おすすめ特集・コラムマチュアキャリアとは?企業調査から見える女性のセカンドキャリア

更新日:2025.10.30
- キャリア自律支援
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近年、企業課題としても重要視され始めている女性のセカンドキャリア設計。社会的な女性活躍推進の流れにより働く女性は増え続けているものの、マチュア世代(※1)のセカンドキャリアを支援する制度や仕組みについては十分とはいえない現状が浮き彫りになっています。
この記事では、日本CHO協会が実施した「50歳以上の女性社員へのキャリア支援」に関するアンケート結果をもとに、マチュアキャリアにおける具体的な課題から必要となる取り組み・ポイントまで詳しく解説します。
(※1)一般的には50代を中心とした40代から60代の年齢層。明確な定義はなく企業により対象が異なる。
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女性のセカンドキャリア「マチュアキャリア」とは?
人生100年時代といわれる中、労働人口の減少を背景に定年が引き上げられ、働く高齢者が増加しています。雇用が多様化する現代においては、第二の人生となる「セカンドキャリア」をどう構築していくかが大きな企業課題となっている状況です。
また、女性活躍推進の流れにより組織で働く女性が増え、多くの女性が長く社会で活躍する時代となった今、マチュア世代といわれる40代後半から60代のセカンドキャリア「マチュアキャリア」の設計にも注目が集まっています。
しかし、現状は、セカンドキャリアと言えば「定年前の男性社員」、女性活躍推進と言えば「20代から40代前半の女性社員」を想定とした支援制度が中心です。企業は女性活躍推進とともに、より早い段階から人生のライフデザインとなるセカンドキャリア、マチュアキャリア設計を支援する取り組みが必要となってきています。
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企業調査で見えた女性のセカンドキャリアにおける課題
日本CHO協会が100社に調査した「50歳以上の女性社員へのキャリア支援」に関するアンケート(2022年6月)によると、自社の女性社員(正社員・正規雇用者のみ)比率については「10%以上20%未満」が32%、次いで「20%以上30%未満」が23%となっています。女性活躍推進が求められる流れの中でも、女性社員の比率は依然として低い状況が続いていることが見受けられます。
また、女性社員の平均年齢は30歳代後半が35%と最も多く、続いて40歳代前半が29%、30歳代前半と40歳代後半が同数で11%でした。いわゆる「ポストマチュア世代」が中心といえるでしょう。
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出典:日本CHO協会|「50歳以上の女性社員へのキャリア支援」に関するアンケート
50歳以上の女性社員における今後10年間の変化予測については、非管理職・役職定年を迎えた元管理職ともに、定年前女性社員数は「少しづつ増えていく」と予測されています。また、定年を迎え継続雇用となる女性社員数も「少しづつ増えていく」が最も多く「大きく増えていく」を合わせると64%の企業が「増える」と予測していることがわかりました。
出典:日本CHO協会|「50歳以上の女性社員へのキャリア支援」に関するアンケート
一方、過去1年間で定年を迎えた女性社員の継続雇用(再雇用や勤務延長)の割合については「わからない」が37%と最も多く、組織のあいまいな体制が見え隠れする結果になりました。しかし、2番目に多い28%の企業が継続雇用「90%以上」と回答しており、その後の職務も40%の企業において「定年前と同じ仕事にそのまま就くケースが多い」ことが明らかになっています。
出典:日本CHO協会|「50歳以上の女性社員へのキャリア支援」に関するアンケート
また「50歳以上の自社社員について、男女の意識・実態・活躍状況の違いを把握しているか?」という質問に対しては「はい」が35%、「いいえ」が31%、「わからない」が34%と拮抗する結果となりました。
50歳以上の女性社員へのキャリア支援に対する課題認識については「同年代の男性社員に対するキャリア支援と同等に、重要度・優先度の高い課題である」が最も多い50%だったことからも、セカンドキャリア設計においては男女差の認識がない企業が多いようです。
しかし、続く22%の企業が「現状では、課題という認識はない」と回答していることを踏まえると、母数としてまだまだ少ない女性社員のセカンドキャリア支援に課題意識を持っている企業は、現時点で少ないといえます。
出典:日本CHO協会|「50歳以上の女性社員へのキャリア支援」に関するアンケート
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女性活躍、セカンドキャリア支援に必要な取り組みとは?
女性活躍推進の観点から女性のセカンドキャリア設計に取り組む際には、男女で課題に差があることを認識する必要があります。
もともと女性社員が多い職場を除き、男性中心の社会で長年働いてきたマチュア世代にとって、セカンドキャリアのロールモデルとなるような先輩女性社員はそう多くはありません。横のつながりや社会の人脈が少ないことも多く、セカンドキャリアについて誰にも相談できず不安を抱えている場合もあるでしょう。
これまで「定年」や「セカンドキャリア」といえば男性社員を想定した取り組みが多数で、少数派ともいえる女性社員にとってはイメージがつかみにくいものでした。企業が女性社員の活躍を支援するにあたっては、まずセカンドキャリアの設計図をつくるためのサポートが必須といえるでしょう。
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また、今回の企業調査では「50歳以上の女性社員の内、どの職種の方々へのキャリア支援が必要と感じるか?」という質問に対し「管理職」「一般職・事務職」「総合職・専門職」の順で支援の必要性を感じていることがわかりました。
出典:日本CHO協会|「50歳以上の女性社員へのキャリア支援」に関するアンケート
さらに50歳以上の女性社員へのキャリア支援策として、すでに取り組んでいる施策で最も多かったのは「セカンドキャリアに関する研修」でした。一方で、ほぼ同数が「50歳以上の女性社員に特化した特別な取り組みは必要ない」と回答していることも明らかになりました。
出典:日本CHO協会|「50歳以上の女性社員へのキャリア支援」に関するアンケート
これから特に必要となる取り組みについては「自社としての、シニア層に対するキャリア支援方針の明確化」や「継続雇用を前提とした、モチベーション向上のためのプログラム」との回答が多く、セカンドキャリア支援の必要性を感じている企業は多いといえます。働き方の変化に対応できるようなスキルアップ研修やリスキリング研修を導入するなど、さまざまな制度・仕組みの活用で、女性のセカンドキャリアに必要なスキルの習得をサポートしていくことが重要です。
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出典:日本CHO協会|「50歳以上の女性社員へのキャリア支援」に関するアンケート
マチュア世代の女性が今後も社会の中でいきいきと活躍し続けるためには、企業と女性社員の双方がセカンドキャリアに早い段階で向き合い、アップデートしながら準備をしておくことが大切です。
セカンドキャリアは働く人自身の強みやスキル、価値観から築いていくものであり、企業がその準備をサポートすることは社員のロイヤリティを向上させ、真の女性活躍推進へとつながっていくでしょう。
男女雇用機会均等法が改正された1986年に働き始めた女性社員が数年後に60歳を迎えます。今は対象者が少数であっても、これまで少数派だったマチュア世代の女性たちが組織内に一気に増える時期がまもなく訪れます。
企業側・女性社員側の双方がまだ先のことだと後回しにせず、今後を見据えた優先的に取り組む課題としてセカンドキャリアを早めに意識すべきでしょう。
女性社員のセカンドキャリアを支援するポイント
企業調査によると「50歳以上の女性社員へのキャリア支援を行なうにあたって、課題と感じる事は?」という質問に対し「目標となる事例やロールモデルが少ない」という回答が最も多く、次いで「どの様な支援が本当に必要なのか、本人達のニーズを掴めていない」「キャリアに対する関心や意欲が低い社員が多い」「一定年齢以上の社員のキャリアパスがない」という結果になりました。
出典:日本CHO協会|「50歳以上の女性社員へのキャリア支援」に関するアンケート
マチュア世代のキャリア支援設計に必要なのは、心理的安全性が保たれた状態での「自律的な自己分析」と「適切なアドバイス」です。
女性社員が一般職や事務職などで身につけたスキルに自信が持てず、仕事に対する自己肯定感や自己評価が低い場合、セカンドキャリアに挑戦するモチベーションは当然低くなってしまうでしょう。
企業は女性活躍推進とセカンドキャリア設計の両輪で、女性社員に対し「専門性を高めたり新たな学びに挑戦したりする準備を支援する」姿勢を積極的に示していくことが大切です。
また、女性社員が継続雇用を選択した場合にもキャリア意識を高め、会社に貢献していくような「マインドチェンジ」が必要であると考えてもらう機会づくりが必要です。
具体的な取り組みには、セカンドキャリアに関するキャリア開発研修や、スキルアップ・リスキリングを目的とした研修の提供、資格取得支援制度の導入などが挙げられます。マチュア世代の女性社員が新たなスキルを習得し、モチベーションを高めることは社内を活性化させ、新しいアイデアの創出や業務の効率化にも期待が持てるでしょう。
女性社員が自らのキャリアを自律的に考えるようになれば、組織に依存せず、これからの人生を豊かにする働き方を実現しやすくなります。先輩社員や企業の動向・支援を見ているポストマチュア世代のためにも、女性活躍のロールモデルが多数生まれる環境をつくっていくことが大切です。
まとめ
近年、女性活躍推進の流れの中で注目が集まる、女性社員のセカンドキャリア設計。しかし、マチュア世代といわれる40代後半から60代のセカンドキャリアの構築については、企業調査からも状況認識の不足や準備などの課題が浮き彫りとなっています。
対象者がまだ少数で、各社においては課題が顕在化していなくても、これまで少数派だったマチュア世代の女性たちが組織内に増えてくるでしょう。まだ先のことだと後回しにせず、企業と女性社員の双方が優先的に取り組むべき課題だと認識し、セカンドキャリアの設計に早めに取り掛かるべきでしょう。
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