おすすめ特集・コラム健康経営担当者どうしが集まり学び合う勉強会「健康経営MeetUp」第2回イベントレポート

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健康経営担当者どうしが集まり学び合う勉強会「健康経営MeetUp」第2回イベントレポート

昨年、オンライン開催した健康経営MeetUpが今年2月20日、ついにリアルイベントとして第二回目を迎えました。健康経営MeetUpとは、「健康経営をもっと身近におもしろく」をコンセプトに、全国の健康経営担当者が集い、組織の垣根を超えて、健康経営に関する日ごろの悩みややりがいを共有する場です。業種・規模を問わず、さまざまな企業や団体から集まり、交流することで学びを得る健康経営の勉強会イベントです。第二回目となった今回も参加者の皆さまからたくさんの喜びの声をいただきました。

本稿ではイベントの様子をダイジェスト版としてレポート致します。イベントは3部構成で進められました。開催テーマは「職場の心理的安全性」です。第一部では、株式会社富士通ゼネラルの佐藤光弘さんをゲストパネリストにお迎えし、同社の健康経営を支える「全社員健康面談」や「ワールドカフェ」などを題材にディスカッションが行われました。第二部では、ワールドカフェを参加者が実際に体験するグループワークが行われました。第三部では健康経営担当者の皆さまが互いに繋がる懇親会が開催されました。

 

 

 

1. 第一部:パネルディスカッション

パネルディスカッションには、富士通ゼネラル佐藤さんとともに、弊社メディカル健康経営本部長の板橋がパネリストとして、同本部メディカルDotank事業部長の佐川がモデレーターとして加わりました。

心理的安全性のある職場づくりに向けた取り組み

佐川:まずは、富士通ゼネラル様での健康経営を通じた職場の心理的安全性の作り方について、お話いただきたいと思います。よろしくお願いします。

(出所:イベント当日資料)

(出所:イベント当日資料)

佐藤:弊社の健康経営は6年前に社長の斉藤と私でゼロから始めた経緯があります。健康資源がまったくなかったので、職場の心理的安全性の前に、まずは“会社”の心理的安全性を作ることが求められました。健康経営はボトムアップで進められてきたと思います。例えば、健康経営を始めた年、斉藤は空調部門の全従業員と自由に意見交換ができる場を設けました。ワールドカフェという形式でコミュニケーションを進めていくのですが、これが弊社の健康経営に重要な役割を果たしています。その翌年には、企業理念を策定する機会もあり、ここでもワールドカフェで交わされた意見が取り入れられています。

佐藤さんは同社社長の健康経営への強い想いについても話されました。

佐藤:2017年には、斉藤が自らCHO(Chief Health/Happiness Officer)に就任し、富士通ゼネラルグループ健康宣言を社内報や幹部会に向けて発信しました。社長自ら健康経営の話をするのは、おそらく日本でも数少ないと思います。やはりトップの健康経営への強い想いは不可欠です。

(出所:富士通ゼネラルグループ 健康白書)

(出所:富士通ゼネラルグループ 健康白書)

続いて、職場の心理的安全性確保のための具体的な取り組みについて、大きく3つにわけ、話が進められます。まず、第一番目にあげられたのが「安心して相談できる環境づくり」です。これには、「全社員健康面談」が大きな役割を果たしていると、佐藤さんは言います。

※全社員健康面談にやり方は、過去コラム(従業員のメンタル不調を防ぐ健康経営の最新施策。保健師による「全従業員健康面談」とは?)で詳しく解説しております。

佐藤:全社員健康面談には多くのメリットがあります。通常、健康面談と言えば、健診後に引っかかった人が行くという認識がありますよね。ただ、引っかかって初めて行くようでは遅い。それ以前に、社員と産業保健スタッフが一度でも会っていれば、そこにコミュニケーションが生まれます。わずか10~15分でも会って話せば、「こんな保健師さんや産業医の先生が我々をサポートしてくれるんだ。」という風に意識できるようになります。話す内容はセルフケアが多いですが、職場の人間関係やコミュニケーションの悩みも出てきます。産業保健スタッフ側にもメリットがあって、いま職場がどういう状況か理解でき、経営陣に対して直接フィードバックや改善策を提案することができます。

第二に、「ピアラーニングの体験」が心理的安全性を高めると、佐藤さんは言います。

佐藤:従業員にとって、ポジティブな将来を考えられる取り組みが心理的安全性を高めます。そこで「ワールドカフェ」はとても効果的です。単に健康セミナーなどで教えてもらったことを改善していくのではなく、ピアラーニングとして、そこに参加した人たちが自ら課題に気づき、何ができるか考えていきます。「将来を考えるワールドカフェ」「社会課題解決ワールドカフェ」など、いろいろな切り口で開催していますが、大切なことは、参加者がポジティブに将来を語れて、そこでワクワク感が生まれることだと考えています。

※ワールドカフェのやり方は、次項で詳しく解説しております。

そして、第三にあげられたのは、「サードプレイス、きずなの創造」のための取り組みです。

佐藤:社長が職場行事や健康イベントを通して、社員やその家族に直接メッセージを届けられる場を設けています。この前は、よみうりランドをお借りして、従業員慰安会をやりました。サードプレイスを作り、きずなを創造していくことが、より心理的安全性を高めます。

佐川:全社員健康面談やワールドカフェなど、心理的安全性を高めるには、コミュニケーションがひとつの鍵になると、そんな印象を受けました。そこで板橋さん、パソナグループではどうでしょうか?コミュニケーションを意識した心理的安全性を高める施策があれば、ぜひ教えて下さい。

板橋:パソナでは、たくさんの相談窓口を設けています。働くママさんのための育児相談窓口、介護をされている方のための相談窓口、女性の健康に関する相談窓口など。それから、パソナらしいのは「ワークライフファシリテーター(※以下、WLF)」が在籍していることです。WLFとは、通常の人事相談に加え、育児や介護などの生活相談もできる相談員のことです。WLFは社内資格で、国家資格キャリアコンサルタントをもつ当社のメンバーが自ら手を上げ、社内研修制度を経て認定されます。また最近では、オンライン健康推進室というLINEで気軽に健康相談ができる仕組みも作りました。とにかく悩んだときにすぐ相談できる環境があるというのは、心理的安全性を高めるポイントだと思います。

※パソナグループの健康経営の取り組みについて詳しく解説した資料は、以下ページにて必要事項をご入力の上、無料でダウンロード頂けます。

 

佐藤:健康だけでなく、なんでも相談できる場があることに価値があると思います。産業保健スタッフには守秘義務がありますから、「人事部には言いづらいけど、保健師さんになら」ということも往々にしてありますからね。

佐川:なるほど。さて今後、富士通ゼネラル様では健康経営をどのように推進されていくのか、再び佐藤さんにお伺いできればと思います。

これから「健康いきいき職場づくり」に向けての想い

佐藤:世界的に見れば、いま企業に求められていることは、SDGs17の開発目標における課題をデータによって可視化し、いち早く課題解決していくことだと思います。一方で、社会がジョブ型雇用にシフトしていく中で、それでも日本ではもともとメンバーシップ型雇用で培ってきたベースがあります。ここのバランスも考えながら、健康経営の推進には、日本型ジョブ型雇用を創造していく必要があると考えます。こういった状況を踏まえ、私たちの健康経営のベースには4つの考え方を取り入れています。すなわち、「SDGs17の開発目標(3および8)」「世界健康職場モデル」、アメリカ心理学会による「心理的健康職場プログラム」、そして川上憲人先生が提唱される「健康いきいき職場モデル」です。これら4つの考え方を基本に、もう少しブレイクダウンさせた健康経営概略図がこちらです。

(出所:富士通ゼネラルグループ 健康白書)

(出所:富士通ゼネラルグループ 健康白書)

佐藤: まず、上部には健康経営を通してどうありたいかということが書かれています。そして左側には、それを実現するための会社の在り方が書かれています。コミュニケーションはどうあるべきか、作業レベル、部署レベル、事業場レベルではどうあるべきかを明記しています。そして右側には、その在り方を実現していくために実際に取り組んでいることが書かれています。基本的には「人材育成」「組織開発」「社員の活性化」「心身の健康」の4つになります。これらは、つまり心と体の健康、プラス社会の健康を目指した取り組みです。社員一人ひとりのヘルスリテラシー向上、さらに社会の一員としての自分に気づいていくことに重点を置き、施策を実行しています。

佐川:ありがとうございます。さて、健康経営には経営層の理解が欠かせません。富士通ゼネラル様では社長みずから積極的に健康経営に関与されていますが、トップダウン、ボトムアップ、どちらで進んでいると言えますか?

佐藤:きっかけはトップダウンです。その際に、ほかの経営陣が健康への取り組みを本当の意味で投資と思えるかです。そこからボトムアップで進んでいきますが、新しいことをやると現場は驚きます。そこの調整をしながら、トップの意向と現場の意識を少しずつ連携していかなければならないと思っています。

佐川:パソナグループでは、経営層の巻き込みについてはどうでしょうか?

板橋:もともとパソナは創業メンバーのひとりに医師がいました。今の当社の統括産業医で、当初から派遣スタッフの方々や社員の健康管理をしていました。まさに、その人が「健康こそが最大のパフォーマンスにつながる」と常日頃から言っていました。年二回の営業会議にも、産業医が必ず出席して、部門ごとの健康診断受診率が報告されます。通常の営業会議で産業保健スタッフが入ることは珍しいと思います。
また トップ自ら、皆が健康であることの重要性をつねに発信してきました。 当初は社内健康セミナーをやる際、社長からのメッセージムービーを撮影し、最初に流すのですが、部長やチーム長には、あとで部下メンバーにも声をかけて一緒に見るように伝えていました。チームメンバーで議論するよう声掛けすることもマネジメントのひとつと、経営陣から管理職に教えられてきました。

佐川:ありがとうございます。さて、この後、富士通ゼネラル様が実践される職場活性化プログラム「ワールドカフェ」という手法を使って、グループワークを進めていきます。社員の巻き込みにはワールドカフェが非常に有効だと伺っております。佐藤様、ワールドカフェについて、ご説明をお願いできますでしょうか。

2. 第二部:グループワーク

職場活性化プログラム「ワールドカフェ」とは?

佐藤:ワールドカフェとは、参加メンバーの相互理解を深め、集合知を創出していく組織開発の手法で、ビジネスや市民活動、まちづくり、教育など、世界中さまざまな分野で活用されている組織活性化プログラムです。弊社では、「健康イキイキワールドカフェ」と称して、ストレスチェックの職場改善活動のひとつとして行っています。
通常のセミナーやミーティングと違う点は、まず、カフェのようなリラックスした雰囲気で行うことです。参加者は少人数に分かれたテーブルで自由に対話し、ときどき他のテーブルとメンバーをシャッフルしながら話し合いを発展させていきます。事前準備として “職場の強み”を作業レベル、部署レベル、事業場レベルで洗い出しておきます。これらをランキング化して、一番の強みから順にテーマにしていきます。強みをさらに伸ばすにはどうすれば良いかということを参加者同士でディスカッションしていきます。ポイントは“強み”について自由に話すことで、自然とポジティブな議論になり、参加者はとても前向きになります。全体で90分程度行い、前半20分でインストール、60分ほどでディスカッションを2~3回転する形です。なお、通常のセミナー等の最後で行われるグループごとの成果発表は、ワールドカフェではやりません。主目的は相互理解であり、その場を共有することに重きを置くからです。それでは是非、ワールドカフェを楽しんでください。

参加者全員でワールドカフェを体験

今回のワールドカフェのテーマは「健康経営における経営者や社員の巻き込み」です。ディスカッションは2~3名ずつのグループに分かれて、全部で4セッション、下図の流れで行われました。

 

参加者の間では、課題の共有だけでなく、自社の強みややりたいことなど、ポジティブな視点が常に意識され、ディスカッションが進みました。テーブルには飲み物と一緒にチョコクッキーやパウンドケーキなども用意され、終始リラックスムードで、時折笑い声も聞こえる楽しい時間となりました。ここでは、実際にワールドカフェを体験した参加者の感想を一部紹介したいと思います。

卸売業

卸売業

今まではストレスチェックの結果、悪いスコアの部署に対して、悪い部分のみフォーカスし、ネガティブな思考で解決策を考えていたので、該当部署は嫌な思いをしていたと思うのですが、ワールドカフェ方式であれば、ポジティブに楽しみながら解決策をみんなで考えられると思い目からうろこでした。社内のカフェを使ってすぐに実践してみたいと思います。

メーカー業

メーカー業

ワールドカフェのアイデアはオフィス勤務やリモートワークの方にはフィットするアイデアだと思います。

輸送機器業

輸送機器業

ワールドカフェ方式はポジティブ視点でディスカッションするという点が参考になりました。会社規模が大きく他拠点を巻き込んだ取組はハードルが高いとネガティブに感じていましたが、逆に事業所ごとに出来ることは何かと視点を変えることができました。

今回のワールドカフェは時間の都合上、30分のショートバージョンで開催されましたが、それでも参加者からポジティブな意見が続々と発せられ、早速取り組みたい具体策が見つかったという声も多数聞かれました。また同じ健康経営担当者どうし、相互理解が深まることで、信頼関係が生まれ、前向きに議論が交わされる様子がとても印象的でした。ワールドカフェならではのワクワクした一体感を肌で感じることができました。

3. 第三部:懇親会

さて、グループワークを終えた後は、フロアを移動して、懇親会「健康経営MeetUpつながる会」が開催されました。お弁当と飲み物、お酒も用意され、健康に関するクイズ大会で大いに盛り上がりました!

4. 参加者の声

開催後、参加者の皆さまにはアンケートにご回答いただきました。健康経営MeetUpに参加してどうだったか、率直なご意見・ご感想をいただきましたので、一部紹介したいと思います。

情報・通信業

情報・通信業

何処の担当者も繋がりを持ちたがっているのが凄く伝わりました。

ITコンサルティング業

ITコンサルティング業

様々な健康施策に対して社員の賛否分かれるのはどこの会社もあることなのだなということがわかりました。

インターネット業

インターネット業

通常、企業が主催するイベントは何かしらのプロダクトのプロモーションが含まれているものですが、会社間の同じ担当者同士の縁を繋げる、という目的に合ったコンテンツをご用意して頂いたんだな、ということを強く感じられました。
パネルディスカッションの内容やワールドカフェ方式のワークショップもとても参考になりました。
早速取り入れる機会がないか、社内でも共有してみようと思います。

輸送機器業

輸送機器業

健康経営に意欲のある企業が集まっている場に参加させていただき、とても幸せでした。
どういう視点・意欲を持って取り組んでいけばいいのか、大きなヒントをいただけました。
他社の取り組み事例を教えてもらえたことも参考になりましたし、ご縁を繋いでいただけたことにも感謝しています。
パソナのおもてなし術や自社の健康経営の取り組みを目の当たりにして、感動しました。
つい、保健指導という視点を持ちがちですが、指導ではなく、おもてなし→知ってもらう・興味を持ってもらう→うまく取り組みを紹介し巻き込んでいくと良いのだなと感じました。
研修でとても楽しかった思いから、今朝はとてもウキウキした気持ちで出社できました。
弊社でも、社員がウキウキと出社できるような取組ができるよう頑張りたいと思えました。

情報処理業

情報処理業

他社の健康経営担当者との交流を図ることができ、今後の情報交換につながる有意義な時間とすることができました。また、ワークショップも懇親会も「楽しさ」「遊び心」の要素が感じられ、健康経営の取り組みにも必要な要素だと改めて感じました。

5. 開催後記

今回の健康経営MeetUpは、「健康経営をもっと身近に面白く」をコンセプトに実施しました。開催を通して、皆さまのつながりと笑顔を創ることができたと感じる一方で、「職場の心理的安全性」や「自社の強み」について、予想以上に活発に議論が交わされ、時間が足りなかったとのご感想もいただきました。当MeetUpを通じた担当者様どうしの横のつながりは、それぞれの健康経営の推進に必ずプラスに働くと、私どもは確信しております。今回のようにお食事も一緒に楽しみながら、ざっくばらんに健康経営について情報交換ができる場は、これからも積極的に作って行きたいと考えております。

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著者名:パソナ・健康経営コラム編集部

健康経営・産業保健の推進パートナーとして健康経営の「着実な一歩」を伴走サポートするパソナが運営しています。
企業のご支援経験だけでなく、パソナ自身が健康経営銘柄に初選出、ホワイト500を7年連続取得する過程で得たノウハウを踏まえ、皆様にお役に立つ情報を発信しています。
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