おすすめ特集・コラム創業以来のDNAで挑む富士フイルムグループの健康経営 ―PASONA SQUAREで開催された健康経営Meet Up 2026レポート

更新日:2026.06.09
- 健康経営
毎年、全国各地で開催しているパソナの「健康経営Meet Up」。
「健康経営をもっと身近に、おもしろく」をコンセプトに、企業・団体の健康経営担当者が一堂に会し、組織や業種の垣根を越えて悩みや工夫、やりがいを共有する勉強会型の交流イベントです。
2026年2月、パソナ本社(PASONA SQUARE)にて健康経営Meet Upが開催され、約50名の健康経営の推進ご担当者が参加しました。基調講演では、富士フイルムホールディングス株式会社 人事部 健康推進グループ長の大脇 悟氏より、健康経営への思いや取り組みについて紹介されました。
同グループの健康経営の原点は、1940年にまで遡ります。「従業員の健康は個人の問題ではなく、会社の重要な課題」という認識の下、富士フイルムは予防、早期発見、徹底したフォローの3つの軸で、従業員の健康を支え続けてきました。
本稿では、基調講演の内容をダイジェスト版としてレポートします。
1. 創業以来のDNA 富士フイルムグループの健康経営の原点
グループパーパスの実現を支える従業員の健康
富士フイルムホールディングスは1934年(昭和9年)創業、92年を迎えたグローバル企業です。連結子会社は258社、従業員数は全世界で約73,000人を擁しています。
2000年代に写真フィルム需要が急減したことを契機に大きな業態変革を遂げ、現在はヘルスケア(医療機器・バイオ医薬品の開発製造受託・化粧品など)とビジネスイノベーション(オフィス向けソリューションなど)がそれぞれ売上の約3分の1を占める企業へと進化しました。2024年の創立90周年を機に「地球上の笑顔の回数を増やしていく」というグループパーパスを制定し、全従業員がその実現に向けて日々挑戦しています。
企業がイノベーションを起こし、社会課題の解決に貢献するための原動力は「高い志を持って変化を恐れず挑戦し続ける従業員の力」です。富士フイルムグループでは、この姿勢を「アスピレーション」と呼び、その力を十分に発揮できる環境を整えるため、従業員の健康を重要な経営課題の一つとして位置付けています。
創業間もない頃から脈々と受け継がれる「命を守る」精神
健康への取り組みは、創業からわずか6年後の1940年に健康保険組合を設立したことに始まります。1942年には、創業の地・足柄工場の隣に診療所を開設し、やがて内科・外科・産婦人科・歯科を備えた富士フイルム付属病院となりました。
当時は衛生環境や栄養状態が十分ではなく、健康を損ねる人が非常に多い時代でした。そうした中、同附属病院は従業員やその家族、地域の方々に医療を提供してきた歴史があり、富士フイルムグループにとって健康経営は、受け継がれてきた企業文化そのものとも言えます。
1973年には付属病院を廃止して、予防・健康づくりに重点を置く健康管理センターが発足し、以降従業員の健康管理を支援しています。
富士フイルムグループの健康経営の推進体制として、富士フイルムホールディングスの社長を富士フイルムグループの健康経営最高責任者、人事部長を健康経営責任者とし、各グループ会社の健康推進部門を束ねる役割として富士フイルムホールディングス人事部に健康推進グループを設置しています。各グループ会社でも、社長を健康経営責任者とし、健康経営推進責任者および担当者を配置しています。そのうえで、健康経営推進責任者会議、7つの健康行動推進委員会、医療職連絡会などの会議体を通じて、会社、健康保険組合、従業員組織(労働組合/社員会)、産業医・保健師とも連携し、健康増進活動を進めています。
健康経営を通じて「心身ともに健康で意欲高く働く従業員」を増やすため、5つの重点領域(生活習慣病、喫煙、がん、メンタルヘルス、長時間労働)を定めて、徹底した対策を行っています。また、健康づくりは日々の積み重ねが重要であるため、「富士フイルムグループ7つの健康行動」の実践を従業員に呼びかけています。
2. 「富士フイルムグループ7つの健康行動」で一人一人の行動変容を促す
自分自身を守れるのは、あなたしかいない
「従業員の健康は個人の問題ではなく、会社の重要な課題である」という方針で、法令上の産業衛生の範疇に留まらず、会社が従業員の健康に積極的に関与しています。
取り組みを進める上で、予防、定期的な健診・検査の受診(早期発見)、徹底したフォローの3つの軸にこだわって活動しています。
予防においては、「健康は自ら守り育むもの」という考えのもと、正しい健康知識の習得、自分の健康状態の把握、改善意識の醸成と実践の3点を推奨し、従業員に行動変容を促しています。
1. 正しい健康知識を習得する
フィジカル面においては、従業員が自身の健康上の悩みに合わせて学べるよう、幅広い健康セミナー/eラーニングを提供。メンタル面においては、セルフケア、ラインケアの研修を行っています。
2. 自分の健康状態を知る
毎年2月に翌年度の健診に関する意向調査を全従業員に実施し、定期健診か人間ドックか、がん検診や婦人科検診は希望するかなど、一人ひとりの意向を確認した上で、健診を手配しています。
3. 日々の生活習慣を改善する
睡眠や食事、定期的な運動など規則正しい生活習慣の実践を従業員に呼びかけています。中でも禁煙対策には注力しており、就業時間内禁煙の就業規則への明文化、会社施設内の喫煙所撤廃、禁煙治療費補助、専門医によるセミナーなど多角的にアプローチしています。また、健康保険組合と連携した健康改善指導やアプリを活用した食事改善指導なども行っています。
今すぐ始められる「富士フイルムグループ 7つの健康行動」
富士フイルムグループにおける予防活動の象徴が「富士フイルムグループ 7つの健康行動」です。いずれも、その気になれば今すぐ始められるものばかりです。
- 週1回以上体重をはかる
- 自分の健診結果を確認する
- 週1日以上お酒を飲まない日をつくる
- 1日6時間以上の睡眠をとる
- 平均30分/日以上歩く
- 直近の歩活(あるかつ)にエントリーする
- タバコを吸わない
ウォーキングイベントは春と秋の年2回開催し、直近大会では約30,000人、国内従業員の約7割が参加しています。健康づくりに留まらず、職場のコミュニケーション活性化にもつながることから、従業員にも大変好評です。
この「7つの健康行動」は、自分の健康を意識する、健康な体づくりを実践する、リスクを減らすという3つの狙いと結びついています。
実施項目数が多いほどパフォーマンス発揮度やワーク・エンゲイジメントが高まるという相関も確認しており、「まずは気楽に取り組んでみましょう」と全従業員に呼びかけています。
3.医療職と取り組む早期発見と徹底フォロー
日常の健康管理を知る産業医・保健師と連携した健診体制
横浜・足柄・西麻布に富士フイルムグループ健康保険組合直営の健診施設があり、ヘルスケア事業で培ったノウハウと自社の医療機器を活用して従業員健診を実施しています。これらの施設の強みは、富士フイルムグループの健康増進の考え方を理解した産業医と保健師が、従業員の日々の健康状態を把握したうえで健診を行い、フォローアップと連動させている点です。
がん検診にも力を入れており、がん検診該当年齢の従業員が希望すれば、肺・胃・大腸・乳房・子宮の5大がんについては自己負担なく定期健診と併せて受診できる体制を健康保険組合と連携して整備しています。また、従業員にがんの基礎知識や検診の重要性なども伝えて、がん検診を定期的に受けるように呼び掛けています。こうした取り組みの結果、従業員の5大がんの検診受診率は、80~90%という高い水準を実現しています。
徹底したフォローアップ
健診で病気の芽が見つかったら、早期にフォローする必要があります。D判定など、健診結果が思わしくない従業員には即アプローチし、産業医による面談や、再検査・精密検査の受診呼びかけなど、従業員の不安な気持ちに寄り添いながら事後フォローを実施しています。
また、経年で健診データ、ストレスチェックのデータ、面談記録を一元管理・可視化できるシステムを導入しています。産業医・保健師だけでなく、従業員本人や健康保険組合ともデータを連携し、フォローに役立てています。
グループ会社に対しては、会社ごとに「健康通信簿」を作成しています。健診結果を踏まえた健康課題だけでなく、がん検診受診率や「7つの健康行動」の実施率、今後、会社として行うべき改善策についてのアドバイスなどを詳細に掲載しています。健康通信簿をもとに各社の経営層や人事部長と会社別の従業員健康課題について直接意見交換する機会を設け、具体的な対策についても、医療職を交え、協議しています。
4. まとめ
重点領域のKPIの数値はこれまでの活動が奏効し、着実に良くなっています。
超長寿社会となった現代。「『100年を生きる時代』の社会の人々に生きる力、生きる楽しさを提供していく」という健康経営宣言の実現に向けて、引き続き取り組んでまいります。
開催後記:地道な積み重ねこそが、健康経営の真の力
創業間もない頃から脈々と育まれてきた「健康はDNA」という企業文化。大脇氏の講演を通じて、従業員の健康を企業の根幹をなす価値観として位置付けている富士フイルムグループの強い意志が伝わってきました。
「命を守りたい」という思いの下、「富士フイルムグループ 7つの健康行動」、健診・がん検診受診といった行動変容を根気強く、働きかけ続け、病気の芽が見つかった際は徹底的にフォローし続ける。こうした取り組みの積み重ねこそが、富士フイルムグループの健康経営の真の力であり、6年連続で健康経営銘柄に選定されるという偉業につながっているのだと理解できました。
パソナは今後も全国各地で健康経営Meet Upを開催し、健康経営に取り組む皆さまの挑戦を支援してまいります。












