SAPとは?SAP SE とS/4HANAを知るところから始めてみよう ERPも解説  

SAP ERP導入企業はいよいよSAPの2027年問題を無視できない状況になってきたのではないでしょうか。コロナの混乱を抜け出すまでの約3年、その間もS/4HANAは日々進化している状況です。本記事では「今さら聞けないSAPとは?」というテーマでSAP SE 社とSAP S/4HANAの概要をまとめてみました。複雑でわかりにくいSAPとは?について、皆様にできる限りわかりやすく解説いたします!

SAP SEという会社から理解しよう

「SAP」とは?主に会社と製品のことを指しています。まずは会社のSAPから説明してみましょう。会社のSAPとは、SAP SEのことで1972年に設立され、ドイツに本拠を置く世界的なソフトウェア企業です。SAPは「Systems, Applications and Products in Data Processing(データ処理のためのシステム、アプリケーション、製品)」の略称です。同社は、企業の業務プロセスを統合し、最適化するためのソフトウェアソリューションを提供しています。

SAPの主力製品は「SAP ERP(Enterprise Resource Planning)」であり、企業の業務プロセスを統合管理するための包括的なソフトウェアです。また、SAPはさまざまな業界向けに特化したソリューションも提供しており、世界中の多くの大企業や中小企業の経営者と社員が使用しています。SAPのソフトウェア製品はグローバルなプレゼンスを持っており、企業の業務効率を向上させ、競争力を高めるために重要な役割を果たしています。

SAPは企業の課題を解決し世界的に実績があり、数多くの業種に事例を持つERPパッケージということですね。「SAPとは、ERPである」ということをまずは理解しましょう。

SAP S/4HANAとは? その概要とERPを知ってみよう

次に製品のSAPについて説明します。製品のSAPとはSAP S/4HANAのことで、SAP SEが提供する次世代ERP(Enterprise Resource Planning)ソフトウェアです。これは、企業のビジネスプロセスを効率化し、自動化するための包括的な基幹ソリューションです。財務会計、管理会計、人事、調達、販売、購買、在庫管理、生産管理などの機能を統合的にカバーします。

最新版は、RISE with SAPであり、クラウドサービスとしてERPおよび、デジタルトランスフォーメーション(DX)を進めるために必要なソリューションを包括的に提供する製品となっています。

具体的には、SAP S/4HANA、SAP Business Technology Platform、SAP Business Network、SAP SuccessFactors、SAP Customer Experience、SAP Fieldglass、SAP AribaなどのSAPと連携する製品・サービスを組み合わせた包括的なDXソリューションを提供しています。

SAP S/4HANAの機能的メリット

では次にSAP S/4HANAの機能的メリットを整理してみましょう。

高速なトランザクション処理

SAP S/4HANAは、高速なトランザクション処理を実現するために、インメモリテクノロジーを採用しています。これにより、データをメインメモリに格納することで、高速なアクセスが可能になり、ビジネスプロセスの高速化につながります。

リアルタイムデータ処理

SAP S/4HANAは、リアルタイムデータ処理を可能にすることができます。これにより、ビジネスの意思決定を迅速に行え、ビジネスの変化に柔軟な対応が可能です。

改善されたユーザーエクスペリエンス

 SAP S/4HANAは、より直感的でユーザーフレンドリーなインターフェースを提供しています。これにより、ユーザーがより簡単にタスクを実行し、ビジネスプロセスを迅速かつ正確に実行することができます。

統合されたプラットフォーム 

SAP S/4HANAは、複数のシステムやプラットフォームを統合することができます。これにより、データの整合性が確保され、ビジネスプロセスの効率性が向上します。

クラウドとオンプレミスの両方をサポート 

SAP S/4HANAは、クラウドとオンプレミスの両方をサポートし、導入支援や保守運用をしています。これにより、企業は自分たちに最適な展開方法を選択することができ、柔軟性が高まります。

SAP S/4HANAへの道
知っておくべきこと、今からやれること、とは?

SAP S/4HANA導入のメリット

では次にSAP S/4HANA導入のメリットや特徴を整理してみましょう。

リアルタイムの情報にアクセス可能 

SAP S/4HANAは、リアルタイムでの情報の提供が可能です。このため、ビジネスの意思決定が速く、正確になるとともに、問題が発生した場合には、迅速な対応ができるため、ビジネスの安定性を維持することができます。

プロセスの自動化が可能 

SAP S/4HANAは、ビジネスプロセスを自動化することができます。例えば、財務、人事、調達、販売などのプロセスを統合的な管理が可能です。これにより、ビジネスプロセスのスピードアップやエラーの削減が可能になります。

データの正確性が向上 

SAP S/4HANAは、データの正確性を確保するために、データの統合性を高めています。また、人的ミスや重複エラーを排除することが可能になるため、企業はより正確で信頼性の高いデータを分析し、データ活用の実現が可能です。

モバイルアクセスが可能 

SAP S/4HANAは、モバイルアクセスにも対応しています。モバイル端末からアクセスすることができ、場所や時間にとらわれずにビジネスの実行が可能です。

クラウドベースの展開が可能 

SAP S/4HANAは、クラウドベースの展開にも対応しています。これにより、企業は運用コストを削減し、ビジネスプロセスをより柔軟かつスピーディーに実行することができます。

SAP S/4HANA導入のデメリット

しかし、どんなものにもデメリットはあるはずです。次にSAP S/4HANA導入のデメリットを考えてみました。

導入コストが高い 

SAP S/4HANAの導入には高いコストがかかる場合があります。これは、システムの導入に必要なハードウェアやソフトウェア、カスタマイズ、トレーニング、コンサルティング費用などが含まれます。また、SAP S/4HANAに必要なITスキルを持つ専門家の確保も必須となり、これらの費用は高額になることがあります。

導入に時間がかかる 

SAP S/4HANAの導入には時間がかかる場合があります。これは、システムのアップグレード、データの移行、プロセスの再構築、トレーニング、カスタマイズなど、多くの作業が必要なためです。そのため、導入に必要な時間が企業にとって許容できない場合もあります。

専門的なスキルが必要 

SAP S/4HANAの導入には、高度なITスキルを持つ専門家による導入が必要です。これは、システムの導入や設定、トラブルシューティングなど、多くの技術的な作業が必要であるためです。そのため、企業は、IT部門の拡充や専門家の確保など、追加の費用を投資する必要があります。

カスタマイズの限界

SAP S/4HANAは、企業に合わせてカスタマイズすることができますが、ある程度の制限があります。特に、SAP S/4HANAは、新しいデータモデルやインメモリテクノロジーに基づいて開発されているため、それに合わせたカスタマイズが必要になる場合があります。また、カスタマイズには、高度な技術スキルが必要であり、専門家のアドバイスを受ける必要があります。

依存性の問題 

SAP S/4HANAを導入すると、企業は、SAPに対する依存度が高くなります。SAPは、企業のビジネスプロセスに影響を与えるアップグレード、変更、修正などを行えるため、企業は、SAPに依存することになります。これは、企業にとって柔軟性の欠如やコントロールの欠如をもたらすことがあります。

まとめ

「SAPとは?SAP SE とS/4HANAを知るところから始めてみよう」と題して、ご紹介してまいりました。SAPとは会社と製品のことを指していることが理解できたと思います。そして、SAP S/4HANAの機能的なメリットとS/4HANAを導入する企業にとってのメリットとデメリットも整理できました。

また、S/4HANAのクラウド製品であるRISE with SAPを導入することで、導入企業はハードウェアやソフトウェアのインフラストラクチャーを自社で用意する必要がなくなります。コスト削減が実現できるとともに、デジタルトランスフォーメーションを進める上で必要な機能を包括的に得ることもできます。

企業は、SAP導入前にこれらのメリットとデメリットを理解し、リスクと利益を考慮して、導入の意思決定を行う必要があるのではないでしょうか?

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