Aribaは購買システムというイメージ?SAP Aribaには最大の強みがある

企業において重要な業務の1つに購買業務が存在します。購買業務や購買業務システムに関する内容は下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。「購買業務の大きな助けとなる、SAP Aribaとは何か?」

本記事では、もっと詳しくSAP Aribaを利用する際の購買業務の流れについて説明していきながら、SAP Aribaの最大の強みを解説いたします。

■SAP Aribaは購買システム?

SAP Aribaは、電子調達、契約管理、電子購買といった購買管理を行うためのクラウド型Webシステムです。SAPの関連システムであるためSAPとの連携機能も豊富に備えられています。また、SAP Aribaを他企業と連携するための「Ariba Network」には190カ国、410万を超える企業が参加しており、電子購買の分野では世界一のシェアを持っています。「Ariba=購買システム」というイメージが定着していますね。

■SAP AribaとAriba Network

本題に入る前に、少しAriba Networkについて説明します。その名の通り、Ariba NetworkはAribaを用いた購買業務を繋ぐためのネットワークのような存在ですが、Ariba Network自体が独立したWebシステムを保持しています。

そのため、仕入先側はSAP Aribaを導入する必要は無く、Ariba Networkに加入さえすれば、Ariba Networkの画面上で、注文者側から送信された各種依頼や通知を参照することが可能です。

また、SAP Aribaからの注文はAriba Networkに加入している仕入先しか利用できないというわけではありません。メール等の手段を用いて、Ariba Networkに加入していない仕入先と購買業務を進めることも可能です。

■SAP Aribaを用いた購買業務の流れ

SAP Aribaを用いた購買業務の流れを記載します。状況に応じて処理の順番は前後しますので、今回は一例としてご参照下さい。

また、承認関連は基本的に記載を割愛していますが、ほぼ全てのAriba上の処理では動的な承認フローを設定可能です。そのため、注文した物品の価格や種類に応じて承認者を変更するなど、都度適切な承認フローを自動生成することができます。

  1. 仕入先と契約を結ぶ

SAP Aribaでは契約関連の管理も可能です。詳細な流れは今回割愛しますが、「DocuSign」のような電子署名システムと併せて利用することも可能なため、全てオンライン上で処理を完結することができます。

また、この際に年間の取引量や価格の条件を定めておき、後に購買依頼をする際、その条件に応じてシステム上で制御することも可能です。

  1. 見積依頼を出す

仕入先を指定して見積依頼を出します。Ariba Networkに参加している仕入先であれば、Ariba Network上で見積依頼を参照し、見積回答を提出することができます。また、Ariba Networkを利用していない仕入先に対しても、メール等を用いて見積依頼を出すことも可能です。

また、当然ですが、指定する仕入先の数は任意のため、複数社の見積を取って比較する、それに応じて仕入先を新たに拡張する、といったことも容易に可能です。

  1. 購買依頼・購買発注を出す

受領した見積を元に購買依頼を作成し、購買発注情報を仕入先に送付します。見積と同様、Ariba Networkに参加している仕入先はAriba Network上で購買発注を参照でき、注文を受領するかの回答(諾否回答)もシステム上で可能です。

  1. 発注した物品を受領する

仕入先から出荷通知を受領し(これもAriba Network上で可能です)、実際に物品を受領します。検品を行い、問題無ければ検収処理をAriba上で実施、その結果が仕入先に通知されます。

  1. 請求処理を実施する

仕入先がAriba Network上で請求データを作成し、送信します。送信された請求関連のデータもAriba上で参照可能です。

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■SAP Aribaの最大の強み

では、このような購買業務の流れの中で、SAP Aribaが最も力を発揮できるのはどこの部分でしょうか。SAP Arivaの最大の強みを解説いたします。

  1. 見積依頼を複数仕入先から容易に選択できる

SAP Aribaの最大の強みはAriba Networkに加入している仕入先の数です。日本の商習慣ではどうしても特定の仕入先に偏りがちで、見直しをする機会がなかなか訪れないことも有るかと思います。しかしSAP Aribaでは複数仕入先から見積を取り、回答結果を比較することが容易に可能です。

よって、新規の取引先の開拓、既存の仕入先の見直しが常に行えるため、購買業務のコスト削減に大いに貢献することができます。

  1. 購買依頼を作成することの容易さ

Ariba購買業務の大きな特徴に、関わるユーザ数が多くなりやすいという点が挙げられます。間接材の場合など、普段購買業務にあまり携わらないユーザが購買依頼を出すケースもあります。しかしその際、UIが難解・理解しにくいものであると、依頼したいユーザ部門、購買部門の双方に大きな負担がかかってしまいます。

その点、SAP Aribaは一般の通販サイトに、きわめて近いUIで購買依頼を容易に作成することできるので、初期の導入コスト・ランニングコストの無駄を削減可能です。

  1. SAPとの連携機能

SAP AribaはSAPの関連システムの1つであり、連携機能が標準で用意されています。そのため、先に挙げた購買業務のフローのうち、担当部門や業務都合で検収以降のフローはSAP実施したいというケースや、請求処理のみSAPで実施したいという場合も対応が可能です。

また、SAP側でも購買依頼を作成することが有り、使い分けをしたいというケースであっても、 SAP Aribaで作成したデータをSAPに連携し、一元管理することが可能になります。SAP Aribaでは在庫管理やMRPの対応が出来ないという欠点も、SAPとの連携を用いれば解消することが出来ます。業務の都合に合わせ、SAPとSAP Aribaで役割を分担し、柔軟に対応することが出来るのです。

■まとめ

「Aribaは購買システムというイメージ?SAP Aribaには最大の強みがある」と題して、ご紹介してまいりました。SAP Aribaを用いた購買業務の流れと特徴に触れながら、SAP Ariba購買の強みを解説いたしました。

まだまだ日本ではマイナーなSAP Aribaですが、SAPのマイグレーションの流れに応じて徐々に導入する企業も増えてきています。SAPの導入を検討されている、もしくはSAPのマイグレーションを検討されている方などは、これを機会にぜひ一度導入の検討をされてみてはいかがでしょうか。

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