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女性活躍を妨げるオールドボーイズネットワーク|男性社会の問題点と企業がとるべき対策を紹介

企業の女性活躍推進を妨げる要因の一つに「オールドボーイズネットワーク」があるといわれています。同じ価値観を持つ男性社員が中心となって築いてきた独自のコミュニティは、女性社員や若手社員の意欲を削ぎ、成長を阻害することにもなりかねません。誰もが活躍・成長できる組織の実現に向けて、オールドボーイズネットワークを解消するにはどのような取り組みが必要となるのでしょうか。

この記事では「オールドボーイズネットワーク」を取り上げ、男性中心組織に存在する問題点や企業がとるべき対策について紹介します。

女性活躍のための環境整備とは? 必要な取り組みをデータから読み解く

労働人口の減少により、女性の社会進出が後押しされるようになった昨今。女性活躍推進に取り組むことで企業の経営面や人事面において以下のようなメリットが期待できます。

  • ビジネスチャンスの拡大
  • 人材確保
  • 社会的信用の向上
  • 生産性の向上

では具体的にどのような取り組みが必要なでしょうか。データを交えてご紹介しています。

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オールドボーイズネットワークとは

オールドボーイズネットワークとは、組織のマジョリティである男性たちが作り上げてきた独特の文化を意味する言葉です。古くから組織に存在している男性中心のネットワークやコミュニティであり、オールドボーイズクラブと呼ばれることもあります。男性同士の暗黙のルールや約束事など、男性が無意識にとっている悪気のない行動は女性のモチベーションを低下させ、企業における女性活躍を阻害する要因にもなっています。

数値で見るジェンダーギャップの現状

世界経済フォーラムが算出するジェンダーギャップ指数を見ると、日本は依然として政治・経済分野の値が低い傾向にあります。日本の順位は146か国中118位であり、分野別では政治が113位、経済が120位でした(2024年)。

多くの企業が女性の活躍を重要視しているにもかかわらず、日本の上位職における男女格差はなかなか解消されません。仕事と家庭の両立やロールモデルの不足など、女性活躍を妨げる要因はいくつかありますが、その一つにオールドボーイズネットワークの存在があると考えられています。

関連記事ジェンダーギャップ指数とは?日本の現状と改善にむけた取り組みをご紹介

参考男女共同参画に関する国際的な指数|内閣府 男女共同参画局

女性版骨太の方針2024にも記載

2024年6月に決定された「女性版骨太の方針2024」のなかでも、アンコンシャスバイアスの解消や性別役割分担にとらわれない働き方を推進するために、オールドボーイズネットワークの存在を広く発信することが明記されています。女性活躍や男女共同参画を進めていくうえでは、まずオールドボーイズネットワークの存在を認識し、この壁を越えて誰もが活躍できる組織をつくる必要があります。

関連記事「女性版骨太の方針2024」決定!企業視点からわかりやすく解説

オールドボーイズネットワークが築かれた背景

日本では年功序列や終身雇用制度が根付いており、マジョリティである男性中心のネットワークが形成されやすい状況にありました。この結果、同じ価値観や成功体験を持つ男性が集まり、自分たちに都合のよい決め事や人間関係、社内風土が築かれていったのです。これらはマイノリティである女性には共有されず、閉ざされたネットワークで男性だけが理解できる暗黙のルールとして組織に存在していました。

オールドボーイズネットワークの事例

男性にとって悪気のない行動がオールドボーイズネットワークを形成し、女性のモチベーションを下げる要因になることがあります。具体的には以下のような行動に注意が必要です。

  • 育児をしている女性社員には仕事を振らない
  • お茶出しや掃除、雑務を女性に任せている
  • 「外回りで暑かったから」と冷房の設定温度を許可なく下げる
  • 男性だけが集まる場で仕事の割り振りや情報交換をしている
  • 過去の成功体験に基づく暗黙のルールがある
  • 重要な会議に女性を呼ばない/情報を共有しない
  • 上司から連絡があれば休日でも出勤する

オールドボーイズネットワークの問題点

オールドボーイズネットワークが存在すると以下のような問題が生じやすくなります。

女性管理職が増えにくい

組織の多数派である男性中心のコミュニティが形成されると、喫煙所や飲み会、ゴルフ場など、男性ばかりが集まる場で仕事の情報が交換されることがあります。マイノリティである女性はこのなかに入っていけず、男性よりも人脈づくりが遅れてしまいます。結果的に昇進・昇格といった仕事上のチャンスも遠くなり、女性管理職が増えにくい状況がつくられてしまうのです。

関連記事女性管理職が少ない理由とは?企業の増やす取り組みとメリットを解説

若手社員が育ちにくい

オールドボーイズネットワークは若手社員の成長を阻害するおそれもあります。男女を問わず、昔ながらのコミュニティに入らない若手社員は少なくありません。働き方の価値観が多様化し、仕事上の付き合いよりも自分のプライベートを大切にしたいと考える若者が増えているからです。しかし、コミュニティに入らない社員は人脈づくりに遅れをとり、仕事に対するモチベーションを維持できなくなる可能性があります。

イノベーションが生まれにくい

オールドボーイズネットワークが存在する組織では、過去の体験から苦労して築き上げてきた暗黙のルールがあります。同じ成功体験や価値観を共有する男性たちが組織を主導するため、社内に新しい風が吹き込まれず、イノベーションが生まれにくい環境がつくられてしまいます。また、現在手にしている地位や役割を手放したくないために、これまでになかった新たなアイデアを取り入れる試みを敬遠する傾向にあります。

ハラスメントが起きやすい

男性中心組織の問題点として、女性の健康課題やライフスタイルの変化を認識できておらず、無意識のうちにハラスメントが起きやすい環境になっていることも挙げられます。特に社員の健康づくりにおいては男性に合わせた取り組みをおこなう企業が多く、女性の健康に対する理解が進んでいない状況にあります。

関連記事健康経営の次なる一歩!女性社員向け健康施策の始め方

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男性の行動変革を促す「変えられる行動10か条」

2007年に設立された J-Winは、企業のダイバーシティ&インクルージョンの促進・定着を支援するNPO法人です。オールドボーイズネットワークの壁を低くするために、男性の行動変革を促す「変えられる行動10か条」を提唱しています。

参考J-Win REPORT(No.37)|NPO法人 J-Win

オールドボーイズネットワークを乗り越える方法

古くから存在する男性中心の社内風土に課題を感じている企業は少なくありません。このような企業がオールドボーイズネットワークを乗り越え、男女の区別なく誰もが活躍できる組織をつくるためにはどのような取り組みが必要となるのでしょうか。

ここでは、オールドボーイズネットワークの壁を越えるために企業がとるべき対策を紹介します。

アンコンシャスバイアスの解消

アンコンシャスバイアスは「無意識の思い込み」を意味する言葉であり、意識せずに身についた偏見は組織に根強く残っています。オールドボーイズネットワークを取り除くためには、当事者である男性管理職を対象とした研修を実施し、自らの偏見を認識させることが大切です。男性が陥りやすいバイアスやその対策を学ぶことは、女性社員や若手社員とのコミュニケーションを見直すきっかけとなるでしょう。

関連記事アンコンシャスバイアスとは?意味、職場でよくある具体例や対処法を解説

 多様性を受け入れる風土の醸成

オールドボーイズネットワークから脱却するには、多様な価値観を受け入れる風土の醸成が必要です。個々の多様性を受容し、異なる属性や価値観を持つ人々を活かせる組織をつくることが持続的な企業成長につながります。男性中心のコミュニティで受け継がれてきた暗黙のルールは誰もが認識できるように「見える化」し、ダイバーシティを推進する意義を組織全体で共有することが重要です。

関連記事DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)とは?概念を解説

個々の状況に配慮した公平性施策の実施

個々の状況を考慮せずに「平等」を与えても社会的な差別は解消されません。オールドボーイズネットワークを乗り越えるためには、女性に対して機会の平等を与えるよりも、一人ひとりの状況に配慮した「公平性」を提供するべきでしょう。その取り組みの具体例としては、テレワークの導入や事業所内保育所の設置、男女の相互理解を深める研修の実施、キャリアの早回しなどが挙げられます。

女性自身の意識改革

オールドボーイズネットワークを取り除き、女性の活躍を後押しするためには、働く女性の意識改革も必要となります。自分のキャリアを考えるときにバイアスがかかり「こういう働き方はできない」と自らの可能性や選択の幅を狭めてしまうケースも少なくありません。企業の制度に頼るだけでなく、女性自身も組織内で積極的にネットワークを構築し、選択肢を増やしていくことが大切です。

まとめ

オールドボーイズネットワークとは、組織の多数派である男性社員が築いてきた排他的な組織構造のことです。企業が女性活躍推進に取り組むうえで、オールドボーイズネットワークの存在が壁となっていることも少なくありません。この壁を越えるためには、アンコンシャスバイアスを学ぶ研修や個々の状況に配慮した公平性施策などに取り組み、性別に関係なくすべての社員が活躍できる環境に変えていく必要があります。

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