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マミートラックとは?意味や問題点、企業に必要な対策を紹介

仕事と育児の両立は多くの女性社員が望むところですが、産休や育休の取得がきっかけとなり、いわゆる出世コースから外れ、キャリアの停滞を招いてしまうことがあります。このような現象を「マミートラック」といい、女性活躍を推進するうえで大きな障害となり得ます。本人が望まないにもかかわらず、マミートラックに陥ることがないような対策が必要です。企業には女性のキャリアアップを妨げる要因をなくし、職場復帰後も第一線で働きたい女性をサポートすることが求められます。

この記事では、マミートラックの意味や問題点、企業がとるべき対策について分かりやすく解説します。

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マミートラックとは?

マミートラックとは、女性社員が産休や育休から復帰した際に、担当業務や部署、勤務時間を変更されてしまい、その後のキャリア形成が阻害されることをいいます。企業が女性活躍推進に取り組むうえで解決すべきテーマの一つです。

マミートラックの問題点は、職場復帰後に本人の意思に反して、仕事と家庭の両立を図りやすいサポート的な業務に変更され、キャリアアップのチャンスを失うことにあります。そのため、女性社員が自ら望んで業務内容の変更を申し出たり、短時間勤務制度を利用する場合は問題ありません。問題なのは、本意でないにもかかわらず、企業が女性社員のキャリアアップを妨げてしまうようなケースです。

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女性を取り巻く現状

2019年の統計によると共働き世帯数は1,245万世帯であり、2009年前後の約1,000万世帯から10年間で1.2倍も増加しています(厚生労働省『図表1-1-3 共働き等世帯数の年次推移』より)。一方で、日本ではまだ家事や育児を女性が多く担当する傾向にあります。6歳未満の子どもを持つ世帯における夫と妻の家事関連時間は、夫が1時間54分であるのに対し、妻は7時間28分でした(総務省統計局『我が国における家事関連時間の男女の差』より)。

マミートラックが発生する背景には、共働き世帯が増えている状況にありながら、家事や育児を担当する割合は依然として女性に偏っていることが存在します。加えて、女性社員を取り巻く職場環境にも、マミートラックを生じさせる原因があると考えられます。

マミートラックが生じる原因

マミートラックが発生する原因には以下が挙げられます。

制度の未整備

フレックスタイム制や時短勤務、リモートワークなどは、個々の状況に応じて働く時間や場所を調整でき、仕事と家庭の両立を促すうえで非常に有効な制度です。そのため、これらが未整備であると、仕事と家庭の両立は難しいものになってしまいます。育児のサポートを得られない女性社員は遅刻や早退、欠勤が増え、人事評価にも悪影響が及びます。その結果、キャリア形成を阻害する要因になると考えられるのです。

女性に対する職場のバイアス

同じ職場で働く社員のバイアス(認識の歪み・偏り)も、マミートラックが発生する原因になり得ます。職場に「女性は育児を優先するべきだ」「責任の重い仕事を女性はやりたがらない」という思い込みを持つ人が多いと、職場復帰後の女性社員に無難な仕事を多く与えたり、業務が容易な部署に配置転換することがあります。

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マミートラックの問題点

マミートラックに陥ると、女性社員本人だけでなく企業にもさまざまな問題が生じます。

具体的な問題点は以下のとおりです。

求職者に対する企業イメージの低下

マイナビが2024年卒の大学生・大学院生を対象に実施した調査によると、共働きを希望する人の割合は男性が64.1%、女性が73.3%という結果になりました(有効回答数3,106人/株式会社マイナビ『2024年卒大学生のライフスタイル調査』より)。調査開始以来、男性の割合が6割を超えたのは初めてのことです。また、共働き希望の女性も7割を超えており、性別にかかわらず多くの新卒学生が共働きを望んでいることがわかります。このことから、子育てがキャリア形成の障害になると求職者にとっての企業イメージが低下し、人材の獲得が困難になると考えられます。

女性の管理職登用の遅滞

社内にマミートラックが存在する場合、総合職であっても責任の度合いが低い業務を割り当てられ、女性社員の管理職への昇進が遅れてしまうことがあります。そうなると、政府が掲げる「指導的地位に女性が占める割合を30%程度とすること」という目標から外れ、女性の管理職登用が進まない要因となってしまいます。

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モチベーションの低下

業務で重要なポジションを担っている女性社員であるほど、復職後にこれまでと異なるポジションに変更されることでモチベーションが低下する傾向にあります。栃木産業保健総合支援センターの調査では、出産後に離職した女性社員の離職理由の上位に「仕事の質や量」という項目があることからも、復職後のポジションは女性のモチベーションに大きく影響すると推察されます(栃木産業保健総合支援センター『出産後に復職した女性の離職要因』より)。

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企業がとるべき対策

マミートラックを防ぐために企業はどのような対策をとるべきでしょうか。具体的な対策は以下のとおりです。

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多様な働き方を可能にする人事上の諸制度の導入

時短勤務やフレックスタイム制、リモートワークなど、多様な働き方を可能にする制度の導入はマミートラックの対策として有効です。延長保育が可能な年齢になるまで、育児休業の延長を認める企業もあります。これらの制度を活用することで、女性社員が復職前と同じ業務を担いながら、仕事と家庭を両立できるようになります。

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面談やカウンセリング、ヒヤリングの実施

マミートラックは社員と会社との相互理解の欠如から生じるものです。社員は従来と変わらずに働きたいと思っていても、会社が職場復帰した女性の状況に配慮し、相手の要望を聞く前に「短時間勤務や責任の軽い仕事がよいだろう」と考えることがあります。このような状況を防ぐためには、面談やカウンセリング、ヒヤリングを実施し、両者にとってベストな選択肢を模索することが重要です。社員側としても、職場復帰後の働き方や担当したい業務について事前に上司に伝えられるため、復帰に関する不安を取り除くことができます。

人事評価制度の修正

企業がとるべき対策には現行の人事評価制度の見直しも挙げられます。育児をしている社員の人事評価については、他の社員と比べて勤務時間が短かったり、休みの取得が多いことをネガティブに評価しないことが重要です。残業も含めた勤務時間の長さだけでなく、仕事の成果やパフォーマンスに重きを置いた評価制度であれば、育児中の社員に限らず多様な働き方を望むすべての人に適したものとなるでしょう。

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企業事例

マミートラックを防止し、女性が活躍できる職場づくりに取り組む企業事例を以下にまとめました。

メルカリ

マミートラックを防ぐために、育児中の社員に対する福利厚生や子の看護休暇などを整備しています。同社では時間管理を徹底し、非効率的な長時間勤務を排除するよう取り組んでいます。また、女性社員のためのコミュニティ「Women@Mercari」をつくり、個々が性別に関係なく自身のパフォーマンスを発揮できるような施策をおこなっています。

参考:株式会社メルカリ『ベネフィット』『Diversity & Inclusion

資生堂

女性社員が全体の半数以上を占め、仕事と育児を両立するための制度が多く用意されています。有給が認められる子の看護休暇制度や事業所内保育所、リモートワークとオフィスワークを柔軟に選択できる勤務制度「資生堂ハイブリッドワークスタイル」などを整備し、マミートラックの防止と女性社員が働きやすい環境づくりを進めています。また、出産後に復職する社員を対象とした「ウェルカムバックセミナー」を開催し、仕事と育児の両立に対する不安の軽減に努めています。

参考:株式会社資生堂『ダイバーシティ&インクルージョン

まとめ

社内でマミートラックが生じると、女性社員のモチベーション低下や管理職登用の遅れなどさまざまな問題が発生し、以前と変わらずに働きたいという女性社員の気持ちをないがしろにしてしまいます。これは企業にとって大きな損失です。

しかし、実際に女性活躍を推進しようとしても、社内のリソースで対応するのが難しいケースも多いでしょう。そこで活用したいのが、外部の女性活躍支援サービスです。パソナでは女性活躍を社会的な要請と捉えて具体的な提案をおこない、社内からのマミートラック一掃を含めた女性社員の活躍を後押ししています。

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