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【2025年最新】女性活躍推進法とは?導入の背景や企業がすべき取り組み、最新動向を解説!

「女性活躍推進法」は、働く場面で女性が活躍できる社会をつくるために2016年4月に施行されました。この法律は2025年度末までの時限立法として制定されました。

この記事では「女性活躍推進法」を取り上げ、その概要や法改正のポイント、企業に義務づけられている女性の活躍推進に向けた行動計画の策定と情報の公表の仕方について詳しく解説します。

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女性活躍推進法とは?

2016年4月に施行された「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」は通称・女性活躍推進法と言われ、働く場面で女性が個性と能力を十分に発揮できる社会の実現を目指すことを目的に策定されました。

この法律は2025年度末までの時限立法で、企業に対し一般事業主行動計画の策定と女性活躍に関する情報公表を義務付けています。なお、常時雇用する労働者が101名未満の企業では努力義務とされています。

参考女性活躍推進法とは(厚生労働省による解説動画)

3つの基本原則

女性活躍推進法では、以下の3つを基本原則としています。

  • 女性に対する採用、昇進等の機会の積極的な提供及びその活用と、性別による固定的役割分担等を反映した職場慣行が及ぼす影響への配慮が行われること
  • 職業生活と家庭生活との両立を図るために必要な環境の整備により、職業生活と家庭生活との円滑かつ継続的な両立を可能にすること
  • 女性の職業生活と家庭生活との両立に関し、本人の意思が尊重されるべきこと

引用女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の概要|厚生労働省

次世代育成支援対策推進法との違い

次世代育成支援対策推進法と女性活躍推進法には共通する項目が多くありますが、目的が異なっています。

女性活躍推進法は働く女性が活躍できる職場環境の整備を推進する法律であるのに対し、次世代育成支援対策推進法は子育てしやすい環境整備の促進を目的としています。しかし今の日本では子育てにおける女性の負担が依然として大きいため、これら2つの法律には重複する部分があります。

男女共同参画社会基本法との違い

男女共同参画社会基本法は、女性活躍推進法よりも幅広い場面を対象としています。男女共同参画社会基本法は、社会の構成員として男女が対等に扱われ、ともに社会に参画できる環境を整えることを目的とした法律です。女性活躍推進法が職業生活における女性の活躍に焦点を当てている一方、男女共同参画社会基本法は、社会全体を対象とし、男性の不利益も対象範囲に含めています。

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女性活躍推進法が導入された背景

女性活躍推進法は、働く場面において女性の個性や能力が十分に発揮できない環境や、女性のキャリア形成の難しさを背景に制定されました。それぞれの要因について解説します。

ジェンダーギャップが大きい

日本のジェンダーギャップは諸外国に比べて大きく、女性活躍推進法が制定された前年の2015年のジェンダーギャップ指数は0.67で101位でした。特に賃金や管理職の比率において格差が顕著で、全上場企業における女性役員比率は、2015年時点で2.8%と国際的にも低い状況でした。

その後もあまり大きな変化はなく、2023年のジェンダーギャップ指数は0.647で146ヶ国中125位、2024年のジェンダーギャップ指数は0.663で146ヶ国中114位でした。

関連記事ジェンダーギャップ指数とは?日本の現状と改善にむけた取り組みをご紹介

女性のキャリア形成が困難になっている

日本のジェンダーギャップが大きい背景には、女性の勤続年数の低さが一因だと言われています。女性のキャリア形成上の課題を見てみましょう。

○就業を希望しながらも働いていない女性が多い
生産年齢人口(15〜64歳)における女性の就業率は上昇しているものの、就業する意思はあっても現状として働いていないケースも多く、女性の就業希望者数は約161万人にのぼります。

○出産後の就業継続が叶わないケースがある
第1子出産後も就業を継続する女性の割合は約7割と、近年は出産や育児を理由とした離職は減りつつあります。しかし、女性が就業継続を望んでいるにもかかわらず、離職を余儀なくされるケースも少なからず存在しています。

○出産・育児後に非正規雇用労働者として再就職するケースが多い
出産・育児後の再就職ではパートタイム労働者になることが多く、女性雇用者における非正規雇用労働者の割合は53.4%となっています。

○管理的立場にある女性が少ない
課長級以上の管理的立場にある女性の割合は約12.1%と、日本における女性管理職の割合は緩やかに上昇しています。しかし、国際的に見ると依然として低水準であり、日本では管理的立場にある女性がまだ少ないのが現状です。

関連記事女性管理職が少ない理由とは?企業の増やす取り組みとメリットを解説

M字カーブとL字カーブについて

年齢層ごとに見た女性の就労状況の推移の特徴として、「M字カーブ」と「L字カーブ」が挙げられます。

出典男女共同参画局 | 男女共同参画白書 令和4年版 | 2-10図 女性の年齢階級別正規雇用比率(L字カーブ)(令和3(2021)年)

M字カーブは、女性の労働力率(15歳以上人口に占める労働力人口の割合)が、30歳前後で一度下がり、30代後半から再び上昇することを表すグラフがM字に似ていることから名付けられました。30歳前後は結婚や出産を機に退職する人が増え、育児が落ち着いた30代後半から仕事復帰する人が現れ始めるためだと考えられます。

L字カーブは、女性の正規雇用比率が、25〜29歳のピークに向けて急激に上昇し、30代から一気に右肩下がりになる様子がLを倒したような形に見えることから名付けられました。女性の場合、就職活動を経て正社員になっても、30代になって妊娠・出産をした後に正規雇用として復職するケースは少ないことが読み取れます。

企業側の取るべき対応(1) 行動計画の策定方法

女性活躍推進法では常時101人以上の労働者を雇用する事業主に対して「一般事業主行動計画の策定・届出」と「女性の活用に関する情報の公表」を義務付けています。ここではまず一般事業主行動計画について解説します。

一般事業主行動計画とは、自社の女性活躍に関する状況把握と課題分析を行い、それを踏まえて策定した行動計画です。

■参考女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定しましょう!(厚生労働省)

ステップ1:自社の現状把握

まずは雇用管理区分(雇用形態や人事異動の幅での分類)ごとに以下の基礎項目について現状を把握し、課題分析を行います。

1. 女性の採用比率
2. 男女の平均継続勤務年数の差異
3. 労働時間の状況
4. 女性管理職の比率

この4つに加え、2022年7月施行の改正女性活躍推進法によって、常時雇用の従業員数が301人以上の企業は「男女の賃金の差異」も必須項目となりました。

また現状把握においては、選択項目として女性に対する職業生活の機会提供や、家庭との両立支援体制に関する項目も活用します。

関連記事【2025年】女性役員比率19%を目指す|政府方針の概要と現状

ステップ2:一般事業主行動計画の策定

ステップ1で明確化した課題を改善するための行動計画を立てます。目標の数には上限はありません。行動計画を策定する際は、厚生労働省が提供している行動計画策定のための支援ツールや、各自治体の労働局のホームページなどにあるテンプレートなどを活用することをお勧めします。

なお、一般事業主行動計画には、必ず以下の4つを盛り込みます。
● 計画期間
● 数値目標
● 取組内容
● 取組の実施時期

数値目標は、事業主行動計画策定指針も参考にすると良いでしょう。目標を具体的な取り組みに落とし込んだら、開始時期を定めます。計画期間は企業の状況を踏まえ、2年~5年程度で無理のない期間を設定しましょう。

ステップ3:社内外への周知と労働局への届出

一般事業主行動計画は、策定後おおむね3か月以内に社内外に公表し、都道府県労働局雇用環境均等部(室)へ届出を行います。公表と届出はどちらが先でも構いません。

社外に公表する場合は、厚生労働省が運営するウェブサイト「両立支援のひろば」や「女性の活躍推進企業データベース」、自社のホームページ、県の広報誌・日刊紙などを用います。従業員への公表は、社内の掲示や紙資料の配布、電子メールでの送付、イントラネットへの掲載などで対応します。

労働局に届け出る際は「一般事業主行動計画策定・変更届」(様式第一号)または次世代育成支援対策推進法の行動計画と一体型の様式を用います。

■参考雇用環境・均等部関係様式集

ステップ4:実施後の効果検証

一般事業主行動計画は、公表、届出をして終わりではなく、設定した目標達成に向けて施策を実行することが重要です。計画期間終了後は実施効果について検証し、新たに浮上してきた課題があれば、改めて目標を設定して一般事業主行動計画を更新し、変更届とともに労働局に提出します。

企業側の取るべき対応(2) 情報の開示

企業は女性の活躍に関して情報公表する義務があります。企業規模ごとの公表項目について以下にまとめました。

常時雇用の従業員数が301人以上の企業
-①の区分から「男女の賃金の差異」を含めた2項目以上
-②の区分から1項目以上
合計3項目以上公表する必要があります。

常時雇用の従業員数が300人以下の企業
-①と②の全項目から1項目以上
公表する必要があります。

出典女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定しましょう!|厚生労働省

これらの情報はおおむね年1回以上の更新が望ましいとされています。厚生労働省が運営するウェブサイト「女性の活躍推進企業データベース」や自社のホームページなどに掲載し、求職者がいつでも閲覧できる状態にします。

関連記事男女賃金格差の開示義務とは?女性活躍推進法改正により企業が対応すべきこと

女性活躍推進法に基づいた政府の取組み

ここでは、政府が行う女性活躍推進法に基づいた2つの取り組みを紹介します。1つは行動計画の実施状況をもとに評価する「えるぼし認定」制度。もう1つは、情報発信としての「女性の活躍推進企業データベース」の運営です。

えるぼし認定制度

「えるぼし認定」とは、厚生労働が、行動計画の策定・届出を行った企業の中で行動計画の実施状況が優良な企業を認定する制度です。次の5つの評価項目が設定されています。

● 採用
● 継続就業
● 労働時間等の働き方
● 管理職比率
● 多様なキャリアコース

基準を満たす評価項目の数と、実績の公表状況などから3段階でえるぼし認定がされます。さらに、5つの項目をすべて満たした上に継続就業や管理職比率で一定水準を超えた実績をあげた企業は、プラチナえるぼしに認定されます。

関連記事【女性活躍推進法】プラチナえるぼしの認定基準と行動計画の立て方

えるぼし認定を受けると、認定マークを使用することで女性活躍推進を社会にPRできるだけでなく、公共調達の加点評価を受けられたり、「働き方改革推進支援資金」特別利率による資金融資が受けられたりします。そのため、人材活用だけでなく資金調達の面でもメリットが多くあります。

「女性の活躍推進企業データベース」の運営

「女性の活躍推進企業データベース」は厚生労働省が運営するウェブサイトで、女性活躍推進法に基づく行動計画を策定・公表した企業の取り組み内容が掲載されています。女性活躍企業ランキングや、大学生・就活生に向けた情報発信も行っており、企業はデータベースへの掲載を通じて自社の活動をアピールするとともに、他社の取り組みやその成果を参考にすることができます。

関連サイト女性の活躍推進企業データベース|厚生労働省

法改正これまでの動向

女性活躍推進法は段階的に法改正がおこなわれています。ここでは2020年以降に実施された法改正のポイントを紹介します。

【2020年4月/6月】行動計画の策定と情報公表の強化

常時雇用の従業員数301人以上の企業を対象に、2020年4月施行の改正法では行動計画の策定方法、2020年6月施行の改正法では情報公表の方法がそれぞれ変わりました。対象の企業は行動計画の策定と情報公表において「①女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供」「②職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備」の区分からそれぞれ1項目以上選択する必要があります。

【2020年6月】プラチナえるぼしの創設

2020年6月施行の改正法では、えるぼし認定を受けた企業のなかから女性活躍の取り組みが特に優良な企業を認定する「プラチナえるぼし」が創設されました。プラチナえるぼし認定を受けるには「女性の職業生活における活躍の状況に関する実績に係る基準」の5項目(採用/継続就業/労働時間等の働き方/管理職比率/多様なキャリアコース)をすべて満たす必要があります。

【2022年4月】対象事業主の拡大。中小企業も対象に

2022年4月施行の改正法では、女性活躍推進法に基づく「行動計画の策定・届出」と「女性の活躍に関する情報公表」が義務付けられる対象事業主が拡大しました。2022年4月1日以降は常時雇用の従業員数101人以上の企業が対象となり、それまで努力義務とされていた従業員数101人以上300人以下の企業にも行動計画の策定と情報公表が義務付けられました。

【2022年7月】情報公表の項目追加

2022年7月施行の改正法では、常時雇用の従業員数301人以上の企業を対象に、女性の活躍に関する情報公表項目が追加されました。従来の項目に加え「男女の賃金の差異」(男性の賃金に対する女性の賃金の割合)も公表する必要があります。これにより、合計3項目以上の情報公表が必須となりました。

<検討課題>女性活躍推進法が10年間延長?

2024年10月に女性活躍推進法の10年延長が提言され、同年12月に厚生労働省が改正案をまとめました。その中では、従来の取り組みに加え、女性特有の健康課題への取り組みや職場でのハラスメントなどの対策強化も行動計画に盛り込む必要性が指摘されています。

10年延長を提言する背景には、M字カーブの緩和など女性活躍が推進されているものの、L字カーブや賃金格差などの問題が残っており、女性活躍の施策の効果が現れるまで継続的な取り組みが必要であることが指摘されています。実際に、日本のジェンダーギャップ指数は2006年以降0.65前後で推移し、2024年のジェンダーギャップ指数は0.663、146ヶ国中114位で、政治・経済の面でのギャップの大きさが目立っています。

女性活躍の鍵 健康経営の5つの対策

本資料では、企業が女性活躍を見据えた女性の健康づくりをスムーズに推進していく上で 、まず取り組むべき基礎となる健康経営対策の5つを紹介いたします。

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まとめ:女性を含めたすべての社員が働きやすい職場作りを目指そう

女性が職場で活躍するためには、まだ多くの課題が残っています。本当に女性が活躍できる職場作りをするためには、法制度への対応だけではなく、人事制度や職場内の意識改革も重要です。人手不足の中でより生産性を上げるためには、働きたい女性に活躍してもらうことが欠かせません。

働きやすい職場が、「男女問わず、自分が希望するような形でキャリア形成ができる環境」であるとするなら、企業は女性活躍推進法の先にある、「自社で働く従業員が望む働き方は何かを理解し、それを実現できる職場環境」を整えることが大切だといえます。

そのような企業作りをするにはどうしたらいいのだろう?と迷われたら、ぜひパソナにご相談ください。パソナは創業以来、事業活動を通じて女性の雇用創造とキャリア構築に取り組んできました。「女性管理職の採用支援、管理職育成研修」や、「女性の健康サポートプログラム」など、女性活躍支援を通して、すべての社員が働きやすい働き方改革・ダイバーシティ推進支援を行っております。

女性が活躍する職場づくり3つのポイント

パソナの女性活躍推進担当者から見る推進のポイントと、実際の社内での実践例をご紹介します。 女性活躍推進の支援としてご活用ください。

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