おすすめ特集・コラムキャリア探求プログラム受講生が語る/ミドル・シニアが行動変容に向けて動き出すきっかけとは
更新日:2025.09.18
- キャリア自律支援
ミドル・シニア社員向けにキャリアデザイン研修やキャリア相談の導入が進む一方で、「本人がなかなか動き出さない」「研修後に継続的な変化が見られない」といった声も多く聞かれます。こうした“変化が起きにくい現実”に対し、支援の現場から見えてきた「ミドル・シニア層が自ら動き出すきっかけ」に焦点を当て、行動変容の実態を紐解くセミナーを、2025年8月7日に開催しました。
本セミナーでは、「研修を実施しているが効果を実感できていない」「新たなミドル・シニア向けキャリア支援施策を模索している」といった課題を抱える人事担当者の方々に向けて、ヒントや気づきを提供しました。
セミナーでは、キャリア自律に向けて実際に動き始めた3名のゲストを迎え、彼らが何を“スイッチ”に行動を起こしたのか、また、どのような支援が有効だったのかについて、お話を伺いました。
【ミドル・シニアのキャリア自律ご担当者様へ】
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パソナの研修プログラム
パソナでは、キャリア研修を社員自らが考え主体的なキャリア形成を描く出発点と位置付けています。
- 研修メニュー内容と対象
- キャリアデザイン研修
- セルフブランディング研修
- 上司向けキャリア面談力向上研修
- キャリアレクチャー
- 料金一覧
本資料では、大きく4つに分類されるキャリア関連研修のメニューと、各研修の内容についてご紹介します。
ミドル・シニアが動き出すために必要なこと(インタビューまとめ)
3名のインタビューを通じて見えてきた、ミドル・シニア層が自ら動き出すために必要な要素を整理しました。ポイントのサマリーは記事の最後に掲載しておりますので、ぜひあわせてご確認ください。
最初からキャリア自律できている訳ではない 歩みを進める中で見えてきた気づきと前進
―ご登壇者のご紹介
A 氏 大手化学メーカー勤務 人事部所属
B 氏 大手商社勤務 社内シンクタンク所属(出向中)
C 氏 株式会社パソナ勤務 営業統括本部所属
―ファシリテーター
株式会社パソナ キャリアアセット事業本部 永野 直樹
Q:皆さん、まずはそれぞれのキャリアの分岐点についてお話いただけますか?
▶A氏
現在は、転職活動中の方の支援に加え、出向者およびその受け入れ先で勤務されている方々のフォロー、本社勤務のキャリア入社社員への研修や面談を担当しています。
キャリアの分岐点は、50代に入った頃です。産業カウンセラーの資格取得というご縁を得て、自身の希望する専門性を深められる環境を整えることができました。
▶B氏
私は現在、社内シンクタンクに出向し、気候変動、生物多様性、循環経済など、環境に関する調査・分析業務に従事しています。
キャリアの転機は、毎年上司と実施している年1回のキャリア面談の中で、50歳という節目を前に「キャリアを見直すべきだ」と感じたことがきっかけでした。
▶C氏
前職では人事・労務を担当し、その後パソナへ転職。入社後は女性事務職の方を中心に、人材派遣のコーディネーターとして長年支援に携わってきました。
キャリアの転機は5年前。兼任で人材紹介のアドバイザー業務を担当するようになり、転職支援を行う中で、自分自身のキャリアを改めて見つめ直すようになりました。
▶永野
皆さんのお話を伺っていると、「50歳前後」がキャリアを再考する大きなきっかけになっている点が共通しているようですね。定年まで約10年と見えてくる中で、キャリアの集大成をどう築くのか——そうした視点が芽生えるタイミングなのかもしれません。
Q:では、そのキャリアの分岐点について、もう少し詳しくお聞かせください。
▶A氏
ちょうど50歳の頃、当時の業務をこの先も長く続けられるかと考えたとき、未来が少し見えづらくなったのを感じました。そんな中、偶然見かけた産業カウンセラー資格の説明会・見学会に参加したところ、たまたま知人にも再会し、縁とタイミングを感じて資格取得を決意しました。
▶B氏
先ほどもお話ししましたが、50歳を目前に、キャリアについて深く考えるようになりました。健康寿命を約72歳と仮定したとき、働ける期間は意外と短いと実感し、子育て・仕事・趣味を見直す中で「今後どう働くか」を真剣に考えるようになりました。
そんな折、社内イントラネットで「キャリア探求プログラム」の案内を見かけ、内容に強く惹かれて受講を決めました。
▶C氏
転機のきっかけは、子どもが県外の大学に進学し、自分の時間が増えたことでした。
それまで「育児・家事・仕事」の3本柱で日々を回すことに精一杯でしたが、子どもの自立により少し心に余裕ができました。それ以前から国家資格キャリアコンサルタントやメンタルヘルス系の資格は取得していましたが、活かす発想には至っていませんでした。
ちょうどその頃、仕事の専門性をさらに追求したい気持ちが芽生え、キャリアチェンジを視野に入れるようになりました。
▶永野
ありがとうございます。それではここで、皆さんが受講された「キャリア探求プログラム」について簡単にご紹介させてください。
本プログラムは1年間で全12回、毎月異なるテーマに沿って、2時間のオンライン講座を開催しています。毎回多様な講師が登壇し、さまざまな視点からキャリアについて語っていただくことで、受講者が自分自身のキャリアを俯瞰し、深く考える機会となることを目的としています。
Q:キャリア探求プログラムを通じて感じた、受講後の変化について教えてください。
▶A氏
1年間のプログラムを通して、一言で言うと「気が楽になった」と感じました。
さまざまな講師の方のキャリアの変遷を聞く中で、NPO活動や海外での経験など、自分とは異なるキャリアに触れる機会が多くありました。そうしたお話を通して、自分の強みや「自分にしかできないこととは何か?」を改めて考えるきっかけになりました。
▶B氏
受講後の変化は、大きく分けて3つあります。
1つ目は、意識の変化です。受講前は「いかに社内でキャリアを積むか」ばかりを考えていましたが、プログラムを通して、自分の人生全体を見据えた「CAN(できること)」「WILL(やりたいこと)」を意識するようになり、視野が広がりました。
2つ目は、仕事への向き合い方の変化です。受講をきっかけに、すべての業務が自分の成長につながると前向きに捉えられるようになりました。
3つ目は、行動の大切さを実感したことです。登壇者の方々が実際に実践している、たとえば二拠点生活やボランティア活動などの話を聞き、「自分もまず動いてみよう」と思えたのが大きな気づきでした。
このような学びに刺激を受け、私は昨年、国家資格キャリアコンサルタントの資格を取得しました。現在は、合格した仲間たちと定期的に勉強会を開催し、資格を実務にどう活かせるかを継続的に模索しています。
▶C氏
このプログラムを通じて、同じ仕事を続ける中でも「新しいことに挑戦することの大切さ」に気づかされました。
当初は「今の仕事を辞めて違う仕事をするしかないのか」と悩んでいましたが、そうではなく、副業や兼業、あるいは小さなステップから“試してみる”という柔軟なアプローチがあることを学び、大きな気づきになりました。
また、5年前からキャリアアドバイザーとして転職支援に携わっていますが、当時は「支援対象の方を成功に導かなければならない」と、やや気負っていた面もありました。
しかし、プログラム受講後は、「多くの方の悩みを聞けること自体が、自分にとって学びであり財産である」と捉えるようになり、視野が広がりました。
結果として、キャリアアドバイザーとしての業務への向き合い方も大きく変わったと実感しています。
▶永野
皆さん、ありがとうございます。
お話を伺っていて共通していると感じたのは、「社内でキャリアを築きつつも、外に目を向け、小さなことから一歩を踏み出す姿勢」でした。
こうした一歩一歩の積み重ねが、これからキャリア自律に取り組もうとされている方々にとって、非常に有効なアプローチになるのではないでしょうか。
Q:皆さんキャリア探求プログラムの受講生ですが、Cさんは2回目の受講ということで、その辺りの経緯について教えていただけますか。
▶C氏
最初に参加したきっかけは、パソナ社内のイントラネットで募集情報を見かけたことでした。ちょうど自分が求めていた内容だと感じ、すぐにエントリーしました。
キャリア探求プログラムは、自分の“想定外”のコンテンツが数多く用意されており、「越境体験」や「海外で働く」「起業」といったテーマに触れる中で、新たな自分の可能性を発見できました。
1年間を通じて、多くの学びを得られましたが、特に受講者同士のネットワークから得た刺激が大きかったです。
その後、再び社内で第3期の募集があった際に、今度は前回とは異なるメンバーとの新たな出会いに魅力を感じ、再度エントリーしました。異なる視点や考え方に触れることで、より視野を広げたいと思ったのが理由です。
Q:実際に新たなキャリアに踏み出すにあたり、どのような準備が必要だと思われますか?
▶B氏
私自身は、キャリアを踏み出すために取り組まれている方々の声を読書等から得たり、先輩方からアドバイスを受けたりしながら準備を進めています。そのうえで、他の方にも参考になると感じるポイントを3つ挙げます。
1つ目は、「興味や好きなことを言語化すること」です。
完全に言語化できていなくても、なんとなくでもイメージできていれば十分だと思います。私は毎日日記をつけており、そこに自分の気持ちや気づきを綴ることで、頭の中を整理し、自分の価値観を可視化しています。
2つ目は、「ご機嫌でいること」です。
心身ともに健康でいることは、新しいことに目を向けるための土台になります。常に機嫌良くいるのは難しいですが、私は「不機嫌な状態を長く続けない」ことを意識しています。
3つ目は、「自分の立ち位置を客観視すること」です。
人生100年時代のなかで、ミドル・シニア層はすでに人生の後半に差し掛かっています。その現実を冷静に見つめ、健全な危機意識を持つことが重要です。
そうした認識があれば、「今が新しい一歩を踏み出すタイミングだ」と自然に思えるはずです。これは多くの方に共通するのではないでしょうか。
Q:社員のキャリア自律を進めていくことについて、どのようにお考えですか?
▶A氏
個人的な意見ですが、日頃30代のキャリア入社の方々と面談しているなかで、感じていることがあります。それは、「キャリア自律を促さなくても、自分で考えて動く人は動く」ということです。そして、その中にはすでに転職を決断している方も少なくありません。
そのため、「キャリア自律=転職防止策」とは限らないと感じています。むしろ、迷いや不安を抱えている方々に対して、前向きな気づきや選択肢を提供することが、キャリア自律の本質的な支援になるのではないでしょうか。多くの企業でそうした取り組みが進むと良いと考えています。
▶C氏
シニア層の方がキャリアに悩んでいる場合、「一度転職活動をしてみる」ことをおすすめします。
「転職したほうがいい」という意味ではなく、転職活動を通して自分の市場価値を客観的に知ることができるからです。
そのうえで、「今の自分にとって本当に望む働き方とは何か?」を改めて見つめ直すことで、キャリア自律に繋がっていくと思います。
実際には、今の待遇や業務内容と同じ水準の仕事にすぐ就けるとは限らないと気づくことで、社内での自分のキャリアをより前向きに捉え直せるのではないでしょうか。
▶永野さん
皆さん、ありがとうございました。
それぞれの経験と視点に基づくお話から、「キャリア自律に向き合う上で大切なのは、小さな行動の積み重ねであり、内省の機会である」ということが、改めて感じられました。
これから取り組もうとされる方々にとって、大きなヒントになったのではないかと思います。
【再掲】ミドル・シニアが動き出すために必要なこと(インタビューまとめ)
取材を通じて、ミドル・シニアが動き出すために必要なポイントについて整理しました。
今回の取材を通じて、ミドル・シニア世代がキャリアに向き合い、一歩を踏み出すために必要なポイントが見えてきました。以下に、その主な要点を整理しました。
1. 「会社の外」のキャリアを意識すること
まず大切なのは、「会社の中」だけでなく、会社を離れた後、すなわち定年後や再雇用後の人生も見据えてキャリアを考えることです。そのためには、早い段階から意識づけを行うことが重要です。ミドル・シニア層向けのキャリアデザイン研修なども、気づきを促す有効なきっかけとなるでしょう。
2. 多様なキャリア事例に触れて視野を広げる
定年後のキャリアは一様ではなく、実に多様です。その多様性に直接触れることで、視野を広げることができます。本やメディアで事例を知ることも可能ですが、実際に実践している方々の生の声を聞くことで、より具体的なイメージが湧きやすくなります。
3. 小さな行動から始めてみる
「いきなり大きな転機を迎える」のではなく、まずはボランティアに参加してみる、興味のある検定や資格にチャレンジしてみる、といった“小さな一歩”を踏み出すことが効果的です。こうした行動を通じて自己理解が深まり、徐々にキャリアの方向性が明確になっていきます。
4. 自分の“感度”を高める
キャリアを考えるうえで、自分自身の感度を高めておくことも重要です。宮之原さんのお話にもあったように、興味のあることに積極的に触れたり、適度な危機感を持ちつつ健康にも留意し、心に余裕をもって生活することで、自然と気づきが得られます。
5. 一緒に探求できる「仲間」の存在
最後に、キャリアを共に探求する「仲間」の存在は非常に大きな意味を持ちます。仲間がいることでお互いを励まし合うことができ、自分では気づかなかったことに気づかされたり、自身の経験や価値に対する肯定感にもつながります。
最後には、キャリアを共に探求する仲間を持つということです。仲間がいるとお互いの励みにもなりますし、他の方から気づきが貰えたり、自分への肯定感につながるというお話がありました。今日は、実際にキャリア探求に動き出している方々のお話を聞いてきました。
パソナの「キャリア探求プログラム」のご紹介
本日ご紹介したような実践例は、まさに「キャリア探求プログラム」の中で体現されているものです。
このプログラムは、パソナが提供する学びのプラットフォーム「パソナリカレント」の人気講座のひとつで、「キャリアの選択肢を仲間と一緒に広げる1年間」をコンセプトとしています。
毎月1回、多様なキャリアの実践者や専門家によるセッションを通じて、自身の将来を多角的に考える機会を提供しています。キャリアに対する視野を広げ、次の一歩に向けたヒントを得たい方に最適な内容となっています。
詳しくは、以下のリンクよりご確認ください。
キャリア探求プログラム 第4期募集開始!
ミドルシニアが同世代の仲間と共に「自分らしく・かっこよくハタラク」を探求! 様々な分野で活躍する講師から実践的な学びを得られるセッションです
今後もパソナでは、ミドル・シニア層のキャリア自律支援に向けて、多様な取り組みを継続してまいります。引き続きご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。