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5年後に向けて必要なスキル・マインド・経験

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法務キャリアの明暗を分ける!<br>5年後に向けて必要なスキル・マインド・経験

2023年4月27日(木)14:00~、企業法務に携わる法務パーソンの皆様を対象に、法務実務・リーガルテック・法務採用、それぞれの専門家を招いてのトークイベント『“法務キャリア”の明暗を分ける!5年後に向けて必要なスキル・マインド・経験』を開催いたしました。 

本セミナー開催の趣旨

変動性・不確実性・複雑性・曖昧性を伴う、いわゆる「VUCA(ブーカ)の時代」に突入したと言われて久しい昨今、リーガルテックツールの進化や経済情勢の変化、ジョブ型雇用の浸透など、これからの10年で、法務パーソンを取り巻く環境も大きく変わると予想されています。それに伴い、法務パーソンに求められる役割や、社内外でのプレゼンス、求人ニーズなどにも大きな変化が起こると考えられます。

こうした状況下で、5年後、10年後も「求められる法務パーソン・法務部門」であり続けるためには、企業法務のリアルな未来を見通し、そこから逆算して、必要なスキル・経験を見据え、法務キャリアを築く必要があると感じています。

今回のパネルディスカッションでは、リーガルテックツール開発の最前線におられる奥村様、その豊富な実務経験を通じて企業法務の変遷・進化を誰よりもリアルに体感して来た登島様、長年、法務専門のキャリアアドバイザーを務めるパソナ潮崎、それぞれの切り口から、「企業法務のリアルな未来」を描くためのヒントを語っていただきました。

登壇者情報

奥村友宏 様
奥村友宏 様
株式会社Legal On Technologies
執行役員、法務開発責任者、弁護士
2011年から2016年にかけて、長島・大野・常松法律事務所 東京オフィスに勤務。弁護士として、主にM&A・コーポレート領域に携わる。その後、Duke大学ロースクール留学(LL.M.)を経て、ニューヨークのKramer Levin Naftalis & Frankel LLPにて勤務。2018年からは長島・大野・常松法律事務所バンコクオフィスにて、企業買収案件やジョイントベンチャー設立案件などを手掛ける。2020年、現職である株式会社LegalOn Technologies(旧株式会社LegalForce )に入社。法務開発責任者として、同社が提供する法務コンテンツの監修を統括している。
登島和弘 様
登島和弘 様
株式会社新企業法務倶楽部 代表取締役
中央⼤学法学部法律学科卒業後、スタンレー電気㈱総務 部庶務課法務係を皮切りに、⽇本AT&T㈱ 契約部課⻑、松下冷機㈱法務室主事、セジデム㈱コーポレートサービス部統括部⻑・法務部⻑兼任、サイネオス・ヘルス(同)アジア太平洋地域法務責任者等を歴任後、現職。30年以上にわたる国内・国際法務の最前線での経験を元に2021年上梓した「ここからはじめる企業法務」(英治出版)が注目を集める。企業法務関連のセミナー・講演も多数。現在、若⼿企業法務担当者の指導・育成に従事しつつ、スタートアップ・ベンチャー企業等の経営支援にも注力している。
潮崎明憲
潮崎明憲
株式会社パソナ 法務専門キャリアアドバイザー
大阪市立大学法学部卒 近畿大学法科大学院修了。法務・総務担当として入社した営業研修会社の事業を4年にわたって支えた後、2014年より、米国訴訟における日本企業支援(eディスカバリー)業務に従事。2017年からは、法務専門エージェンシー、株式会社More-Selectionsにてエージェントとして、1000社超の企業の法務職採用に携わる。2021年9月、株式会社パソナが株式会社More-Selectionsを吸収合併したのを機に、現在まで、パソナにて法務・ハイクラス専門のキャリアアドバイザーを務める。

パネルディスカッション

パネルディスカッション

5年後、法務パーソンの仕事はどう変わっている?

パネルディスカッションでは、最初に「5年後、法務パーソンの仕事はどう変わっているか」をテーマにディスカッションが行われました。

まず、潮崎より奥村様に「リーガルテックツールの現状と、今後の5年で想定される進化」について質問がありました。これに対し、奥村様は、下記4点を挙げられました。

  1. 現状のリーガルテックには大きく3つの分野があり、それぞれワークフロー、リサーチ、契約業務の支援ツールが開発されていること
  2. これらのうち、リサーチ支援ツールが特に進化しており、キーワード検索やサブスクリプションサービスを利用することで、膨大な量の情報を短時間で処理できるようになっていること
  3. また、契約業務の分野でも、契約作成から交渉、締結までのプロセスを支援するツールが開発されていること
  4. 一方で、現状のリーガルテックツールは、個々の分野・課題・工程をそれぞれバラバラに解決して行くものが主流となっていること

その上で、今後、一連の法務業務を一つの プラットホームで解決できるマスターシステムのようなものの登場が期待されると提言されました。

その後、潮崎より、登島様に「実務者の立場から感じる、リーガルテックツールの発展に対する見解・感想」について伺ったところ、下記2点をお話されました。

  1. 契約書ドラフティングにおいて、契約書のテンプレートが充実していることで、スクラッチから作成する必要がなく、心理的な負担が軽くなっていること
  2. 契約書レビューにおいては、「書いてないことに気がつく」ことに難しさがある中で、LegalForceが備える数秒で抜け落ちを指摘してくれる機能が特にありがたいと感じたこと

続いて、潮崎より、法律相談・コンプライアンス対応などの業務とAIの進化について話が向けられると、奥村様は、下記3点をお話されました。

  1. 最近では、チャットGPTなどの生成AIの進化が目立ち、今までは、その個別性によりテクノロジーの導入が難しいとされていた法律相談においても新たな製品が登場する可能性があること
  2. 一方で、回答の精度にいまだ全幅の信頼を置けるわけではない中で、法務パーソンとしてこれらをどう活用するかが問われること
  3. 法務パーソンとして、AIの出した回答の精度を評価しつつ、最終決定を下す役割が重要になってくること

登島様は、チャットGPTは知らない分野について、何を調査・検討したらよいかを考える際の壁打ち役として有効であるとしつつ、精度の観点から、法令や判例の調査は、法務パーソン自身の責任で行うべきではと提言されました。

また、現状、現場向けのコンプライアンストレーニングにおいて、上から目線での座学形式のレクチャーでは情報が十分に伝わっていないという問題点を指摘しつつ、現場にアプローチし、具体的な業務手順やフローを理解したうえで、各工程にどの法令や社内規程が適用されるのかを見える化するソリューションがAIを通じて実現できれば面白いのではとお話されていました。

続いて、潮崎より登島様に30年超の法務実務経験の過程で、新たに生まれた法務業務、なくなった業務、増えた業務、減った業務などについて質問したところ、これまでのご経歴の変遷に触れつつ、下記4点をご紹介されました。

  1. 手書きでの契約書審査業務がなくなったこと
  2. 紙の資料や書籍の参照業務が減ってきたこと
  3. 社内外とのコミュニケーション手段が電話や対面が中心だったところから、メールが登場し、コミュニケーション業務が大幅に効率化されたこと
  4. 司法書士事務所を訪れての商業登記業務がなくなり、今やパソコン上で処理できるようになったこと

その上で、これまでの法務業務の変遷に照らしたときに、今後、法務パーソンの存在意義を示すうえで重要になるのが、“非定型的で高難度な法務業務”になると提言されました。
具体的には、①新規事業の立案とそれに伴う契約内容の立案・交渉、②リスクマネジメントやコンプライアンスの視点を入れながらの現場の業務フローの構築などを挙げられていました。
今後の法務パーソンは、リーガルのナレッジ・スキルをベースにして、より経営にコミットしビジネスを推進していく役回りを担って行くことになりそうです。

もし不況が到来したら、法務パーソンはどのように扱われる?

もし不況が到来したら、法務パーソンはどのように扱われる?

続いて、今後、訪れるかもしれない経済不況が法務パーソンの処遇に与える影響についてディスカッションを行いました。

登島様は、これまでのご経験を踏まえ、不況により法務パーソンにも一定の淘汰が起こり得ると予想しつつ、むしろ、法務パーソンが不況脱出の起爆剤になるつもりで、どんどん成長産業に活躍の場をシフトし、ビジネスにコミットして推進力を発揮することが重要になるとお話くださりました。加えて、不況に対して受け身にならず、いつでも成長産業にシフトできるよう、自分自身の目標や課題を明確にし、日々行動を起こすマインドセットが求められると提言されました。

奥村様は、不況によりリーガルテックツールへの投資が多少抑制される可能性を指摘しつつ、不況下でも法務パーソンの業務量自体は減らないことから、最終的に、企業は人員を増やすかテクノロジーに投資して自動化を進めるかの選択を迫られることになると話されました。
そのうえで、企業はハイレイヤーの法務パーソンに事業創出等のハイレベルな仕事に注力させるべく、不況下でも、一定割合、テクノロジーに投資して自動化を進め続けるのではとの見解を示されました。

これからの法務パーソンに求められるスキル・マインド・経験は?

最後に、今回のパネルディスカッションのメインテーマである、「これからの法務パーソンに求められるスキル・マインド・経験」についてお二人のご意見を伺いました。

奥村様は、法務パーソンとして事業創出に積極的に関わって行くことがキーとなると述べられたうえで、下記5点についてご紹介いただきました。

  1. 法務パーソンには、意思決定能力と判断能力が重要になること
  2. AIやテクノロジーの進化にも関わらず、合理的な判断が必要な場面では人間の能力が求められること
  3. AIに出来ないことという観点で、特定のケースや状況において、理屈や説明をしっかりと行える能力も求められること
  4. 便利なツールの使用や技術の使いこなしが、将来的には一般的になる可能性があること
  5. テクノロジーの進歩によって求められる能力は変化していくため、常に新しい能力にフォーカスしていく必要があること

登島様は、まず、法務パーソンの存在意義として、ビジネスを推進するために、無秩序なナマの事実の中から問題をピックアップし、法令や条例・通達・社内規程・契約書などのルールを特定・適用したうえで、結論を導く、いわゆるIRAC(アイラック)を回すことが期待されると述べられました。さらに、IRACの中でも、特に「I」の部分、すなわち、問題発見の領域こそ、一番難易度が高く、なおかつ外注が出来ない法務パーソンの腕の見せ所になると語られています。
また、そのために、ヒアリング力・コミュニケーション力・会社の製品の理解・組織の理解・ビジネス背景の理解などが重要になると説明されました。

そして最後に、今後、法務パーソンとして成長するうえでのツールとして、米国大リーグで活躍する大谷選手が高校時代に作ったマンダラチャート(3×3や9×9といったマス目で構成される目標達成のフレームワーク)の活用を推奨されました。
自分の現状と課題を把握したうえで、目指すべきところ・備えるべき力を具体的にブレイクダウンして行くことで、やるべきこと・進むべき方向が明確になるとのお話でした。

約90分にわたり、お二方より、非常に興味深いお話の数々をいただきました。
今回のパネルディスカッションが皆さまの会社の法務体制の構築、そして、皆さまご自身の法務 キャリアを考えていく上で、参考にしていただけましたら幸いです。

奥村様、登島様、そして、ご参加いただいた皆さま、誠にありがとうございました。

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