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静かな退職とは?兆候や企業へのリスク、行うべき対策をわかりやすく解説

静かな退職とは、社員が退職せずに勤務を続けながら、必要最低限の責任のみを果たそうとする働き方です。以前と比べて周囲とのコミュニケーションが減少し、成長や挑戦に興味を示さなくなった場合、それは静かな退職につながる兆候かもしれません。企業としては、こうしたサインを早期に察知し、社員のモチベーション維持や働きやすい環境づくりに取り組むことが重要です。 

この記事では、静かな退職の兆候や潜在的なリスク、企業に求められる対策について詳しく解説します。 

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静かな退職とは 

「静かな退職(Quiet Quitting:クワイエット・クィッティング)」とは、社員が退職せずに必要最低限の業務のみを行い、それ以上の努力や積極的な貢献を控える働き方のことです。アメリカのキャリアコーチが自身のSNSで発信したことをきっかけに、2022年頃から若者を中心に話題となりました。 

本質は「辞めずに仕事と心理的な距離を取る」ことであり、あくまでも在職中で表向きの業務遂行に問題はないものの、仕事への熱意やエンゲージメントが低下している状態にあります。ワークライフバランスや持続的な働き方を実現するために、自らの意思で過剰な負担を避ける割り切った考え方ともいえます。 

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静かな退職は若者だけの現象ではない 

静かな退職は若者だけの現象と捉えられがちですが、実際は40〜60代の中堅・ベテラン層にも多く見られます。キャリアが成熟した層は、それ以上の昇進や地位を望まず、安定した生活を維持する働き方を選ぶ人も少なくありません。 

また、終身雇用や年功序列といった従来の価値観が変化するなか、転職も容易ではない世代は将来への不安や諦めから仕事への意欲が下がってしまうケースもあります。 

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サイレント退職との違い 

サイレント退職とは、何の前触れもなく突然辞めることを指します。一方、静かな退職は、心理的に仕事から距離を置いている状態であり、退職という行動には至っていません。両者は混同されやすいものの、退職するか否かという大きな違いがあります。 

また、明確な行動が表面化するサイレント退職とは異なり、静かな退職は周囲から気づかれにくいのが特徴です。サイレント退職は抱えていた不満やストレスが限界に達して突然の行動を起こしますが、静かな退職はそうした負担から自分を守るため、心理的に距離を取ることでバランスを保とうとしています。 

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なぜ静かな退職が増えているのか? 

近年、静かな退職が増えている背景には以下の3点が挙げられます。 

働く価値観と働き方の変化 

静かな退職は20〜30代のZ世代・ミレニアル世代に多く見られます。これらの世代は仕事に自己犠牲を払って貢献するよりもワークライフバランスを重視する傾向にあり、こうした価値観の変化が他の世代にも影響していると考えられます。 

また、働き方改革によって長時間労働が規制され、残業しないように自身の働き方をコントロールしやすくなったことも、静かな退職が増えている要因の一つといえます。 

負担と待遇のギャップ 

業務に対する待遇にギャップがあり、責任の重さと報酬のバランスが取れていないことも、静かな退職を後押ししていると考えられます。昇進しても待遇が伴わなければ、単に負担が増えるだけだと感じ、管理職になることを避けようとする人もいます。努力が報われない環境では「頑張るだけ損」という諦めの気持ちが生まれ、仕事への情熱や主体性を維持できなくなるでしょう。 

自己防衛のため 

静かな退職を選ぶ背景には、自己防衛の意識もあります。過度な負担やストレスを避け、心身の健康や私生活を守るために仕事と距離を取る人も少なくありません。また、常に成果が求められる環境では、燃え尽き症候群を防ぐ手段として静かな退職を選ぶケースも考えられます。 

静かな退職につながる従業員の兆候 

 「退職」という具体的なアクションはないものの、静かな退職状態になる社員には以下のような兆候があります。これらの行動が見られた場合には、早期に対策やフォローを講じることが重要です。 

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会話や発言の減少 

周囲とのコミュニケーションが減少し、最低限の会話や報告しかしなくなった場合、それは静かな退職につながる兆候かもしれません。また、自分から意見やアイデアを出さず、指示がないと動かない「指示待ち」状態になると、仕事への関心や主体性が低下しているサインと考えられます。 

自己成長・挑戦意欲の低下 

自己成長や挑戦への意欲が見られなくなるのも、静かな退職につながる重要な兆候の一つです。例えば、新しいプロジェクトや研修への参加を避けたり、決定や責任を他人に任せたりしようとする場合には、達成意欲よりも安定や現状維持を優先している状態といえるでしょう。 

定時退社 

以前は必要に応じて残業をしていた社員が、業務が終わっていなくても定時で退社するようになった場合、仕事への意欲やエンゲージメントが低下している兆しと考えられます。ただし、忙しさや過度な負担の反動、あるいは健康上の理由や家庭の事情によって定時退社を選択しているケースもあるため、上司が丁寧に状況を確認しつつ、適切な配慮やサポートを行う姿勢が求められます。 

静かな退職が企業にもたらすリスク 

社員が静かな退職状態になると、組織全体に以下のようなリスクをもたらします。 

組織の生産性・雰囲気の低下 

静かな退職状態の社員は、積極的に意見や発言をせずに指示されたことだけをこなすなど、受動的な働き方をするようになります。実際に退職していなくても、チームとしての意見交換やコミュニケーションが減少すると、生産性の低下につながってしまいます。 

また、代わりに負担が増える社員が出てくると不公平感から摩擦が生まれ、チーム内の士気にも悪影響が及びます。こうした消極的で重苦しい雰囲気は周囲に伝播し、組織全体の活力を損なうリスクもあります。 

成長機会の損失・人材の流出 

静かな退職が組織内に広がると、社員の挑戦意欲や学習意欲が薄れ、結果として成長機会が減少します。意欲的な人材ほど、そうした環境が大きなストレスとなり、より成長できる環境を求めて転職を検討することにつながります。その結果、企業には現状維持を望む人材が残り、組織全体でイノベーションの停滞や競争力の衰退を招くおそれがあります。 

人的資本経営における企業価値への影響 

人的資本を企業成長の源泉と捉える「人的資本経営」が注目されるなか、2023年には上場企業に対して人的資本情報の開示が義務化されました。情報開示が求められる項目には人材育成やエンゲージメントなどが含まれ、これらは企業価値を評価するうえで重要な指標とされています。しかし、静かな退職が広がると社員の意欲や能力発揮が妨げられ、人的資本経営の実効性が低下し、最終的に企業価値にも悪影響を及ぼすおそれがあります。 

静かな退職を防ぐため組織に求められる取り組み 

静かな退職を防ぐには、社員の心理状態や働き方の実態を把握し、必要な対応を早期に実施することが重要です。ここでは、組織に求められる具体的な取り組みをご紹介します。 

エンゲージメントサーベイ 

エンゲージメントサーベイとは、社員のエンゲージメント(会社への熱意や愛着、関与度)を可視化するための調査です。社員の「やる気」「帰属意識」「貢献意欲」を定期的に数値化することで、静かな退職のサインを早期に察知できるようになります。サーベイを実施した後は、結果を分析して「何が課題か」「どう改善するか」を明確にし、具体的なアクションプランを策定・実行することが重要です。 

関連記事社員の本音が未来を変える ― エンゲージメントサーベイ活用のすすめ

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ストレスチェック 

ストレスチェックとは、社員が自身のストレス状態を把握するための検査です。労働安全衛生法により、従業員数 50人以上の事業所では年1回の実施が義務付けられています。一方で、50人未満の事業場も2028年5月までに義務化される見込みです。 

心理的な負荷や職場での不満は静かな退職を引き起こす要因となるため、企業規模を問わず定期的なストレスチェックの実施が望まれます。検査結果をもとに適切なケアや面談、職場環境の改善につなげることで、社員のコンディションを早期に把握し、離職やモチベーション低下を防ぐ効果が期待できます。 

関連記事ストレスチェックの義務化。従業員50人未満の事業所が対応すべきポイント 

1on1 

静かな退職を防ぐためには、社員とのこまめな対話や心理的安全性の確保も欠かせません。定期的に1on1を行うことで、社員のちょっとした変化に気づきやすくなり、静かな退職の兆候を早めに察知できます。上司が一方的に聞き出すのではなく、いつでも・何でも相談できる空気をつくり、社員が安心して自分の考えや悩みを話せる環境を整えることが大切です。 

関連記事1on1で「話すことがない」にもう困らない!テーマ一覧と失敗例から学ぶポイント

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企業によるキャリア自律支援は、仕事に対する社員の価値観を転換させるきっかけになります。特に若手社員に対しては、静かな退職によって成長や昇進の機会を失うリスクを自覚してもらうことで、仕事への意欲や主体性を引き出すことができます。一人ひとりの多様な価値観に寄り添いながら、社員に「自分がこの会社で成長し続けられる」という実感を与え、今後の働き方やキャリアを自ら考え選択する姿勢を育むことが重要です。 

関連記事キャリア自律とは?キャリア開発との違いや企業による支援の現状を解説 

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まとめ 

静かな退職が広がると、組織の生産性低下や人材の流出を招き、さらには人的資本経営における企業価値にも悪影響を及ぼすリスクがあります。これを防ぐには、社員の微細な変化や悩みを早期に把握し、個々に適したサポートを迅速に提供することが不可欠です。 

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