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ゼブラ企業とは?注目される背景とユニコーン企業との違いについて解説

近年は、ユニコーン企業という存在が認知され、投資先や就職先として注目されるようになりました。しかし、世界の潮流は速いもので、昨今はユニコーン企業のアンチテーゼとして「ゼブラ企業」が登場しました。投資家はもちろんZ世代を中心とする若者からも支持されつつあります。

ゼブラ企業は日本での認知度はまだ低いですが、2023年に政府はゼブラ企業を国家戦略に位置づけ、後押しすることを宣言しています。本記事ではゼブラ企業とは何か?ユニコーン企業との違いや世界で支持される理由を解説します。

ゼブラ企業とは

ゼブラ企業とは、2017年に米国の4人の女性起業家が提唱した概念であり、企業としての利益追求と社会との共存性を重視するスタートアップ企業を指します。短期的な成長を追い求めて利益追求を最優先する「ユニコーン企業」のアンチテーゼとして提唱されました。

ゼブラ企業のテーマは「相利共生」です。株主や自社だけでなく、多数の取引先や地域社会などのステークホルダーすべてと協調しつつ、長期的な視点で社会性と経済性を両立させながら事業成長していくことを目指します。

ゼブラの語源は英語のZebras(しまうま)です。白と黒というコントラストの明白な模様を持つ動物であるしまうまを、社会貢献と事業成長の両立をかなえた企業の象徴として捉えたネーミングです。

ゼブラ企業の特徴

ゼブラ企業の明確な定義は存在しませんが、ゼブラ企業と認められるには以下の4条件をクリアしている必要があります。

①社会貢献

ゼブラ企業は、事業の成長を通じて社会に貢献することを目的とする企業です。利益追求よりも社会貢献が上位概念にあるため、解決が困難で社会的な価値観の変化も必要になるような課題にチャレンジします。また、SDGsやサステナビリティ、共存性に価値をおき、社会が持続可能な範囲での事業成長を重視します。

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②ステークホルダーへの還元

株主や資本家、経営層だけに富を還元するのではなく、地域社会・顧客・取引先などのすべてのステークホルダーに還元するように事業運営します。誰かの犠牲の上にサービスを成立させない企業とも言い替えられます。企業として持続的な繁栄を維持しながら、関係する人やすべてのコミュニティがともに発展していくことを目指します。

③透明性

社会課題の解決を目的に事業を展開するゼブラ企業は、投資先だけでなく、公共機関や顧客などのステークホルダーに、事業の過程や結果を積極的に情報公開します。投資がどのようなプロジェクトに使われ、どう成果を上げたのか?SDGsであればどの程度気候変動に影響があったのかまで公開するなど、経営の透明性の高さが特徴です。

④革新性

ゼブラ企業の革新性は、市場を破壊するような革新的なサービスを生み出すことを指すのではなく、相利共生というコンセプトのもと、すべてのステークホルダーにメリットがある仕組みを実現する革新性です。例えば、ボーダレス・ジャパン社の社会起業家グループが余剰資金を次の社会起業家へ投資する「恩送りのエコシステム」などがあります。

なぜゼブラなのか

ゼブラ企業という名称は、しまうまの白黒模様が社会貢献と経済性の両立を象徴すること、そして、しまうまが現実に「群れをつくって生きている」動物であることが、ゼブラ企業のテーマ「相利共生」(集団・群れとしての共存)という哲学を体現していることに由来します。ユニコーンが幻想の動物であり、群れを持たないことと対照的です。

注目される背景

近年、ユニコーン企業を経て上場した企業、例えばGoogle・Facebook・Uberに代表される企業は、私たちの生活を格段に便利にしたものの、同時に大きな影響力を持つようになりました。

その国境を越えた影響力は、社会基盤を揺るがしかねない存在として各国政府からも警戒されるようになっています。

また、近年の資本主義諸国の格差は広がる一方であり、ユニコーン企業への過剰な投資や、現代の資本主義の在り方に多くの人が疑問を持つようになりました。消費者としては支持しても、一生活者としてはプラットフォーマーに搾取される危険性を感じる人が増えています。

国際的にSDGsが重視され、投資家や消費者の意識が変化してきたこともゼブラ企業の追い風となりました。社会貢献や社会との共存を重視するゼブラ企業に、人々の期待が集まっています。

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骨太の方針に反映されるゼブラ企業

日本政府もゼブラ企業の創出とエコシステムの構築を方針に打ち出しています。

「経済財政運営と改革の基本方針2023(通称「骨太の方針」)」の第2章には「地域の社会課題解決の担い手となり、地域インパクト投資等を呼び込む中小企業(いわゆるゼブラ企業など)の創出と投資促進」という内容が明記されています。

ゼブラ企業が国家戦略に位置付けられたということであり、今後は日本でも企業のビジネスモデルとして、投資先として注目されていくことになるでしょう。

ゼブラ企業の社会貢献を重視し、地域と共生し、長い時間軸で成長を捉える考え方は日本にもなじみやすいため、投資家からも理解を得やすいと考えられます。

SDGsへの取り組みが就職先の志望度にも影響

世界的にミレニアル世代以降はSDGsへの関心が高く、今後の労働人口の中核となるZ世代は特に高い傾向があります。

日本も同じ状況であり、株式会社SHIBUYA109エンタテイメントが2022年に実施した「 Z世代のSDGsと消費に関する意識調査」によると、7割がSDGsに取り組む企業に好印象を持っています。

理由として「SDGsに取り組む企業の方が世の中の流れを把握できている印象がある」という声があがっています。SDGsへの取り組み姿勢が、就職先を志望するときの一つの指標にもなりつつあることがうかがえます。

「社会的課題の解決に対して興味関心がありますか?」という問いに56.8%が関心を示すなど若者の意識は変化しています。

ゼブラ企業とユニコーン企業との違い

ここでは、しまうまに例えられるゼブラ企業と、幻の生き物に例えられるユニコーン企業との違いを紹介します。

ユニコーン企業の特徴

ユニコーン企業は、以下の条件を満たす企業価値の高いスタートアップを指します。

  • 設立10年以内
  • 評価額10億ドル以上
  • 未上場

革新性の高いサービスを開発し、指数関数的に成長し、経済をけん引する可能性の高いスタートアップという条件なためテクノロジー企業が多い傾向があります。

ユニコーン企業の存在自体が素晴らしいことはたしかです。ただ、ユニコーン企業に投資が過度に集中していることや無条件に賞賛される風潮が危惧されています。

ゼブラ企業とユニコーン企業の比較

ゼブラ企業とユニコーン企業の大きな違いは、投資家の評価のポイントや資源についての考え方、受益者に現れます。

投資家の評価ポイント

  • ゼブラ企業:持続的な成長、社会貢献
  • ユニコーン企業:指数関数的な急成長、オンリーワン企業

資源の保有

  • ゼブラ企業:共有を容認
  • ユニコーン企業:独占、寡占

受益者

  • ゼブラ企業:関連する人や企業、社会全体
  • ユニコーン企業:株主、出資者。最短でIPOやM&Aを目指す傾向あり

日本のゼブラ企業の例

日本でゼブラ企業して知られるスタートアップ企業を3社ご紹介します。いずれもZ世代が活躍しています。

ボーダレス・ジャパン

株式会社ボーダレス・ジャパンは、ソーシャルビジネスを推進する起業家に事業投資やコンサルティングやサポートをおこなう企業です。世界13カ国で51のソーシャルビジネスを展開しています。多くの社会課題を解決することを目的に構築した独自の仕組み「恩送りのエコシステム」が、2019年にグッドデザイン賞を受賞しています。

陽と人

株式会社陽と人は、地域活性化や地域貢献を目指し、農産物の生産~販売・地域資源の再活用・コンサルティング・サポートなどをおこなう企業です。一例をあげると、福島県の農産物の規格外品を集めた新たな規格をつくり、生産者から買い取ったうえで流通させる仕組みを構築しました。農産物のブランド価値の向上や生産者の所得向上を進めています。

株式会社バイオーム

株式会社バイオームは、生物多様性の保全と経済的合理性の両立を目指す企業です。世界の生物の分布をビッグデータ化し保全を加速させるプラットフォームを構築しています。2023年には沖縄セルラー主催の「おきなわ自然保護プロジェクト」においてアプリが活用されるなど、産学官とともに社会実装プロジェクトに取り組んでいます。

まとめ

ユニコーン企業へのアンチテーゼとして登場した「ゼブラ企業」は、SDGsへの興味も相まって投資家や一般消費者、そしてZ世代などの若い世代から支持されつつあります。日本でも政府がゼブラ企業の創出を目標に掲げたことで、今後ゼブラ企業は消費者からも求職者からも注目されていくでしょう。

ゼブラ企業は、若い世代の就職先として認知されつつありますが、実はミドルシニア世代の転職先としても適しています。現実にスタートアップ企業が、事業成長と社会貢献を両立させることは大変なことであるため、現場でのビジネススキルを豊富に持つミドルシニア世代の知見が役立つことが想定されるからです。ミドルシニアとしても、第2のステージで自分の培ってきた知見をゼブラ企業を通じて社会に還元できれば、セカンドキャリアはより充実したものになるでしょう。

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