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PASONA HR UPDATE MeetUp データで紐解く“女性活躍”を阻むアンコンシャスバイアス〜公平な人事をどう仕組み化するのか〜

女性活躍推進に取り組む人事部門の責任者同士が課題を共有し、具体的な実践方法を学び合う「PASONA HR UPDATE MeetUp」。今回は、東京大学の山口慎太郎教授をお招きし、「女性活躍」を阻むアンコンシャスバイアスと、真に公平な人事を実現する仕組みづくりをテーマにご講演いただきました。合わせて選択テーマごとにグループに分かれ、自社の課題や実施事例を共有し合う勉強会を実施いたしました。以下、当日の模様をレポートいたします。

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第1部:講演「データで紐解く“女性活躍”を阻むアンコンシャスバイアス〜公平な人事をどう仕組み化するのか〜」東京大学 大学院 経済学研究科 教授 山口 慎太郎 氏

制度があっても差が残る理由を探る

女性活躍を目標に掲げて取り組む企業が増えていますが、実際は課題感を抱えているケースがほとんどではないでしょうか。考えられる理由のひとつに、アンコンシャスバイアス(=無意識のバイアス)があります。具体的には、男性に対して「たくさん働いて出世したいだろう」、女性であれば「子供がいるから長時間働かせてはいけない」といった、性別に基づく思い込みです。

ほとんどの大企業の人事制度は男女公平な形で作られており、評価基準、配置ルール、昇進プロセスにおいて、女性や特定のグループを露骨に排除する制度はまず見当たりません。にもかかわらず、現実には女性が不利に扱われていると感じる場面が少なくないわけです。

社員や管理職に根深い差別意識があるわけではありません。むしろ10年前、20年前と比べれば、自らの言動がハラスメントに当たらないか注意深く向き合うようになっていますし、公平性に対する意識も高まってきていると思います。

それでも差が残るとすれば、どこに問題があるのか。それが「無意識のバイアス」です。

われわれには少なからず、意識とは別のところで、性別に基づいて接し方や処遇を決めつけてしまう傾向があります。例えば「女性はマーケティングや人事の領域に向いている」という思い込みから、配属が決定するようなケースが多くみられます。

こうした無意識のバイアスは、必ずしも責められるべきものではありません。なぜなら、人を一定のタイプに当てはめて考えるのは、いわば人間の認知のクセであり、避けられないからです。しかしながら、組織運営上ではさまざまな問題を引き起こしてしまうことが、学術研究で報告されています。

解決策としてまず考えられるのは意識改革です。ただ、人の頭の中に手を突っ込むわけにはいきませんし、そもそも人間の認知のクセから生じているものですから、やはり限界があります。

無意識のバイアスを乗り越えるには、いくつかの「仕組み」を導入する必要があります。大雑把に言うと、ルール設計や男女間の差の可視化、さらには補助装置(AI)の導入です。今回は、こうした仕組みを導入することによって、判断プロセスを設計していく考え方を提案したいと思います。

4つの場面から見るバイアスの実態

まず、具体的にどのような無意識のバイアスがあり、どのように組織のパフォーマンスを下げてしまうのか、研究で明らかになった実態を4例ご紹介します。

1つ目は「業務配分」です。皆さんの職場にも “日陰の役割”と呼べる業務があるのではないでしょうか。日陰の役割とは、会社や組織にとって必要ではあるけれども、昇進上の評価につながらない業務を指します。例えば、部署で共有している給湯室や喫茶室の掃除。誰かがやらなければならないけれど、やったところで高い点がつくわけではありません。あるいは後輩の指導なども、業務上の評価の対象になっていないケースがあります。

アメリカの大手サービス業の人事データから、誰がどのような業務に割り当てられているかを分析したところ、能力には男女差がなかったにもかかわらず、花形の収益業務を担当するのは概ね男性で、皆がやりたがらない日陰の役割は女性に偏っている明確な差があることが明らかになりました。この結果から「女性の利他性の高さが関係しているのではないか」という仮説を立て調査しましたが、この会社においては相関がないことがわかっています。

では何が理由なのかというと、上司が「彼女なら断らないだろう」と見込んだ女性に依頼していたわけです。日本でもアメリカでも、女性が断ることを良しとしない風潮、男性よりも女性が断ったときの方が反発を買いやすい社会的な規範が存在します。その結果、男性は順調に昇進する一方、日陰の役割を割り当てられた女性は高い成果が上げられないように見えて昇進が進まなくなってしまう。こうした役割の分担においても、大きなジェンダーバイアスが見られることが報告されています。

2つ目は「タバコ部屋」です。ある金融機関のデータを分析したところ、部署に喫煙者の上司が着任した場合、それを境に喫煙者である部下の給与等級が上がっていく結果がはっきりと示されています。一方、非喫煙者の部下は給与等級に変化は見られません。その理由として、喫煙者同士の上司部下がタバコ部屋で話す内容に、業務上重要な情報が含まれている、あるいは単純に接触機会が多くなることで、評価が甘くなったという報告がなされています。

新しいアイデアはインフォーマルな会話から生まれることも多く、非公式なコミュニケーション自体は非常に有益なものですが、そういった機会が喫煙者に限られてしまうと、当然喫煙者が少ない女性が構造的に不利な形に置かれやすくなります。

3つ目は「評価チームの男女構成」です。男女の数やリーダーをランダムに配置したチームを複数作り、チームごとにいくつかの作業を行った後、誰の貢献が大きかったかを相互に採点する実験研究を行いました。その結果、女性少数派のチームは女性の評価が低下したのに対し、男性少数派のチームは男性の評価に変化が見られませんでした。ここからわかるのは、「男性の方が大きく貢献する」という無意識のバイアスを、特に男性側が強く持っているということで、評価する側に男性が多いほど、女性の評価は小さくなることが報告されています。

4つ目は「将来性評価」です。アメリカの大手小売業の従業員評価を分析した結果があるのですが、実績だけを見ると女性が男性よりも高い成果を上げていることがわかります。しかし、実際の昇進率は男性の方が14%高い。原因を掘り下げていくと、この会社では昇進を決める際、実績評価とは別に「将来性評価」を行っていました。潜在力やリーダーシップなど評価軸があいまいで、誰も100%確かなことが言えない状況においては、人の判断がゆがみやすいことをこの結果が表しています。

この会社においては元々男性のリーダーが中心だったため、管理職に昇進した女性が能力を発揮するイメージを持つことが非常に難しかったようです。その結果、今までの管理職の印象に近い人を高く評価してしまう。そういう人は往々にして男性なわけです。きちんと実績を評価しているように見える会社でも、無意識のバイアスで女性の活躍機会が限定されてしまうことが報告されています。

判断プロセスの設計を変える

人事評価において無意識のバイアスを潜り込ませないようにするには、評価制度を再設計し、判断を仕組みに落とし込んでいくことが重要になります。

ポイントを4点説明します。1点目は、評価や役割分担を考える際に、評価軸を事前に設定して評価根拠を明確化する。2点目は複数評価者による多面的評価の導入。上司1人で評価を行うのではなく、グループによる評価で個人の持つバイアスを薄めていく必要があります。加えて、男性だけの評価グループは女性を低く評価してしまう可能性があることを踏まえ、グループの男女構成比も考慮しなければなりません。3点目は現在の実績と将来性評価の分離。「将来性」のように不確実性が高い要素を評価する際には、何が重要なのか、どういった能力が求められるかを具体的に言語化し、固有名詞をつけて記述しておくことが重要です。4点目、定性評価においても具体的な事実を記録しておくこと。このように、評価基準をクリアにする、可視化することが改善のカギとなります。

業務配分に関しては、そもそも日陰の役割が自分たちの組織に本当に必要なのか、単に内向きの慣習であるのか、いま一度問い直していただきたいと思います。その上で必要だと判断したなら、担当者を可視化して、公平な形で配分すること。日陰の業務は重要性が低いと思われているからこそ、担当者がうやむやになっているケースが多いのですが、この部分をクリアにすることで問題解決につながっていきます。

コミュニケーションの形も変容させる必要があるでしょう。先ほど申し上げたように、非公式なネットワーク自体は素晴らしいものですが、その機会をタバコ部屋やゴルフ、飲み会といった昭和のサラリーマン的な場に押し込めてしまうと、女性を不利な立場に追いやってしまいます。そこで、ランチやコーヒータイムなど気楽な会話ができる機会を演出し、なおかつその機会が全員に平等に、公平に配分されるように配慮していただきたいと思います。

最後にご紹介したいのが、 AIを活用した成功事例です。中国の囲碁教室の話なのですが、もともとの指導者は高齢の男性で、男の子が圧倒的に強く、女の子は弱かった。データを分析すると、人間の指導者は男の子にはポジティブな声掛け、女の子に対してはネガティブな声掛けをしていたことがわかりました。先生のジェンダーバイアスにより、女の子たちはやる気を失い、囲碁のスコアも伸び悩んでいたのです。ところが、AIによる指導を開始すると、女の子たちは急速に腕を上げ、1年後には完全に男の子たちと肩を並べるまでになりました。

このエピソードは、無意識のバイアスを持たないAIをさまざまな場面に活用することで、組織としてより質の高い意思決定ができる可能性があることを示していると思います。

無意識のバイアスは、あらゆる場面で私たちの意思決定をゆがめてしまいます。そのゆがみの主因は、個人の意識というより仕組みの問題であるといえます。意識の問題にとどめず、判断の仕方を変える工夫を取り入れていただくことで、無意識のバイアスが持つマイナス面を乗り越えていけるのではないかと考えています。公平な人事は企業の競争力強化につながります。今日からすぐに使えるような一歩を見つけていきましょう。

第2部:女性活躍テーマ別勉強会

第2部では山口教授の講演内容を踏まえ、参加者の皆様がテーマごとに5~8名のチームに分かれてディスカッションを実施しました。テーマは①長時間労働を前提としない多様な働き方②女性管理職の育成方法③女性活躍を推進する公平な昇進・評価制度④女性活躍に求められる上司・同僚のコミュニケーション――の4つ。パソナ社員がファシリテーターを務め、山口教授にもアドバイスをいただきながら、さまざまな企業の人事部門責任者・リーダーたちによる活発な意見交換や情報共有が行われました。

その後、各チームのディスカッション内容をまとめ、代表者の方に発表していただきました。

①長時間労働を前提としない多様な働き方

時間外労働45時間の上限を設けたとしても、多くの現場では「45時間までは残業OK」という捉え方をしているのが現状。改善策を講じる側も働いている社員も、意識を変える取り組みを粘り強く続ける必要があるが、実際に働き方を変えるには相当な時間がかかる。また、36協定に基づき労働時間を厳密に管理しようとしている一方で、課長などプレイングマネジャー化している社員の労働時間管理は十分といえない。課長の働き方が変わらないことには、管理職を目指す人材も生まれづらくなるため、この点も解決すべき大きな課題だと考える。客観的に労働状況を判定するAIツールなどを導入しながら、改善を図っていく必要があると話し合った。

②女性管理職の育成方法

管理職に上がる制度はあるが、手を挙げづらい状況にある、理系職種の女性が管理職を目指す上での障壁など、会社の背景・規模によって課題感は異なるが、女性の管理職比率の低さと、パイプラインを形成する管理職候補者の少なさは共通している。取り組みとしてはメンタリングを実施している企業が多く、クロスメンタリングや役員メンタリングを取り入れているという話もあった。効果があるケースもあれば、思ったような成果が得られないケースもあり、難しいところではある。また、“女性”にフォーカスするとハレーションが起こるケースもある為“介護”の切り口で取り組んでいる例もあった。

管理職候補者に対して「期待しているとしっかり伝えるようにしている」という参加メンバーの取り組みは、明日からすぐに実践できるものであり、シンプルなアプローチが大切であると気付かされ大きな希望を感じた。

③女性活躍を推進する公平な昇進・評価制度

短時間勤務者をどう公平に評価するかが議論の中心になった。昇格の審査において上長の推薦が必須という会社もあり、そこにバイアスが潜り込んでいるのではないかという意見があった。そこで自社の例として、AIを活用した評価方法について共有した。上長が管理職を評価する際に、事前に読み込ませた評価基準からブレやバイアスがないかをAIに判定させ、アドバイスとして表示させる機能を導入している。上長が自身のバイアスにも気づくきっかけにもなっており、今後は管理職以外での展開も検討している。

④女性活躍に求められる上司・同僚のコミュニケーション

議題の1つとして挙がったのが「女性社員に対する過度な配慮」。産休・育休から復帰した女性社員に対して、深夜業務を伴う仕事、長時間労働が発生する仕事を制限する傾向にあった。上司としては配慮したつもりであっても、本人の意向に沿っていなかったり、それによって業務が狭められてしまっていたりする現象があるのではないかという話になった。このようなジレンマを生まぬよう、適切に意見を吸い上げる制度づくりも必要ではないかと感じた。

関連記事女性活躍推進を“成果”につなげるための5つのステップを解説~人的資本経営時代に人事・DE&I担当者が押さえるべき実践戦略~

第3部:人事部門責任者・リーダー交流会

山口先生にもご参加いただき、ご参加者のみなさまでご交流の場を設けました。

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「女性活躍」を阻むアンコンシャス・バイアスと、それを解決するための公平な人事とは何か、という観点でのご講演です。また、公平な人事を仕組み化する上で、「AI」の活用も視野に入れた新しい考え方についてもご紹介いただきました。 データを用いて解説してくださっておりますので、ぜひご活用ください。

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まとめ

今回で第5回を迎えたPASONA HRUPDATE MeetUpですが、複数回参加して下さるリピーターの方や、1社複数名で参加してくださる企業様も増え、人事部門のみなさまの学びの場として定着してきたことを嬉しく思っております。

今後もより、良い場となりますよう努めて参ります。次回開催をぜひお楽しみに。

女性活躍推進チェックシート

本シートでは、採用・配置・育成・昇進・就業継続の5項目で自社の課題を明確にし、打ち手を検討しやすくしています。 Excel形式となっているので、社内で自由にカスタマイズしてご利用ください。

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