おすすめ特集・コラム派遣の抵触日以降はどうなる?リセットまでのクーリング期間を解説

PASONA

  • 人材派遣

派遣の抵触日以降はどうなる?リセットまでのクーリング期間を解説

派遣会社と雇用契約を結び、派遣先企業で労働する業務形態を派遣労働と呼びます。この形態で業務を行う派遣社員には一定の契約期間が設定されており、その期間が満了すると、派遣元との雇用契約も終了します。

本記事では、派遣労働の契約期間において重要な概念である「抵触日」に焦点を当て、その意味や影響について詳しく説明します。抵触日を迎えた企業の対処方法についても解説するため、受け入れを検討している企業担当者の方は参考にしてみてください。

労働者派遣法で抑えておくべきポイントを解説!

人材派遣をご活用される担当者の方や派遣先責任者の方に向けて、労働者派遣法のポイントを解説します。

  • 3年ルール(派遣期間制限)
  • クーリング期間
  • 意見聴取

上記のような企業が遵守しなければならない大切なルールがいくつもあります。人材派遣に関する知識を正しく理解し、適切な人材配置につなげるための参考資料としてご活用ください。

資料のダウンロードはこちら

抵触日=派遣期間制限が切れた翌日

抵触日=派遣期間制限が切れた翌日

抵触日とは、派遣社員の契約期間が終了した翌日を指します。抵触日が設けられているのは、派遣社員が派遣先となる企業で3年以上連続して働いてはいけないルールがあるためです。

正確には、企業ではなく同じ部署やチーム内で3年を超えて働くことが制限されています。抵触日には、事業所単位と個人単位の2種類があり、それぞれのルールに従って適切な契約を結ぶことが求められます。

事業所単位の抵触日

事業所単位の抵触日

出典:厚生労働省 派遣先の皆さまへ

事業所単位の抵触日は、特定の事業所が派遣社員を継続して受け入れられる最長期間を定めています。期間は最大3年間とされていますが、必ず契約を終了させなければいけないわけではなく、条件によっては延長が可能です。

延長を行う場合は、契約期間が終わる1か月前までに、派遣先企業の労働組合から意見を聴取し、過半数の同意を得る必要があります。

延長が認められていない状態で契約期間を経過してしまうと法令違反になるため注意しましょう。なお、契約期間延長には限度が設けられていません。そのため、意見聴取により認められれば、繰り返しの雇用が可能です。

個人単位の抵触日

個人単位の抵触日

出典:厚生労働省 派遣先の皆さまへ

個人単位の抵触日とは、同一労働者が派遣先の事業所における同一の組織単位で継続して雇用できる期間を定めたものです。同じ派遣社員が同じ会社かつ同じ組織単位で継続して勤務できるのは、最長3年と決められています。

組織単位とは、部署や課、グループなどを指します。3年間働いた派遣労働者が同じ企業内の別の部署に改めて配属される場合、抵触日がリセットされ、新たに配属された日から3年の制限となる点に注意が必要です。

期間制限や抵触日は事業所単位が優先

抵触日には「事業所単位」「個人単位」の2つがありますが、期間の制限や抵触日においては、事業所単位が優先されるため注意しましょう。個人単位の契約期間が終わっていなくても、事業所単位の契約期間が満了を迎えてしまった場合、契約を終了しなければいけません。

例えば、事業所の契約期間が2021年4月1日から2024年3月31日、個人の派遣開始日が2023年4月1日で期間終了が2026年3月31日であると仮定します。この場合、事業所の契約期間である2024年3月31日までしか働けません。

個人単位の契約期間終了日である2026年3月31日まで勤務してもらうためには、事業所単位の期間延長手続きを行う必要があります。

関連記事派遣の抵触日とは?雇用前に知っておきたい派遣先企業の注意点を解説

派遣期間制限の影響を受けない労働者の条件

派遣期間制限の影響を受けない労働者の条件

ここでは期間制限の影響がない派遣社員の条件を紹介します。有期雇用労働者は、原則として3年を超えて同じ会社や課で連続して勤務できません。しかし、以下の条件を満たす場合に適用が除外されます。

  • 派遣会社と契約期間の定めがない無期雇用の労働契約を結んでいる
  • 有期雇用派遣労働者でも契約期間が3年目になる年に満60歳以上となる
  • 期限があらかじめ決められているプロジェクトに従事する
  • 産前産後休業、育児休業、介護休業などを取得する労働者の代わりとして従事する
  • 1か月の勤務日数が通常労働者の半分以下かつ10日以下の業務を担う

派遣会社・派遣先企業には抵触日の通知義務がある

派遣会社・派遣先企業には抵触日の通知義務がある

ここでは抵触日の通知義務について、派遣先企業から派遣会社への通知義務、またその反対の場合に分けて解説します。

派遣先企業から派遣会社への通知義務

派遣先の抵触日は、派遣会社と労働者派遣契約を結んで派遣社員を受け入れるタイミングで通知しなければなりません。契約を交わす際に、あらかじめ書面やファックス、電子メールなどで日付を知らせましょう。

通知義務は、新しく契約を結ぶ際に日付を把握し、期間制限を超過して派遣社員を働かせることがないようにする目的があります。

通知する内容は以下のとおりです。

  • 事業所の名称
  • 事業所所在地
  • 事業所抵触日

また、通知は以下のような方法で行います。

  • 書面交付
  • ファックスでの送付
  • 電子メールの送信

抵触日の通知は、形に残る文面で伝える必要があります。口頭での通知は認められていないため注意しましょう。

派遣会社から派遣社員への通知義務

派遣会社から派遣社員へ抵触日を通知するタイミングは、両者が契約を交わすときです。一般的に、就業条件明示書に抵触日を記載します。抵触日以降の働き方を考えるためにも、派遣社員自身が期限を知っておくことが大切です。

関連記事【最新2024年】知っておくべき労働者派遣法の改正ポイントや違反行為を解説

抵触日後のクーリング期間

抵触日後のクーリング期間

クーリング期間とは、抵触日を迎えて期間制限がリセットされ、次の派遣を開始できるまでの期間を示しています。こちらでは、事業所単位・個人単位のクーリング期間について解説します。

事業所単位のクーリング期間

通常、派遣先企業の受け入れ期間終了後から次の受け入れを開始するまで、3か月を超えていないと労働派遣が継続しているとみなされてしまいます。そのため、3か月経過して制限が解除されるまで、クーリング期間を設けなければいけません。

3か月と1日が経つと契約期間の通算がリセットされるため、派遣可能期間の延長手続きをすることなく、再び3年の期間制限で派遣社員の受け入れが可能です。

事業所単位の受け入れについては、期間が完了しても労働組合などから意見聴取を行い、過半数に認められれば期間を延長できる仕組みがあります。派遣先企業がこの手続きを省いて延長目的でクーリング期間を設けるのは、法の趣旨に反しているとみなされているため注意しましょう。

個人単位のクーリング期間

派遣社員が事業所内の同一組織単位で勤務し、抵触日を迎えた場合、契約は一度終了します。3年の勤務を終えてから再び契約したい場合は、3か月のクーリング期間を空ける必要があります。ただし、本人が継続して同じ組織で働くのを希望していないにもかかわらず、クーリング期間を設けて配属するのは望ましくありません。なお、クーリング期間を明けると、それまでの勤務がなかったことになるため、有給休暇もリセットされます。

クーリング期間の注意点

こちらでは、クーリング期間を設ける場合に注意しておきたいポイントを紹介します。派遣先企業が派遣社員の受け入れや期間延長を行う際に、両者間のトラブルが発生しないよう次の3点に気を付けましょう。

空白期間が生じる

クーリング期間を設けると、同じ事業所や組織で継続して勤務してもらうことが可能となりますが、一定の空白期間が生じます。短くて3か月ですが、その間ほかの人材を受け入れない場合、人手不足が発生する可能性があるでしょう。また、同じ派遣社員を受け入れる前提で、業務の引継ぎを行っていないと、空白期間中の業務が滞るおそれもあります。

空白期間中の業務に支障をきたさないよう、派遣先企業は抵触日をしっかり把握しましょう。そのうえで、期間を過ぎる前に労働組合の意見聴取などを適切に行い、期間延長を事前に行う必要があります。

派遣社員と派遣会社の雇用関係が消滅

派遣先企業との契約が終了したタイミングで、契約期間の更新を行わなければ両者の雇用契約も終了します。そのため、一般的にはクーリング期間後に同じ派遣社員を再度派遣してもらうケースは少なく、新たな社員を派遣してもらうパターンが多い傾向です。

クーリング期間のみの直接雇用は禁止

空白の期間となってしまうクーリング期間を避けて同一の派遣社員を雇用し続けるために、クーリング期間中だけ直接雇用しようと考える企業もあるかもしれません。しかし、クーリング期間中だけ直接雇用し、期間が明けたあとに直接雇用を解除して再度派遣社員として受け入れる行為は、労働者派遣法で禁止されています。

抵触日以降も働いてもらうためには、期間延長の手続きを進めるか、クーリング期間を設ける方法しかありません。同一の派遣社員を雇用する際には十分注意しましょう。

また、派遣社員を直接雇用した場合、離職後1年以内は派遣社員として雇い入れはできません。派遣社員の生活や働き方を守るためにも、法に則った手続きを行ってください

関連記事いわゆる「クーリング期間」とは?|パソナの人材派遣サービス

抵触日を迎える際の派遣先企業の対応

抵触日を迎える際の派遣先企業の対応

ここからは、抵触日を迎えた場合に行う必要のある対応を2つの条件に分けて紹介します。契約期間が終了すること自体に特別な手続きは必要ありませんが、派遣先となる企業が働き方の提案を行う場合は、さまざまな手続きが必要になる可能性があります。

違法に派遣社員を雇用しないよう、ルールや手続きを把握しましょう。

派遣社員の受け入れ期間を延ばしたい

派遣社員は同一事業所で継続して働ける年数が3年と決まっています。そのため、期間を延長するためには正式な手続きをおこなう必要があります。

事業所単位の抵触日を迎えると、その事業所は派遣社員を受け入れることができません。企業が3年をこえて派遣社員の受け入れを継続したい場合は、派遣期間制限の延長手続きを行う必要があります。個人単位の抵触日を迎える場合は、別の部署で受け入れるまたは派遣社員を直接雇用すれば、継続勤務が可能です。

これまで働いてくれた派遣社員を継続雇用したい

事業所単位と同様に、3年を超えて同じ組織単位で継続雇用したい場合は、直接雇用する必要があります。原則、過半数労働組合などへの意見聴取を行っても同じ組織に配属はできません。意見聴取による許可で契約期間の延長が適用されるのは事業所単位だけのため注意しましょう。

同じ組織単位で継続的に勤務してもらう手段として直接雇用がありますが、直接雇用とは正社員だけではありません。契約社員やパート社員も直接雇用に該当します。そのため、事前に派遣社員と話し合いを行い、直接雇用を打診してみるのもよいでしょう。

労働者派遣法を正しく理解して派遣サービスを活用!人材派遣ガイドブック

労働者派遣法は、労働者の保護や労働市場の健全な運営を目的とした法律です。そのため企業が遵守しなければならない大切なルールがいくつもあります。人材派遣に関する知識を正しく理解し、適切な人材配置につなげるための参考資料としてご活用ください。

資料のダウンロードはこちら

労働者派遣法を正しく理解して派遣サービスを活用!人材派遣ガイドブック

まとめ

まとめ

派遣社員は原則、最長3年を超えて同一企業、同一課で就労はできません。同一企業で3年の期間を超えて勤務してもらうためには、過半数労働組合などへの意見聴取が必要となります。契約期間を延長したい場合は、抵触日の1か月前までには手続きを行いましょう。また、期間延長しない場合は次の派遣社員の受け入れまでにクーリング期間もあるため、併せて確認が必要です。

少子高齢化により労働人口の不足が問題として浮上している昨今、人材を確保するために派遣社員の受け入れを検討している企業も多いでしょう。優秀な人材を雇いたい、専門的なスキルのある人材を雇いたいなど企業によって求める人材像はさまざまです。なかなか、希望する派遣社員が見つからずにお困りの方は、人材派遣サービスを提供しているパソナまでお気軽にご相談ください。

人材派遣のことなら パソナに相談

パソナの人材派遣サービスでは営業と人選担当が密に連携し、適切なマッチングとスピーディーな人選、ご紹介を可能に。充実した教育・研修制度と高いスタッフ満足度で安定就業を実現できる体制を実現しています。
各社の課題に応じた最適な人材活用プランをご提案いたします。ぜひお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ

ニーズに合わせて活用! パソナの派遣サービス

「急な欠員や産休の人手不足を一時的にカバーしたい」、「繁忙期のみ人員を確保したい」、「採用コストを削減したい」など各社のニーズは様々。それぞれに合わせた人材派遣の活用法をご紹介しています。

資料のダウンロードはこちら

ニーズに合わせて活用! パソナの派遣サービス

Webからのお問い合わせはこちら

お問い合わせ

資料ダウンロードはこちら

資料ダウンロード