おすすめ特集・コラムアウトソーシングは危ない?失敗を防ぐポイントと活用するメリットを解説

更新日:2025.11.10
- BPO・アウトソーシング
業務の一部を外部に任せるアウトソーシングは、働き方の多様化や人手不足が進む今、多くの企業で注目されています。
一方で、「アウトソーシングは危ない」と耳にすることもあるでしょう。そのように感じる背景には、アウトソーシングの仕組みの問題ではなく、導入や管理の方法にも課題があります。
アウトソーシングを正しく活用できれば、業務の効率化やコスト削減、人材不足の解消など、さまざまなメリットを得られます。
この記事では、「アウトソーシングは危ない」と言われる理由と、失敗を防ぐための対策、安心して活用するためのポイントをわかりやすく紹介します。
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アウトソーシングとは?
アウトソーシングとは、自社の業務の一部を専門知識を持つ外部企業に委託する経営手法です。自社で行うよりも効率的に業務を進められる場合が多く、コスト削減や人手不足の解消、生産性の向上といった効果が期待できます。
特に、データ入力・経理処理・コールセンターなどの定型業務を外部に任せることで、社員は商品開発や経営戦略といったコア業務に集中できるようになるでしょう。
一方で、安易な導入はトラブルの原因にもなります。委託範囲や契約内容を明確にしないまま進めると、品質の低下や情報漏えい、コストの増大などのリスクが生じる可能性があります。
正しい理解と対策をもって取り組めば、アウトソーシングは企業の成長を支える有効な経営戦略になります。
アウトソーシングについては、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:アウトソーシングとは?メリット・デメリットや自社に適した種類、業務、導入の注意点を解説
アウトソーシングが危ないと言われる理由
アウトソーシングが危ないと言われる主な理由は、以下のとおりです。
- 情報漏えいのリスクがある
- 品質が担保できない場合がある
- 社内にノウハウを蓄積しにくくなる
- コストが想定より膨らむことがある
- 業務管理が複雑化する
それぞれの理由について詳しく解説します。
情報漏えいのリスクがある
アウトソーシングでは、自社の機密情報や顧客データを外部に預けるため、情報漏えいのリスクが高まります。
特に、複数の下請け企業が関わる再委託構造や、在宅勤務を含むBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)では、セキュリティ体制のばらつきが大きく、管理の目が届きにくい点が問題です。
情報漏えいの主な原因は、委託先企業の管理体制の不備や従業員による内部不正、さらに近年増えているサプライチェーン攻撃などです。
こうしたリスクは、委託先の信頼性や情報管理ルールが不十分な場合に顕在化しやすく、企業の信用失墜や損害賠償など深刻な事態に発展するおそれがあります。
品質が担保できない場合がある
アウトソーシングでは、「思っていた品質と違う」というトラブルが起こりやすくなります。
主な原因は、委託元と委託先の間で業務範囲や成果物の定義があいまいなまま契約を結んでしまうことです。
たとえば、経理業務で処理ミスが頻発したり、コールセンターで顧客対応の質が下がったりするケースがあります。双方で品質基準が共有されていないと、納品物の品質にばらつきが生じ、再作業やクレーム対応に時間とコストがかかる結果となります。
社内にノウハウを蓄積しにくくなる
アウトソーシングに頼りすぎると、業務の進め方や判断基準が委託先に偏り、社内に知識やスキルが残りにくくなります。
また、社員が実務の詳細を把握しないまま業務が進むことで、担当者が変わった際やトラブル発生時に自社で対応できなくなるリスクがあります。さらに、委託先に依存するほど、自社の業務理解が浅くなり、改善や効率化の機会を見逃すおそれもあるでしょう。
こうした状況が続くと、企業としてのノウハウが蓄積されず、組織全体の成長が停滞してしまうことにもつながります。
コストが想定より膨らむことがある
アウトソーシングは、想定以上の費用がかかるケースもあります。
月額料金だけを見て契約すると、業務範囲外の追加料金や管理にかかる時間、データ移行費用などの隠れコストが後から発生することがあります。
特に、契約開始後に仕様変更や業務追加が発生すると、その都度コストが上乗せされるため注意が必要です。
また、複数の委託先を利用する場合は、調整や情報共有に要する社内工数が増え、当初の想定より運用コストが膨らむ傾向があります。
業務管理が複雑化する
アウトソーシングを導入すると、外部委託先の進捗や品質を管理する新たな業務が発生します。
管理体制が整っていないと、社内外の連携が不十分になり、情報共有の遅れや責任の所在が不明確になるなど、現場が混乱しやすくなるでしょう。
委託先が複数にわたる場合は、報告ルールや担当範囲が複雑になりやすく、社内の調整コストが増えることもあります。こうした調整負担が増えることで、かえって全体の生産性が下がるケースも少なくありません。
アウトソーシングのリスクを回避する方法
アウトソーシングのリスクを回避するために、企業が実践すべき3つのポイントは以下のとおりです。
- 信頼できる委託先を選定する
- 契約書でリスク回避策を明記する
- ノンコア業務だけを委託する
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
アウトソーシングサービスを導入する際のポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:アウトソーシングサービスの導入ポイントと活用事例を解説
信頼できる委託先を選定する
アウトソーシングが危ないと言われるリスクを回避するためには、委託先の選び方が大切です。価格の安さだけで決めてしまうと、品質のばらつきやトラブルにつながるおそれがあります。
委託先を選ぶ際は、以下の点を確認しましょう。
- 実績
- 業務の進め方
- サポート体制
- セキュリティ体制
- 会社の安定性
特に、自社と同じような業務を担当した経験がある企業なら、業務内容を理解しているため、やり取りもスムーズに進みやすくなるでしょう。
また、複数の会社から提案を受けて比較することで、より客観的に判断できます。
可能であれば、短期間の試験的な依頼を行い、実際の対応や品質を見たうえで本契約に進むと安心です。
契約書でルールを明確にしておく
契約書は、トラブルが起きてから使うものではなく、日々のやり取りをスムーズに進めるための共通ルールをまとめたものです。そのため、内容をあいまいにしたまま進めると、認識のズレや追加費用などの原因になります。
特に、次のような点は事前に文書で取り決めておくことが大切です。
- 仕事の範囲
- 品質基準
- 再委託のルール
- 契約終了後の引き継ぎ方法
たとえば、「迅速に対応」といった表現では人によって解釈が異なりますが、「初回の回答は30分以内」と明記すれば、双方が同じ基準で判断できます。
具体的なルールを明確にしておくことで、誤解を防ぎ、信頼関係を保ちながらスムーズに業務を進められます。
ノンコア業務だけを委託する
アウトソーシングをうまく活用するためには、「どの業務を外部に任せるか」を見極めることが重要です。
自社の強みや成長に直結する業務(コア業務)は社内で行い、定型的でマニュアル化しやすい業務(ノンコア業務)を外部に任せるのが基本です。たとえば、経理処理やデータ入力、コールセンターの一次対応などは委託に向いています。
業務を整理するときは、「自社の戦略に関係するか」「標準的な手順で進められるか」という2つの視点で判断するとわかりやすいでしょう。
関連記事:コア業務・ノンコア業務とは?BPOの対象業務や業務調査について解説
アウトソーシングを活用するメリット
アウトソーシングを活用することによって、業務効率化やコスト削減につながる6つのメリットを紹介します。
- コア業務に集中できる環境をつくれる
- 定常業務のスピードや品質の向上を期待できる
- 人手不足を解消できる
- 採用や育成などにかかるコスト削減につながる
- 社外のノウハウを活用できる
- 組織の肥大化を防ぎやすくなる
それぞれのメリットを理解することで、アウトソーシングの活用が自社にどのような影響を与えるのか具体的にイメージできるでしょう。
コア業務に集中できる環境をつくれる
アウトソーシングのメリットは、社員が本来の仕事に集中できる環境をつくれる点です。
たとえば、経理処理やデータ入力などの定型業務を外部に任せることで、社内では企画や商品開発など、会社の成長につながる仕事に力を注げます。その結果、生産性が上がり、チーム全体のパフォーマンスも向上するでしょう。
アウトソーシングを活用するためには、どの業務が自社の強みを支えているのかを見極め、外部に任せる業務を慎重に選ぶことがポイントです。
企業における生産性の向上については、以下の記事で詳しく解説しています。
定常業務のスピードや品質の向上を期待できる
特定の業務に強みを持つ専門会社にアウトソーシングすると、作業のスピードや正確さを高められる可能性があります。
たとえば、経理処理を専門チームに委託することで、入力ミスが減り、月次報告の提出が早くなるケースがあります。また、カスタマーサポートを外部に任せることで、問い合わせ対応の時間短縮や対応品質の統一が期待できるでしょう。
アウトソーシングによって、現場の負担が減り、対応が早く正確になるため、結果的にお客様からの信頼や満足度も高まりやすくなります。
人手不足を解消できる
人手が足りずに業務が滞りがちなときも、アウトソーシングを活用すれば柔軟に対応できます。アウトソーシングは、採用や研修に時間をかけず、必要な時期だけ専門スキルを持つ人材を活用できるのが強みです。
たとえば、年末調整や繁忙期のカスタマーサポートなど、一時的に業務量が増える時期に委託すれば、社内の負担を抑えながら業務を安定して進められます。
外部リソースを一時的に活用することで、人員を過剰に抱えることなく、業務量の変動にも安定して対応できます。
関連記事:人手不足な業界や職種は?背景と企業が取るべき対策とは?
採用や育成などにかかるコスト削減につながる
アウトソーシングを活用すれば、人材の採用や教育にかかるコストの削減につながります。
新しい社員を採用するには、求人広告の掲載や面接対応、研修など多くの時間と費用が必要です。
外部の専門チームに依頼すれば、採用や育成にかかる初期コストを抑えつつ、すぐに経験豊富な人材を活用できます。
さらに、業務量に応じて契約を調整できるため、必要な期間だけ外部の力を借りるといった柔軟な体制づくりも可能です。
社外のノウハウを活用できる
アウトソーシングを活用すると、社内にはない知識やノウハウを取り入れられます。
多くの企業を支援してきた委託先は、業務改善や効率化の経験を豊富に持っており、その実績を生かした提案を受けられるのがメリットです。
たとえば、経理業務を専門会社に委託すれば、仕訳や決算処理の正確さはもちろん、会計ソフトの活用方法や業務フローの最適化など、より効率的に進めるための工夫を学ぶことができます。
単なる作業の代行としてではなく、業務をより良くするためのパートナーとして関わることで、社内にも新しい視点や知見が広がります。
組織の肥大化を防ぎやすくなる
アウトソーシングを活用すると、業務量に応じて外部リソースを柔軟に調整でき、組織をスリムに保ちやすくなります。人員を増やしすぎないだけでなく、部署や業務の管理負担が過剰になるのを防げる点もメリットです。
たとえば、新規事業の立ち上げ時にバックオフィス業務を一時的に委託すれば、初期コストを抑えつつスピーディーに体制を整えられます。
また、業務を分散させすぎず、意思決定や情報共有の流れをシンプルに保てるため、変化の多い時期でも柔軟に対応しやすくなるでしょう。
関連記事:BPRとは?意味や進め方から導入事例までわかりやすく解説
アウトソーシングの活用を検討したい企業の特徴
アウトソーシングに向いているのは、人手や時間が限られており、業務の効率化や人材確保に課題を感じている企業です。
たとえば、総務やカスタマーサポートなどの定常業務に多くの時間を取られている場合は、外部に任せることで社内の人材を本来の仕事に集中させることが可能です。
また、人事・労務や経理・会計などの専門知識を持つ人材を、採用・育成するのが難しい企業にも適しています。専門会社に委託すれば、経験豊富なスタッフの力を借りられるため、品質を保ちながら業務の負担を減らせるでしょう。
さらに、繁忙期やプロジェクトの増減など、業務量の波が大きい企業にも効果的です。必要な時期だけ外部の力を借りることで、人件費を抑えながら安定した体制を維持できます。自社の課題に合わせて適切に活用することで、アウトソーシングは経営を支える心強い仕組みになります。
人事・労務 BPO事例のご紹介
導入企業では、業務負荷の大幅削減や生産性向上、働き方改革の推進などの効果が期待できます。人事業務の効率化・品質向上をお考えの際は、ぜひご相談ください
失敗しないためのアウトソーシング先の選び方
アウトソーシングを成功させるためには、信頼できるパートナーを慎重に選ぶことが重要です。失敗を防ぐために押さえておきたい3つの選定ポイントを紹介します。
- 同業種での実績・事例の豊富さを確認する
- セキュリティ認証の有無を確認する
- コミュニケーションの取りやすさを重視する
価格の安さだけで判断してしまうと、品質の低下や情報漏えいなどのリスクを招く可能性があります。リスクを避けるためにも、ぜひ選び方を参考にしてみてください。
同業種での実績・事例の豊富さを確認する
まず確認したいのは、委託したい業務と同じ分野での実績があるかどうかです。同じ業界の仕事を多く手がけている会社なら、業界特有のルールや専門用語にも慣れており、スムーズに進めやすくなります。
提案を受ける際は、過去の成果や改善事例を見せてもらうことを推奨します。たとえば「処理コストを15%削減した」「対応スピードを短縮できた」といった具体的な数字があると安心できるでしょう。
また、複数社を比較する場合は、依頼内容をまとめた提案依頼書を作っておくと、判断しやすくなります。
セキュリティ認証の有無を確認する
アウトソーシングを活用することによる情報漏えいを防ぐために、セキュリティ体制を必ず確認しましょう。
ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)やプライバシーマーク(Pマーク)を取得している企業は、情報管理の基準を満たしている目安になります。
また、実際の運用状況を確認する際は、次のような点をチェックしましょう。
- アクセス権限の管理方法
- データの保存・削除ルール
- 外部委託先の管理体制
- 事故発生時の報告体制
形式的なチェックにとどまらず、実際の運用体制や担当者の意識まで把握しておくことが、安全な委託につながります。
コミュニケーションの取りやすさを重視する
アウトソーシングは、依頼して終わりではなく、日々のやり取りや報告が重要です。
担当者との意思疎通がスムーズでないと、小さな誤解が大きなトラブルに発展することもあります。そのため、候補企業を選ぶときは、質問への回答スピードや説明のわかりやすさ、提案の的確さなどをチェックしましょう。
また、定例ミーティングや進捗レポートの形式など、コミュニケーション方法を具体的に提案してくれるかも重要です。最終候補の担当者とは一度直接話してみて、対応の丁寧さや相性を確かめるのがおすすめです。
BPO安定運用のための伴走型支援と導入事例
BPOを安定的に運用するためのポイントをステップごとにお伝えします。BPOを運用していくうえで発生する課題と、それに対するパソナのソリューションも導入事例からご紹介します。
アウトソーシングで業務効率化を目指そう
「アウトソーシングは危ない」と言われるのは、仕組みに問題があるからではなく、管理や契約があいまいなまま進めてしまうケースがあるためです。
信頼できる委託先を選び、契約内容を明確にして、定期的に状況を確認すれば、トラブルは防ぎやすくなります。また、アウトソーシングをうまく活用できれば、コスト削減だけでなく、専門知識の活用や品質の向上にもつながります。
まずは自社の業務を見直し、外部に任せた方が良い部分と社内で担うべき部分を整理することから始めてみましょう。
パソナでは、BPO・アウトソーシングサービスを行っており、これまでに1,000案件以上の支援を行ってきました。
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