おすすめ特集・コラム2025→2026年転職市場予想│業界別・職種別の求人倍率を徹底解説

更新日:2025.12.04
- 人材紹介(中途採用支援)
株式会社パソナが運営するハイクラス採用支援・全国地方採用支援に強みを持つ人材紹介サービスにて、業種別・職種別の求人倍率を算出し、”パソナ転職市場レポート”を発表します。このデータは、最新の業種毎・職種毎の転職市場における需給トレンドを表すものです。
今回パソナが四半期に1回発行している転職市場レポート(2024年10月版~2025年10月版)の情報をもとに、2025年の振り返りつつ、2026年の方向性を予想します。
業界別・エリア別で転職市場の動向を探る【転職市場レポート】
業界によって有効求人倍率や採用難易度は異なります。採用活動が激化している昨今、採用募集を開始される際には、業界内の動向も参考にしていただくことをお勧めします。
- 転職市場動向(全体)
- 市場全体/有効求人倍率・倍率
- 職種別・業界別の求人動向
- 業界毎×職種別の平均年齢・平均年収
- 全国・地方エリアの動向
パソナよりお届けする最新情報をぜひお役立てください。
2025年 転職市場の概要まとめ
全体求人倍率:1.91 /昨年対比-0.06
ハイキャリア求人倍率:2.56/ 昨年対比-0.12
2025年10月時点の転職市場は、採用過熱期(2023〜2024年)からの明確な調整局面へと移行しています。求人倍率は全体・ハイキャリアともに前四半期比で低下したものの、前年比ではほぼ横ばいで推移しており、売り手市場は依然として強い状況にあります。
全体求人倍率「1.91(前年比-0.06)」からの読み取れるポイント
2025年の求人倍率を眺めてみると、採用市場全体の“空気感”が少しずつ変わってきていることがわかります。
まず、全体求人倍率は 1.91(前年比-0.06)。数字としては大きな落ち込みではありませんが、昨年と比べると採用熱はやや落ち着き始めているように見えます。
「採用意欲が冷え込んでいる」というほどではないものの、企業がこれまでの“積極投資型の採用”から、“必要最小限にフォーカスする採用”へと舵を切り始めたことが背景にあると考えられます。
たとえば、こんな動きが起きています。
• 計画を上回る採用は控え、今すぐ必要な人材の確保を優先
• そもそもの採用人数計画に見直しが入り、採用規模を絞る企業が増加
これを裏付けるように、帝国データバンク(TDB)が2025年に発表した調査では、
「正社員を採用する予定がある」と回答した企業は 58.8% に低下。
コロナ禍以降で初めて6割を下回り、明らかに慎重姿勢に入っていることが読み取れます。
さらに、「採用を増やす」と回答した企業も減少し、「採用予定なし」とする企業が増えていることからも、
「まず様子を見る」「無理に採らない」というスタンスが広がりつつある状況が浮き彫りになっています。
つまり、これまでの“量で押す採用”から、必要な人材を見極めて確保する「質の最適化」へと、企業の姿勢が静かにシフトしていると言えるでしょう。
ハイキャリア求人倍率「2.56(前年比-0.12)」から読み取れるポイント
一方で、ハイキャリア層の求人倍率を見ると、2.56(前年比-0.12) と依然として高水準です。
この数字は、「企業は高度人材を求めているが、採用は簡単ではない」という状況が続いていることを示します。2倍を超える求人倍率は、依然として需給ギャップが大きい状態と言えます。ただし、前年比でみると落ち幅は全体よりも大きく、変化の兆しが見えてきます。
生成AIの普及で“求めるスキルの定義”が変わった
生成AIやAIオートメーションが急速に普及したことで、企業が求める“高度人材像”が置き換えられつつあります。従来のように、「実務経験年数が長い」 「実績が豊富」 といった基準だけでは足りなくなり、
• AIを活用して事業を成長させられるか
• 新規事業をスケールできるか
• 戦略を描き実装まで落とし込めるか
といった、より実践的な価値が求められ始めています。
その結果、企業側は“採るべき人材”を厳しく絞り込み、“精度重視型”のハイキャリア採用へ移行。
求人はあっても、以前のような「とりあえず母集団を広げる採用」から脱却し始めたことが、倍率低下につながっている可能性があります。
採用難を経て、ハイキャリア採用の「優先順位」が見直されている
2022年以降、ハイクラス領域の求人倍率が急上昇し続けた結果、多くの企業が採用に苦戦し続けてきました。
その反動とも言える形で、2024〜2025年にかけて、高年収帯の採用を抑制・再定義する動きが生まれています。
• 外資IT
• ネット広告
• コンサルティングファーム
といった業界は、採用要件を一段と厳しくし、「本当に必要なポジションだけ採る」という姿勢が強まっています。
ハイクラス層の転職行動が慎重に。求人数はあっても応募が減少
2025年は、世界的に“経済の不確実性”が強かった年です。
• 金利高
• 為替変動
• 生成AI投資の加速と不透明性
こうした環境下では、ハイクラス人材ほど「転職によるリスク」を慎重に見極めます。
結果として、
「いい話があれば転職するが、無理には動かない」
という空気が強まり、求人数は維持されていても応募者側が減っている領域があります。
これも倍率低下の一因と考えられます。
全体(1.91)よりもハイキャリア(2.56)の落ち幅が大きい理由
生成AI / AIエージェント / DX などにより、企業が必要とする“ハイクラス人材”の条件が高度化し、採用をしたいが、求める要件に合致する人が少ないという状況が生まれている可能性があります。
企業:「AIを活用して事業成長できる人がほしい」
求職者:「AIは触っているが、事業インパクトには自信がない」
このように、採用ニーズあるが、無理に採用活動を企業が行わないと判断した可能性があります。
外資コンサル・外資Techの採用抑制が影響
2024~2025年は、世界のIT企業や外資コンサルの採用が慎重化しました。
特に、
• デジタル領域の大規模採用の停滞
• プロダクトマネージャー需要の再編
• コンサル需要の再構築(生成AIにより従来案件が減少)
これが「ハイキャリア求人の総数」に影響し、倍率低下につながっていると考えます。
職種別の求人倍率の推移
2025年10月版の職種別求人倍率を見ていくと、各領域で異なる動きが浮き彫りになっています。
全体として、専門性の高い技術・士業領域は引き続き高止まりし、企業側の採用難が続く一方、一般的な事務・営業系は緩やかな増減にとどまっていることがわかります。年間差分を踏まえることで、より明確なトレンドが見えてきます。
製造・IT・建築など“高度専門職採用”の逼迫が顕著に
製造系専門職(+0.50)、IT・通信・インターネット系専門職(+0.13)は、年間を通じて高水準の求人倍率を維持しました。特に製造系は 4.19 と非常に高い水準にあり、製造業の設備投資・DX化・自動化などによる技術者需要の底堅さが伺えます。
さらに注目すべきは 建築・土木系専門職の+1.47という突出した年間上昇 です。国や自治体のインフラ更新、都市再開発、災害対策といった公共需要の高まりにより、技術者不足は今後も続く可能性が高い領域です。
これらの職種では、即戦力採用の困難さが強まり、シニア人材や副業人材、外部パートナーの活用など、採用以外の「確保戦略」を取る企業も増えていくと考えられます。
事務系・管理系はほぼ横ばい。マクロ環境に左右されにくい安定市場
管理/企画/事務系は年間差分+0.06とほぼ横ばいで推移しました。
採用難でも採用容易でもない“安定市場”であり、企業側の採用行動も大きな変化はなかったといえます。
ただし倍率2.12という数字は、一般事務のみなら1倍前後になるケースも多いため、ここには管理系(経企・総務など)や高スキル職種の需要が押し上げ要因として含まれている可能性があります。事務系でもスキル二極化は今後も続きそうです。
コンサル・士業系の需要が加速。高度知見ニーズの高まり
コンサルタント・士業系専門職は年間+0.45と比較的大きく伸びています。
企業の課題として、戦略・業務改革・法務・労務リスク対応など“専門知識での課題解決”ニーズが高まっており、外部知の活用がトレンド化していることが背景にあると考えられます。
営業・サービス・メディカルなど、生活・産業インフラを支える職種は堅調に増加
営業系(+0.17)、メディカル系(+0.13)、サービス系(+0.20)など、各産業の基盤を支える職種も緩やかな上昇が続きました。
特にサービス系は1.20とまだ高倍率ではないものの、
人材難業界(介護・飲食・宿泊・小売など)を中心に需要が戻りつつある状況がみて取れます。
唯一のマイナスはクリエイティブ職。需要調整とAI活用が影響か
クリエイティブ職のみ年間差分が−0.08と微減しました。
これは以下の複合要因が考えられます。
• 広告費の最適化による制作需要の調整
• AI生成ツールの普及による“軽作業の自動化”
• 外注・フリーランス活用による企業内採用の抑制
とはいえ1倍前後の安定した需要は維持されており、即戦力デザイナーやディレクターは引き続き確保が難しい状況は続きます。
アパレル系は横ばい。景況感の影響を強く受ける市場構造
アパレル・雑貨・日用品系専門職は年間変化ゼロでほぼ横ばい。
景気や消費動向に左右されやすい領域ですが、直近ではEC強化や小売再編によって、大きく増減しづらい“安定的な人材需給”になりつつあるといえます。
業界別求人倍率推移
2025年の業種別求人倍率を眺めると、業界ごとの採用温度感の違いがはっきり浮かび上がってきます。
全体としては落ち着きつつある採用市場ですが、実は「強い業界」と「慎重な業界」の二極化がより一層明確になってきていることが特徴です。
半導体・機械・ITは依然として“買い手企業側が悩む”売り手市場
まず、最も高い倍率を示しているのが 電気・電子半導体(4.25倍)。
昨年同月比でも +0.12 と着実に伸びており、世界的に続く半導体需要の底堅さがそのまま採用にも表れています。
半導体製造装置、自動車電装化、AIチップなど、
「需要が止まらないのに人材が足りない」
という構造は変わっておらず、2025年も企業が採用で苦戦している典型的な領域と言えます。
これに続き、輸送機器・機械(3.92倍) も高止まり。
ただし年間差分は +0.02 とわずかで、春・夏に一時的に4倍台へ上がった反動もあり、直近はやや落ち着きつつあります。
自動車産業のEV化・CASE対応、工場の省人化など、長期テーマは強いものの、企業側は“必要な領域だけ採る”メリハリを強めています。
さらに ソフトウェア・IT(3.35倍) も毎月ほぼ安定して高倍率を維持。
生成AIの影響で、「全部の職種が増え続ける」という状況ではありませんが、
• AIを事業実装できるエンジニア
• プロダクトをグロースできるPM
• AI導入を主導できるDX人材
など、ほんの一握りの“勝ち筋人材”にニーズが集中している点が大きな特徴です。
化学・エンジ領域は強い伸び。裏側にある「産業の再投資」
今回のデータで特に目立つのが 材料・化学・エンジニアリング(3.27倍) の成長です。
年間差分は +0.35 と非常に大きく、主要業界の中でも“伸び幅トップクラス”。
この背景には、
• 脱炭素(カーボンニュートラル)関連投資
• バッテリー/新素材領域の研究・量産投資
• 半導体工場の建設に伴うエンジ領域の需要増
といった 製造業への構造的投資 が挙げられ、“これから伸びる産業”に人材が追いついていない状況が続いています。
コンサルは唯一マイナス。“見極めの年”だった2025年
業界別の中で唯一、前年から マイナス(-0.20) となったのがコンサルティング・監査法人・士業系(1.90倍) です。
昨年の 2.10倍 → 1.90倍 への低下は、数字以上に構造的な変化を示唆しています。
2025年は、コンサルファームを中心に、
• AIによる生産性向上で“従来型案件”の需要が減少
• 世界的な景気減速を背景に、企業のコンサル投資が一部慎重化
• 採用ポジションの厳選(“一律大量採用”からの脱却)
が進んだ年です。
特に、「とりあえずポテンシャル層を採る」
「多めに確保して育てる」
という採用モデルが見直されたことで、求人数の母数が圧縮されていることが影響しています。
商社・医療・金融など、専門性が問われる領域は継続的に上昇
一方で伸びが顕著だったのが次の業界です。
• 商社(+0.39)
• 医療品・医療機器(+0.38)
• 金融(+0.21)
特に商社は 1.44 → 1.83倍 と大幅上昇。
専門性×グローバル対応力を求められるため、採用難が続いた分、倍率としては顕著に跳ねています。
医療・製薬領域は、ヘルスケア投資や高齢化、国内市場再編などで安定して採用が強く、
金融は、FinTech・AIリスク管理・マネロン対策などの専門人材ニーズが着実に増加しています。
いずれも 「専門スキルがある人は引く手あまた」 の典型例です。
コンシューマー、流通小売は“緩やかに戻りつつある”が慎重姿勢は継続
最後に、労働需給のゆるい業界として見られがちな
流通・小売・サービス(1.39倍) と コンシューマープロダクト(1.18倍)。
両方とも前年比は微増にとどまり、比較的落ち着いた市場です。
とはいえ、値上げ局面での人件費コントロールや、非正規・派遣とのバランス調整などが影響し、
企業側は“無理に採らない”スタンスを維持しています。
採用が必要な職種ははっきりしているものの、
「大量採用」「計画以上の採用」といった攻めの動きは限定的です。
2026年(短〜中期)の転職市場予測「構造変化の本番」が始まる年
2025年の業種別求人倍率を振り返ると、採用市場は「落ち着きつつも、強い領域はより強く」
という二極化の方向に向かいつつあることが、分かりました。
では、この流れは2026年にどのような形で現れていくのでしょうか。足元のデータと産業投資の動き、企業ヒアリングから見えてくるのは、2026年は“構造変化が表面化する年”になる、ということです。
ハイキャリア需給は堅調、専門職のスポット採用が主戦場に
まず、経験者・高度専門職の需要増加は続くと考えられます。
DX・AI投資は、もはや一過性のテーマではありません。2025年は“どこまでAIを活用すべきか”を見極める年でしたが、2026年は 「実装フェーズ」 に本格的に突入すると見られます。その結果、特に以下の職種でスポット採用が増えていくでしょう。
• AIエンジニア/データサイエンティスト
• プロダクトマネージャー(AI活用前提の事業推進人材)
• 半導体設計・生産技術(TSMC関連・国内投資が継続)
• インフラ/DC運用(データセンター需要拡大)
• 建築・土木の高度技能者(大型案件の増加)
これらはすべて 「既に足りていない領域」 であり、2026年はさらに倍率が上昇する可能性があります。
一方で、コンサルティング業界は2025年に見られた動きが継続し、AIプロダクトを軸にクライアントを伴走できる人材はより価値が高まり、従来型の大量受託モデルは選別対象となる という二極化が進む見込みです。
政策投資 × 外需が一気にマーケットを押し上げる可能性
また、2026年は政策投資や海外企業の日本投資が本格化すれば、採用市場が一段と加熱するシナリオも十分にあり得ます。
• 半導体(TSMC第二・第三工場の波及)
• GX/水素/蓄電池などの脱炭素領域
• データセンター建設(大手外資の継続投資)
これらが同時進行すれば、製造・電気電子・建設 を中心に求人倍率はさらに上昇し、特に建設技術者の賃金は過去最高水準に到達する可能性もあります。
日本各地全体で「技術者を取り合う時代」が本格到来する可能性もあるでしょう。
世界景況感の悪化があっても“完全な求職者市場”には戻らない
逆に、世界景気が後退局面に入るなどの“下振れ”がある場合は、当然ながら全体の採用は鈍化します。
ただし、今回のデータでも明らかだったように、
• 半導体
• 機械/素材
• IT
• 医療
• インフラ
といった日本の主要産業は、もともと深刻な人手不足を抱えています。
たとえ外需が弱まっても、完全に需給が逆転して“不必要となる”側に振れる可能性は低いのが実情です。
特に中堅〜ベテラン層、専門職、高スキル層については、むしろ景気後退局面でこそ 「少人数で成果を出せる人材」 が選ばれるため、引き続き一定の採用需要は維持されると考えてよいでしょう。
2026年に企業が備えるべき3つのポイント
2026年は「強い領域が伸び、慎重な業界は選別を深める」という、2025年の流れをさらに明確にした一年になるはずです。
特に企業側には、次の3点が重要になります。
1. “本当に採るべき経験値”を可視化し、採用の精度を上げる
曖昧なポテンシャル採用は市場で勝てなくなる。
2. 採用と育成をセットで設計し、AI時代のスキルアップ計画を持つ
AI活用スキルが“必須のビジネス基盤”となりえる。
3. 専門職のスポット採用/副業・タレント活用など流動化に対応する
正社員一本の採用設計では人を確保しにくい。
おわりに:2026年は、採用競争の「質」が問われる
2025年は業界ごとの明暗が数字に表れた一年でしたが、2026年はその差がさらに鮮明になり、企業には“量より質”の採用戦略が求められる年になっていきます。
労働供給が長期的に増えない日本において、
「どの能力を、どのタイミングで、どの採用手法で獲得するか」
これが企業競争力を左右する最大のテーマになります。
採用市場の過熱と選別が同時進行する2026年。
企業にとっても、個人にとっても、キャリア選択がこれまで以上に戦略的な意味を持つ一年になるでしょう。
次回は、2026年1月版の発行を予定しています。
日本全国 人材紹介のことならパソナにお任せ!
全国47都道府県全てに拠点をもつパソナでは、地方ならではの課題にも応じた採用手法をとっています。管理部門の採用実績、パソナの特長についてまとめました。
【最新版】転職市場レポート
業界によって有効求人倍率や採用難易度は異なります。採用活動が激化している昨今、採用募集を開始される際には、業界内の動向も参考にしていただくことをお勧めします。
パソナの人材紹介サービスの強み
パソナでは、各業界に精通したコンサルタントが採用成功までサポートします。特にハイクラス人材、管理部門人材の採用支援を強みとしており、実績数は年々増加中。 また、法人/転職希望者双方を一人のコンサルタントが担当し、精度の高いご紹介を実現することが出来ます。













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