おすすめ特集・コラムWill-Can-Mustとは?フレームワークの具体例や活用メリットをご紹介
公開日:2025.05.27 更新日:2025.05.27
- キャリア自律支援
職業人生が長くなり、働き方も多様化する現代において、企業が従業員一人ひとりのキャリア形成を支援する役割がますます求められています。従業員の成長は組織全体の生産性向上や企業の持続的な発展にも直結するため、キャリアサポートは企業にとっても欠かせない取り組みとなります。そこで注目されているのが「Will-Can-Must」フレームワークです。
本記事では、Will-Can-Mustのフレームワークの具体例や活用メリットについて分かりやすく説明します。
パソナの研修プログラム
近年では、自らのキャリアの方向性を明確にし、主体的かつ能動的に考え行動することが求められるようになっています。
- 研修メニュー内容と対象
- キャリアデザイン研修
- セルフブランディング研修
- 上司向けキャリア面談力向上研修
- キャリアレクチャー
- 料金一覧
本資料では、大きく4つに分類されるキャリア関連研修のメニューと、各研修の内容についてご紹介します。
Will-Can-Mustとは
Will-Can-Mustは、従業員が自分と組織の関係性を踏まえ、キャリアを考える際に役立つ思考法です。
キャリアプランニングに役立つ「Will-Can-Must」フレームワーク
Will-Can-Mustとは、キャリアプランニングの際に活用できるフレームワークのひとつです。キャリアについて考えるときはさまざまな情報が入り混じり、自身の強みや理想の将来像を見極めるのが難しくなることがあります。
Will-Can-Mustは、キャリアを考えるうえで重要な3つの要素を「Will(やりたいこと)」「Can(できること・強み)」「Must(自分の役割)」に分けて整理することで、目指すべき方向性を明確にできる手法です。
Will(やりたいこと)
Willは、未来に向けた意志を示す助動詞であり、将来やりたいことを指します。キャリアを考えるうえで、Willは目指すべき方向性を明確にする非常に重要な要素です。
まずは自分自身と向き合い、「自分が本当にやりたいことは何か」を自覚することで、より納得感のある目標を設定できるようになります。
Willを考えることはキャリアデザインのスタートラインとなり、Willの明確化は、目標達成へのモチベーションを高める原動力となります。
Can(できること・強み)
Canは、自分が「できること」や「持っている強み」を指します。キャリアプランニングでは、Will(やりたいこと)だけでなく、現時点で自分がどのようなスキルや能力をもっているのかを把握することも重要です。
もし自分のCanを正しく理解せず、Willばかりに着目してしまうと、実現が難しいキャリアプランを立ててしまう可能性があります。
自分の強みを活かしたキャリアを考え、現実的な目標を設定するためにも、今の自分にできること=Canをしっかり見極めることが重要です。
Must(自分の役割)
Mustは、自分が果たすべき役割や、組織から期待されている役割を指します。キャリアプランを考える際には、個人の「できること(Can)」や「やりたいこと(Will)」だけではなく、客観的な視点から組織における自分の役割=Mustを把握することが重要です。
Mustを正しく理解することで、組織の期待に応えやすくなり、より実現可能性の高いキャリアプランを立てることができます。また、組織のニーズに応えることで、自身の評価や信頼も高められます。
関連記事:キャリアプランニングとは?メリットや作成方法を簡単に解説!
Will-Can-Mustフレームワークの活用メリット
Will-Can-Mustのフレームワークを活用することで、自己分析を「過去」「現在」「未来」の3つの時間軸でおこなうことができます。その結果、現在の自分の視点から、将来の目標達成のために「今できること」と、「これからすべきこと」を明確に把握できるようになります。
さらに、組織から寄せられる期待を理解することで、自分が果たすべき役割を認識でき、より具体的な目標を立てやすくなるでしょう。
また、Will-Can-Mustのフレームワークを組織内で活用し、メンバー同士がその結果を共有することで、お互いの強みや目標、役割を理解し合えるようになります。これによりチームの結束力が高まり、メンバー同士が短所を補い合い、長所を活かし合うことで、チーム全体のパフォーマンスも最大化できるでしょう。
Will-Can-Mustフレームワークの目標設定の仕方
Will-Can-Mustのフレームワークの目標設定の仕方を「Will」「Can」「Must」の項目に分け、具体的に説明します。
Willの設定
Willは、自分が目指す方向性を明確にするための重要な要素です。Willを見つけるためには、まず過去を振り返ることがひとつのヒントとなります。特に、印象に残っている出来事や楽しいと感じた経験、充実していた時期、やりがいを感じた瞬間などを思い出すと、自分のやりたいことや大切にしている価値観が見えてきます。
また、過去を振り返るだけでなく、憧れの人物や将来実現したい理想の姿をイメージすることも、Wilを見つける手助けとなります。さらに、「何歳までにこうなりたい」といった具体的な数値目標を設定することで、目標がより明確になり、実現に向けた行動もしやすくなるでしょう。
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Canの設定
Canは、今の自分ができることを指し、Canを見つけることは等身大の自分を知ることにもつながります。自分の現在地を把握するためには、過去の経験を振り返ることが有効です。業務上での成功体験を整理することで、これまでに身につけてきたスキルを洗い出すことができます。
また、第三者からの客観的な視点を取り入れることで、自分では気づかなかった強みに気づくこともあります。上司からのフィードバックも、Canを把握するうえで参考になるでしょう。
さらに、自分のスキルをカテゴリごとに評価する「スキルマップ」を作成したり、適性診断ツールを活用することで、より客観的に自分の強みを把握することができます。
Mustの設定
Mustは、組織内で自分が果たすべき役割を指します。WillやCanを考える際には自分自身と向き合うことが大切でしたが、Mustを設定するには、所属する組織を客観的に見つめる視点が求められます。
まず、組織の目標を確認し、その達成に向けてどのような課題があるのかを分析することで、課題解決のために必要な行動が見えてきます。
さらに、組織内のメンバーの状況や役割分担を踏まえることで、目標達成のために自分に求められている行動や役割を具体的に把握できるようになるでしょう。
Will-Can-Mustをリンクさせる
Will、Can、Mustの要素を具体的に書き出すことができたら、次はそれぞれをリンクさせます。まず、Will(やりたいこと)とCan(できること)の間にあるギャップを認識することで、目標を実現するために必要なスキルや経験が明確になるでしょう。
また、Must(求められる役割)とWill、Canをリンクさせることで、自分の目標やスキルと、組織が求める役割とを重ね合わせることができます。個人の目標に組織の目標や期待を融合させることで、より具体的な目標設定や行動計画の策定が可能になります。
従業員のキャリア自律支援サービス
社員が自律的・主体的にキャリアを形成できるよう設計されたプログラムです。自身のキャリアを考え、選択するための「気付き」や「学び」の機会を提供しています。
Will-Can-Mustを活用できるタイミングの具体例
企業において、Will-Can-Mustのフレームワークを活用できる最適なタイミングの例を3つご紹介します。
定期的にキャリアを見直すとき
VUCAの時代と呼ばれる変化の激しい現代において、組織から求められる役割も、時間とともに変化します。また、経験を重ねることで、できること(Can)も着実に増えていきます。そのため、従業員が定期的にキャリアを見直す機会を設け、「Willが変化していないか」「Canがどれだけ増えたか」「Mustに変更はないか」を確認することが重要です。
定期的なWill-Can-Mustフレームワークの実施により、従業員は自身の成長を実感しやすくなり、次の目標も設定しやすくなります。また、自己効力感の向上が業務への意欲を高めるという好循環を生み出し、変化に強い柔軟な組織づくりにもつながります。
新たな職位に就いたとき
新たな役職への就任や昇進のタイミングでは、組織から求められる役割(Must)が変わることが多くなります。そのため、まずはMustを再確認し、これまで培ってきたスキルや経験(Can)をどのように活かして新たな役割を果たすことができるのかを確認することが重要です。
さらに、新たな職位において自分がやりたいことや、目指したい方向性(Will)を改めて明確にすることで、より具体的な目標を設定しやすくなります。こうした見直しを行うことで、新たな環境でも自信を持って行動できるようになるでしょう。
新しいことに挑戦するとき
新規プロジェクトへの参加や部署異動で新たな業務に携わるときにも、Will-Can-Mustのフレームワークは役立ちます。新しい環境で自分に求められる役割(Must)を明確にすることで、これまで培ってきたスキルや経験(Can)をどのように活かして組織の目標達成に貢献できるかを把握しやすくなります。
また、組織全体でWill-Can-Mustのフレームワークを活用し、その内容を共有することで、メンバー同士が互いの強みや役割を理解し合えるようになります。これにより、チームとしての目標も達成しやすくなり、個人のモチベーションやチームのパフォーマンスの向上にもつながります。
Will-Can-Mustを社内に浸透させる方法
Will-Can-Mustは、従業員が個人で実施するのではなく、組織全体で取り組むことでより効果を発揮します。Will-Can-Mustを社内に浸透させる方法を2つ紹介します。
キャリアデザイン研修を実施する
キャリアデザイン研修とは、従業員が自身のキャリアを主体的に捉え、理想のキャリア実現に向けた計画を立てて実行するプロセスを学ぶ研修です。キャリアデザインを考える際には、自分の強みや役割を見つめることが重要であり、研修プログラムを通して自分のWill(やりたいこと)、Can(できること)、Must(求められること)を整理・確認できるようになります。
また、キャリアデザイン研修によって従業員のキャリア自律が促進されると、目標がより明確になるため、業務に対する意欲やモチベーションの向上にもつながります。
関連記事:キャリアデザインとは?意味や重要性、企業の支援方法を解説
1on1ミーティングを実施する
1on1ミーティングとは、上司と部下が1対1で向き合い、定期的にコミュニケーションを重ねることで互いの信頼関係を築く面談のことです。上司が部下の悩みに耳を傾け、課題解決のヒントを与えたり、前向きな声がけを行ったりすることで、部下のモチベーション向上につながります。
この1on1ミーティングの場でWill-Can-Mustを意識しながら、上司が期待している役割や、業務のなかで成長を感じた点などをリラックスした雰囲気で伝えることで、部下も自分のWill-Can-Mustを意識しやすくなります。また、部下のWill(やりたいこと)を聞く機会が増えるため、やりたいことの実現に向けたサポートもしやすくなるでしょう。
関連記事:1on1で「話すことがない」にもう困らない!テーマ一覧と失敗例から学ぶポイント
まとめ
Will-Can-Mustは、キャリアプランニングにおいて有効なフレームワークです。自分の「やりたいこと(Will)」「できること(Can)」「求められる役割(Must)」を整理することで、理想のキャリア実現に向けてやるべきことが明確になり、具体的な計画や行動に落とし込みやすくなります。
また、Will-Can-Mustの考え方を社内に浸透させるには、キャリアデザイン研修や1on1ミーティングなどの機会を活用し、従業員一人ひとりが自分のWill、Can、Mustを意識できる環境づくりが重要です。これにより、個人の成長と組織の目標達成がより効果的に進むでしょう。
パソナでは、従業員のキャリア自律を促進するさまざまな研修プログラムを提供しています。Will-Can-Mustを活用した自律型組織の形成を目指す際には、ぜひパソナにご相談ください。
<管理職向け>キャリア面談向上研修
部下のキャリア形成支援に対する管理職の役割について理解を深め、 キャリア面談での対話を通じて部下の成長やキャリア形成について、共に考えられるようになることを目指します。