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2023年4月施行「育児休業の取得状況の公表義務」について解説

2022年4月より段階的に施行されている改正育児・介護休業法。この一環として「育児休業取得状況の公表の義務化」が2023年4月に施行となり、従業員1,000人超の企業は育児休業の取得状況を年に1回公表する義務があります。

この記事では、企業が理解しておくべき改正育児・介護休業法の概要と、育児休業の取得状況について公表義務化の対象企業・公表内容・公表方法などをわかりやすく解説します。

男性育休の取得推進に必要なアクションとは?

2022年10月に育児・介護休業法の改正が行われ、出生時育児休業(産後パパ育休)の創設や、従来の育児休業の分割取得が可能になるなど制度上の変化がありました。全国平均と比較して高い実績をあげているパソナの取り組みを基に、男性育休の取得推進に必要なアクションをご紹介しています。

  • 男性育休取得率が全国平均の 2.6 倍!パソナの実績
  • 個別面談実施の取り組み
  • 育休取得前~復職後までコミュニケーションの仕組みづくり

男性育休には企業側・取得する従業員側の双方にメリットがあります。 ぜひ取り組みの参考にご活用ください。

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改正育児・介護休業法とは

2021年6月に育児・介護休業法が改正し、2022年4月、2022年10月、2023年4月と段階的に施行されています。まずはその目的と、各段階の施行内容をおさらいしましょう。

目的は男性の育児休業取得推進

少子高齢化に伴う労働力不足に対応するためには、男性・女性ともに仕事と育児を両立できる社会を実現し、出産や育児による離職を防ぐことが重要とされています。しかしながら、育児休業の取得率には男性と女性で大きな差が生じているのが現状です。

政府は男性の育児休業取得率を2025年までに30%に上げることを目標に掲げているものの、2021年度の取得率は13.97%にとどまっています(厚生労働省『育児・介護休業法の改正について』より)。さらに、育児休業の取得を希望していたにもかかわらず、職場の環境整備不足や理解不足から断念した男性労働者が一定数いることも明らかとなりました。

これらの背景から、育児休業取得の希望を伝えやすい職場環境の整備や、柔軟で利用しやすい育児休業制度創設の取り組みによって男性の育児休業取得を推進し、さらに女性の雇用継続や少子化対策にもつなげようとするのが改正育児・介護休業法の目的です。

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2022年4月施行:雇用環境整備、個別の周知と意向確認を義務化

2022年4月の施行では、次の3点が改正されました。

  • 育児休業を取得しやすい雇用環境の整備
  • 本人または配偶者の妊娠・出産を申告した労働者に対する個別の周知・意向確認の措置を義務化
  • 有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和

雇用環境の整備では「①育児休業と産後パパ育休に関する研修の実施」「②相談窓口の設置」「③自社事例の収集・提供」「④制度と方針の周知」から、いずれかの措置を講じなければならないと定められました。また、本人または配偶者の妊娠・出産を申告した労働者に対しては、個別に育児休業に関連する制度を周知し、休業取得の意向確認もあわせておこなわなければならず、取得を控えさせるような形での対応は認められないとされています。

2022年10月施行:産後パパ育休の創設、育児休業の分割取得が可能に

2022年10月の施行では「産後パパ育休」が創設され、休業の2週間前までに申し出れば「子の出生後8週間以内に4週間まで」休業が取得できるようになりました。労使協定を締結していることが条件となりますが、産後パパ育休では休業中に労働者が合意した範囲での就業が可能になったことも注目されるポイントです。

また、育児休業と産後パパ育休の両方で、休業を分割し2回取得することが可能となるなど、男性も女性もより柔軟な形で育児休業がとれるようになりました。

2023年4月施行:従業員1,000人超の企業で育児休業の取得状況公表を義務化

2023年4月の施行では、従業員1,000人超の企業に対し、育児休業等の取得状況を年1回公表することが義務付けられました。その詳細は次項以降で解説していきます。

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育児休業取得状況公表の対象となる企業

ここからは、育児休業取得状況の公表について具体的な内容を見ていきましょう。

育児休業取得状況の公表が義務化されるのは、従業員数が1,000人を超える事業主とされています。ここでいう「従業員」とは、雇用契約の形態にかかわらず、事実上期間の定めなく雇用されている「常時雇用する労働者」を指します。

ポイントは、一定の期間を定めて雇用されている労働者や、1日単位で雇用されている労働者も「常時雇用する労働者」の対象となるケースがあるということです。その雇用期間が反復更新されており、過去1年以上の期間において引き class=”txt01 ygm”続き雇用されている、または雇入れから1年以上引き続き雇用することが見込まれる場合は「常時雇用する労働者」に含まれます。

また、一時的に常時雇用する労働者が1,000人以下になることがあっても、常態として1,000人を超えて雇用している場合は育児休業取得状況公表の対象となります。あわせて、常時雇用する労働者が1,000人以下の事業主でも、1,000人を超えた時点で育児休業の取得状況を公表する義務が課されることにも注意が必要です。

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育児休業取得状況公表の内容

育児休業取得状況の公表は、2023年4月1日以後に開始する事業年度からが対象となります。公表する内容は「公表をおこなう日の属する事業年度の直前の事業年度」における、男性の育児休業の取得率とされています。

たとえば事業年度が4月1日〜3月31日の企業の場合、2023年度に公表するのは前年度である2022年4月1日〜2023年3月31日の取得率となり、2022年4月からの育児休業取得率を把握しておく必要があります。

また、男性の育児休業取得率は、以下の2つのどちらかを選んで公表します。

【1】男性の育児休業等の取得率

男性の育児休業等の取得率は以下の計算式で求めます。

公表前事業年度において雇用する男性労働者が育児休業等を取得したものの数

÷

公表前事業年度において雇用する男性労働者の中で配偶者が出産したものの数

ここでいう「育児休業等」とは次の休業を指します。

  • 育児休業
  • 産後パパ育休
  • 3歳未満または小学校就学前の子を育てる労働者を対象とした育児休業に準ずる制度による休業

事業年度をまたがって取得した場合は、休業を開始した日を含む事業年度の取得とし、分割して複数の事業年度において取得した場合は、最初の取得のみを計算の対象とします。また、育児休業を分割し2回取得したとしても、同一の子に対して取得したものであれば1人として数えます。

【2】男性の育児休業等と育児目的休暇の取得率

男性の育児休業等と育児目的休暇の取得率は以下の計算式で求めます。

( 公表前事業年度において雇用する男性労働者が育児休業等を取得したものの数

小学校就学前の子を養育する男性労働者を雇用する事業主が講ずる

育児を目的とした休暇制度を利用したものの数 )

÷

公表前事業年度において雇用する男性労働者の中で配偶者が出産したものの数

ここでいう「育児を目的とした休暇制度」とは、育児を目的とするものであることが明示されている休暇制度を指し、配偶者出産休暇制度や育児参加奨励休暇制度などが該当します。

その他にも、入園式・卒園式などの行事や、予防接種等の通院のために勤務時間中の外出を認める制度も含まれますが、育児休業等と子の看護休暇は除外されることに注意が必要です。

また、育児休業と育児を目的とした休暇制度の両方を取得した場合も、同一の子に対して取得したものであれば1人として数えます。

育児休業取得状況公表の方法

育児休業取得状況は年に1回、自社のホームページまたは厚生労働省運営のウェブサイト「両立支援のひろば」を利用し、企業に属していない一般の人も閲覧できるよう公表するものとされています。

公表にあたり、明示する必要がある項目は以下のとおりです。

  • 【1】男性の育児休業等の取得率と【2】男性の育児休業等と育児目的休暇の取得率のいずれかの方法により算出したもの
  • 算定期間である公表前事業年度の期間

公表する割合は、小数点第1位以下を切り捨てたものとします。

なお、公表前事業年度において配偶者が出産した男性労働者数が0人の場合は、割合を算出することができないため「-」と表記します。

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まとめ

男性の育児休業取得推進を目的に改正された育児・介護休業法により、2023年4月から従業員数が1,000人を超える事業主に対し、男性の育児休業取得状況の公表義務が課されることになりました。事業年度を4月〜3月としている企業の場合、2023年度の公表においては2022年4月〜2023年3月の取得率を公表する必要があります。自社の取得状況をしっかりと把握できるよう、準備しなければなりません。

2022年4月からの施行内容も含めると、企業が対応すべき育児休業取得に関連する業務は増えています。これまで男性の育児休業取得に積極的な取り組みができなかった企業では、対応するための人員や専門知識が不足している場合もあるでしょう。

育児・介護休業法の改正に対応したい、これを機に女性活躍や男性従業員の育休取得推進に取り組みたいという企業の方に向け、パソナでは様々な支援サービスを扱っています。ぜひお気軽にご相談ください。

男性育児休業の現状と パソナの取り組み事例

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