おすすめ特集・コラムストレスチェックの義務化。従業員50人未満の事業所が対応すべきポイント

更新日:2025.11.19
- 健康経営
ストレスチェックは「働きやすい環境への改善」と「メンタルヘルス不調の未然防止」を目的として、従業員50人以上の事業所では実施が義務づけられています。さらに、現在は努力義務となっている50人未満の事業所でも義務化する法改正が成立しました。
小規模な組織では一人の不調が業務に大きく影響するため、メンタルヘルス対策はとても重要です。法改正に備えるうえでも、ストレスチェックの実施体制を整えておく必要があります。
また、健康経営の取り組みを進めるうえでも、仕事や職業生活への不安・悩みが増加傾向にある現代において、従業員のメンタルヘルス不調の一次予防となるストレスチェックの活用が欠かせません。
この記事では、なぜストレスチェックが必要なのか、メンタルヘルス対策の重要性や取り組みのメリット、従業員50人未満の事業所が対応すべきポイントについて解説します。
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ストレスチェックとは?
ストレスチェックとは、ストレスに関する質問票(選択回答)に労働者が回答し、その結果を集計・分析することで、本人のストレスの状態を把握するための簡易な検査です。
現在、常時50人以上の労働者を使用する事業場では、年1回、全ての常用労働者にストレスチェックを実施することが義務づけられています。この制度は、労働者のストレスの程度を把握し、ストレスへの気付きを促すことで、メンタルヘルス不調を未然に防ぐこと、すなわち一次予防を目的としています。
ストレスチェックに用いる調査票には、従業員のストレスについて多角的に分析するために、以下の3領域が含まれる必要があります。
● 仕事のストレス要因:職場における心理的な負担や、ストレスの原因となるものに関する項目
● 心身のストレス反応:心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目
● 周囲のサポート:職場における同僚や上司など、周りの人から受ける支援に関する項目
また、調査には職場環境や人間関係などを総合的に評価できる「職業性ストレス簡易調査票」の活用が広く推奨されています。
ストレスチェックの実施者は、「人事権を有する上司など、労働者の人事評価や配置に直接関与する者を除く者」が行うと定められています。これにより、評価の客観性と従業員のプライバシー保護が確保されます。具体的には、医師、保健師、厚生労働大臣が定める研修を終了した歯科医師、看護師、精神保健福祉士又は公認心理師、または外部の専門機関がストレスチェックの実施と評価を担当します。
ストレスチェック制度の導入は、企業にとっても、従業員の職場環境の改善や生産性向上、さらには健康経営の推進に役立つことが期待できます。
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2028年までに50人未満の企業もストレスチェック義務化
現在、50人未満の事業所に関しては、ストレスチェックの実施は努力義務となっていますが、従業員の心の健康を守るという観点から、規模に関わらず全ての事業所でストレスチェックを実施することが推奨されてきました。
しかし、2025年5月14日に公布された労働安全衛生法の一部を改正する法律により、50人未満の事業所にもストレスチェック制度の義務化が決定しました。これにより将来的にはすべての事業場で義務化されることになります。
準備の負担を考慮し、施行まで十分な準備期間を確保するとされており、具体的な施行日は未定ですが「公布後3年以内に政令で定める日」に施行されることになっています。なお、政令によって施行日が早まる可能性もあるため、最新の情報に注意が必要です。
なぜストレスチェックが必要なのか/メンタルヘルス対策の重要性
なぜ職場でのストレスチェックが必要なのでしょうか。
その背景には、経済情勢や産業構造の変化により、働く人の約80%が強い不安やストレスを感じていることがあります。このような心理的負担が原因となり、休業や退職をする人が増加しているのが現状です。
また、仕事の強いストレスが原因で強い不安がうつ病や精神障害などの疾病につながり労災認定されたケースも増え続けています。さらに、自殺に関する損害賠償請求の提訴が増加するなど、従業員のメンタルヘルス不調を未然に防ぐことが、ますます重要な課題となっています。
また、令和6年度の精神障害に関する労災支給決定件数が過去最多を更新し、企業におけるメンタルヘルス対策は急務となっています。ストレスチェックの実施は、従業員のメンタルヘルス不調を早期に発見し、適切な対応を取るための重要なツールとなります。
定期的なストレスチェックにより、従業員自身がストレス状態を認識し、自己管理能力を向上させることができます。同時に、企業側も組織全体のストレス状況を把握し、職場環境の改善に活かすことができます。
さらに、ストレスチェックの結果を基に、高ストレス者には医師による面接指導を行うことで、メンタルヘルス不調の予防や早期対応が可能になります。これにより、長期休職や離職のリスクを軽減し、企業の生産性維持にも貢献します。
ストレスチェックが義務化された従業員50人以上の事業所だけでなく、現在はまだ努力義務とされている50人未満の事業所においても、積極的に従業員の心の健康を保持するよう推進していくことが望ましいでしょう。
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ストレスチェック義務化によるメリット
ストレスチェックの義務化は、従業員だけでなく企業にもメリットをもたらします。
主なメリットとしては以下のようなものが挙げられます。
● 従業員のメンタルヘルス不調の早期発見と予防
● 従業員のモチベーションや生産性の向上
● 職場改善による離職防止と採用活動への好影響
ここでは、それぞれのメリットについて詳しく解説します。
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従業員のメンタルヘルス不調の早期発見・予防
定期的に従業員のメンタルヘルスチェックをおこなうことで、メンタルヘルス不調の早期発見・予防につながります。ストレスチェックの義務化により、従業員の心理的負担の程度を定期的に評価することが可能となりました。これにより、従業員自身がストレス状態を自覚し、早期に対策を講じることができます。
また、外部の専門サービスによる集団分析では、ストレス度が高い部署の把握や同業種との比較など、自社課題の可視化も実現できます。さらに、ストレスチェックの結果を基に、産業医や保健師との面談を実施することで、より詳細な状況把握と適切な対応が可能となります。
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従業員のモチベーションや生産性の向上
事業者が心の健康を守るための対策に積極的に取り組むことは、従業員のモチベーションアップや職場の活気につながります。ストレスチェックの義務化により、企業は従業員のメンタルヘルスへの意識を高め、より健康的な職場環境を整備することができます。これにより、従業員の働きやすさが向上し、モチベーションアップや離職率の低下といった効果が期待できます。
さらに、ストレスチェックの結果を組織全体で分析することで、職場環境の具体的な改善点を特定し、効果的な対策を講じることができます。こうした継続的な取り組みは、従業員の満足度や帰属意識を高めるだけでなく、生産性や業績の向上にもつながるでしょう。
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職場改善による離職防止と採用活動への好影響
定期的なストレスチェックで従業員の悩みを把握し、働きやすい環境をつくるための職場改善につなげられます。これは従業員の離職防止対策となるだけでなく、企業の採用活動にもよい影響を与えるでしょう。
施策を実施することで、従業員の満足度が向上し、離職率の低下につながります。さらに、従業員の健康に配慮する企業姿勢は、企業の評判を高め、優秀な人材の獲得にも寄与します。
ストレスチェック義務化に伴う職場改善は、企業の持続的な成長と発展にも貢献します。健康経営の観点からも、従業員のメンタルヘルスケアは重要な課題であり、ストレスチェックを活用した職場環境の最適化は、企業の競争力強化につながる重要な施策といえるでしょう。/p>
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従業員50人未満の事業所が対応すべきポイント
従業員50人未満の事業所ではまだストレスチェックが義務化されていませんが、従業員のメンタルヘルス対策はこれまでも重要な課題でした。さらに法改正でストレスチェックの義務化が決まったことにより、その優先度はこれまで以上に高まっています。
従業員が少ない事業所では、メンタルヘルス不調者が発生した場合の組織への影響が極めて大きくなります。そのため、少人数だからこそ、従業員の健康を意識した健康経営を進めていくことが大切です。従業員のメンタルヘルス不調を未然に防ぐことは、業務効率化や従業員のモチベーションアップ、生産性の向上にも大きく寄与するでしょう。
厚生労働省は従業員が50人未満の事業所であっても、メンタルヘルスの不調を未然に防ぐために、できるだけストレスチェックを実施することが望ましいという見解を示しています。実際に、現在は数人のみが働く小規模な事業所でも、自社のリスク対策としてストレスチェックを実施するケースが増えています。
また、今後の義務化に向けて、早い段階から実施体制や準備を整えておくことが不可欠です。 社内の実施方法、外部機関の選定、結果の扱い方など、事前に検討すべき項目は多く、余裕を持った準備が求められます。
ここでは、従業員50人未満の事業所がメンタルヘルス対策をする際のポイントについて解説します。
従業員に方針を表明・周知する
メンタルヘルス対策に取り組むうえでは、まず従業員にメンタルヘルス対策の必要性や自社の方針を周知することが重要です。「働きがいのある、メンタル不調を起こさない職場環境づくり」に取り組むことをトップが宣言し、企業風土・理念として浸透させるのが望ましいでしょう。
経営者や人事担当者は、ストレスチェックの意義を理解したうえで、従業員に向けて明確な方針を示す必要があります。例えば、社内会議やイントラネットを使って、ストレスチェックの実施予定や目的、期待される効果などをわかりやすく説明すると効果的です。
また、ストレスチェックが義務化された社会的背景や、自社にとってメンタルヘルス対策が欠かせない理由についても丁寧に説明し、従業員の理解と協力を得ることが大切です。
さらに、ストレスチェックの結果を踏まえて、「どのように職場環境を改善していくのか」といった具体的な取り組みや計画を示すことで、従業員の安心感や信頼感を高めることができます。
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メンタルヘルス対策を計画的かつ継続的に推進
メンタルヘルス対策について一人ひとりが関心を持てるようにするには、従業員の意見を取り入れた具体的な中長期施策を計画し、継続的に取り組むことがポイントです。また、メンタルヘルス対策の推進にあたっては、現状を正確に把握することや、対策の効果評価を定期的におこなうことも大切です。
例えば、定期的なストレスチェックの実施や、結果に基づいた職場環境の改善、従業員向けのメンタルヘルス研修の開催などが効果的な施策として挙げられます。
さらに、ストレスチェック義務化の趣旨に沿って、従業員のプライバシーに配慮しつつ、個人のストレス状況を把握し、必要に応じて専門家による面談や相談窓口の設置を検討することも有効です。
まとめ
ストレスチェックは、メンタルヘルス不調を未然に防ぐことを目的に従業員50人以上の事業所で義務化された制度です。今後は法改正により、50人未満の事業所もストレスチェックの義務化が決まったことで、早い段階から実施体制や準備を整えておくことが重要です。
企業がストレスチェックを実施することで、職場のストレス要因を把握し、適切な対策を講じることができます。また、結果を活用することで職場環境が改善され、従業員のモチベーションや生産性の向上、離職率の低下にも寄与し、企業の競争力強化にもつながるでしょう。
従業員50人未満の小規模事業場では、従業員のプライバシー保護の観点から、外部委託が推奨されており、専門サービスを利用することで負担軽減や安全な運用が可能です。ストレスチェックに関する外部の専門サービスでは以下のような施策をおこなえます。
- 従業員のセルフケア意識の向上
- 集団分析による同業種との比較や課題点の可視化
- ストレスチェックの結果を活用した職場環境改善
従業員の心の健康を守ることは企業の社会的責任であり、持続的な成長のための重要な投資です。自社の健康経営やリスクマネジメントの実現に、まずはストレスチェック制度を導入してみてはいかがでしょうか。
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