おすすめ特集・コラム女性管理職の比率は?増やすための施策・育成方法を紹介
公開日:2024.11.28 更新日:2024.11.28
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近年、女性の社会進出が加速しています。共働き世帯と専業主婦世帯の数は1990年代に逆転し、2000年代以降は両者の差が拡大する一方です。さらに2016年には女性活躍推進法が施行され、女性の活躍に対する社会的な後押しも強い状況にあります。
しかし、世界経済フォーラム(World Economic Forum:WEF)が公表するジェンダーギャップ指数において、日本の順位は下落傾向が続いています。2023年の調査結果『Global Gender Gap Report 2023』では146か国中125位と、2006年の公表開始以来最低の結果となりました。日本における女性管理職の比率は先進国の中でも低位にとどまっており、各企業には女性管理職を増やすための施策が望まれます。
この記事では女性管理職の比率を取り上げ、管理職を増やす施策や育成方法を紹介します。
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女性管理職の比率
女性管理職が少ないといわれる日本ですが、実際に管理職に占める女性の割合はどのくらいなのでしょうか。まずは企業における女性管理職の比率について、日本と世界の現状と日本政府が掲げる目標を紹介します。
日本における女性管理職比率の現状
厚生労働省の2021年度調査によると、日本で課長職以上の女性管理職が在籍する企業は53.2%、係長職以上は61.1%でした。現状として、過半数の企業で女性管理職が在籍している状態です。
引用:厚生労働省『令和3年度雇用均等基本調査資料』(P5)
しかし、女性管理職の割合を役職別にみると、課長職以上に占める女性の割合は12.3%、係長職以上は14.5%となっています。多くの企業が女性管理職を有しているものの、管理職に占める男女の割合という点で女性管理職はまだまだ少なく、男性管理職が圧倒的に多い状態が続いています。
引用:厚生労働省『令和3年度雇用均等基本調査資料』(P6)
世界における女性管理職比率の現状
労働政策研究・研修機構が公表した『データブック国際労働比較2023』によると、管理職に占める女性の割合が特に高い国として、フィリピン(53.0%)、スウェーデン(43.0%)、アメリカ(41.4%)、オーストラリア(40.0%)があります。日本の女性管理職の割合は諸外国と比べても低く、欧米諸国だけでなく他のアジア諸国と比較しても低水準となっていることがわかります。
引用:独立行政法人 労働政策研究・研修機構『データブック国際労働比較2023』(P88)
女性管理職比率に対する政府の目標
日本政府は2003年の時点で、2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%程度に増やすという目標を設定していました。しかし、その後も女性管理職の割合は伸び悩んでおり、この目標は現状から大きく乖離しているといわざるを得ません。
これを改める形で2023年4月に発表された政府の目標では、東京証券取引所の最上位「プライム市場」に上場する企業における女性役員の割合を2030年までに30%以上に引き上げるとされています。
内閣府が公表した資料によると、2022年時点のプライム市場上場企業において、女性役員が在籍していない企業の割合は18.7%でした。
引用:内閣府男女共同参画局『女性活躍・男女共同参画における現状と課題』(P9)
たしかに、下図によると2012年から2022年までの10年間で女性役員数は5.8倍に増加しており、年々上昇傾向が続いています。しかし、上場企業の役員に占める女性の割合は9.1%にとどまっており、その比率は依然として低いのが現状です。
引用:内閣府男女共同参画局『女性活躍・男女共同参画における現状と課題』(P7)
ここでの狙いは、東証最上位のプライム市場上場企業から女性役員を増やして、企業の女性登用を加速させることにあります。政府はプライム市場上場企業を対象とした目標設定について「企業における女性登用を加速化するための重要かつ象徴的な第一歩」と位置付けています(男女共同参画会議『女性版骨太の方針2023』より)。
関連記事:【2025年】女性役員比率19%を目指す|政府方針の概要と現状
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女性管理職が少ない原因
日本で女性管理職が少ない主な原因として以下の2点が挙げられます。
原因①:家事や育児の女性に対する負担の偏重
日本では男性に比べ、家事や育児の負担を女性が多く担っています。総務省の調査によると、1日の家事関連時間は男性が51分であるのに対し、女性は3時間24分であり、約4倍の格差があります(総務省統計局『令和3年社会生活基本調査』より)。仕事をしながら、家事や育児にも多くの時間を費やす女性の精神的・肉体的負担は過大であり、女性のキャリアアップを阻害する要因になっていると考えられます。
関連記事:男性育休の平均期間は?「自分の育休取得には消極的な」男性社員の実態も解説!
原因②:女性の就業を後押しする環境の未整備
女性は男性と比べてライフステージごとの起伏が大きいことも、女性管理職の割合が伸び悩む要因となっています。現状では職場の勤務体系や福利厚生の整備が不十分で、多くの女性が結婚や出産をきっかけに退職してしまいます。前述のとおり、女性は家事や育児に対して多くの負担を担っているため、女性にとって働きやすい職場環境を整えなければ、長期的なキャリア形成を推進することは難しいでしょう。
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女性管理職を増やすための施策
女性管理職が少ない現状において、管理職に占める女性の割合を増やしていくにはどのような方法があるのでしょうか。ここでは、企業が女性管理職を増やすための具体的な施策を紹介します。
方法①:女性管理職を増やす目的を周知・共有する
なぜ女性管理職を増やす必要があるのか、その目的を全社で共有できていないうちに施策を講じても、十分な成果を得られないでしょう。なぜなら、従来管理職の登用は男性偏重の企業が大半であり、自社の急激な変革に対して反発する社員が出てくる可能性もあるからです。まずは女性管理職を増やす目的を周知し、性別に関係なく全社員で共有することが重要です。
方法②:女性社員に対する研修プログラムを充実させる
女性社員の中から候補者を定めて、管理職を目指すための研修プログラムを実施する方法もあります。リーダーシップやマネジメントを重点的に学んでもらったり、キャリア研修を受けて自らのキャリア開発に取り組んでもらったりと、管理職登用を見据えた女性向け研修プログラムを充実させるとよいでしょう。
方法③:公平かつ客観的な人事評価を実施する
女性管理職を増やすには、男女の違いに関わりなく、公平かつ客観的な人事評価を実施しなければなりません。そのためには、定性評価と定量評価との組み合わせにより、評価の公平性・透明性を高めることも一つの方法です。定性評価とは能力や資質に基づいた評価であり、定量評価とは個人目標への達成度合いを評価するものをいいます。
方法④:ロールモデルとなる女性社員を育成する
女性管理職が増えていない状況では、女性社員が管理職を目指すうえで見本とするロールモデルが不在の企業も少なくありません。女性管理職を増やすためには、社内でロールモデルとなる女性社員を育成していくことも重要です。ロールモデルがいることで、女性社員は自分が管理職になったときのことをイメージしやすくなり、目標を持って業務に取り組めるようになるでしょう。
関連記事:ロールモデルの意味とは?働く女性の例や見つけ方を紹介
方法⑤:多様な働き方を認めて就労の選択肢を増やす
日本企業における人事制度の運用は、長時間労働や転居を伴う転勤を柔軟に受け入れる人材を高く評価する傾向にありました。このような制度運用を前提とするために、家庭と両立しながら働く女性社員は昇進のチャンスを逃してしまっていたのです。これを改善するには、産休・育休制度はもちろんのこと、時短勤務やテレワーク、地域限定社員などの多様な働き方を認めるべきでしょう。
関連記事:多様な働き方とは?実践企業の取り組み例とメリットを解説
方法⑥:女性管理職を外部から採用する
女性管理職を社内で育成してロールモデルとなり、継続的に女性管理職が育つ環境を作ることができれば良いですが、そもそも女性社員の比率が少ない業種などもあります。その場合は、外部から女性管理職を採用する方法もあります。すでに管理職として活躍している人材を登用し、即戦力として活躍することで社内に与える影響は大きいでしょう。
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女性管理職の育成方法
女性管理職の育成にあたっては「生産的な失敗」と称されるサイクルが有効となります。これは研修や業務において「①知識の習得」「②現場での実践」「③フィードバック」「④課題の抽出」というサイクルを繰り返し、失敗を前提に取り組みながら自らの成長を目指すものです。
ここでのポイントは、試行を重ねる中で失敗を経験し、打開策を模索しながら正解に到達することにあります。女性社員を管理職として育成するためには、上司が個別のサポートをおこなうとともに、この成長サイクルを意識することが重要です。
女性管理職の外部採用
女性管理職の比率を増やすためには、社内人材の育成だけでなく、外部人材の採用も有力な選択肢です。
とはいえ、女性管理職を外部採用するという事例が社内に乏しい場合は、採用プロセス自体が難航するリスクもあります。
そこで検討したいのが外部サービスの活用です。パソナでは人材紹介サービスでは、女性の転職支援にも注力をしています。
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まとめ
女性管理職の比率が低い背景には、社会の中で男性が優遇されてきた歴史的な経緯があります。これは根深い要因であり、短期間で急激に現状を改善するのは難しいかもしれません。
しかし、女性管理職の比率を高めることは人材の多様性につながり、ひいては企業の競争力を強化します。政府としても女性管理職の増加を目指しており、女性活躍推進は今後大きな流れになると予想されるため、企業は女性管理職を増やす施策を積極的に講じていく必要があります。
女性管理職を増やすための取り組みは各社とも道半ばというのが現実です。だからこそ、外部の支援サービスも活用しながら、他社に先んじて施策を導入、実施してみてはいかがでしょうか。
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