おすすめ特集・コラム「やっている割に成果が見えない」から脱却する―健康経営の確証を得る、正しい従業員データの集め方・活かし方

更新日:2026.06.22
- 健康経営
今や多くの企業が健康経営の重要性を理解し、様々な予算やリソースを投じて施策を導入するようになりました。しかしその一方で、健康経営の「停滞」や「形骸化」に頭を悩ませる担当者は少なくありません。
「社内イベント後に手応えのあるアンケート結果は得られるものの、本当に従業員の健康や生産性向上に繋がっているか確証が持てない」
「健康セミナーやイベントをいくつも企画しているが、参加者はいつも同じで偏りがある」
なぜ健康経営の成果は見えづらいのでしょうか。そしてなぜ、せっかくの施策が次に繋がることなく、「一過性の取り組み」で終わってしまうのでしょうか。 その根本的な原因は、決して施策内容の良し悪しにあるわけではありません。それよりも、施策を決定する前段階、すなわち「従業員の生活習慣の実態(データ)」を企業側が正確に把握できていないことにあります。本稿では、健康経営が停滞してしまう構造的な要因を紐解くとともに、組織を動かすために不可欠な「データの集め方・活かし方」ついて詳しく解説します。
健康経営の停滞の背景にある「3つのデータの壁」
多くの企業が「従業員のために」と健康経営に乗り出しますが、初期の段階で、「手元にあるデータ不足」という壁にぶつかりがちです。担当者が直面しやすい、代表的な3つの課題を見ていきましょう。
壁①:手元にあるデータが「過去のもの」であり、タイムラグが大きい
従業員の健康状態を把握する最も代表的なデータは定期健康診断の結果です。しかし、一般的に健康診断は年に1回です。診断データがデータクレンジングを経て、人事や健康保険組合のもとに届き、分析可能な状態になるまでには数ヶ月のタイムラグがあります。従業員の今のコンディションを知りたいと思っても、手元にあるのは半年前、あるいは1年前のデータというケースが珍しくありません。これでは、正確かつスピーディに施策のPDCAを回すことは不可能です。
壁②:メンタル面に比べ、フィジカル面(生活習慣)のデータが不足している
ストレスチェックの導入が進んだことで、従業員のメンタル面のコンディションを全社的に把握できる企業は増えてきました。一方で、食事、睡眠、運動といったフィジカル面(生活習慣)に関しては、定期健診の問診票データしか持ち合わせていない企業がほとんどです。問診票は、「はい/いいえ」で答える簡易的な設問が多く、どうしても断片的な情報にとどまります。これでは、効果的な施策の足がかりとなる、生活習慣の深い実態まで見極めることは困難です。
壁③:社内独自のアンケートは設計・運用に限界がある
「健診データが使えないなら、Googleフォームなどで独自にアンケートを取ろう」と試みる企業もあります。しかし、いざ自社でアンケートを作ろうとすると、以下のような運用上の限界に直面します。
【専門性の限界】
どのような設問設計にすれば、従業員の食事・睡眠・運動・飲酒・間食・喫煙といった多面的な実態を偏りなく網羅できるのか、適切な判断が難しい。
【回答率の限界】
設問数が多すぎると従業員の負担になり回答率が下がる。逆に少なすぎると、充分に情報が得られず施策に活かせない。重複なく漏れ落ちなく、従業員がスムーズに回答できる設問やアンケートの仕組みを構築することは決して容易ではありません。
【フィードバックのためのリソースの限界】
データを集めるだけで終わってしまっては、従業員の意識は変わりません。しかし、従業員一人ひとりの回答に個別にフィードバックするだけのリソースは、多忙な担当者には残されていないのが実情です。
このように、多くの企業は「不完全なデータ」や「過去のデータ」を頼りに、あるいは暗中模索の状態で“良さそうな健康セミナー”を企画せざるを得ない状況に置かれています。これこそが、施策が場当たり的になり、成果が見えなくなる最大の原因なのです。
健診データだけでは行動変容に繋げられない理由
健康経営の当面のゴールは、従業員一人ひとりの意識が変わり、自発的に健康的な行動をとるようになること、つまり行動変容です。当然ながら、行動変容を正しく捉えるためには、施策の「前と後」で従業員の生活習慣を比較しなければなりません。しかし、先述のとおり定期健診の問診票から得られる回答では、データは乏しく断片的です。これでは、効果的なアプローチ(施策)を導き出すのは困難です。なぜなら生活習慣は、食事・睡眠・運動・飲酒・間食・喫煙といった各要素の複合的な関わり合いで成り立っているからです。
生活習慣は「足し算」ではなく「掛け算」で成り立っている
誰もが直感的に理解するように、人間の健康やパフォーマンスは、生活習慣の各要素をバラバラに切り離して計算する「足し算」で導き出すことはできません。各要素が複合的に絡み合い、お互いの効果を増幅させたり、打ち消し合ったりする「掛け算」で成り立っているからです。
例えば、従業員の生活習慣を部分的な「足し算」として捉えてしまうと、次のような見落としが生まれます。「運動は全くしていない(いいえ)」という従業員がいたとします。これだけを見て「運動がゼロだから、運動セミナーに参加してもらおう」と考えるのは、足し算の思考です。しかし、実はその従業員は「食事と睡眠の質が良好(掛け算による相乗効果)」であり、日中のパフォーマンスは極めて高い状態かもしれません。
逆に、「運動はしている(はい)」と答えた従業員が、一見すると健康的なプラス状態に見えても、実は「深刻な睡眠不足」や「過度な間食」というマイナス要因を抱えているケースもあります。この場合、どんなに運動をしても、睡眠不足や間食による悪影響が掛け合わされば、日中は強い眠気に襲われながら仕事をしている可能性もあります。
「はい/いいえ」の部分的なデータで要素を個別に足し引きするだけでは、こうした生活習慣の「掛け算によるリアルな実態」や、それが仕事のパフォーマンスに与えている本当の影響(プレゼンティーズム)を正しく評価することは困難なのです。
従業員の「意識のステージ」を無視した一律のアプローチは響かない
さらに重要なのは、従業員の「生活習慣を改善する意欲」の度合いです。行動変容ステージモデルにおいて、従業員の意識は大きく以下の3つに分類されます。
- 無関心層:自身のライフスタイルに問題があると思っておらず、改善する気もない層。
- 問題認識層:問題だとはわかっているが、忙しさややり方がわからない等のハードルがあり、行動に移せていない層。
- 改善意欲層:すでに改善に取り組み始めている、あるいはすぐにでも始めたいと思っている層。
手元にあるデータが不十分だと、企業側はこのステージを無視して「全社一律で栄養管理アプリを導入します」といった極端な施策を取りがちです。その結果、改善意欲層だけがアプリを使い、本当にアプローチすべき無関心層や問題認識層には全く響かず、健康経営の“二極化現象”が引き起こされます。
本当に効果的な施策とは、従業員の意識のステージをデータで可視化し、それぞれのステージに適したアプローチを、濃淡をつけて展開することと言えます。
健康経営を前進させる「3つの指標」の因果関係
さて、健康経営を形骸化させず、経営層やステークホルダーに正しく評価してもらうためには、健康経営の成果をロジカルに説明するフレームワークが必要です。ご存知の通り、健康経営には、密接に連動する「3つの指標」が存在します。
それぞれの指標が持つ意味を深掘りしてみましょう。
①アウトプット指標:企業が実施した施策に対して、従業員がどれだけ参加・受診したかを表す数値です。この数値は目に見えてわかりやすいこともあり、多くの企業が、アウトプット指標の達成率ばかりに意識が向きがちです。たしかに参加者を増やすことは大切ですが、これを健康経営の成果と捉えるのは少し気が早いと言えます。なぜなら、参加率が高くても、従業員の行動が変わらなければ、それはイベントの成功であり、健康経営の成功ではないからです。
②パフォーマンス指標:従業員の生活習慣や職場環境のコンディションを表す中間指標です。健康経営の成否を分ける最も重要な主戦場が、このパフォーマンス指標です。 企業が打った施策(①)によって、従業員の日常の生活習慣(②)がどう変化したのか。ここをタイムリーかつ定量的に観測できて初めて、施策の有効性が証明されます。
③アウトカム指標(最終的な目的指標):健康経営によって会社が最終的に獲得したい、経営的なメリットや組織の健全性を表す指標です。
なぜ、多くの企業が「成果が見えない」と嘆くのか?
それは、中間指標である「②パフォーマンス指標(生活習慣)」のデータが抜け落ちた状態で、①(セミナー実施)から③(生産性向上や健診結果の改善)へと一足飛びに結論付けようとしているからです。③生活習慣病の数値や労働生産性が改善するまでには、通常1年~数年単位の時間がかかります。施策を打った直後に生産性を確認しても、ドラスティックな変化は現れません。
だからこそ、まずは「施策によって社員の睡眠スコアが改善した」「食事の意識が高まった」という、中間指標(②)の変化をタイムリーかつ正確に捉える必要があるのです。この変化をデータで追うことができれば、「私たちの施策は間違っていない。このまま継続すれば、将来的にアブセンティーズムの低下が見込める」といった形で、経営層に対してもロジカルに報告できるようになります。
経営層を巻き込み、健康経営の機運を高めるデータの力
健康経営を推進する上で、もう一つの大きな壁となるのが「経営層の巻き込み」です。「健康経営は大切だが、結局どれだけの投資対効果(ROI)があるのか?」「人事は色々イベントをやっているが、会社の業績や生産性に寄与しているのか?」という経営陣からのシビアな視線があります。これに対して明確な回答を出せず、孤立してしまう担当者は少なくありません。経営層を味方につけ、会社全体の機運を高めるためにも、やはり主観や経験則を排除した定量的なデータが必要不可欠です。
労働生産性の損失を数値化して伝える
経営層が最も関心を持つのは、従業員の「健康そのもの」もさることながら、それが「事業活動にどれほど影響を及ぼしているか」という点です。そこで有効になるのが、プレゼンティーズムの可視化です。例えば、経営層に向けて以下のようなレポートを提示できたらどうでしょうか。
「我が社の全社傾向として、現在の健康起因によるプレゼンティーズム(生産性の損失割合)の平均値は○○%となっています。クロス分析を行った結果、この生産性低下に最も強い悪影響を及ぼしているのは、運動不足ではなく『深刻な睡眠習慣の乱れ』であることが判明しました。これを従業員の平均年収と掛け合わせると、年間で推定○○万円相当の損失が発生している計算になります」
ここまでロジカルに現状説明がなされれば、経営層は経営課題として認識せざるを得ません。データは、担当者にとっては「効果的な施策を打つためのコンパス」であり、経営層にとっては「健康経営への投資を決断するためのトリガー」となります。現状を正確に把握するデータがあって初めて、社内の機運は高まり、予算や他部門の協力なども得やすくなるのです。
わずか数分で従業員の生活習慣を可視化する「ライフスタイル調査」とは
これまで述べてきたように、健康経営を形骸化から救い、確実な成果へと導くためのアンサーは、従業員の生活習慣(パフォーマンス指標)と、労働生産性(アウトカム指標)をタイムリーかつ多面的に見える化することに尽きます。しかし、それを自社リソースだけでゼロから設計し、集計・分析し、さらには従業員へのフィードバックまで行うのは、先述のとおり、リソースや専門性の面で多くのハードルがあります。こうした企業の構造的課題を解決し、健康経営を確実に前進させるためのソリューションとして、弊社パソナでは独自のサーベイサービス「ライフスタイル調査」を提供しています。本サーベイサービスは、企業の健康経営が抱える「データの壁」をワンストップで解消するために設計されています。
【多面的な生活習慣をわずか数分で可視化】
運動・食事・睡眠・飲酒・間食・喫煙といった日常の習慣(39問)と、WHOの設問を活用した労働生産性(4問)を網羅。PCやスマートフォンから手軽に回答でき、40歳未満の若手社員も含めた「全社的なリアルタイムの生活習慣」が瞬時にデータ化されます。
【専門家監修の確かなロジック】
設問およびスコア化のロジックは、北里大学名誉教授の相澤好治氏、および労働衛生コンサルタント事務所代表の山口直人氏が監修。全国平均データとの比較も可能なため、自社の課題がどこにあるか客観的に評価できます。
【回答をそのまま「行動変容」に繋げる仕組み】
従業員が回答を終えると、即座に個人の「ライフスタイルスコア」とパーソナライズされたアドバイスが表示されます。さらに、自身の課題に合わせた健康eラーニングへシームレスに繋がるため、担当者の手を煩わせることなく、従業員一人ひとりの自発的な行動変容を促します。
【経営層への分析レポートと成果検証】
蓄積されたデータは、性年代別・部門別のクロス分析レポート(PDF)やローデータ(Excel)として貴社に納品されます。単年での課題特定はもちろん、経年での推移を検証することで、1年間取り組んできた健康経営の成績表として経営層へ提示することができます。
健康経営が停滞する原因を根本から取り除き、データに基づいた的確なアプローチへ切り替える。「ライフスタイル調査」は、貴社の健康経営を一歩先へ進める強力な基盤となります。
「具体的にどんな設問があり、どのようなレポートが出力されるのか?」
「自社の従業員規模では導入コストやスケジュールはどうなるのか?」
実際の分析画面のサンプルや詳しいサービス仕様、価格プランが記載された「ライフスタイル調査」サービス資料は、以下より無料でダウンロードいただけます。場当たり的な健康経営から脱却し、確実な成果を生み出すための戦略立案にぜひご活用ください。









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