、面談担当者のスキル向上や人事施策へ反映させる仕組みの構築、必要に応じて外部リソースの活用が求められます。
パソナでは、キャリア面談のスキルを向上させる管理職向けの研修や、外部の専門家が幅広い相談に対応する面談サービスをご提供しています。各サービスの詳細をまとめた資料をご用意していますので、社員のキャリア自律を促し、人材の定着や組織の活性化につなげたい場合はぜひご参照ください。
管理職向け キャリア面談力向上研修
キャリア自律を踏まえ、心理的安全性を土台に傾聴・共感・対話力を習得。支援できる上司を育て、キャリア面談の質向上や部下の主体性・定着につなげる研修サービス資料です。
【調査概要】
調査テーマ: キャリア自律の取り組み状況に関するアンケート
調査対象: パソナキャリアアセット事業本部の取引先企業
有効回答数: 496社(配信数:23,004社)
調査期間: 2026年1月19日〜2026年1月31日
調査方法: インターネット調査(メール配信による回答依頼/匿名回答)
調査主体: 株式会社パソナ


















