おすすめ特集・コラムBPRとは?意味や進め方から導入事例までわかりやすく解説
公開日:2024.11.08 更新日:2024.11.08
- BPO・アウトソーシング
ビジネス環境の急速な変化や市場競争の激化に伴い、企業は業務効率化と生産性向上への取り組みを強化する必要性に迫られています。BPRは「業務改革」とも呼ばれ、組織全体のプロセスを包括的に見直し、最適化を図ることを目指します。企業がBPRを実現するためにはどのような取り組みが必要となるのでしょうか。
この記事では、BPRの意味や業務改革に取り組む手順、導入事例についてわかりやすく解説します。
4ステップで進める業務効率化
業務効率化を進めるにあたっては、まず現状を整理しそのうえで問題把握、業務分析を行います。まずは解決難易度の整理を行い検討・実行するのが基本です。
- STEP1 現状整理
- STEP2 業務分析/問題把握
- STEP3 解決難易度の整理
- STEP4 解決策の検討と実行
業務効率化施策の実行は、状況に応じて複数の施策を組み合わせることが大切です。ぜひ本資料をご活用ください。
BPRとは
BPRとは「Business Process Re-engineering」(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)の頭文字を取った用語で、日本語では「業務改革」と訳されます。組織の目標を達成するために、プロセスの観点から既存の業務や制度を根本的に見直し、再設計することを意味します。
BPRに含まれる要素
BPRという手法は、マイケル・ハマーとジェームス・チャンピーによる書籍『リエンジニアリング革命:企業を根本から変える業務革新』(1993年出版/日本経済新聞社)によって広く知られるようになりました。この書籍においてBPRは以下のように定義されています。
「コスト、品質、サービス、スピードのような、重大で現代的なパフォーマンス基準を劇的に改善するために、ビジネス・プロセスを根本的に考え直し、抜本的にそれをデザインし直すこと」
上記の定義から、BPRを実現するためには「①根本的」「②抜本的」「③劇的」「④プロセス」の4つのキーワードを意識した業務改革を進める必要があります。
業務改善との違い
BPR(業務改革)は業務フロー全体を見直しの対象とし、既存の事業内容や組織構造にとらわれずに抜本的な改革をおこないます。一方、業務改善は業務フローの一部、見直しが必要な特定の業務を改善する取り組みです。また、組織全体を最適化するために長期的な視点で取り組むBPRとは異なり、業務改善は短期的な視点で部分的に既存業務の効率化を目指します。
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DXとの違い
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術の活用によって業務プロセスやビジネスモデルを変革し、自社の競争優位性を確立する取り組みをいいます。どちらも改革をおこなうという点で共通しますが、BPRはプロセスの観点から業務を再設計する取り組み、DXはデジタルの力で主に組織そのものを変革する取り組みという違いがあります。
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BPRに取り組むメリット・デメリット
BPRに伴う業務プロセスの可視化により、円滑な業務進行を阻害する非効率な要素を見つけやすくなります。課題をもとにプロセスを再構築することで業務効率が改善し、生産性の向上につなげることができます。これにより、従業員の負担軽減や業務品質の向上も期待でき、従業員満足度と顧客満足度を同時に高められるメリットがあります。
一方で、業務改革を実現するには多大な労力とコストを要します。BPRでは業務フロー全体を根本的に見直すため、既存の業務を大幅に変更することへの反発が起こる可能性があります。BPRを実施する過程では現場の従業員を巻き込み、業務改革の目的や必要性について理解してもらうことが大切です。
BPRを推進する方法
BPRを推進していくためにはどのような方法があるのでしょうか。
ここでは業務プロセス改善の代表的な手法として「BPO」「ERP」「シェアードサービス」をご紹介します。
BPO
BPOは「Business Process Outsourcing」(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の頭文字を取った用語で、社内の業務プロセスを外部企業に委託することをいいます。BPOでは業務プロセス全体を委託先に任せるため、発注側が業務の企画や設計、進め方を指示することはありません。企業はコア業務に資源を集中できるだけでなく、委託先の知見やノウハウを活かし、業務品質の改善につなげられるメリットもあります。
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ERP
ERPは「Enterprise Resources Planning」(エンタープライズ・リソース・プランニング)の頭文字を取った用語で、企業が持つ経営資源を一元に管理して有効活用する手法、およびそれを実現するシステムをいいます。ERPシステムを導入すると、拠点や部門ごとに管理していた企業活動の根幹となる情報を集約でき、迅速な意思決定や業務の効率化、生産性の向上が実現します。複数のシステムを統合することで、情報システム部門の業務負担を軽減できるメリットもあります。
シェアードサービス
シェアードサービスとは、グループ企業内の間接部門を集約し、業務効率化やコスト削減を図る手法のことです。シェアードサービス部門として本社に設置するほか、子会社として独立させる方法もあります。対象となる部門は、経理部や人事部、総務部、情報システム部、カスタマーサポートなど多岐にわたります。業務品質の向上やガバナンス強化などさまざまなメリットが期待できる一方、導入時に発生する膨大なコストや労力が課題になると考えられます。
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BPRの進め方
BPRの基本的な進め方を5つのステップで解説します。
【1】検討
まずはBPR導入の目的・目標を設定し、対象の業務範囲を明確にします。
目的や目標を設定する際には、階層の異なる社員から現状の課題や改善点をヒアリングします。現場の意見も取り入れながら、トップが示す企業戦略に則った方針を設定することが重要です。あわせて、BPRの対象とする業務範囲を検討し、何から取り組むべきか優先順位を決めておきます。
【2】分析
次に、BPRを実施する業務の課題を分析します。
このフェーズでは対象業務を可視化し、現状の業務内容やフローにどのような課題があるか把握します。課題を洗い出す際には、ABC分析やBSC(バランススコアカード)、ベンチマーキング、プロセスマッピングなどの手法を活用できます。
【3】設計
分析結果をもとに戦略・方針を策定し、業務改革に向けた実施方法を検討します。
あわせてビジネスプロセスの最適化もおこない、変革後の業務フローやルールを再設計します。高い効果が見込めるものから優先的に取り組み、設計したビジネスプロセスは社内全体で共有します。
【4】実施
策定したBPRを実施します。
BPRは長期的な視点で取り組む抜本的な改革であり、効果が現れるまでに時間がかかります。最終的なゴールまでの間にチェックポイントをつくり、それまでの目標が達成されているかを確認し、必要に応じて軌道修正するようにしましょう。
【5】モニタリング・評価
BPR実施後はモニタリングと効果測定をおこないます。
計画との相違がないか、ビジネスプロセスがきちんと機能しているか確認し、問題があれば速やかに原因を究明し改善を図る必要があります。あわせて、モニタリングの数値と目標値を比べ、達成度を評価します。
BPRの導入事例
ここではBPR導入の参考となる企業事例をご紹介します。
BPRを取り入れることでどのような効果が得られたのか見ていきましょう。
日鉄ケミカル&マテリアル
日鉄ケミカル&マテリアルでは、グループ会社の共通基幹業務システムを再構築する大規模プロジェクトを実施し、業務の標準化や内部統制の促進、品質管理の強化を実現しました。これまでバラバラに管理していたグループ会社のデータを一元管理したことで、受注・在庫・生産状況をリアルタイムに把握できるようになり、リードタイムの短縮や在庫低減、生産計画の迅速化につなげています。
参考:事例紹介 日鉄ケミカル&マテリアル株式会社様|キヤノンITソリューションズ株式会社
日刊スポーツ新聞社
日刊スポーツ新聞社では、老朽化が進んでいたCMS(コンテンツ管理システム)を刷新し、情報配信スピードの大幅アップに成功しています。短いサイクルで必要な機能ごとに開発とリリースを繰り返す「アジャイル開発」により、自社のこだわりや細かい要求にも対応できるシステム開発を実現しました。さらに、メディアの更新作業にワークフローを採用したことで、個々の役割や作業分担が明確になり、メディア事業の中核となる業務フローへの理解も進んだとのことです。
参考:事例紹介 株式会社日刊スポーツ新聞社様|キヤノンITソリューションズ株式会社
まとめ
BPRとは、既存の業務フローや組織構造を根本的に見直し、抜本的に再構築することをいいます。BPRを推進する手法として「BPO」「ERP」「シェアードサービス」などがあり、複数の手法を組み合わせて業務改革に取り組むケースもあります。企業を取り巻く環境の変化に対応し、他社との競争に遅れをとらないためには、全社的な視点でビジネスプロセスを最適化するBPRの取り組みが求められています。
以下の資料では業務効率化を進める手順を4ステップでわかりやすく解説し、自社課題に即した具体的な改善策を立案・実行するプロセスを示しています。自社の業務効率化を前進させたい企業様はぜひご活用ください。
4ステップで進める業務効率化 ~課題整理から実行まで詳しく解説~
業務効率化を進めるにあたっては、まず現状を整理しそのうえで問題把握、業務分析を行います。業務効率化には状況に応じた複数の施策を組み合わせることが大切です。課題に適した戦略的アプローチのための具体的な進め方をご紹介します。
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