おすすめ特集・コラム女性特有の健康課題とは?企業として取り組むべき理由と支援策を解説
公開日:2024.12.24 更新日:2024.12.24
- 健康経営
- 女性活躍
健康経営が提唱されるなか、女性の健康課題が注目を集めています。厚生労働省による専門家を集めた検討会では、健康診断の質問項目に女性の健康課題に関する質問を新たに追加する方針を固めました。
つまり近い将来、企業は女性の健康課題に対してますます取り組むことが求められます。しかし、女性の健康課題といわれても、何から始めればいいか分からないという人事担当者も多いのではないでしょうか?
本記事では、女性の健康課題について、注目されている背景や企業が取り組むべき理由、具体的な支援策などを解説していきます。
働く女性が活躍しやすい環境づくり 何からはじめる?
女性活躍推進法の改正により、企業にはますます働く女性が活躍しやすい環境づくりが求められています。
一方で、では何をすればよいのかがわからないという声も。
パソナでは女性特有の健康問題に取り組むことにより、女性活躍を実現することを提案しています。実現により下記の効果が期待出来ます。
- 生産性の向上
- 定着率の向上
- 満足度の向上
「働く女性の健康推進に取り組むべき理由」が見えてきます。
健康課題とは?
健康課題とは、個人や社会が直面する健康に関する問題や改善すべき点をさします。主な健康課題には、生活習慣病、心疾患、糖尿病のほか、ストレスやうつ病などがあります。
これらの課題に対処するためには、適切な生活習慣の維持が重要です。具体的には、栄養バランスの良い食生活、規則正しい食事時間、適度な運動習慣の確立が挙げられます。また、定期的な健康診断や検診の受診も、疾病の早期発見・予防に不可欠です。
健康課題は年齢や世代によって異なり、それぞれに適した対策が必要です。これらの課題に対して、個人の取り組みだけでなく、社会全体での対策が求められています。
女性特有の健康課題とは
健康課題のなかでも、近年特に注目されているのが女性の健康課題への対応です。女性は女性ホルモンの影響を大きく受け、ライフステージによってかかりやすい病気が異なります。
女性ホルモンの分泌量が最も多くなる20代では、月経困難症による痛みや不調が課題となります。その後、女性ホルモンの分泌量が減少してくる40代から50代にかけては、子宮体がんや卵巣がん、更年期障害のリスクが高まります。
女性は一生を通じて女性ホルモンの影響を受けており、働き続ける女性にとっては、仕事の負担に加えて身体的な負担とも常に向き合っているといえます。このような状況は、女性が健康を維持し、充実した職業生活を送る上での大きな課題となっています。
女性特有の健康課題が注目される背景
女性特有の健康課題が注目されている背景には、どのような社会の動きがあるのか、見ていきましょう。
健康経営の流れ
健康経営の浸透により、従業員の健康への対応が注目されるなか、特に近年女性特有の健康課題への関心が高まっています。平成31年3月に経済産業省によって発表された「健康経営における女性の健康の取り組みについて」によると、健康経営を推進している企業のうち56%が、今後の関心は女性特有の健康問題と回答しています。
女性の社会進出が重要視されるなかで、女性特有の健康課題への取り組みは企業や株主などのステークホルダーから注目されているといえます。
女性労働者の増加
参照:厚生労働省|令和3年版働く女性の実情|第2節 労働力人口、就業者、雇用者の状況|1 労働力人口|(1) 労働力人口 ~女性が 13 万人増加、男性が 20 万人減少|図表1-2-1 労働力人口及び労働力人口総数に占める女性割合の推移のグラフをもとに作成
女性特有の健康課題が注目される背景には、女性労働者の人口が増えていることが挙げられます。令和3年に実施された「働く女性の実情」(厚生労働省)によると、男性の労働力人口が前年に比べ20万人減少している一方で、女性については13万人の増加となりました。
その結果、労働力人口総数に占める女性の割合は44.6%と過去最高となりました。女性特有の健康課題への取り組みによる職場の環境整備は、女性の活躍が期待される社会情勢のなかで、非常に重要な対策といえるでしょう。
女性特有の健康課題による経済損失は2兆円
女性特有の健康課題による経済損失は、2兆円にものぼるといわれています。女性特有の健康課題は年代によってさまざまな症状として現れ、経済産業省が症状ごとの損失額を計算しています。
具体的には、月経分野での損失額が約2,400億円、妊娠不妊分野で約3,000億円〜5,000億円、更年期分野については約1兆3,400億円の損失です。この数値はあくまでも経済全体の損失額ですが、企業が女性特有の健康課題に取り組むことによって、業績の改善にも結びつくことはいうまでもありません。
女性特有の健康課題の実態
女性の活躍が期待される一方で、女性特有の健康課題によって多くの女性が活躍の場を制限されているのが現状です。ここからは、そんな女性特有の健康課題の実態について解説していきます。
半数の女性が健康を理由に昇進を辞退している
女性特有の健康課題は、女性従業員だけでなく、企業にとっても大きな損失となります。ルナルナオフィスが2024年に公表した「職場における女性特有の健康課題」では、入社からリタイアまでのキャリアステージごとに、女性特有の健康課題による仕事への影響が指摘されています。
例えば、約45%が月経随伴症状や更年期症状による仕事のパフォーマンスが半分以下になると回答しました。また、50%が更年期を理由に昇進を辞退しています。40代以降、管理職となり更なる活躍が期待されるなかでの昇進辞退は、従業員本人だけでなく、企業としても損失といえるでしょう。
勤務先での女性特有の健康課題に対する支援は3割
職場における女性特有の健康課題に対する支援状況について、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「正社員男女の健康意識に関する実態調査」によると、女性特有の健康課題に対する支援があると感じている女性はわずか30%に留まる結果となりました。
また、支援がある職場の特徴として、生理休暇の取得率が高いことが分かりました。なお、通常の休暇は取りやすいが、生理休暇は取りにくいという職場もあることから、生理休暇の取得率が高い企業には、女性の立場に立った支援があると考えられます。
実際に通院をしている女性の割合は少ない
女性特有の健康課題は、企業のみが取り組む課題ではありません。また、男性従業員の理解だけでなく女性従業員への啓蒙活動も必須です。多くの女性が月経関連の症状や疾患による痛みを感じている一方、実際に通院や専門家へ相談している割合はわずか23%です。多くの女性が自覚症状がありながらも、我慢や痛み止めを服用しながら就業している実態が伺えます。この背景には、休暇の取りにくさ以外にも、そもそも受診先を知らない場合や周りに相談できる環境がないことが挙げられます。
女性特有の健康課題に取り組むメリット
女性特有の健康課題への取り組みは企業にさまざまな利益をもたらします。ここからは、どのようなメリットがあるのか、具体的に見ていきましょう。
女性の活躍促進
日本医療政策機構「働く女性の健康増進調査2018」によると、ヘルスリテラシーの高い女性は仕事において高いパフォーマンスを発揮していることが分かっており、月経や更年期症状によるパフォーマンスの低下も少ない傾向にあります。
ヘルスリテラシーとは、自身の健康に関する必要な情報にアクセスし、それを理解して活用する能力のことです。つまり、職場で一緒に働く男性や管理職だけでなく、女性従業員自身の認識も広めることで、女性の活躍の場を広げることができます。
企業価値の向上
ESGやSDGsをはじめとする社会的な流れもあり、女性特有の健康課題へ取り組むことで企業価値を向上させることが可能です。政府は2030年までに女性の役員比率を30%にする目標を掲げるなど、女性活躍の推進はこれまで以上に注目されています。
女性特有の健康課題に配慮した職場環境の整備は、優秀な女性人材を獲得するための重要な要素となります。近年、企業が女性特有の健康課題に取り組むことは、企業価値を向上させるだけでなく、より優秀な人材の獲得にもつながる取り組みのひとつです。
パフォーマンスの改善
女性特有の健康課題へ取り組むことで、女性従業員のパフォーマンスの向上が期待できます。上述のとおり、女性特有の健康課題によって仕事のパフォーマンスが半分程度まで落ちると感じている女性が45〜46%ほどいます。
また、ルナルナオフィスによる企業への調査では、70%以上の女性が月経や更年期などの健康課題による仕事への影響を感じていると回答しています。女性の健康課題へ取り組むことで、女性のパフォーマンスを最大化し、社会全体での経済効果を得られるでしょう。
企業がすべき女性の健康課題の支援策
ここまで、女性特有の健康課題の重要性やメリットなどについて解説してきました。ここからは、実際に企業がどのような取り組みを求められているのかについて解説していきます。
女性特有の健康課題解への理解促進
女性の健康課題に対してまず企業が取り組むべきことは、職場での理解を促進することです。これは、男性が多い職場に限った話ではありません。多くの女性が職場で困った経験をしていたり、集中力の低下を感じているにもかかわらず、じつは女性自身の認知も低いことが課題となっています。
また、生理休暇を導入している企業においても、その取得率は20%程度とかなり低いのが実態です。制度は導入して終わりではなく、運用まで意識することが大切です。そのためにも、男女を含む管理職のリテラシー向上への取り組みが必要となります。
具体的には、女性の健康課題やライフステージごとに多い疾患などのセミナーへの参加を促すことが効果的です。管理職が女性特有の健康課題を知ることで、働く女性への配慮など、組織の意識改革へとつなげることができるでしょう。
働き方の調整が利くような制度設計
女性の働きやすさを実現するためには、管理職のリテラシー向上とともに、新たな制度の導入を検討することが必要です。具体的には、生理休暇や時短勤務、育児休暇、フレックスタイムの導入などが挙げられます。
これらの制度を導入することで、多様な働き方を推進し、多くの方が働きやすくなり、企業としての生産性向上にも寄与することが期待できます。
産婦人科受診のハードルを下げるサポート体制の構築
多くの女性が症状を自覚しながらも通院せず我慢していることは、後々重大な疾患となるリスクがあります。市販の薬で対処している背景には、通院のハードルの高さや費用負担が挙げられます。
女性特有の健康課題への対応は、産婦人科を受診しやすくするサポート体制も欠かせません。例えば、企業がオンライン受診を導入したり、費用の一部を負担する制度を導入することが考えられます。
また、定期健康診断では、女性に必要な検査がオプションであることが多くありますが、女性が安心して働けるように、健康診断の項目を見直すのも、ひとつの方法といえます。
働く女性の健康推進に取り組むべき理由
女性活躍推進法が施行され、女性の活躍が推進される中、女性特有の健康問題への対応が必要となっています。 本資料では女性の健康推進への取り組みの必要性、効果をご紹介します。
現代の健康経営には女性特有の健康課題を理解することが必須
人口減少が顕著になり、労働人口が減っているなか、女性の社会進出はより重要度が増しています。その一方で、女性が働きやすい制度や環境が充実しているかというと、まだまだ改善の余地があるのが実態です。
ライフステージごとに異なる健康課題に直面し、場合によってはキャリアを諦めることにもなります。女性特有の健康課題に着目し、女性が働きやすい職場環境を整備することは、企業の生産性を改善し、企業価値の向上に寄与するでしょう。
現代の健康経営においては、まさに女性特有の健康課題への対応が求められています。パソナでは、職場における女性の健康づくりを支援しています。また、オンライン受診や相談窓口の設置を導入するサポートをはじめ、女性の健康課題への取り組みの具体的な内容や効果もご紹介しています。女性の健康課題への対応について悩んでいる人事担当者の方は、ぜひパソナまでご相談ください!
Kira+sup(女性の健康サポートプログラム)資料ダウンロード
働く女性がいきいきと活躍出来る社会を目指して、女性の健康づくりに関する研修や、 産婦人科医等によるオンライン相談を提供するサービスです。