おすすめ特集・コラムワークエンゲージメントとは?意味、測定方法、高める方法を解説

更新日:2026.02.20
- キャリア自律支援
ワークエンゲージメントとは、仕事に対して「活力」「熱意」「没頭」の3つが揃った、肯定的で充実した心理状態のことです。少子高齢化で労働人口が減少する日本において、組織の生産性向上や離職防止のカギとして注目されていますが、日本企業の数値は国際的に見ても低い水準にあるのが現状です。
本記事では、ワークエンゲージメントの正しい定義や「従業員エンゲージメント」との違いをはじめ、国際的な測定手法である「UWES」、そして産業心理学の「JD-Rモデル」に基づいた具体的な高め方までを網羅的に解説します。
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ワークエンゲージメントとは?意味や概要
ワークエンゲージメントとは「仕事に関して肯定的で充実した感情および態度」を意味する言葉で、従業員の「精神的な健康度」を表す概念であり指標です。この概念は、2002年にオランダのユトレヒト大学の教授であるウィルマー・シャウフェリ氏らによって提唱されました。
具体的には、仕事における以下3つ「活力・熱意・没頭」の3つの要素が満たされた状態を指します。
【ワークエンゲージメント 3要素】
ワークエンゲージメントが高い状態にある従業員は、仕事から活力を得ており、主体的に、そして生き生きと働く文化が職場に醸成されやすくなります。これにより、人材の定着率向上も期待できます。
また、ワークエンゲージメントが高い従業員は良好なメンタルヘルスを保ちやすいため、個人のパフォーマンス向上や組織全体の活性化にもつながるでしょう。
現代のように、企業を取り巻く経済環境が急速に変化し、少子高齢化による労働力不足が深刻化する中で、企業が離職率を低下させ、個々の従業員のパフォーマンスを最大化するためには、ワークエンゲージメントを高めるための取り組みが不可欠と言えます。
従業員エンゲージメントとの違いは?
「ワークエンゲージメント」と混同されやすい言葉として、「従業員エンゲージメント」があります。
従業員エンゲージメントとは、ボストン大学のウィリアム・カーン教授が提唱した概念で、「従業員が会社やともに働く仲間に深いつながりを感じ、信頼、愛着を持ち、企業理念に共感し、組織や仲間に心から貢献したいと思う心的状態」を指します。
両者の違いを簡潔に説明すると、ワークエンゲージメントは「仕事そのもの」に対する肯定的で充実した心理状態を指すのに対し、従業員エンゲージメントは「組織全体(会社、同僚、理念など)に対するもの」を指します。したがって、ワークエンゲージメントは従業員エンゲージメントよりも、心理的に焦点を当てる対象領域が狭いと言えます。
ワークエンゲージメントの主な構成要素:仕事への「活力」「熱意」「没頭」
従業員エンゲージメントの主な構成要素:会社への「理解度」「共感度」「行動意欲」
この構図を捉えると、従業員エンゲージメントという大きな概念の中に、ワークエンゲージメントの持つ要素が内包されていると言ってもよいでしょう。
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ワークエンゲージメントの測定方法
ワークエンゲージメントを測定するための最も一般的な手法は、「ユトレヒト・ワーク・エンゲイジメント尺度(以下UWES)」です。UWESには複数のバージョンが存在し、標準的な「UWES-17」は17項目、短縮版の「UWES-9」は9項目、「UWES-3」は3項目の質問で構成されています。
これらの尺度では、「仕事中は活力がみなぎっているように感じる」「仕事に熱心である」「仕事にのめり込んでいる」といった、ワークエンゲージメントの3要素である「活力」「熱意」「没頭」を測定するための質問が含まれています。
回答は7段階(例:0=全くないから、6=いつも感じる)で選択してもらい、各要素の平均値を算出することで、ワークエンゲージメントのスコアを判定します。
UWESは、ワークエンゲージメントの国際比較、雇用形態別比較、年代別比較など、幅広い分析に活用されています。
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ワークエンゲージメントに関する調査
ここでは、国内および国際的なワークエンゲージメント調査から見られた傾向をいくつかご紹介します。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構が実施した国内企業を対象としたワークエンゲージメント調査(2019年)では、以下のような傾向が見られました。
男性と比較して、女性のワークエンゲージメントはやや高い
「活力」は男性より低いが、「熱意」「没頭」が男性より高い状況がうかがえました。
年齢が上がるにつれて、また職位や職責が高まるにつれて、ワークエンゲージメントは高くなる
経験を積むことで、仕事への自信や成長実感が高まることに加えて、習熟度が増し、裁量権が増えることで仕事のコントロールが効きやすくなることが影響すると考えられます。また、難易度高めの仕事に挑戦する機会が増えることもワークエンゲージメント向上につながっている可能性があります。
39歳以下の正社員は、年収の増加に伴いワークエンゲージメントが高まる傾向があるが、40代以上ではこの傾向は見られない
39歳以下の正社員においては、年収の増加を通じた仕事上の成長実感や自己効力感の高まりが、ワークエンゲージメントの向上に関係している可能性が考えられます。このように年収とワークエンゲージメントに相関が見られない点は、人件費の増加が難しい企業であっても、仕事の進め方や職場環境の改善によって、ワークエンゲージメントを高められる可能性があることを示しています。
また、16ヶ国のワークエンゲージメントスコアを比較した論文(Shimazu,Schaufeli, Miyanaka, & Iwata(2010年))では、以下のような調査結果が見られました。
日本を含む16カ国のうち、ワークエンゲージメントスコアはフランスが1位、フィンランドが2位、南アフリカが3位であり、日本は16カ国中16位と最下位
厚生労働省のサイトでも、この結果について、感情表現の文化的な傾向の違いを考慮する必要があるとの但し書きがあるものの、海外諸国と比較して、日本の従業員が仕事に対してポジティブな感情を持つ傾向が相対的に少ない可能性があります。
これらの調査結果は、日本企業におけるワークエンゲージメント向上の必要性を示唆しています。
参考:厚生労働省「令和元年版 労働経済の分析 -人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について-第3章「働きがい」をもって働くことのできる環境の実現に向けて」
関連記事:エンゲージメントサーベイとは?実施の目的やメリット、結果の活用方法を解説
ワークエンゲージメントを高める方法
従業員が心身の健康を保ち、仕事にやりがいを感じ、イキイキと没頭して働き続けるために、企業はどのような取り組みを進めればよいでしょうか。
その鍵となるのが、産業心理学の分野で提唱されている「JD-Rモデル(仕事の要求度-資源モデル)」です。このモデルでは、従業員のワークエンゲージメントを高めるために、「仕事の資源」と「個人の資源」という二つの要素に注目します。
仕事の資源
仕事の量や裁量性、上司や先輩、同僚との人間関係、正当な評価、キャリア開発の機会など、個人を活性化させる外部・組織内の要因
個人の資源(心理的資本)
自己効力感やレジリエンス(困難な状況から立ち直る力)、楽観性といった、個人が内面に持つ肯定的な自己評価を生み出す要因
研究によれば、これら「仕事の資源」と「個人の資源」は相互に影響し合い、一方が高まればもう一方も高まるという好循環を生み出すことがわかっています。企業がこのJD-Rモデルに基づき、具体的な施策を展開することで、従業員のワークエンゲージメントを効果的に向上させることが期待できます。
具体的に企業が取り組むべき施策として、以下の4点が挙げられます。
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1.明確な目標の設定と支援
従業員一人ひとりが、自身の業務における目標を明確に理解し、それを達成するための計画立案から期限設定までを支援します。今何をすべきかが明確になることで、従業員に目的意識ややりがいが芽生え、仕事へのモチベーションが高まります。ある程度チャレンジが必要な仕事や、これまでの経験よりもハードルの高い業務をあえて任せることも、従業員の成長を促し、ワークエンゲージメントの向上に繋がるでしょう。
2.適切なフィードバックの提供
従業員の仕事に対する成果や課題について、具体的かつタイムリーなフィードバックを行います。1on1などを活用し、上司と部下が信頼関係を築きながら、サポートやアドバイスを行うことで、ワークエンゲージメントを高めることが期待できます。また、成果を上げるために必要な学びの機会や研修を提供することも有効です。
関連記事:ポジティブフィードバックとは?効果や進め方、活用例を紹介
3.人事評価制度の見直しと最適化
従業員の努力や成果を正当に評価し、それを正当に評価するための仕組みを構築します。表彰制度、ボーナス、昇給など、多様な報酬制度を設けることで、より多くの従業員のワークエンゲージメントを高めることがポイントです。一人ひとりが意欲的に業務に取り組めるよう、努力や頑張りにしっかりと応えられる制度設計が求められます。
4.職場環境の改善とポジティブな文化醸成
多くの調査で離職理由の上位に「人間関係」が挙げられるように、良好な職場環境の構築は不可欠です。従業員同士が積極的に意見交換でき、互いに尊重し合えるような風土を醸成することが大切です。ただし、言葉で奨励するだけではカルチャーはなかなか変わりません。サンクスカードの導入やピアボーナス制度といった、ポジティブなコミュニケーションや感謝の気持ちを可視化する仕組みの導入が望ましいでしょう。
さらに、カフェテリアやリフレッシュスペースなどの物理的な環境整備も、従業員のストレス軽減に寄与するだけでなく、従業員同士のコミュニケーションが促進されるので、ワークエンゲージメント向上が期待できるでしょう。
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まとめ
ワークエンゲージメントとは、「仕事に対する肯定的かつ充実した心理状態」を指し、具体的には「活力」「熱意」「没頭」という3つの要素が満たされた状態を意味します。
ワークエンゲージメントの国際比較調査では、日本は残念ながら16ヶ国中16位という低い水準に位置しています。これは、多くの日本企業において、従業員のワークエンゲージメント向上への取り組みが喫緊の課題であることを示唆しています。
ワークエンゲージメントを高めるには、産業心理学における「JD-Rモデル(仕事の要求度-資源モデル)」に基づいたアプローチが有効です。具体的には、明確な目標設定、適切なフィードバック、人事評価制度の見直し、そして職場環境の改善といった多角的なアプローチが推奨されます。
これらの施策を通じて、従業員一人ひとりが仕事にやりがいを感じ、心身ともに健康で、主体的に業務に取り組める環境を整備していくことが、組織全体の生産性向上や持続的な成長に繋がるでしょう。自社で実施可能な施策から優先順位をつけ、ワークエンゲージメント向上に向けて取り組んでいきましょう。
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エンゲージメント向上の第一歩
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