おすすめ特集・コラム定年後は再就職?再雇用?それぞれの働き方やメリットを解説
公開日:2024.08.26 更新日:2025.01.10
- キャリア自律支援
定年を迎える社員が次のャリアを考えるときに「再就職」と「再雇用」のどちらを選ぶかは大きな決断です。それぞれ、どのような働き方なのか?年収はどうなるのか?理解すべきことや考えるべきことが多々あります。
また、近年は企業にとっても社員のセカンドキャリア支援が重要な意味を持つ時代になりました。本記事では、定年後の再就職・再雇用という働き方のメリットとデメリット、企業人事が社員のセカンドキャリアをサポートする重要性を解説します。
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定年後の再就職
定年後にそれまで勤めてきた企業とは別の企業で働くことになる「再就職」。現役として活躍していた在職中の転職活動とは、就職活動の方法がかなり異なります。また、入社してからの働き方も違いますので、よく理解してから決断しましょう。
関連記事:早期退職制度のメリットとデメリットを企業視点で解説!運用の手順や注意点も紹介
再就職の方法
定年後のシニアが再就職を目指すときの活動方法には以下5種類があります。
人材紹介
人材紹介会社は、スキルや経験豊富な即戦力人材を求める企業と就職したい人材を仲介するサービスを提供しています。紹介会社によっては丁寧なキャリアコンサルティングを受けることができます。シニアの就職に強い紹介会社に複数登録しましょう。
求人サイト
ミドルシニアに特化した求人サイトや、総合求人サイトでシニア向け求人を探す方法です。仕事内容の種類が多く、雇用形態も正社員・契約社員・パートタイム・業務委託などさまざまです。チャンスをつかむために数社は登録しましょう。
シルバー人材センター
シルバー人材センターとは、全国の市町村にある高齢者向けの職業紹介をおこなう公共団体です。官公庁や企業などから受注した業務を請負や派遣などの形態で求職者に紹介します。一般に短期で軽作業的な仕事が多い傾向があります。
ハローワーク
厚生労働省が管轄する職業紹介所です。就職や転職を希望する人であれば誰でも相談することができます。シニア世代の就職支援にも力をいれています。キャリアコンサルティングや求人の紹介、雇用保険手続きなどのサポートを受けることができます。
再就職支援サービス
拠点の閉鎖など、会社都合で退職する人材の就職支援をおこなうサービスです。定年を迎える社員の再就職支援サービスを提供する企業もあります。いずれも企業が有償で依頼します。社員は専任担当者による再就職のサポートを受けることができます。
再就職後の働き方
再就職後の収入や雇用形態を、厚生労働省の「令和4年雇用動向調査結果の概況」をもとに解説します。
収入
定年前と比較すると大きく減少する傾向があります。これは、定年後の再就職の雇用形態にアルバイトやパートなどの非正規が増えることや、新しい企業では前職での貢献度が給与に反映されないことなどがあるためです。60~64歳の男性の63.7%が賃金が減少したと回答しています。
雇用形態
パートタイムで働く割合が高くなります。60歳~64歳の男性は一般職で転職する人が8.9%に対し、パートとして転職する人は25.6%と約3倍にものぼります。同じ年代の女性はあまり差がなく、一般職が8.1%、パートが10.3%です。再就職先に正社員の求人がかなり少ない状況がうかがえます。
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再就職のメリットとデメリット
定年後、シニアが新しい会社に再就職するメリットとデメリットを紹介します。
再就職のメリット
再就職のメリットは、新しいチャレンジができることです。これまでのスキルを活かした仕事を探すこともできますし、収入は低くても自分が挑戦したかった仕事やプライベート優先で負担の少ない仕事につくこともできるでしょう。
これまでの人間関係がリセットされるので、気持ちもリフレッシュされ頑張ろうという意欲がわきます。再雇用制度のように65歳までという制限もありません。
再就職のデメリット
再就職する際は自分で仕事を探す必要があります。シニア向け求人は少ないため、再就職までに半年から一年かかるケースもあります。倍率も高いので書類選考で落ちることは珍しくありません。どちらかというと希望の仕事に就けない可能性が高いといえます。順調なキャリアを歩んでいた人ほどストレスを感じるでしょう。
また、新しい仕事先では一から仕事を覚える必要があります。同じ職種でも違うシステムを活用していることがあり、慣れるのに時間がかかります。
定年後の再雇用
定年後の再雇用制度とは、企業が定年を迎えた社員を同じ会社もしくはグループ企業で継続して雇用する制度です。改めて雇用契約を結ぶことで、一定の期間、企業で継続して働くことが可能となります。
関連記事:役職定年とは?制度内容や実態、定年後の人材活性について解説
再雇用制度とは?
再雇用制度とは高齢者の就業確保措置の一つです。2012年の高年齢者雇用安定法改正で定年を60歳以上に設定することが義務となり、企業に「65歳までの定年引き上げ」「65歳まで継続雇用制度を導入」「定年制の廃止」のいずれかの措置を講じることが義務付けられました。
さらに、2020年の法改正により企業には70歳までの就業確保措置が努力義務となったため、多くの企業が継続雇用を導入し、その手段の一つとして再雇用制度を持つ企業が増えています。
再雇用制度のルールは企業によって異なります。改めて収入や雇用形態、配属先などについて企業と社員が合意したうえで契約します。企業にとって再雇用制度は、スキルや経験を持ったシニアの有効活用ができる制度です。
再雇用後の働き方
2020年の労働政策研究・研修機構の「高年齢者の雇用に関する調査」をもとに再雇用後の働き方の実態を解説します。
収入
フルタイム勤務の方で、定年前と比較すると7~8割まで減る傾向があります。60歳直前の水準を100として61歳時点での賃金を比較した場合「平均的な給与水準の人」で78.7%、「最も高い給与水準の人」で89.6%「最も低い給与水準の人」で70.8%になります。
雇用形態
正規雇用は少なく、非正規雇用が多くなる傾向があります。60代前半の継続雇用者の雇用形態では「嘱託・契約社員」が57.9%と最も多く、「正社員」が41.6%、「パート・アルバイト」が25.1%です。
仕事内容
仕事内容は定年前と同じケースが多い傾向にあります。44.2%の企業は「定年前と全く同じ仕事」、38.4%は「定年前と同じ仕事であるが、責任の重さが軽くなる」となっています。「全く異なる仕事」と回答した企業はわずか6.1%です。
関連記事:ミドルシニア世代の特徴とは?キャリア自律を促すポイントも解説
再雇用のメリットとデメリット
同じ企業もしくはグループ会社で働く再雇用にも、メリットとデメリット があります。
再雇用のメリット
再雇用のメリットは、自分で仕事を探す必要がないことです。また、やはり自分をよく知る人が多い働き慣れた環境で仕事を続けられる安心感は大きいでしょう。
以前よりも年収が落ちる傾向はあるものの、これまで培った経験やスキルがそのまま生かせるので、再就職するより高い水準になることが一般的です。継続して働くことで仕事のブランク期間もなくなり、厚生年金の受給額が増え、有給休暇も取得できます。
再雇用のデメリット
企業にもよりますが、それまでの部下が上司になったり、周囲の人から自分に敬意を払われなくなったりすることも少なくありません。プライドが傷つき、アイデンティティが揺らいでしまうシニアもいるでしょう。
また、同じような仕事で収入が下がるとモチベーション維持が難しくなります。
再雇用は65歳が上限なので、65歳以上も継続して働きたい場合は、新たに就職活動をする必要がありますが、65歳になるとさらに就職活動は難しくなります。
企業に求められるキャリア支援
近年、企業には定年を迎える社員のセカンドキャリアを支援することが求められています。しかし、長年同じ環境で働いている社員に定年間近になって次のキャリアを打診するのは難しいため、早期から社員の主体的なキャリア形成を支援しておくことが望ましいでしょう。
仕事に関するスキルだけでなく、経済面の情報共有など多角的にサポートするのが理想的です。再雇用や再就職だけでなく独立支援などをおこなうケースも最近は増えています。
- キャリアカウンセリング
- キャリア研修
- 資格取得支援
- 再就職支援会社によるサポート
- 独立・起業支援
企業にとってのセカンドキャリア支援は、社会的責任感という面だけでなく、現在の社員のエンゲージメント向上にもつながるので重要です。
関連記事:セカンドキャリアとは?企業の支援制度や年代別のサポートポイントを解説
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まとめ
人生100年時代といわれるようになり、多くの人が定年後のキャリアを真剣に考えるようになりました。また、企業側も少子高齢化を踏まえてシニア活用に取り組む必要性が増しています。
企業が社員のセカンドキャリアを支援することは、定年後の社員の成功につながるだけでなく既存の社員の安心感にもつながります。年齢問わず、優秀な社員を活用することで競争力も強化できるでしょう。
他社へ転職したり独立したりする場合でも、最後まで丁寧なキャリアサポートを提供すると良好な関係性が築かれるので、結果的に自社のファンが社会に増えていき、ブランド力が向上します。
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