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ストレスチェック義務化|50人未満の企業はいつから?対象・実施手順・罰則・対応まで徹底解説

ストレスチェックは、企業のメンタルヘルス対策において不調を未然に防ぐ「一次予防」の要です。単なる法令遵守に留まらず、受検結果を職場改善に活かすことで、休職・離職リスクの低減や生産性向上を実現する重要な戦略的ツールとなります。

ストレスチェックとは、

●労働者のメンタルヘルス不調を未然に防ぐ「一次予防」を主な目的とした、アンケート形式の検査です。
●常時50人以上の従業員がいる事業場には年1回の実施と労働基準監督署への報告が義務付けられており、50人未満の事業場も2028年5月までに義務化される見込みです。
●検査結果は本人に直接通知され、高ストレス判定かつ希望者には医師による面接指導を行うことで、離職リスクの低減や職場環境の改善につなげる取り組みです。

この記事では、対象となる従業員や実施手順、罰則の有無、拒否された場合の対応など、ストレスチェックの義務化で押さえておくべきポイントをわかりやすく解説します。

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ストレスチェック義務化とは?制度の基本

ストレスチェックとは、労働者がストレスに関する質問票に回答し、その結果から自身のストレス状態を把握するための簡易的な検査です。労働者自身がストレスに気づき、メンタルヘルス不調を未然に防ぐ「一次予防」を目的としています。

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従業員50人以上の企業は年1回の実施が義務

2015年12月1日より、労働安全衛生法によりストレスチェックの実施が事業者の義務とされました。常時50人以上の労働者を使用する事業場では、業種を問わず、年1回ストレスチェックを実施する必要があります。

50人未満の企業もストレスチェック義務化が決定

2025年5月に公布された改正労働安全衛生法により、これまでは努力義務だった従業員50人未満の事業場でもストレスチェックの実施が義務化されることになりました。施行時期は「公布後3年以内に政令で定める日」とされており、最長で2028年5月までに施行される見通しです。

厚生労働省は2026年2月「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」を公表し、義務化後における円滑な対応に向けて早期の準備を促しています。対象となる事業場では、実施体制の整備や運用ルールの周知など、計画的な対応が求められます。

参考資料:小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル|厚生労働省

ストレスチェックの対象となる従業員

ストレスチェックの対象は「常時使用する労働者」と定義されています。具体的にどのような従業員が該当するのか、対象となるケースと対象にならないケースに分けて解説します。

対象となる従業員

ストレスチェックの対象となるのは、以下2つの要件を両方とも満たす従業員です。

要件

内容

①契約期間

期間の定めのない労働契約により使用される者(無期雇用)
契約期間が1年以上の有期雇用労働者
契約更新により1年以上の使用が予定されている者
1年以上引き続き使用されている者

②労働時間

1週間の所定労働時間が、同種業務に従事する通常の労働者の所定労働時間の4分の3以上の者

これら2つの要件を満たす場合は、正社員だけでなく契約社員、パート・アルバイト、外国人労働者なども対象となります。なお、派遣社員については、雇用主である派遣元事業場がストレスチェックの実施義務を負い、派遣先事業場は協力・連絡体制の整備が求められます。

対象にならない従業員

ストレスチェックの対象にならないのは、以下のいずれかに該当する従業員です。

● 1週間の所定労働時間が同種業務に従事する通常の労働者の4分の3未満のパートタイム労働者(※)
●契約期間が1年未満で更新予定がなく、かつ労働時間要件を満たさない短期雇用の労働者
●休職・休業中(病気療養、産休・育休、介護休業など)の労働者
●役員・経営者(労働者ではなく使用者に該当する者)
(※)概ね2分の1以上の場合は実施が望ましい

ストレスチェック義務化の背景とメンタルヘルスの重要性

なぜ職場でのストレスチェックが必要なのでしょうか。

その背景には、経済情勢や産業構造の変化により、働く人の約80%が強い不安やストレスを感じていることがあります。このような心理的負担が原因となり、休業や退職をする人が増加しているのが現状です。

出典:厚生労働省『職場における心の健康づくり』

仕事の強いストレスや不安が原因でうつ病や精神障害などの疾病につながり、労災認定されたケースも増え続けています。さらに、自殺に関する損害賠償請求の提訴が増加するなど、従業員のメンタルヘルス不調を未然に防ぐことが、ますます重要な課題となっています。

また、令和6年度の精神障害に関する労災支給決定件数が過去最多を更新し、企業におけるメンタルヘルス対策は急務となっています。ストレスチェックの実施は、従業員のメンタルヘルス不調を早期に発見し、適切な対応を取るための重要なツールとなります。

定期的なストレスチェックにより、従業員自身がストレス状態を認識し、自己管理能力を向上させることができます。同時に、企業側も組織全体のストレス状況を把握し、職場環境の改善に活かすことができます。

さらに、ストレスチェックの結果を基に、高ストレス者には医師による面接指導を行うことで、メンタルヘルス不調の予防や早期対応が可能になります。これにより、長期休職や離職のリスクを軽減し、企業の生産性維持にも貢献します。

ストレスチェックが義務化された従業員50人以上の事業場だけでなく、現在はまだ努力義務とされている50人未満の事業場においても、積極的に従業員の心の健康を保持するよう推進していくことが望ましいでしょう。

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ストレスチェック義務化によるメリット

ストレスチェックの義務化は、従業員だけでなく企業にもメリットをもたらします。
主なメリットとしては以下のようなものが挙げられます。

● 従業員のメンタルヘルス不調の早期発見と予防
● 従業員のモチベーションや生産性の向上
● 職場改善による離職防止と採用活動への好影響

ここでは、それぞれのメリットについて詳しく解説します。

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従業員のメンタルヘルス不調の早期発見・予防

定期的に従業員のメンタルヘルスチェックを行うことで、メンタルヘルス不調の早期発見・予防につながります。ストレスチェックの義務化により、従業員の心理的負担の程度を定期的に評価することが可能となりました。これにより、従業員自身がストレス状態を自覚し、早期に対策を講じることができます。

また、外部の専門サービスによる集団分析では、ストレス度が高い部署の把握や同業種との比較など、自社課題の可視化も実現できます。さらに、ストレスチェックの結果を基に、産業医や保健師との面談を実施することで、より詳細な状況把握と適切な対応が可能となります。

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従業員のモチベーションや生産性の向上

事業者が心の健康を守るための対策に積極的に取り組むことは、従業員のモチベーションアップや職場の活気につながります。ストレスチェックの義務化により、企業は従業員のメンタルヘルスへの意識を高め、より健康的な職場環境を整備することができます。これにより、従業員の働きやすさが向上し、モチベーションアップや離職率の低下といった効果が期待できます。

さらに、ストレスチェックの結果を組織全体で分析することで、職場環境の具体的な改善点を特定し、効果的な対策を講じることができます。こうした継続的な取り組みは、従業員の満足度や帰属意識を高めるだけでなく、生産性や業績の向上にもつながるでしょう。

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職場改善による離職防止と採用活動への好影響

定期的なストレスチェックで従業員の悩みを把握し、働きやすい環境をつくるための職場改善につなげられます。これは従業員の離職防止対策となるだけでなく、企業の採用活動にもよい影響を与えるでしょう。

施策を実施することで、従業員の満足度が向上し、離職率の低下につながります。

さらに、従業員の健康に配慮する企業姿勢は、企業の評判を高め、優秀な人材の獲得にも寄与します。
ストレスチェック義務化に伴う職場改善は、企業の持続的な成長と発展にも貢献します。健康経営の観点からも、従業員のメンタルヘルスケアは重要な課題であり、ストレスチェックを活用した職場環境の最適化は、企業の競争力強化につながる重要な施策といえるでしょう。

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ストレスチェックを怠った場合の罰則

2028年5月までにすべての事業場に義務づけられる見通しのストレスチェックですが、実施や報告を怠った場合にはどのような罰則があるのでしょうか。

ストレスチェックを実施しなかった場合

労働安全衛生法には、「ストレスチェックそのものを実施しなかった」ことに対する直接的な罰則は設けられていません。しかし、実施義務を怠った状態でメンタルヘルス不調者が発生した場合、労働契約法第5条に定める「安全配慮義務違反」として損害賠償を請求されるリスクがあります。

結果を労働基準監督署に報告しなかった場合

ストレスチェックを実施していても、その結果を労働基準監督署へ報告しなかった場合や、虚偽の内容を提出した場合には、罰則の対象となります。
これは、労働安全衛生法第100条(報告義務)に基づくもので、その違反に対しては第120条により、50万円以下の罰金が科される可能性があります。企業はストレスチェックの実施だけでなく、結果の報告義務まで含めて適切に対応することが求められます。

ストレスチェック実施の流れ

ストレスチェックは、事前準備から実施後の対応・報告まで、一連の流れに沿って進める必要があります。ここでは、基本的な実施方法を6つのステップで解説します。

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Step1|実施方針の策定・体制の整備

ストレスチェックは、事業者が制度導入の方針を策定し、従業員に表明することから始まります。このとき「個人の結果は本人にのみ通知される」「面接指導を申し出ても不利益は生じない」といった点を明確に周知し、従業員が安心して受検できるよう努めることが求められます。あわせて、実施者と実施事務従事者を選任し、適切な実施体制を整備します。

実施者

医師、保健師、または厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師・精神保健福祉士などの有資格者であり、ストレスチェックを実施する者

実施事務従事者

産業保健スタッフや事務職員など、実施者の指示に基づき、ストレスチェックの実施に伴う事務に携わる者

 

 

Step2|調査票の選定・従業員への事前周知

ストレスチェックの調査票は、従業員のストレス状況を多角的に把握・分析するため、以下の3領域を含むものを選ぶことが推奨されています。

① 仕事のストレス要因
② 心身のストレス反応
③ 周囲のサポート
参考: 厚生労働省推奨:職業性ストレス簡易調査票(57項目)

検査を実施する前に、制度の目的や個人情報の取り扱い、不利益な取り扱いの禁止について丁寧に説明し、従業員の理解と納得を得ておくことが重要です。

Step3|ストレスチェックの実施と結果通知

ストレスチェックは紙またはWeb形式で実施し、回答内容の集計・評価は実施者(または外部委託先)が行います。結果は実施者から直接本人に通知され、事業者および上司が従業員本人の同意なく結果を閲覧することはできません。

また、ストレスチェック結果は原則として5年間保管し、その間は守秘義務・個人情報保護の観点から厳重に管理する必要があります。個人の実測結果については、原則として実施者または実施事務従事者が保管します。

従業員50人未満の小規模事業場においては、厚生労働省のマニュアルでも個人のストレスチェック結果を委託先の外部機関で保存することが望ましいとしています。

Step4|高ストレス者への面接指導

ストレスチェックの結果、「高ストレス者」と判定された従業員が面接指導を申し出た場合、事業者には医師による面接指導を実施する義務があります。ただし、面接指導を受けるかどうかは本人の意思に委ねられ、事業者がこれを強制することはできません。

面接後は医師から就業上の措置に関する意見を聴取し、必要に応じて業務量の調整、勤務時間の見直し、配置転換などの対応を行います。なお、面接指導の申出や結果を理由とした解雇・降格・配置転換など、不利益な取り扱いは禁止されています。

Step5|集団分析と職場環境改善(努力義務)

ストレスチェックの結果は、個人のセルフケアだけでなく職場環境の改善にも活用することが望まれます。部署やチーム単位でストレスの傾向を分析する「集団分析」は法的義務ではなく推奨され、実施することで職場の課題を可視化し、具体的な改善につなげることができます。

なお、プライバシー保護の観点から、10人未満の集団については、分析結果を事業者に示す場合、対象者全員の同意を求めることを推奨する実務指針が多くあります。

Step6|労働基準監督署への報告

常時50人以上の労働者を使用する事業場では、ストレスチェックの実施結果を所轄の労働基準監督署に報告する義務があります。一方、50人未満の事業場については、現時点では報告義務の対象外とされています。

従業員にストレスチェックを拒否された場合の対応

ストレスチェックは事業者に実施義務がありますが、従業員に拒否された場合はどう対応すればよいのでしょうか。ここでは、基本的な考え方と企業が取るべき対応についてご紹介します。

ストレスチェックは強制できない

ストレスチェックの実施はあくまで事業者側の義務であり、個々の従業員に受検が義務づけられているわけではありません。このため受検を強制することはできず、受検を拒否したことを理由とした懲戒処分などの不利益な取り扱いを行うことも禁止されています。

ただし、拒否されたからといって何も対応せずに放置するのは適切ではありません。未受検の従業員にメンタルヘルス不調が生じた場合、企業が安全配慮義務を十分に果たしていないとして損害賠償を請求されるリスクがあります。強制はできないものの、継続的な働きかけによって受検を促していくことが求められます。

禁止されている従業員への不利益取り扱いとは

厚生労働省の指針では、ストレスチェックの受検を拒否した従業員や、結果の提供に同意しなかった従業員に対して不利益な取り扱いをすることを禁止しています。

●ストレスチェックを受けないことを理由とした懲戒処分
●ストレスチェックの結果のみを理由とした人事処分(降格・配置転換など)
●面接指導を申し出たことを理由とした人事処分
●面接指導を受けない従業員に対する人事処分
●面接指導の結果を理由とした解雇・雇い止め・退職勧奨・不当な配置転換

丁寧な説明と不安の解消に努める

従業員がストレスチェックを拒否する理由の一つとして、「結果が人事評価や処遇に影響するのではないか」という不安を抱えているケースがあります。これを解消するには、検査結果を理由に不利益な取り扱いが行われない旨を丁寧に説明し、経営トップや管理職が率先して受検する姿勢を示すことが重要です。

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【努力義務から義務化へ】50人未満の事業場が今から備えるポイント

従業員50人未満の事業場ではまだストレスチェックが義務化されていませんが、従業員のメンタルヘルス対策はこれまでも重要な課題でした。さらに法改正でストレスチェックの義務化が決まったことにより、その優先度はこれまで以上に高まっています。

従業員が少ない事業場では、メンタルヘルス不調者が発生した場合の組織への影響が極めて大きくなります。そのため、少人数だからこそ、従業員の健康を意識した健康経営を進めていくことが大切です。従業員のメンタルヘルス不調を未然に防ぐことは、業務効率化や従業員のモチベーションアップ、生産性の向上にも大きく寄与するでしょう。

厚生労働省は従業員が50人未満の事業場であっても、メンタルヘルスの不調を未然に防ぐために、できるだけストレスチェックを実施することが望ましいという見解を示しています。実際に、現在は数人のみが働く小規模な事業場でも、自社のリスク対策としてストレスチェックを実施するケースが増えています。

また、今後の義務化に向けて、早い段階から実施体制や準備を整えておくことが不可欠です。 社内の実施方法、外部機関の選定、結果の扱い方など、事前に検討すべき項目は多く、余裕を持った準備が求められます。

ここでは、従業員50人未満の事業場がメンタルヘルス対策をする際のポイントについて解説します。

従業員に方針を表明・周知する

メンタルヘルス対策に取り組むうえでは、まず従業員にメンタルヘルス対策の必要性や自社の方針を周知することが重要です。「働きがいのある、メンタル不調を起こさない職場環境づくり」に取り組むことをトップが宣言し、企業風土・理念として浸透させるのが望ましいでしょう。

経営者や人事担当者は、ストレスチェックの意義を理解したうえで、従業員に向けて明確な方針を示す必要があります。例えば、社内会議やイントラネットを使って、ストレスチェックの実施予定や目的、期待される効果などをわかりやすく説明すると効果的です。

また、ストレスチェックが義務化された社会的背景や、自社にとってメンタルヘルス対策が欠かせない理由についても丁寧に説明し、従業員の理解と協力を得ることが大切です。

さらに、ストレスチェックの結果を踏まえて、「どのように職場環境を改善していくのか」といった具体的な取り組みや計画を示すことで、従業員の安心感や信頼感を高めることができます。

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メンタルヘルス対策を計画的かつ継続的に推進

メンタルヘルス対策について一人ひとりが関心を持てるようにするには、従業員の意見を取り入れた具体的な中長期施策を計画し、継続的に取り組むことがポイントです。また、メンタルヘルス対策の推進にあたっては、現状を正確に把握することや、対策の効果評価を定期的に行うことも大切です。

例えば、定期的なストレスチェックの実施や、結果に基づいた職場環境の改善、従業員向けのメンタルヘルス研修の開催などが効果的な施策として挙げられます。

さらに、ストレスチェック義務化の趣旨に沿って、従業員のプライバシーに配慮しつつ、個人のストレス状況を把握し、必要に応じて専門家による面談や相談窓口の設置を検討することも有効です。

まとめ

ストレスチェックは、メンタルヘルス不調を未然に防ぐ「一次予防」を目的とした制度です。今後は従業員50人未満の事業場でも義務化が決まっており、新たに対象となる企業では早い段階から実施体制を整えておくことが求められます。

従業員50人未満の小規模事業場では、プライバシー保護の観点から外部委託が推奨されています。パソナではストレスチェックも含めた健康管理業務を代行するサービスを提供しており、産業保健スタッフチームによる専門的な支援を通じて、企業のメンタルヘルス対策や職場環境の改善を総合的にサポートしています。サービスの詳細をまとめた資料をご用意していますので、健康管理体制の強化を検討している場合はぜひご参照ください。

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