おすすめ特集・コラムラインケアとラインケア研修とは?管理職が行う従業員のメンタルヘルスケア対策の重要性
公開日:2025.05.28 更新日:2025.05.28
- 健康経営
ラインケアは、職場における従業員のメンタルヘルスを支えるために、管理監督者が中心となって実施する重要な取り組みです。適切なラインケアを通じて従業員の不調を早期に発見し、迅速に対応することで、離職や休職の防止、さらには組織全体の生産性向上につなげることができます。
この記事では、ラインケアの重要性やメリット、ラインケア研修の必要性など、職場におけるメンタルヘルス対策について詳しく解説します。
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ラインケアとは
ラインケアとは、職場において直属の上司や管理職が主体となり、職場環境の改善や従業員のメンタルヘルス維持に努める取り組みです。部下との日常的なコミュニケーションを通じて「いつもと違う」という異変を早期に察知することで、メンタルヘルスの悪化を未然に防ぎ、必要に応じて専門的な支援につなげることができます。このような取り組みは、従業員の安心感や組織への信頼を醸成し、職場全体の健全な雰囲気づくりに寄与します。
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ラインケアの重要性
従業員の離職や休職を防止する効果がある
従業員が職場でのストレスに起因するメンタルヘルス不調を抱えている場合、これを放置すると離職や休職につながるおそれがあります。ラインケアを実施することで、上司が日常的に部下の状態を観察し、不調のサインにいち早く気づけるようになることで、不調が深刻化する前に適切なケアを行うことができ、従業員の離職や休職を未然に防ぐ効果が期待されます。
生産性向上につながる
従業員のメンタルヘルスが悪化すると、職場において集中力を維持できなくなり、業務効率の低下や人為的ミスの増加といった問題が生じます。この点、ラインケアによって従業員のメンタルヘルスを良好な状態に保つことで、安心して業務に取り組める環境が整い、集中力やモチベーションを維持できるようになります。その結果、従業員一人ひとりのパフォーマンスが高まり、ひいては組織全体の生産性向上にもつながります。
コストを抑えられる
メンタルヘルス不調に伴う離職や休職が発生すると、新たな人材を雇い入れるための採用活動や教育・研修が必要となり、時間的にも金銭的にも多くのコストを要します。こうした事態を防ぐためには、上司が日常的に部下の状態を把握し、早期に適切な対応を行うことが重要です。ラインケアを通じて早期退職や休職を回避することで、業務の穴を埋める既存従業員の人件費や新たな人材の採用・育成にかかるコストを抑えられます。
安全配慮義務を順守し、従業員の安全を守れる
企業には労働契約法や労働安全衛生法に基づく「安全配慮義務」があり、従業員が心身ともに健康に働けるよう配慮する責任があります。これを怠った場合には、損害賠償請求や訴訟といった法的リスクにつながるおそれもあり、企業にとって重大な問題となり得ます。ラインケアを行うことは従業員のメンタル面の安全を守るとともに、こうしたリスクを未然に防ぐ重要な手段でもあるのです。
厚生労働省が示す4つのケア
厚生労働省は、職場における効果的なメンタルヘルス対策として以下に挙げる「4つのケア」を示しています。
- セルフケア
- ラインによるケア
- 事業場内産業保健スタッフ等によるケア
- 事業場外資源によるケア
それぞれのメンタルヘルスケアについて、以下で詳しく解説します。
セルフケア
セルフケアとは、従業員自身がストレスやメンタルヘルスに対する正しい知識を身につけ、自らの心身の状態に気づき、適切に対処する取り組みをいいます。従業員がセルフケアを実践するには企業側のサポートが不可欠であり、定期的な情報提供や教育研修に加え、メンタル面での不安を気軽に相談できる職場環境を整えることが重要です。このような支援体制を構築することで、従業員一人ひとりのストレス対処能力が高まり、職場全体で良好なメンタルヘルスを維持できます。
ラインによるケア
ラインによるケアとは、直属の上司や管理職が中心となって行うメンタルヘルスケアです。主な役割としては、職場環境の把握や改善、労働者からの相談対応、メンタルヘルス不調からの職場復帰支援などが挙げられます。上司は日常的に部下と接する立場であるため、些細な変化にいち早く気づける点でも、メンタルヘルス対策において重要な役割を担っています。管理監督者が適切に対応できるよう、企業としても研修の実施や相談窓口との連携など多面的なサポートを提供することが大切です。
事業場内産業保健スタッフ等によるケア
産業医や保健師、衛生管理者などのスタッフは、セルフケアやラインケアを支援する役割を担います。メンタルヘルス計画の立案や外部機関とのネットワーク形成、メンタルヘルス不調者の職場復帰支援などを通じて、従業員や管理監督者への専門的な助言とサポートを行います。人事労務担当者も職場のメンタルヘルス対策において重要な存在であり、労働条件の改善や適正な人員配置に努めることが求められます。
事業場外資源によるケア
事業場外資源によるケアは、メンタルヘルスの専門医や産業カウンセラーなど、外部機関とのネットワークを構築し、情報提供やアドバイスを受けながら従業員のメンタルヘルスを支援する取り組みです。社内だけでは対応が難しく、専門的な支援が必要な場合には、外部資源との連携が欠かせません。外部の専門家と継続的なネットワークを築くことで、社内での対応力も向上し、より効果的なメンタルヘルス対策を推進できるようになります。
ラインケア研修の必要性について
職場のラインケアでは早期発見と適切な対応が重要となり、管理監督者がその役割を果たすにはラインケア研修を通じた知識とスキルの習得が欠かせません。ラインケア研修とはどのような学びの場なのか、実施する目的とともに解説します。
ラインケア研修とは
ラインケア研修とは、職場における適切なメンタルヘルス対策を行うために必要な知識とスキルを身につける、管理監督者のための研修です。メンタルヘルスに関する基礎知識に加え、部下への声かけや傾聴の姿勢、相談への対応、専門機関との連携方法、職場復帰に向けた支援など、実践的な内容が含まれます。ラインケア研修は、メンタルヘルス不調の予防や早期対応において重要な役割を果たしており、組織のリスクマネジメントの観点からも有効な取り組みです。
ラインケア研修の目的
ラインケア研修の目的は、管理監督者が部下のメンタルヘルスに配慮した適切な対応を取れるようにすることです。メンタルヘルスに関する正しい知識を学び、不調の兆しをいち早く察知できれば、深刻な状態に陥る前に一人ひとりに合った対処を行えるようになります。これにより、メンタル面の問題が拡大するのを防ぐとともに、離職や長期休職の回避にもつなげることができます。
ラインケアを行うメリット
企業がラインケアに取り組むメリットとして以下の点が挙げられます。
メンタルヘルス不調者の早期発見・早期対応
ラインケアを通じて日常的に部下とコミュニケーションを取ることで、遅刻や早退が増えている、業務効率が低下している、表情に覇気がないといった小さな変化にも気づきやすくなります。こうした変化をメンタルヘルス不調のサインと捉え、早期に対応することで状態の悪化を防げる可能性が高まります。
エンゲージメントの向上と離職率の低下
ラインケアによって部下との円滑なコミュニケーションを図れるようになると、周囲に気兼ねなく自分の意見や悩みを率直に表現できる環境が整います。こうした「心理的安全性」の確保は、従業員の安心感や仕事への意欲、職場に対する愛着心を育み、エンゲージメントの向上や離職率の低下にも大きく寄与します。
組織全体の生産性の向上
職場で適切なラインケアが行われると、従業員が過度なストレスを抱えることなく、安心して業務に取り組めるようになります。精神的な負担が軽減されることで集中力やモチベーションが高まり、従業員一人ひとりの業務効率やパフォーマンスの向上、さらには組織全体の生産性を底上げすることができます。
ラインケアにおける保健師の役割
従業員のメンタルヘルスをきめ細やかにケアするためには、保健師との連携を積極的に図ることが重要です。保健師は、日々の健康相談やストレスチェック対応などを通じて、従業員の心身の変化にいち早く気づける立場にあります。こうした専門職と密に連携することで、従業員が心身の不調や悩みを気軽に相談できるようになり、人事部門や管理監督者も実践的な対応方法について助言を受けることができます。これにより、組織全体でメンタルヘルス不調の早期発見・早期対応が促進されます。
まとめ
直属の上司など管理監督者が主体となって実施するラインケア。上司が部下と日常的にコミュニケーションをとり「いつもと違う」異変に気づいて早期に対応することが、メンタルヘルス不調の深刻化を防ぐ鍵となります。ラインケア研修を通じて正しい知識やスキルを習得することで、実践的な対応力が向上し、早期発見・早期対応を促す組織文化の醸成にもつながります。
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