おすすめ特集・コラム長時間労働の具体的な対策|対策に成功した事例も紹介

更新日:2026.05.12
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長時間労働が常態化すると、従業員の健康被害や36協定違反による罰則リスクが生じやすくなります。中小企業の人事担当者にとって、残業削減とメンタルヘルス対策は喫緊の課題です。しかし、どこから手をつければよいのか判断に迷い、対策がうまく進まないケースも少なくありません。
本記事では、長時間労働のリスクや原因、対策、実際に成果につながった事例を解説します。
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4ステップで進める業務効率化
業務の非効率や属人化に悩む方へ。現状整理から課題特定、優先順位付け、改善策の実行まで、業務効率化を4ステップでわかりやすく解説します。
- 業務効率化を進める手順
- STEP1 現状整理
- STEP2 業務分析と問題把握
- STEP3 解決難易度の整理
- STEP4 解決策の検討と実行
どこから着手すべきかが明確になり、無理なく業務改善を進めるヒントが得られます。
長時間労働の基準とは
長時間労働には法律で定められた基準があり、企業は36協定や過労死ラインを正しく理解したうえで労働時間を管理する必要があります。
36協定における時間外労働の上限規制
36協定における時間外労働の上限は、原則として月45時間・年360時間までと定められています。労使合意による特別条項付き36協定を締結した場合でも、以下が条件となります。
- 年720時間
- 単月100時間未満(休日労働を含む)
- 2〜6か月平均80時間以内
- 月45時間を超えられるのは年6か月まで
中小企業にも2020年4月から罰則付きの上限規制が適用されました。違反が認められた場合、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されるおそれがあります。上限規制は「ガイドライン」ではなく「法令」であるため、就業規則の整備と日々の運用管理の両輪で遵守する体制が求められます。
過労死ラインの定義
過労死ラインは、脳・心臓疾患の発症と長時間労働との関連性が強いと判断される基準です。厚生労働省では、発症前1か月に100時間超、または2〜6か月平均で月80時間超の時間外労働を目安としています。
過労死ラインを超えた長時間労働は、労災認定の判断基準にもなる点に注意が必要です。中小企業の人事担当者としては、過労死ラインに近づいた段階で早期に介入し、適切に対策を取ることが重要です。
具体的には、月60時間を超えた段階でアラートを出し、産業医面談や業務分担の見直しにつなげる運用などが考えられます。
長時間労働が引き起こすリスク
長時間労働を放置すると、従業員の健康被害や法的責任、企業経営の悪化など複数のリスクが連鎖的に発生しやすくなります。
関連記事:企業が取り組む「健康管理」とは?義務や具体的な施策例、メリットなどを解説
従業員の体調不良につながる
長時間労働が続くと、睡眠不足や慢性疲労により、従業員の体調不良が生じやすくなります。厚生労働省の調査によると、時間外労働が月80時間を超える労働者は、脳・心臓疾患や精神疾患の発症リスクが高まると報告されています。
体調不良は欠勤・病気休業・労災申請へと発展し、結果として企業全体の生産性を損なう要因です。特にメンタル不調は自覚症状が乏しいまま進行しやすく、ある日突然の休職・退職につながるケースも少なくありません。
36協定違反による罰則や訴訟リスクが発生する
36協定の上限を超えた時間外労働は、労働基準法第36条違反として罰則の対象です。違反が判明すると、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性もあります。
さらに過労死や過労自殺が発生した場合には、遺族から損害賠償請求訴訟を起こされるリスクも想定されます。企業にとっては金銭的負担だけでなく、社会的信頼の低下にもつながるため、適切な対策が必要です。
生産性が低下して利益が減少する
長時間労働は業務時間の増加につながる一方で、疲労の蓄積により一人あたりの生産性を押し下げます。公益財団法人日本生産性本部の国際比較によると、日本の時間あたり労働生産性は、2023年時点でOECD加盟38か国中29位に位置しています。G7諸国の中では最下位の水準にとどまっており、改善の余地が大きい状況です。
残業時間が増えるほど時間あたりの成果は下がる傾向にあるため、結果として企業の利益率を圧迫する要因となります。「長く働けば成果が出る」という発想を見直し、労働時間ではなく成果で評価する仕組みへ転換することが企業競争力を高めるポイントになります。
参照:労働生産性の国際比較2024|公益財団法人日本生産性本部
企業イメージの悪化につながる
長時間労働が常態化している企業は、SNSや口コミサイトで「ブラック企業」として情報が拡散されやすい傾向にあります。厚生労働省は、重大・悪質な労働基準関係法令違反について、送検事案を公表する場合があり、社名が社会に広く知られる可能性もあります。
企業イメージの悪化は、採用活動・顧客信頼・取引先との関係にまで波及する深刻な問題です。一度低下した評判を回復するには、長い時間と多大なコストを要します。
離職率が増加する
長時間労働は従業員のワークライフバランスを崩し、離職率の上昇を招きます。厚生労働省の「雇用動向調査」でも、前職を辞めた理由として「労働時間・休日等の労働条件が悪かった」が上位に挙がっています。
優秀な人材ほど好条件の転職先を見つけやすいため、長時間労働が続く企業から離れていく傾向です。結果として採用・育成コストが膨らみ、残った社員の負担がさらに増える悪循環に陥るケースも目立ちます。
長時間労働が発生する原因
長時間労働の原因は単一要因ではなく、人員体制や業務設計、組織文化が複合的に絡んでいる場合が少なくありません。
人手不足が慢性化している
恒常的な人手不足は、一人あたりの業務負荷を増やし、長時間労働の直接的な原因となります。帝国データバンクの調査でも、正社員の人手不足を感じている企業は過半数にのぼります。
中小企業では採用競争力が大企業に劣りやすく、欠員補充が遅れるほど既存社員に業務が集中する構造が生じやすくなるでしょう。特に専門性の高いポジションでは採用まで半年以上を要する場合もあり、その間の業務のしわ寄せが残業を常態化させる要因となります。
参照:人手不足に対する企業の動向調査(2024年7月)|株式会社帝国データバンク
関連記事:人手不足な業界や職種は?背景と企業が取るべき対策とは?
業務プロセスが非効率である
非効率な業務プロセスは、同じ成果を出すために余分な時間を必要とし、長時間労働の温床となります。承認フローの多段階化・紙ベースの書類運用・属人化した業務などが代表例です。
業務の可視化や標準化が進んでいない企業ほど、無駄な作業に労働時間を奪われる傾向があります。「慣例だから」と見直されないまま残っている作業が、残業時間を押し上げているケースも少なくありません。
関連記事:業務改善とは?メリットや効率化のための原則、進め方、成功事例を紹介
管理職のマネジメント力が不足している
管理職のマネジメント力不足は、部下の業務量調整やタスクの優先順位付けが機能しない状態を生み出します。その結果、部下が慢性的に残業でカバーする構造が定着しやすくなる点に注意が必要です。
また、管理職がプレイヤーとして働く構造になってしまい、自身の業務に追われて部下の労働時間を把握できないケースも少なくありません。管理職向けの研修や評価指標の見直しによって、マネジメント業務に時間を割ける環境を整えることも重要です。
関連記事:管理職研修の効果を最大化するための種類・内容・導入時の注意点まとめ
長時間労働を肯定する企業風土が根付いている
「遅くまで働く人が頑張っている」といった企業風土が残っている場合、残業が評価される暗黙のルールが定着してしまいます。上司より先に退社しにくい雰囲気や、定時退社への否定的な考えが、残業を助長します。
企業風土は制度改革だけでは変わりにくく、変革するには経営層からの明確なメッセージ発信が重要です。トップ自らが定時退社を実践するなど、行動で示す取り組みが意識改革につながります。
あわせて、残業前提の業務設計を見直し、時間内に仕事が終わる状態を前提にした人員配置を整える必要があります。
長時間労働を解消する具体的な対策
長時間労働を解消するには、労働時間の可視化・健康管理・制度設計・業務効率化を組み合わせた総合的なアプローチが有効です。
労働時間を可視化して管理する
長時間労働対策は、客観的な記録にもとづく労働時間の可視化から始まります。厚生労働省のガイドラインでも、使用者は労働時間を適正に把握する義務を負うと明記されています。
例えば、勤怠管理システムやPCログを用いれば、打刻時間と実作業時間の乖離を検知でき、サービス残業の早期発見にもつながるでしょう。まずは「誰が・いつ・どれだけ働いているか」を数値で把握する体制を整えることが重要です。
さらに、月45時間・60時間など段階ごとにアラートを設定しておけば、上限規制違反の未然防止にも役立ちます。
参照:労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン|厚生労働省
保健師や産業心理職を活用して従業員の負担を早期に把握する
産業保健スタッフの活用は、従業員の心身の負担を早期に把握する有効な手段です。産業保健師や産業心理職は、面談やストレスチェックを通じてメンタル不調の兆候を察知できる専門人材です。
長時間労働が続く従業員ほど、自分からSOSを出しにくい傾向にあります。保健師や産業心理職による定期面談を組み込めば、長時間労働による休職や離職に至る前の段階で介入できるでしょう。
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柔軟に働ける制度を導入する
長時間労働を構造的に減らすには、柔軟に働ける制度の導入が有効です。フレックスタイム制・時差出勤・テレワーク・短時間勤務などを組み合わせれば、従業員が自分のペースで成果を出せる環境を整えられます。
制度の導入だけでなく、利用しやすい運用ルールや管理職の理解促進もセットで進めることが重要です。制度はあっても使いにくい状態では、実質的な労働時間削減にはつながりません。
関連記事:多様な働き方とは?実践企業の取り組み例とメリットを解説
評価制度を見直す
労働時間の長さで評価される仕組みが残っていると、長時間労働が文化として再生産されやすくなります。そのため、評価制度の見直しが対策として欠かせません。
成果や行動プロセスにもとづく評価指標を導入し、短時間で成果を出した従業員が正当に評価される仕組みを整えれば、残業を前提としない働き方が浸透しやすくなります。評価項目にワークライフバランスや業務効率化への貢献を組み込めば、働き方改革を加速させる後押しになります。
ITツールやDX化により業務プロセスを効率化する
ITツールの導入やDX(デジタルトランスフォーメーション)化は、業務プロセス効率化の即効性ある手段です。RPAで定型業務を自動化したり、クラウド型の業務システムで情報共有を一元化したりするだけでも作業時間を大幅に減らせます。
導入時には現場の業務フローを洗い出し、どの工程を自動化・省略するかを検討するステップが重要です。また、導入後も現場の声を定期的に拾い上げ、運用を見直す体制を整えておくと効果が長続きします。
BPOなどの外部リソースを活用して業務量を削減する
BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)をはじめとする外部リソースの活用は、社内で抱え込みがちな業務量を根本的に削減する手段です。経理・人事・総務といったバックオフィス業務を専門事業者に委託すれば、社員はコア業務に集中できます。
中小企業の人事担当者にとっては、採用難で増やせない人員を外部で補完できる点が大きなメリットです。専門人材を確保する時間や育成コストも同時に抑えられる点も外部リソース活用の魅力です。
関連記事:BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)とは?導入ステップとポイントを解説
外部リソースの活用で長時間労働対策に成功した事例
外部リソースの活用で長時間労働対策の成果を上げた事例として、以下の2つを紹介します。
バックオフィス業務の委託による残業時間の削減
Chubb損害保険株式会社では、バックオフィス業務の一部をパソナに委託しました。分散していた事務業務を集約し、専門人材が担当する運用に切り替えたことで、残業時間の削減にもつながっています。
このように、外部リソースの活用により担当者が本来注力すべき業務にリソースを振り向けられるようになり、長時間労働対策に成功した事例です。
派遣管理業務の集約による月間工数の削減
派遣スタッフの契約更新や各派遣元との調整業務が集中し、担当部門がコア業務に注力できない企業において、派遣管理業務を「派遣管理デスク」に集約しました。外部リソースを活用したことにより、発注部門が担う派遣管理業務の工数は1ヶ月あたり120時間から44時間へ削減されています。
特定業務の負荷を外部リソースで軽減することで、担当者が本来注力すべき業務にリソースを割けるようになり、長時間労働対策に成功した事例です。
まとめ|長時間労働対策を進めて働きやすい環境を作ろう
長時間労働は従業員の健康を損ない、36協定違反による罰則や離職率上昇、企業イメージ悪化などさまざまなリスクを企業にもたらします。労働時間の可視化や柔軟な勤務制度の導入、産業保健スタッフの活用、BPOなどの外部リソース活用などを組み合わせ、労働時間を削減する必要があります。
社内だけでの対応には限界があるため、外部リソースを上手に取り入れ、働きやすい職場環境を整備することが、人材定着と企業成長の両立につながるでしょう。
パソナでは、バックオフィスBPOといったアウトソーシングサービスを提供しています。各社の課題に合わせて対応しているので、長時間労働対策を検討されている方は、お気軽に資料をダウンロードしてみてください。

















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