おすすめ特集・コラムジェンダー不平等(男女格差)とは?男女格差を克服するために企業が取り組むべき施策も紹介
公開日:2024.08.26 更新日:2024.09.26
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- 女性活躍
世界が抱える課題の一つとして、SDGsの目標5でも示されている「ジェンダー平等」。男女格差が生じる背景には偏見や思い込みが存在することも多く、ジェンダー不平等(男女格差)は社会のあらゆる場所に存在するといっても過言ではありません。
この点、特に企業内に男女格差が存在すると、生産性の低下や企業イメージの毀損などの深刻な問題が生じます。ジェンダー平等を達成することは、企業を含めた社会全体に大きなメリットをもたらすでしょう。
この記事では、日本におけるジェンダー不平等の現状を解説するとともに、男女格差を克服するために企業が取り組むべき施策について紹介します。
女性活躍に必要な取り組みをデータから読み解く
労働人口の減少により、女性の社会進出が後押しされるようになった昨今。女性活躍推進に取り組むことで企業の経営面や人事面において以下のようなメリットが期待できます。
- ビジネスチャンスの拡大
- 人材確保
- 社会的信用の向上
- 生産性の向上
では具体的にどのような取り組みが必要なでしょうか。データを交えてご紹介しています。
ジェンダー不平等(男女格差)とは?
ジェンダー不平等(男女格差)とは、性別を理由として、不当な取り扱いや差別を受けることをいいます。ここでいう「ジェンダー」とは社会的・文化的な性差を指し、生物学的な性差とは区別されます。つまり「男性らしさ」や「女性らしさ」いった、社会から「こうあるべき」姿として規定された性差が「ジェンダー」です。
ジェンダーの平等は、世界が解決すべき目標として2015年の国連総会で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の一つに掲げられています。SDGsではジェンダー平等の達成を通じて、すべての女性が力を発揮できる社会の実現を目指しています。
日本のジェンダー・ギャップ指数の現状
男女格差の目安となるのが「ジェンダー・ギャップ指数」です。これは世界経済フォーラムによって公表される各国の男女格差を表す指標であり、0に近いほど「完全不平等」、1に近いほど「完全平等」を示します。
日本のジェンダー・ギャップ指数をみると、2022年の総合スコアは0.650ポイントで146か国中116位でした。そして、2023年は0.647ポイントで146か国中125位と、過去最低を記録しています。2023年の分野別スコアをみると、教育分野と健康分野は1(完全平等)に近いスコアを維持しているものの、政治分野と経済分野は依然として低い数値となっています。
- 教育:0.997
- 健康:0.973
- 政治:0.057
- 経済:0.561
関連記事:ジェンダーギャップ指数とは?日本の現状と改善にむけた取り組みをご紹介
参考:WEF「Global Gender Gap Report 2022」「Global Gender Gap Report 2023」
ジェンダー不平等(男女格差)の存在を示唆するパソナの調査結果
パソナの調査によると、就業先での女性活躍について「大変進んでいる/ある程度進んでいる」が34.6%「あまり進んでいない/全く進んでいない」が25.0%でした。また、男女の能力が同程度であった場合「採用」「人事異動」「評価」「研修」「給与」のどの項目においても「男性が優遇」されているという回答のほうが多い傾向にあります。
この調査結果から、各企業において女性活躍を推進する体制は整いつつあるものの、ジェンダー不平等は今も根強く存在していることが推察されます。
参考:パソナ・シャドーキャビネット 女性活躍推進省 『仕事と育児・家事・介護に関する意識調査』を発表 ~女性活躍の真の障壁・課題の解決に向けて
調査期間:2023年3月3日~17日
調査対象:全国の15歳以上の男女 1,049人
働く女性の健康推進に取り組むべき理由
女性活躍推進法が施行され、女性の活躍が推進される中、女性特有の健康問題への対応が必要となっています。 本資料では女性の健康推進への取り組みの必要性、効果をご紹介します。
ジェンダー不平等(男女格差)を克服することで得られる企業のメリット
男女格差を克服すれば、誰もが自身の能力を最大限に発揮できるようになり、企業内で活躍する人材が増加します。これにより多様な視点を得られるため、商品開発やマーケティング戦略を考えるうえで、世の中のニーズを的確に捉えることができるようになります。
また、女性が能力を発揮できる場面が増えることで、既存の人材の活性化につながります。「女性が活躍する企業」というイメージが形成されると、社外から好印象を持ってもらいやすくなり、人材獲得のチャンスも広がるでしょう。
ジェンダー不平等(男女格差)をなくすために企業ができること
男女格差をなくすために企業ができることとして以下が挙げられます。
雇用条件や待遇面の改善
職場において、性別を理由として異なる取り扱いをすることは男女雇用機会均等法で禁止されています。たとえば、総合職の採用を男性に限ったり、女性の採用を未婚女性に限ったりすることは違法となります。ところが、出産をきっかけに退職した女性が、その後再就職しようとしても正規雇用の道が事実上閉ざされてしまうことは少なくありません。
労働基準法でも「男女同一賃金の原則」が定められ、男女間で賃金上の差別的な取り扱いをおこなうことはできません。しかし、賃金面において女性は男性と比べて約21.3%も低位という調査結果もあるなど、現実には格差が生じているといえます。企業は関連法規に則り、男女間の均等な待遇を実現する必要があります。
多様な働き方の推進
社員一人ひとりの状況に応じた働き方を柔軟に選べるようにすることも、ジェンダー平等を実現するための施策の一つです。その一例として、フレックスタイム制や短時間勤務制度、リモートワークが挙げられます。また、産休育休制度を整備し、積極的な活用を促すことも重要です。
その他にも、社員が安心して子どもを預けられるように、社内に託児所を設置するケースもあります。施策を進めるうえでは社員全体の意識改革をおこなうための研修も有効であり、企業による積極的なサポートが求められています。
ハラスメントの防止
業務上発生しがちなハラスメントに「パワーハラスメント」「セクシュアルハラスメント」「マタニティハラスメント」の3つがあります。これらを防ぐためには就業規則に防止指針を規定する必要があり、相談窓口の設置や関連研修の実施も効果的です。
特に、パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)制定後は、パワハラ防止措置の実施が企業に義務付けられました。大企業では2020年6月から施行され、中小企業においても2022年4月より対象となっています。各企業は法律に則り、所定の措置を確実に実施しなければなりません。
参考:厚生労働省「職場におけるパワーハラスメント対策が事業主の義務になりました!」
女性管理職の登用
日本企業における女性管理職比率は13.3%であり、アメリカの41.1%やフランスの35.5%と比べて低位にとどまっています。
参考:労働政策研究・研修機構「3−3就業者及び管理職に占める⼥性の割合|データブック国際労働比較2022」
政府も女性活躍推進法を制定し、指導的地位につく女性の増加を目指しています。企業にとっても女性管理職の登用には多くのメリットがあり、たとえば多様性の確保やコミュニケーションの活性化、女性社員のロールモデルの形成などが利点として挙げられます。管理職登用を見据えた女性社員向け研修を実施するなど、組織に女性管理職を増やすための施策を積極的に講じるべきでしょう。
関連記事:女性管理職の比率は?増やすための施策・育成方法を紹介
パソナが提案する女性管理職採用ノウハウBook
女性活躍を推進されている企業様に向けて、「女性管理職の採用」を実現するための採用マニュアルを作成しました。「女性の志向性や、キャリアを築いていくために必要としている環境」「女性管理職の応募を増やすには? 」「面接で女性管理職の意向を上げるには? 」といった採用過程ごとのポイントをご紹介します。
ジェンダー不平等(男女格差)を克服するための企業の取り組み事例
ジェンダー不平等を克服するためにはどのような施策があるのか、企業による取り組み事例を以下にまとめました。
アクセンチュア株式会社
あらゆるバックグラウンドの人材が活躍できる環境を目指しているアクセンチュア。日本法人では女性管理職の少なさが顕著であり、男女格差を克服する取り組みに力を入れてきました。
施策の一例として、育児を支援する制度の拡充や国際女性デーイベントの開催、研修と啓蒙活動の実施などがあります。継続的な取り組みの結果、取締役会の50%、グローバル経営委員会の27%が女性で構成されるようになり、日経WOMAN主催の「女性が活躍する会社BEST100」(2021年)でも総合1位に輝いています。
参考:アクセンチュア株式会社「平等の文化のある職場環境を目指して」
株式会社資生堂
資生堂は女性社員の割合が多く、女性が働きやすい職場環境づくりに前向きな企業です。育児休暇はもちろん、時短勤務や企業内保育所、ベビーシッター制度など、子育てと両立しながら働けるようさまざまな施策を講じています。
その他にも、同社は国際女性機関(UN Women)の「HeForShe」という取り組みに参加し、若い世代に向けたジェンダー平等啓発活動をおこなってきました。性別を問わず、すべての人が能力を発揮できる社会の実現を目指しています。
参考:株式会社資生堂「学生と取り組むジェンダー平等啓発イベント第2回をUN Womenと開催」
女性管理職を採用するときのアピールポイントは?
女性幹部比率が極めて低かった企業の採用担当者はいかにして採用活動を進めたのか。社内制度や選考フェーズでの視点についてお伝えしています。
企業がジェンダー不平等(男女格差)の克服を目指して取り組む際の注意点
企業が施策を実施する際には以下の点に注意する必要があります。
当事者からの意見聴取
管理者側の思惑だけで制度を導入しても、現実のニーズと整合しない可能性が高いでしょう。社員の実情に即した施策の実施が必須であり、そのためにはライフステージに応じてどのような悩みを持ち、どのような解決を望んでいるのか当事者からの意見聴取をおこなう必要があります。
長期的な視座での取り組み
ジェンダー平等な環境をつくるには、企業風土そのものを変えなければならないケースも少なくありません。このため、男女格差の克服は時間のかかる取り組みとなり、これまで女性活躍を重視してこなかった企業ほど地道な取り組みが求められるでしょう。実際に施策を進める際は長期的な視座で取り組むことが重要で、一時的に不具合が生じたとしても断念せず、見直しや改善をしつつ取り組みを継続する粘り強さが必要となります。
まとめ
ジェンダー不平等は社会のさまざまな場所に根強く残る問題です。そして、女性が活躍できない社会は企業にとっても大きな損失であり、男女格差の解消は喫緊に取り組むべき課題といえます。
しかし、男女格差は企業文化に根ざした問題という側面も持ち、克服するには根気強い取り組みが求められます。企業文化を根本から見直す必要性が出てくることもあり、社内人材では対応しきれないケースも少なくありません。そこで検討したいのが、豊富なノウハウや人脈を持つ「社外取締役」の活用です。ジェンダー問題のスペシャリストを招聘することは、問題解決のための有力な選択肢となるでしょう。
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