おすすめ特集・コラムキャリア形成とは?企業ができる支援策や成功事例をご紹介
公開日:2025.04.23 更新日:2025.04.23
- キャリア自律支援
デジタルテクノロジーの目覚ましい発展や働き方の多様化、職業人生の長期化などに伴い、近年、キャリア形成の重要性が高まっています。同時に企業にも従業員のキャリア形成を支援する役割が求められています。
では、従業員のキャリア形のため企業はどのような支援を実施できるのでしょうか。
今回は、企業ができるキャリア形成支援策や成功事例などについて説明します。
パソナのセルフ・キャリアドックサポートサービス ~人的資本経営時代におけるキャリア支援~
パソナのセルフ・キャリアドック導入支援サービスは、社内キャリアコンサルタントの育成支援をしながら、コストパフォーマンスを最適化した人的資本経営時代のキャリアのアップデートを実現します。
- 人的資本経営(HCM)時代の人材とキャリア
- パソナのセルフ・キャリアドックの支援サービスと流れ
- フルカスタマイズの研修事例①~④
- セルフ・キャリアドック導入成功事例①②
各社の課題に沿ってフルカスタマイズで行う研修の具体的な事例や効果、セルフ・キャリアドック導入の成功事例も交えてご紹介します。
キャリア形成とは
キャリア形成とは、仕事を通じてスキルや経験を身につけ、目指すキャリアの実現を図るプロセスのことです。しかしながら、それは単にビジネス上での成功を目指すだけでなく、一人の人間としてどのような人生を歩みたいのか、人生における自己実現を追及するプロセスでもあります。
そのため、キャリア形成を進めるにはまず、自分自身を深く理解することが重要です。自分自身を理解するためには、「Will(やりたいこと)」「Can(できること)」「Must(やるべきこと)」の3つの要素を明確にするフレームワークが役立ちます。このフレームワークを活用することで、自分の価値観や目標を明確にし、より充実したキャリアと人生を築くための指針を得ることができます。
キャリア形成意識の変化
キャリア形成意識は、時代の流れとともに変化しています。現在は個人に対し、主体的に自身のキャリアを考える「キャリア自律」が求められています。
関連記事:キャリア自律とは?キャリア開発との違いや企業による支援の現状を解説
企業主導から個人主体へ
終身雇用を前提としていた時代、従業員のキャリアは企業が主導するものであり、キャリアとは自社内での昇進や昇格を示すものでした。定年までの安定雇用と引き換えに、従業員は企業が示すキャリアを受け入れていたのです。
しかし、時代の変化とともに終身雇用制度は形骸化し、キャリア形成の主体は企業から個人に変わっています。ジョブ型雇用や成果主義を導入する企業も増え、安定雇用が約束されなくなった今、より良い環境やより良い条件を求め、転職をする人は増加しています。
また、定年の延長などによって長期化する職業人生のなかで、自分の人生を主体的に考える必要性が高まっていることも、キャリア形成が注目を集める理由の1つだといえるでしょう。
関連記事:70歳で定年?企業がミドル・シニア世代へキャリア形成支援をおこなう意味とは
キャリア形成を支援するさまざまな取り組み
国もキャリア形成の重要性を提唱しており、教育現場におけるキャリア教育を推進するとともに、各段階におけるキャリア形成をサポートする支援制度を設けています。
キャリア形成・リスキリング支援センター(旧キャリア形成・学び直し支援センター)
キャリア形成・リスキリング支援センターとは、個人や企業・団体、学校関係者を対象にさまざまなキャリア形成支援や学び直し支援を行う施設です。
従業員を対象としたキャリアコンサルティングやキャリア研修を無料で実施しているほか、企業が従業員のキャリア開発を支援する、セルフ・キャリアドックの導入支援なども行っています。
参照:キャリア形成・リスキング推進事業【厚生労働省委託事業】
関連記事:セルフキャリアドックとは?注目される背景や導入手順、メリットを解説
人材開発支援助成金(旧キャリア形成促進助成金)
人材開発支援助成金とは、従業員に対して職務に関連した知識や技能を習得させるための職業訓練などを実施した企業に、訓練にかかった費用や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。
助成金には「人材育成支援コース」のほか、高度デジタル人材の育成などを対象とした「人への投資促進コース」、事業展開やDX化の推進に必要な知識を習得させる「事業展開等リスキング支援コース」など6つのコースが用意されています。
参照:人材開発支援助成金 | 厚生労働省
キャリア形成が注目を集める理由
前述のように、国もキャリア形成支援に注力しており、キャリア形成の重要性が注目を集めています。キャリア形成が重視される背景には、次のような社会の変化が関係していると考えられます。
終身雇用制の形骸化
かつては、新卒で入社した企業で定年を迎えるという働き方が一般的であり、個人のキャリアといえば自社内での昇進を指すものでした。しかし、終身雇用制が崩壊しつつあり、成果主義を導入する企業が増えている今、勤続年数とともに昇進し、賃金がアップする保証はなくなりました。
そのため、より良いキャリアを得るためには、個人が主体的にキャリア形成に取り組み、スキルや経験を身につけることで自身の市場価値を高めなければならない状況になったのです。
また、転職が珍しいものではなくなったことにより、企業側にも従業員のキャリア形成を支援し、離職を抑える必要性が生じているといえます。
就業形態の多様化
働き方改革の推進などにより、ライフスタイルに合わせた自由な働き方が尊重されるようになっています。リモートワークや副業など、多様な働き方を選択できるようになった今、自分に合ったキャリアを築くためには、従業員が主体的にキャリア形成に取り組み、自らのスキルや能力を向上させる必要があります。
企業が従業員の多様な働き方を尊重することは、従業員の定着率を高める効果があります。したがって、従業員のキャリア形成の支援は、企業の成長のためにも重要な取り組みになっているのです。
関連記事:多様な働き方とは?実践企業の取り組み例とメリットを解説
ジョブ型雇用の浸透
ジョブ型雇用とは、職務内容を限定し、その職務を遂行するうえで必要となるスキルや経験を持つ人材を採用する雇用方法です。日本企業では、人材採用後に適性や社内事情を鑑み、配属を決定するメンバーシップ型雇用が一般的でした。
しかし、日本においても高い専門性を持つ人材を雇用するジョブ型雇用が浸透し始めており、ジョブ型雇用に対応するためにも自らのスキルを向上させるキャリア形成の重要性が増しているのです。
AI等のテクノロジーの発展
近年、AIをはじめとしたデジタルテクノロジーが目覚ましい発展を見せており、日常のあらゆるシーンにおいて先端技術が活用されています。デジタルテクノロジーの導入は、生産性の向上やコスト削減などといったメリットをもたらす一方で、人が担っていた役割を代替することで雇用を奪う恐れもあります。人でなければできない役割を担うためには、将来を見据え、AIには代替することができない、自分だけの強みを磨く必要があるでしょう。
就業期間の長期化
人生100年時代といわれるほど平均寿命は延びています。少子高齢化が進む今、年金の支給開始年齢も原則として65歳に引き上げられ、企業には定年の延長や高年齢者継続雇用(再雇用)制度の導入などが義務付けられています。
年齢を重ねても長く働き続けるためには継続的に学ぶことでスキルをアップデートする必要があり、長期的な視野に基づいたキャリア形成が重要になります。また、従業員が継続的に学び、成長するための支援を行うことは、企業にとっても労働力を確保するうえで大きな意味を持ちます。
キャリア形成のメリット
キャリア形成を行う場合、従業員には次のようなメリットが生じます。
目標の明確化
キャリア形成に取り組む際には、自分がどのようなキャリアを目指したいのか、目標を明確にし、現時点での自分のキャリアやスキルを把握することから始めなければなりません。現在地と目標が明確になると、不足しているスキルや経験を体得するためにはどんな行動が必要になるのか、具体的な計画を立てやすくなります。
仕事へのモチベーション向上
目指すキャリアが明確になり、目標が定まると、日々の業務に取り組む意義を理解しやすくなります。今の業務経験が未来のキャリア実現に向けて必要なものであることを認識できれば、業務に対するモチベーションも高まり、生産性も向上するでしょう。また、意欲的に業務に取り組むことで評価も高まるため、さらにモチベーションもアップするという好循環を生むことができます。
市場価値の向上
目指すキャリアの実現に向け、努力を重ねるうちにスキルや能力が高まるため、自身の市場価値も向上します。市場価値が高まれば、社内で良い評価を得られるだけでなく、自分のスキルや能力を最大限に発揮できる環境への転職やフリーランスとしての独立など、キャリアの選択肢を広げることができます。
企業が従業員のキャリア形成支援をするメリット
個人がキャリア形成を進めた場合、前述のようなメリットを得られますが、企業が従業員のキャリア形成を支援する場合にも以下のようなメリットを得られます。
生産性の向上
従業員のキャリア形成を支援することによって従業員のスキルや経験値が向上すると、業務効率が向上します。個々の従業員のスキルや能力が向上すれば、組織全体の生産性の向上にもつながるでしょう。また、従業員が能動的に業務に取り組むようになる点も、組織全体の士気を高め、生産性を向上させます。
従業員エンゲージメントの向上と離職防止
従業員のキャリア形成をサポートし、個人としての成長を後押しする姿勢は、従業員と企業の関係性を強化し、従業員エンゲージメントを向上させます。従業員エンゲージメントが高まると、会社のサポートによって得たスキルを活用し、より会社に貢献していきたいという意欲も高まります。特に優秀な人材ほど、自身を成長させることができる環境を求めるものです。そのため、キャリア形成支援は、優秀な人材の離職防止にもつながります。
関連記事:従業員エンゲージメントとは?向上させる施策と事例を解説
組織の成長を促進
一人ひとりの従業員が高いモチベーションを維持して業務に取り組むようになれば、組織全体が活性化します。それぞれが体得したスキルや知識を活かし、アイデアを出し合うことで新たなビジネスチャンスを創出できる可能性もあるでしょう。従業員のキャリア形成支援は、企業の成長にも良い影響を与えるのです。
従業員のキャリア形成を支援する具体的な手法
従業員のキャリア形成をサポートすることで、企業もさまざまなメリットを得られます。では、従業員のキャリア形成支援としては、どのような取り組みが有効なのでしょうか。
キャリア形成プログラムの提供
キャリア形成は従業員が主体的に取り組むべきものです。しかし、これまでキャリア形成に取り組んだ経験がない場合、キャリアプランニングのやり方が分からず、実現可能性の高いキャリアプランを策定できない恐れもあります。したがって、企業としてキャリア研修を実施するなど、キャリアプランニングのサポートを行うキャリア形成プログラムの提供を検討するとよいでしょう。
学習機会の提供
キャリア実現に必要な知識やスキルを身につけることができる学習機会の提供も企業がすべきキャリア形成支援策の1つです。スキルアップにつながる社内研修を開催するだけでなく、eラーニングプラットフォームの導入など、従業員が継続して学びを得やすい環境を整備することもキャリア形成支援につながります。
キャリア実現に活用できる人事制度の整備
理想のキャリアを実現するためには、スキルや知識を得られる機会を提供するだけでなく、キャリア実現に必要となる経験を積める機会を提供することも大切です。ジョブローテーションや社内FA制度、公募異動制度などを採り入れ、従業員が意欲的にキャリア形成に取り組むことができる人事制度の整備もキャリア形成支援に効果的な取り組みだといえます。
外部交流の機会の提供
異業種交流会や外部研修など、外部での学びの機会を提供することもキャリア形成支援につながります。業種や企業の壁を超えて交流する機会を得ることで、従業員は多様な価値観に触れ、自分にはない新たな考え方に出会うでしょう。外部交流で得られる刺激がイノベーションの創出につながる可能性もあります。積極的に外部交流による学びの機会を提供することも検討すべきではないでしょうか。
相談窓口の設置
上司と良い関係性を築いていた場合であっても、キャリアに関する悩みを上司には気軽に相談できないケースもあります。そのため、従業員がキャリア形成にあたっての悩みや不安をキャリアコンサルタントなどの専門家に相談できる窓口の設置もキャリア形成支援に役立ちます。
関連記事:企業内のキャリアコンサルタントとは?役割と期待できる効果を紹介
キャリア形成支援の成功事例をご紹介
企業のなかには従業員のキャリア形成支援を行い、成功している事例もあります。ここでは厚生労働省が主催するグッドキャリア企業アワード2024で大賞を受賞した企業の中から2社の事例をご紹介します。
住友生命保険相互会社
住友生命保険相互会社では、従業員の希望や自己研鑽の状況を尊重した配属や職務付与を行う「マイキャリア運営」を実施し、入社から定年まで切れ目なく従業員のキャリア支援・開発を推進しています。
また、能力やスキル、知識を活用し、どのような行動をしたのかを評価するコンピテンシー評価も取り入れた目標管理制度も導入するなどし、積極的に従業員や非正規雇用者のキャリア形成支援に取り組んでいます。
キヤノンマーケティングジャパン株式会社
キヤノンマーケティングジャパン株式会社では、若手従業員の早期離職増加をきっかけに従業員のキャリア形成サポートを開始しました。退職理由を分析し、自社の課題を抽出したうえで社内キャリアコンサルタントによるキャリア面談や年代別のセミナーなどを実施し、従業員のキャリア形成を支援するさまざまな施策を行っています。
パソナでは同社と協働し、キャリア研修やキャリアデザインセミナーなどを開催しています。また、若手従業員だけでなく、全従業員のエンゲージメント向上に向けた取り組みも実践しています。詳しい取り組み内容については、以下の記事をご覧ください。
事例インタビュー:キヤノンマーケティングジャパン株式会社様
まとめ
終身雇用制度の崩壊やデジタルテクノロジーの発達、働き方の多様化など、さまざまな理由からキャリア形成の主体は企業から個人へと変わってきています。しかしながら、従業員のキャリア形成支援は、従業員の成長を促すだけでなく、企業の発展にもつながるものです。
キャリア形成支援に欠かせないキャリア形成プログラムの提供やキャリア相談窓口の設置を進めるにあたっては、自社内にキャリア形成を支援するためのノウハウが必要になります。
パソナの「セルフ・キャリアドックサポート」は、社内キャリアコンサルタントの育成から制度の構築、運営までを一貫してサポートするサービスです。従業員のキャリア形成支援を検討されている場合には、ぜひパソナのセルフ・キャリアドックサポートサービスの活用もご検討ください、
パソナのセルフ・キャリアドックサポートサービス ~人的資本経営時代におけるキャリア支援~
各社の課題に沿ってフルカスタマイズで行う研修の具体的な事例や効果、セルフ・キャリアドック導入の成功事例も交えてご紹介します。