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多様な働き方とは?実践企業の取り組み例とメリットを解説

近年、働き方改革の推進などにより、企業の雇用や就業形態の多様化が急速に進んでいます。「短時間正社員」「週4日勤務(週休3日)」「完全在宅」「フリーランス」といった新しい働き方のニュースも、頻繁にメディアに登場するようになりました。

これは企業に、正社員・非正規社員にかかわらず、多様な働き方を選択できる環境や労働条件の整備、制度設計などが求められている状況といえるでしょう。

この記事では、社会的に広がりをみせている多様な働き方の取り組み例や実践企業の例を紹介します。また、多様な働き方の意味や背景、メリットもあわせて解説します。

多様な働き方とは?

多様な働き方とは「働く人すべてがそれぞれのワークライフバランスを追求しながら、自ら望むスタイルで労働すること」を意味します。画一的な環境や労働条件ではなく、一人ひとりの生活事情や価値観を踏まえた、可能な限り柔軟かつ多元的な労働スタイルです。

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多様な働き方が求められる背景

多様な働き方が推進される背景には、少子高齢化による生産年齢人口の減少、働く人の意識の変化、ニーズの多様化、政府による働き方改革の推進などがあります。 今後、日本の現役世代は加速度的に減少していきます。企業にとっては限られた労働力でどのように人材を活用し、事業成長していくかが重要な課題です。また、労働者側のライフスタイルは多様化しており、仕事とプライベートの両立を重視し、希望に沿った働き方や労働条件が選べる環境へのニーズが高まっています。 2000年以降、終身雇用・年功序列制度から徐々に勤続年数ではなく、実績に重きを置いた評価制度を導入する企業が増加しましたが、雇用制度においては「正社員と非正規社員」という単純な区分が長く続いてきました。そのため、非正規社員の賃金水準 などの問題が噴出し、その対策として同一労働同一賃金を求める動きも出てきました。 いまの企業には、正社員と非正規社員という二極化を緩和し、労働時間、働く時間帯や場所などの選択肢を広げて、多くの人が意欲やスキルに応じて活躍できる場を作り、働き方を自律的に決め、仕事を進められるように支援することが求められています。

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多様な働き方のメリット

柔軟で多様な働き方を実現することは、企業と労働者双方にメリットがあります。

多様な働き方/実践企業のメリット

多様な働き方が選択できる環境を構築することで働き方が整理され、必要のない残業が減り、人件費やコスト削減が見込めます。また、働く人の過度なストレスや疲労の予防、離職を回避できます。働く人のワークライフバランスが充実すれば、モチベーションや従業員満足度が向上し、より能力・スキルを発揮しやすくなるため、生産性向上にもつながるでしょう。さらに、多様な人がともに働くことで組織が活性化され、新規事業につながる新しいアイデアも創出されやすくなるという期待がもてます。社員を大切にする企業としてのブランドイメージが浸透すれば採用活動にもプラスになります。

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多様な働き方を実践する取り組み例

企業が多様な働き方を実践する上で、取り組みは主に次の7点です。

例1/テレワーク

テレワークとは、ICT(情報通信技術)を活用して在宅勤務、サテライトオフィス勤務など会社以外で勤務する就業形態です。働く人は通勤の負担が軽減され、仕事とプライベートを両立しやすくなります。企業側も通勤コスト、オフィスのコストが削減できます。地方や海外在住など遠隔地の人材を採用できるというメリットもあります。

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例2/フレックスタイム制

フレックスタイム制とは「コアタイム(勤務を必須とする時間帯)」と自由に出勤・退勤ができる「フレキシブルタイム」を任意で定め、あらかじめ設定した総労働時間のもと働く制度です。

近年はすべての労働時間をフレキシブルタイムとする「スーパーフレックスタイム制」を導入する企業も存在します。働く人が主体的な働き方を追求できるため、パフォーマンスやモチベーションの向上が期待できます。

例3/時差出勤制度

始業・終業の時間を繰り上げる、または繰り下げる制度です。企業が実働時間を決め、社員はその範囲内で出退勤時間を選びます。鉄道やバスなどの通勤ラッシュを避けることで、ストレスの緩和や感染症リスクの低減につながります。

例4/短時間勤務・短時間正社員

フルタイムの労働時間よりも短い勤務時間の正社員制度です。育児・介護をしながら働く人を対象とした「短時間勤務制度」「短時間勤務措置」だけでなく、決まった日時に働きたい人、定年後も働き続けたい人、キャリアアップを目指している人など多様な人材に活躍してもらうための仕組みです。雇用の安定を確保しつつ個々の事情にあった多様な働き方を実現できます。

例5/副業(複業)・兼業

副業(複業)・兼業を容認すると、働く人の所得増、人脈形成、活躍の場の拡大につながります。また、他分野の副業で培ったスキル・ノウハウを本業に活かすことによる相乗効果(シナジー効果)や、新たな仕事に挑戦したいと転職を考える人材の流出防止効果も期待できます。

例6/ジョブ型雇用

仕事に対して人材を割り当てる雇用システムです。年齢や学歴ではなく人材が持つスキルや専門性をもとに、仕事内容や報酬などを明確に定義した上で雇用契約を結びます。成果と報酬が可視化されるため、働く人のモチベーションを高めやすいと言われます。日本でも外資系企業はほとんどがジョブ型雇用です。 メンバーシップ制度が主流だった日本ですが、2021年のコーン・フェリー・ジャパン[2] の調査によるとジョブ型雇用導入企業率は26%。導入決定済み・検討中を加えると56%にも上り、雇用制度に変革の波が来ていることがうかがえます。

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例7/業務委託

企業に雇用されず業務単位で契約を結ぶ働き方で、「委任契約」と「請負契約」があります。スキルの高い労働者にとっては自由な働き方が可能です。近年は人材育成コストを踏まえ、専門性が高い仕事を業務委託化する企業が増えています。

  • 委任契約:定められた労働期間や業務に対し、成果物にかかわらず報酬が発生
  • 請負契約:労働期間を問わず、成果物に対して報酬が発生

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多様な働き方を実践する企業

ここでは、多様な働き方を実践している企業を2社紹介します。

コニカミノルタジャパン株式会社

コニカミノルタジャパンでは「いつでも、どこでも、だれでも働ける環境づくり」を実現するために、2013年に「働き方変革」プロジェクトを発足し、継続的な改革に取り組んできました。

2013年:現場の声を集め、現状を調査することからスタート。 2014年:社内で積極的なコミュニケーションが図れるようにICTインフラ環境を整備。 2015年:フレックス制度を導入し、サテライトオフィスを拡充。効率の悪い移動時間や残業時間を削減することに成功。 2017年:テレワーク制度を導入。コロナ禍となった2020年以降もテレワークを基本にスムーズに対応。

現在は、オフィスの機能を再定義した「つなぐオフィス」を設け、働く場所を選択できるニューノーマル時代の働き方を推進しています。

 

富士通株式会社

富士通では、多様な働き方を実現すべく、ニューノーマルにおける新たな働き方「Work Life Shift」を推進しています。

概要:

●国内グループ約8万人の従業員はテレワーク勤務を基本に。 ●コアタイムのないフレックス勤務を導入。 ●自宅、サテライトオフィス勤務など、働く場所を選択可能に。 ●物理的に離れた場所で仕事をする働き方に適用するため、ジョブ型人事制度を導入。 ●社員のコミュニケーション不足解消のために「ペット同伴勤務可能オフィス」を新設。

今後も、自社のパーパス実現にむけ最適な働き方を追求していくとともに、社内で実践した取り組みをリファレンスとして社外に提供していくそうです。

まとめ

近年は生産年齢人口の減少や、働く人の仕事に対する価値観の多様化、政府の働き方改革推進により、企業の多様な働き方への取り組みが急速に進んでいます。 多様な働き方の実現は、企業にとっては業務効率化や生産性向上、離職率低減、人材獲得が有利になるメリットがあります。労働者にとっても就業機会の拡大、ワークライフバランスの充実、ライフイベント(育児・介護など)を大切にしながら仕事に継続できることにもつながります。 多様な働き方の取り組みには、テレワーク、フレックスタイム制、時差出勤制度、短時間勤務・短時間正社員、副業(複業)・兼業、ジョブ型雇用、業務委託などさまざまなアプローチがあります。 現在は低コストのクラウドサービスが普及しており、企業規模にかかわらず多様な働き方が実現しやすい時代です。まずは他社の取り組み例などを参考に、自社で可能な多様な働き方への取り組みを進めてみましょう。

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