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キャリア自律とは?キャリア開発との違いや企業による支援の現状を解説

近年、変化の激しい社会環境のなかで、個人が自らのキャリアを主体的・継続的に開発する「キャリア自律」への注目が高まっています。将来を見据えた人材マネジメントの取り組みとして社員のキャリア自律に必要性を感じる企業は多いものの、自社での支援体制や実現度については課題を抱える担当者も少なくないようです。

この記事では、企業に実施した「社員のキャリア開発支援とキャリア相談に関する取り組みアンケート(日本CHO協会)」の回答をもとに、実態として明らかになったキャリア自律の企業による支援の現状を詳しく解説します。

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キャリア自律とキャリア開発

キャリア自律とは、個人が企業や組織に依存せず、自身のキャリアを主体的・継続的に開発していくことです。一方、キャリア開発とは社員のスキルやキャリアを中長期的に計画・開発することで、主に企業における人材育成の観点で用いられています。

めまぐるしく変化する不安定な環境下では、企業が社員のキャリアに責任を負うことは難しいのが現状です。個人においても自分のキャリアを会社に依存できない状態にあるため、企業・社員の双方にとってキャリア自律の重要性が増してきています。

さらにグローバル化や働き方の多様化が進む現代社会においては、積極的な学習により社員一人ひとりの成長や自律度を高められる「キャリア開発支援」の必要性も高まっています。

社員の主体的なキャリア形成が実現できれば、企業の競争力は高まり、新しいアイデアや事業を創出する力につながります。

一方で、自律的なキャリアを促すことによって、社員が他社へ転職してしまうのではと懸念する担当者もいるでしょう。キャリアの自律度が高く、肯定的な自己評価を持っている社員ほど、更に活躍できる場を求めて転職を考えるでしょう。

しかし、過去の研究では、企業が社員のキャリア開発を支援することで、仕事や企業に対するエンゲージメントが高まり、転職よりも現職に残る意識が高まるといわれています。

人材育成と生産性の向上、自社への定着を促す施策としても、企業には社員のキャリア自律を後押しし、積極的に支援していくことが求められます。

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キャリア開発支援に関する企業調査/キャリア自律支援の現状は?

社員のキャリア自律に向けた活動状況を調査した「社員のキャリア開発支援とキャリア相談に関する取り組みアンケート(日本CHO協会/2022年7月)」によると、これからの時代に社員のキャリア支援は「とても必要だと思う」と答えた企業は61%でした。「ある程度必要」と答えた企業37%と合わせると、全体の98%が支援の必要性を感じている結果となりました。多くの企業でキャリア支援を重視する姿勢が明らかになったといえるでしょう。

出典:日本CHO協会『「社員のキャリア開発支援とキャリア相談」に関する取り組みアンケート』

しかし、社員のキャリア開発・キャリア自律を支援する専門の組織については、40%が「人事・人材開発部門内に設置」、17%が「専門組織はないが、専任の担当者はいる」と答えたものの、全体の36%は「専門組織もなく、専任の担当者もいない」ことがわかりました。

出典:日本CHO協会『「社員のキャリア開発支援とキャリア相談」に関する取り組みアンケート』

社内にキャリア開発・キャリア自律に関する専門の組織や担当者がいなければ、たとえ企業が必要性を感じていたり学びに理解があったとしても、社員のキャリアに関する課題を共有する場がありません。それぞれの部署で独自に開発を進めなければならないため、キャリア開発における自社の状況の全体像を把握するのは難しく、社内風土としてキャリア開発・キャリア自律が浸透することは難しいでしょう。キャリア形成を図る社員が増えなければ、その成果や相乗効果を期待することも難しくなります。

一方、キャリア開発・キャリア自律を支援する組織や担当者がいる場合において、その役割は「社員がキャリアデザインやライフプランを考えるための教育・研修の企画・運営」が最も多くなっています。「キャリア面談やキャリアに関する相談ができる場や窓口の設置と実施」「社員の相談内容を踏まえた、職場環境改善に関する助言・提言・指導」が続くことからも、社員の視点に立って学習機会や情報を提供し、フォローの場を設けていることがポイントといえるでしょう。

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出典:日本CHO協会『「社員のキャリア開発支援とキャリア相談」に関する取り組みアンケート』

また、キャリア開発・キャリア自律を支援する主な対象層については「中堅・ミドル層」が最も多く、次いで「ベテラン・シニア層」「若年層」という結果になりました。日常業務に追われがちでキャリア形成の機会を十分に持てていない中堅・ミドル層とともに、雇用延長も想定しつつベテラン・シニア層のケアもおこなっている状況が見てとれます。

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出典:日本CHO協会『「社員のキャリア開発支援とキャリア相談」に関する取り組みアンケート』

中堅・ミドル層には今後の10年、20年を想定したキャリアの見直し、シニア層にはこれから組織でどのような貢献ができるのかを意識したキャリア開発・キャリア自律にチャレンジしてもらうことが大切です。ミドル・シニア層の社員には、本人の興味関心や志向によって、セカンドキャリアを視野に入れたサポートを行うのもよいでしょう。

若年層に対しても早い段階からキャリアを考えることの重要性を浸透させるために、日常業務と並行してキャリア自律支援もおこなっていく必要があります。

続いて、社員のキャリア開発・キャリア自律に効果的で必須ともいえる相談窓口の設置については、44%の企業が「キャリアに関する専用の相談窓口や体制はない」と回答しました。30%が「キャリアに関する専用の相談窓口や体制を敷いている」、22%が「キャリアに関する相談が専門ではないが、社員が何でも相談できる窓口や体制を敷いている」と答えているものの、多くの企業が十分なフォロー体制をとれていない状況にあります。

出典:日本CHO協会『「社員のキャリア開発支援とキャリア相談」に関する取り組みアンケート』

また、相談窓口や相談体制、相談方法は社員に周知徹底されているかについては「周知徹底は不十分」と感じている企業が59%と「周知徹底されている」の33%を大きく上回りました。「周知徹底されていない」の8%も合わせると、相談窓口は設置したものの、浸透までには至っていない実情が見受けられます。さらに74%の企業で自社社員が主体となって運営していることからも、キャリア開発支援を社内制度・仕組みとして組織内に構築できていないことは大きな課題といえるでしょう。

個別相談の窓口や相談体制については、設置してから「3年未満」が45%と最も多く、次いで「3年以上、5年未満」が21%という結果となっています。キャリア開発・キャリア自律の取り組みを開始してからまだ経験が浅く、63%の企業が「想定したほどには、活用されていない」と感じていることが明らかになりました。

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出典:日本CHO協会『「社員のキャリア開発支援とキャリア相談」に関する取り組みアンケート』

窓口が機能すれば、社員一人ひとりが自身のキャリアに興味を持つようになり、社内でさまざまなアプローチがおこなえます。キャリアに関するフィードバックやアドバイスができるようになることで、目標に向かってチャレンジする姿勢が称賛される風土や文化、スキルアップを評価する制度や仕組みが浸透しやすくなるでしょう。社員が積極的に自社で活躍できるようにするには、キャリア自律を促すと同時に社内公募制度などの、経験や挑戦ができる場を用意することも重要です。

現状では、キャリアに関する相談体制を活用している社員は「ベテラン・シニア層」が最も多く「若年層」「中堅・ミドル層」「女性社員」と続いています。

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出典:日本CHO協会『「社員のキャリア開発支援とキャリア相談」に関する取り組みアンケート』

高年齢者雇用安定法の改正で高年齢者の雇用確保が促進されるなかで、今後も増え続けると予測される「ベテラン・シニア層」がこれまでの経験を活かしつつ、さらに組織に貢献できるようなスキルの開発やキャリア自律を目指すことはますます重要となるでしょう。ベテラン・シニア層の活躍は組織全体の活性化につながり、他の層にも大きな影響を与えるといわれています。

次いで多かった「若年層」のうちからキャリア設計をおこない、自律意識を醸成していくことも大切です。社員が主体的にプランを設計し、企業が一緒になってキャリア開発に寄り添うこと、細やかなフォローや活躍の後押し・支援によってその実効性を高めていくことがポイントとなります。

また調査結果によれば、相談担当者が保有する主な資格は「キャリアコンサルタント」であり、担当者が持っている知識や技能には「キャリア形成支援に関する知識・技能」「カウンセリングに関する知識・技能」「人事労務管理に関する知識」「メンタルヘルスケアに関する知識・技能」などが挙がりました。

出典:日本CHO協会『「社員のキャリア開発支援とキャリア相談」に関する取り組みアンケート』

続いて、自社における位置づけや経営活動との関連については「組織の実態や課題に合わせ、運営方法を改善・工夫している」という回答が最も多くなりました。「人事制度や人事諸施策と、密接に関連付けられている」「社員の声や実際の利用者の声を反映し、適宜修正・改善されている」「経営層や管理職層から、充分な理解・協力を得られている」なども上位を占めています。

出典:日本CHO協会『「社員のキャリア開発支援とキャリア相談」に関する取り組みアンケート』

この質問・回答からは、各社の実態や課題に合わせたキャリア自律支援策が、人事部門を中心とした社員の声により改善・見直しをされながら取り組まれていることが明らかになりました。経営・管理職層からはその取り組みに対する理解・協力を得られており、問題や課題が共有されていることも見受けられます。

今後は、まだまだ件数が少ない相談活動を通じて明らかになった課題の解決を組織的に取り組むこと、社員一人ひとりのキャリア自律を組織の戦略や目標の達成に欠かせない機能として位置付けることが重要なポイントとなるでしょう。

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まとめ

社員のキャリア開発支援に関する企業調査からは、キャリア自律の重要性をある程度理解している企業の姿が多く見受けられます。一方で、社員のキャリア形成を支援する専門組織を設けていない企業も多く、今回の調査では社内制度や仕組みとして構築が進んでいない現状が見えてきました。特にキャリア開発・キャリア自律に効果的な相談窓口の設置が十分ではなく、社員のフォロー体制をとれていないことが課題となっています。

キャリア開発・キャリア自律を推進するために喫緊に取り組むべきは、社員と企業がキャリアプランを共有し合える仕組みをつくることです。フォロー体制も含め、社員のキャリア形成を積極的に後押しする組織風土・環境づくりが急務といえるでしょう。

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