おすすめ特集・コラムアンラーニングの意味とは?リスキリングとの違い、メリットを紹介
公開日:2024.07.25 更新日:2025.01.30
- キャリア自律支援
ビジネス環境の変化が激しい時代に企業や人が生き残るために必要な取り組みとして「アンラーニング」が注目されています。
アンラーニングは直訳すると「学習棄却」と訳されますが、過去に学んだ知識をすべて捨てるのではなく、自身が持つ知識や価値観を振り返り、現状にあわない価値観や新たな学びを阻害する固定概念を取捨選択することを指します。
この記事では、アンラーニングの意味やリスキリングとの違い、重要視される理由、企業がアンラーニングに取り組むメリットについて解説します。
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アンラーニングとは?
アンラーニング(Unlearning)とは、日本語では「学習棄却」や「学びほぐし」を意味する言葉です。
棄却という言葉からは「忘れる」「捨てる」という意味が連想されますが、アンラーニングの意味は、学習によって得られた自身の価値観の認識と取捨選択、そして新たな知識やスキルの習得による学びの修正です。
自分がもっている価値観やスキルの中で現状に合わないと判断したものは使用を停止し、成長や進化のために新しいことを学び、自身をアップデートさせることがアンラーニングです。
人は多かれ少なかれアンラーニングを経験してきています。例えば、就職、転職、異動あるいは昇進などの変化があれば、それまでの成功体験や考え方をいったん脇におき、新たなマインドセット、新しい知識・スキルを身につけることが求められます。
アンラーニングとは人が変化に適応するために必要なプロセスであり、言いかえればどのような変化にも対応して成果をあげられる人は、自らアンラーニングができる人材とも言えるでしょう。
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アンラーニングとリスキリングの違い
アンラーニングと同じ文脈でよく使われる言葉に「リスキリング(Re-skilling)」があります。
リスキリングは「スキルの再習得」「学びなおし」を意味する言葉です。
アンラーニングが過去に得た知識や価値観を振り返り、取捨選択することに主眼を置くのに対し、リスキリングは新たなスキルの獲得に焦点を置いています。
アンラーニングとリスキリングは矛盾するものではありません。アンラーニングによる取捨選択は、過去の学びや成功体験が新しいスキルの習得を阻害することを防ぐので、リスキリングの土台になると考えられます。
アンラーニングとリスキリングを組み合わせることで、学びをより効果的に進められるでしょう。
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アンラーニングの必要性
アンラーニングは、変化が激しい時代を生き残るために重要な取り組みです。
今のようにビジネス環境が速いスピードで変化する時代は、20代の従業員であってもアンラーニングをおこなわなければ数年でスキルが陳腐化することもありえます。誰もが過去の学びを通じて得た知識や価値観に固執することなく、今の時代に求められる知識やスキルを習得していく必要があります。
個人に限らず企業などの組織も同様です。組織のパーパスのもと事業展開することは不変でも、実現するためのパラダイム、必要になる知識をアップデートし変化に対応しなければ市場から高い評価を得ることは難しいでしょう。
そのような意味では、リーマンショックやコロナ禍などの予測不能な状況下で新規事業の展開やビジネスモデルの転換によって生き残った企業は、アンラーニングが機能している、変化に強い企業と言えます。
時代の潮流に乗って人材と組織がともに成長していくためにも、アンラーニングは必要不可欠です。
企業がアンラーニングに取り組むメリット
企業がアンラーニングに取り組むと、人材育成と組織強化の両面でメリットが得られます。
人材育成に効果的
経験豊富なベテランやスキルを十分に習得している自負のある人材ほど、新たな学びに消極的で、知識のアップデートができていないという課題を感じている企業も多いでしょう。
アンラーニングは、新たな学びの妨げとなる価値観や固定概念に気づかせ、伸び悩む従業員の成長を促すうえで効果的な取り組みです。リスキリングによる新しいスキルの獲得を促す前段階としてアンラーニングを導入すると、従業員も過去の経験にとらわれずにスムーズに学びを進めやすくなるでしょう。
ただし、過去に得た知識やスキルを否定することはマイナスの影響を与える可能性もあるため、アンラーニングが成長につながることをしっかり理解してもらう必要があります。
今は変化が速い時代である一方で働く期間が伸びていること、誰もがキャリアのなかでアンラーニングを求められる時代であり、アンラーニングすることがキャリアの充実につながると認識してもらうことが大切です。
意識改革に役立つ
社歴が長い従業員、成功体験のある従業員の中には、業務内容や環境変化を嫌う人もいます。しかし、新しい情報や価値観を受け入れることを苦手としたままでは、個人が成長しないだけでなく、組織の成長を妨げる要因にもなりかねません。
変化に柔軟に対応できる組織にするためには、全従業員の意識改革が必要であり、従業員の意識を変えてもらう際にアンラーニングが役立ちます。
人事戦略として、内省と周囲からのフィードバックによるアンラーニングを導入することで、従業員は新しい情報や価値観に適応できる柔軟性を徐々に身につけられるようになるでしょう。
変化に強い組織になる
アンラーニングによって、従業員が時代にあわせて不要な価値観にとらわれず新たなスキルを身につけることに意欲的になれば、変化に強い組織づくりが実現できます。
イノベーションの創出、業務効率化をおこないやすい風土が社内にできるようになるので、組織の成長速度を高められるでしょう。人材と組織の成長が互いに相乗効果をもたらし、業績が上がることで従業員満足にもつながるなど良い循環が起こり、さまざまなメリットが得られます。
アンラーニングの基本的な進め方
アンラーニングの進め方には、大きく3つのステップがあります。
ステップ1:内省
まず、過去の学びや経験によって自身が得た価値観やこだわりはどのようなものか、新しい学びの妨げになっていないか気づくために、知識や経験の棚卸、他者との比較、客観的な視点での振り返りなどによる内省をおこないます。
一人で内省をおこなうのを苦手とする従業員も多いため、他部署や異業種とのビジネス交流会、ワークショップなどに参加してもらい、外部からの刺激で気づきを得てもらうことも大切です。
関連記事:リフレクションとは?意味や人材育成における内省の重要性を解説
ステップ2:選択
内省によって認知できた自身の価値観について「必要なもの、不必要なもの」を取捨選択します。現在のビジネス環境や社会で必要とされているもの、他者の価値観と照らし合わせ、捨てるべき価値観や使用停止にすべきスキルを明らかにします。
この段階で大きな助けになるのが、チームメンバーや上司からのフィードバックです。360度フィードバックや1on1ミーティングを通じて、周囲からの評価や変えるべき点を伝えることで、取捨選択をサポートできます。
ステップ3:変革
取捨選択の判断ができたら、実際に行動や価値観を変え、新たな学びを進めていく段階です。行動なしに価値観だけを変えることは難しいため、継続して異なる価値観を持つ相手と交流する機会や、新たな情報を得られる機会を提供することが必要です。
また、価値観の変化やアンラーニングの効果が表れるまでは時間を要するため、1on1ミーティングやコーチングにより、継続的な振り返りや学びを持ち続けられるよう取り組みをおこないましょう。
関連記事:1on1ミーティングの目的とは?メリットや実施ポイントを紹介 関連記事:ポジティブフィードバックとは?効果や進め方、活用例を紹介
効果を出すための 1on1ミーティングスタートガイド
より効果的な1on1ミーティングを実施するため、実施の目的・事前の準備から振り返りまで、正しい手順と内容を紹介します。
まとめ
アンラーニングとは、過去の学習によって得た自身の価値観の認識、および、取捨選択をおこない、新たな知識やスキルの習得によって学びを修正することを指します。
アンラーニングによって、時代にはそぐわない古い価値観や固定概念を取り払うことができると、リスキリングをはじめとした新たな学びがスムーズになります。組織としてアンラーニングを推進することは、変化の激しい時代に対応できる人材の育成、変化に強い組織の構築につながります。
アンラーニングを推進するためには、他部署との交流会やワークショップ、360度フィードバックや1on1ミーティングの取り組みなどを実施し、従業員の内省や取捨選択をサポートすることが必要です。
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