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企業が取り組む「健康管理」とは?義務や具体的な施策例、メリットなどを解説

企業における「健康管理」とは、健康診断やストレスチェックなどを通じて従業員の健康状態を把握し、病気やメンタル不調を予防しながら、心身ともに健やかに働けるよう支援する取り組みです。従業員の健康保持・増進に努めることで、労働生産性の向上や離職率の低下、さらには医療費・社会保険料の負担抑制につなげることができます。 

この記事では、企業が健康管理に取り組む重要性とともに、具体的な施策例や得られるメリット、実施にあたって意識すべきポイントについて詳しく解説します。 

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健康管理とは 

企業における健康管理とは、従業員一人ひとりの心身の健康状態を把握し、長期的な観点から病気・怪我の予防や健康増進に必要な取り組みを積極的に講じることです。 

混同されやすい「体調管理」との違いは、その対象とする期間にあります。体調管理が短期的にコンディションを整える行為であるのに対し、健康管理は長期的かつ継続的に従業員の健康を守ることを目的としています。 

従来は従業員個人が自らの健康を管理するものとして、企業は健康診断を実施する程度にとどまっていました。しかし現在では、従業員の健康管理も企業が講じるべき重要な取り組みへと変化し、生産性の向上や組織の活性化に寄与する活動として位置付けられています。 

 関連記事:EAP(従業員支援プログラム)とは?メリットやサービス内容・導入ステップを解説

なぜ健康管理が必要? 

従業員が病気や怪我で働けなくなると、欠員による業務の停滞や生産性の低下といった問題が生じ、さらに代替要員を雇うコストや教育負担も発生します。こうしたリスクを回避する 

ためにも、日頃から従業員の健康状態を把握し、必要に応じた対策やサポートを早期に行うことが重要です。 

また、従業員の健康を守ることは法律によって義務付けられており、法令遵守の観点からも企業による健康管理が欠かせません。例えば、労働契約法第5条では「労働者の安全への配慮」、労働安全衛生法第7章では「健康の保持増進のための措置」(健康診断の実施や快適な職場環境の整備など)が定められています。  

さらに近年では、法令順守にとどまらず、企業が経営戦略の一環として従業員の健康維持・増進に取り組む「健康経営」に注目が集まっています。健康に働ける環境を整えることは、リスク対策としてだけでなく、企業の持続的成長を支える重要な経営課題としても位置づけられています。 

 関連記事:健康経営とは?意味、メリットや実践方法をわかりやすく解説

企業が取り組むべき健康管理の施策例 

企業が従業員の健康を守るには、法律に基づく義務の履行と日常的な取り組みを合わせた施策が必要です。ここでは、従業員の健康管理のために企業ができる具体的な取り組みをご紹介します。 

健康診断による健康リスクの管理 

労働安全衛生法により、企業は従業員に対して医師による健康診断を実施する義務があります。診断結果は従業員本人への通知に加え、常時50人以上の従業員を使用する事業場では労働基準監督署への報告も求められます。 

健康診断は従業員一人ひとりの健康状態を把握する重要な手段であり、企業が組織全体の健康リスクを管理する基盤としても活用できます。 

 関連記事:特定健診と特定保健指導は義務なのか?対象や基準、企業の役割まで徹底解説

ストレスチェックの実施 

労働安全衛生法により、従業員数50人以上の事業場では年1回のストレスチェックの実施が義務付けられています。また、2025年現在は努力義務となっている従業員数50人未満の事業場も、遅くとも2028年5月までに義務化[MOU1] される予定です。 

定期的なストレスチェックは従業員が自らのストレス状況に気づくきっかけとなり、また検査結果を集団分析することで職場環境の改善にもつながります。 

 関連記事:ストレスチェックの義務化。従業員50人未満の事業所が対応すべきポイント

勤怠管理と長時間労働の是正 

労働基準法では、法定労働時間を「1日8時間・1週40時間」と定め、これを超過する場合は36協定の締結・届出が必要です。長時間労働に起因する過労死・メンタル不調といった健康リスクを防ぐには、時間外労働の上限を遵守するとともに、一人ひとりの労働時間を正しく記録する勤怠管理が求められます。 

 関連記事:突然辞めたい!退職を防ぐために会社が知っておくべきメンタルヘルスの重要性

働きやすい環境の整備 

従業員の心身の健康を守るためには、快適に働ける職場環境を整備することも大切です。働きやすさに直結する以下のポイントを確認し、現場で働く従業員の声を取り入れながら改善を進めていきましょう。 

  • 適切な温度・湿度が保たれているか
  • 作業場所の日当たりや照明環境に問題がないか
  • 十分な作業スペースを確保できているか
  • 十分な作業スペースを確保できているか
  • 作業動線や設備配置に問題がないか 
  • 騒音や雑音が作業に支障を与えていないか

健康増進のための福利厚生 

生活習慣の改善につながる福利厚生を充実させることで、従業員の健康増進やメンタルヘルスの維持に貢献できます。具体的な施策としては、栄養バランスを考えた食事の提供(社員食堂の設置)、リフレッシュ休暇の導入、フィットネスジムの費用補助、カウンセリングの利用支援などが挙げられます。 

産業医や相談窓口の設置 

産業医とは、職場で従業員の健康管理を担う医師であり、専門的な立場から指導・助言を行います。労働安全衛生法により、従業員数50人以上の事業場では産業医を選任する義務があります。加えて、従業員が健康上の不安や悩みを気軽に相談できる社内窓口を設置することも有効です。 

 関連記事:産業医面談とは?従業員が「意味がない」と感じる理由や実施する目的・メリットを紹介  

安否確認システムの導入 

安否確認システムは、災害や緊急時に従業員の安全を迅速に確認するためのツールです。一人ひとりに連絡を取るのが難しい場面で、安否確認メールを自動で一斉配信したり、アンケート形式で健康状態を確認したりすることができます。また、日々の健康管理や感染症対策など、緊急時以外のリスク管理に活用できるシステムもあります。 

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企業が健康管理を行うメリット 

企業が健康管理を行うメリットとして以下の点が挙げられます。 

労働生産性の向上 

従業員の心身が健康でない場合、集中力や判断力が低下し、仕事の質が落ちてしまいます。この点、企業の健康管理によって従業員が心身ともに良好な状態を維持できれば、集中力や業務効率が高まり、生産性の向上につながることが期待できます。 

 関連記事:厚生労働省が注目するワークエンゲージメントとは?定義や企業への影響力、ワークエンゲージメントを高める方法を解説!

離職率の低下 

従業員が心身ともに健康でいきいきと仕事ができる環境は、長期にわたって働きやすく、離職率の低下に直結します。病気や怪我、精神面の不調は長期休暇や退職に至るケースも多いため、日頃からの健康管理やメンタルヘルスケアにより、こうした事態を未然に予防することが重要です。 

企業のイメージアップ 

従業員の健康管理に取り組む企業には、社会的な評価や信頼が集まりやすく、イメージアップにつながります。さらに、経済産業省が実施する「健康経営優良法人」に認定されると、優良な健康経営を実践する企業として広く周知され、取引先や求職者からの認知・評価が高まることも期待できます。 

関連記事:「健康経営優良法人のメリットとは?認定基準や申請方法、課題をわかりやすく解説」 

優秀な人材の確保 

企業が実施する健康管理は、採用活動においても大きなアピールポイントになります。心身の健康増進や働きやすい職場づくりへの取り組みは、従業員を大切にしていることを示し、求職者に安心感を与えます。特に、優秀な人材は就職先の選択肢が多く、福利厚生や職場環境を重視する傾向があるため、健康管理に取り組むことは採用競争力の強化にも寄与します。 

医療費・社会保険料の負担抑制 

従業員の健康管理を徹底することで、病気や怪我の発症リスクが低減し、治療やケアにかかる費用の増加を抑えられます。心身ともに健康に働ける人が増えれば医療費の抑制につながり、将来的な保険料率の上昇を防ぐ効果も期待できます。 

働く女性の健康推進に取り組むべき理由

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健康管理を行う上でのポイント 

健康管理は効果が現れるまでに時間がかかり、長期的かつ継続的な取り組みが求められます。ここでは、企業が健康管理を行う上で意識すべきポイントをご紹介します。 

効果検証を行う 

健康管理の成果はすぐに数値で確認することが難しく、時間をかけて継続的に取り組む必要があります。健康診断やストレスチェック、従業員へのヒアリングなどから得たデータを蓄積し、定期的に効果検証・改善のサイクルを繰り返します。短期的な変化に振り回されず、長期的な視点で取り組むことが大切です。 

担当者や従業員の負担に配慮する 

健康管理は人事や総務が兼任するケースが多く、担当者の業務負担が増えたり、十分なリソースを割けなくなったりする可能性があります。効果的な健康管理を行うには、専任の担当者や産業保健師を配置し、従業員の負担軽減とともに適切なサポート体制を整えることが重要です。 

また、健康管理の対象となる従業員にとっても、ストレスチェックの回答やセミナーへの参加などは負担となる可能性があります。健康管理の取り組みを進める際は、「何をするのか」「なぜ必要なのか」「どのような効果があるのか」を事前に説明し、従業員の理解を経て参加してもらうことが大切です。 

産業保健師に任せられる業務や活用事例については以下の資料をご参照ください。 

多様な働き方へ対応する 

近年は多様な働き方が広がり、テレワークやフレックスタイム制、短時間勤務制度など、個々の事情や状況に応じた働き方を選択する人が増えています。企業としても多様な働き方に合わせた健康管理が求められますが、特にテレワークは働く環境を確認しづらく、直接のコミュニケーション機会も少ないため、一人ひとりの健康状態を把握するのが難しいという課題があります。 

これを解消するには、定期的なミーティングや健康に関するアンケートの実施、勤怠管理システムの導入など、オフィスから離れた場所にいる従業員の健康状態を確認できる体制を整え、体調不良者の早期発見・早期改善につなげることが重要です。テレワーク従業員に対する健康管理を行う際は、厚生労働省が公表している下記の安全衛生チェックリストを参考にするとよいでしょう。 

参考資料:テレワークを行う労働者の安全衛生を確保するためのチェックリスト【事業者用】|厚生労働省 

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まとめ 

企業には従業員の健康や安全を守る義務があり、健康診断の実施や職場環境の整備、産業医の設置など、さまざまな施策を講じることが求められます。適切な健康管理を行うには、従業員一人ひとりの生活習慣や健康状態を正しく把握し、それに応じたケアや環境整備を行うことが大切です。 

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