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社外取締役制度の課題とは?登用するメリットとデメリットをご紹介

2021年6月に施行された企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)の改訂により、「社外取締役」を確保する必要性が高まっています。

ガバナンスの水準を底上げすべく、さまざまな上場企業が社外取締役の人数や割合を急速に増加させているものの、実際にはその役割認識が不明確だったり、社外取締役を探すのに苦労することも多いようです。

この記事では、社外取締役を登用する企業のメリット・デメリットとともに、ガバナンス改革に不可欠な社外取締役制度の課題について解説します。

社外取締役制度とは?

社外取締役制度とは、利害関係のない外部の人材を経営陣として取締役に加え、業務執行から経営監督、意思決定、課題解決までをおこなう制度です。組織や他の取締役、社長などとのしがらみがないことが社外取締役となる要件であり、その中でも一般株主と利益相反が生じるおそれのない、完全に独立した社外取締役のことを「独立社外取締役」といいます。

現在は多くの企業で社外取締役が設置され、その人数・割合は急速に増えています。東証一部・二部上場企業では社外取締役が延べ7,000人超(※1)となり、ここ数年で2,000人ほどの新規社外取締役の参入があったと推測されています(2019年9月調べ)。

(※1)経済産業省『社外取締役の現状について』P10

企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)とは?

企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)とは、企業経営の透明性・平等性を確保し、株主をはじめとするステークホルダーの利益を最大限に実現するなど、上場企業のあるべき姿をガイドラインとして示したものです。

上場企業の社外取締役の設置は2021年3月に施行された改正会社法で義務付けられており、また企業統治指針では上場企業には2名以上の独立社外取締役の選任を求めています。

さらに今回の改訂により、プライム市場(2022年新設の上場基準が最も厳しい市場)の上場企業は取締役会の構成人数において、独立社外取締役を少なくとも3分の1以上選任すべきという基準が設けられました。

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社外取締役制度の目的

社外取締役を登用する目的は、自社価値の向上や持続的成長に向けた取り組みを促進し、経営に新たな風を吹き込むことです。また、企業のさまざまな不正や不祥事、信頼の失墜を未然に防ぐこと、独立した第三者の視点から組織内部を監視・評価し、経験やスキルの還元で課題解決へ導いてもらうことも社外取締役制度の目的に挙げられます。

社外取締役を登用するメリットとデメリット

社外取締役の登用により、企業にはどのような影響が生じるのでしょうか。

主なメリット・デメリットは以下のとおりです。

社外取締役を登用するメリット

ガバナンスが強化される

利害関係のない第三者によるチェックが加わることで、透明かつ公正な経営活動を推進できます。ガバナンス(管理体制)の強化により、自社の不正・不祥事防止のリスクマネジメントも積極的におこなえるでしょう。また、ガバナンスが機能していることで、企業のブランドイメージが高まることもポイントです。

経営トップに反対意見を伝えやすい

社外取締役は組織とのしがらみがない第三者であるため、経営陣に対しても意見を言いやすく、経営の暴走があれば止めることができます。積極的に発言や質問をする社外取締役と自社課題について十分に議論することで、取締役会の実効性も高まるでしょう。

客観的視点による新たな発見

社外取締役の知識や経験により、自社にはない斬新なアイデアや気づき、組織内での常識が一変するような課題解決策が生まれやすくなります。また、女性や外国籍の社外取締役を積極的に登用しダイバーシティを図ることで、取締役会の活性化や議論の質の向上にも期待が持てます。

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社外取締役を登用するデメリット

組織内の細かな情報にまで精通していない

第三者である社外取締役は、業務執行から経営監督、投資行動の決定までを限られた情報のみでおこないます。組織内の情報をきめ細かく把握しているとはいえないため、意思決定の際には慎重な判断が求められます。

人件費の負担が増える

社外取締役の登用により人件費の負担が発生します。調査結果によると社外取締役の年間報酬額は600〜800万円未満が最多、企業規模が大きいほど報酬額は高くなる傾向があります(※2)。

(※2)経済産業省『社外取締役の現状について』P34-35

経営者が議論を仕切る必要がある

社外取締役の登用により取締役会の議論は活発化されるものの、課題解決に向けては経営者が社外の見識を反映させつつ、さまざまな意見を取りまとめなければなりません。そのため経営者には、高いリーダーシップが求められます。

社外取締役制度の課題とは?

社外取締役の登用には以下のような課題があります。

課題1/役割認識のずれ

出典:経済産業省『社外取締役の現状について』

経済産業省の調査によると、社外取締役の役割認識については企業側・社外取締役側で一部ずれが生じています。企業側が期待している役割が必ずしも社外取締役に伝わっているとは限らないため、企業としては社外取締役を登用する前にしっかりと要望を伝え、互いにすり合わせをおこなう必要があるでしょう。

課題2/社外取締役の不足

企業統治指針の改訂により、上場企業における社外取締役の設置が増加していることもあり、社外取締役が不足している現状があります。

そこで課題となるのが、企業における社外取締役の獲得方法です。独立社外取締役が不足している問題とともに、兼任者が増えれば実効性が低下することも懸念されます。

また、日本は海外と比べ、女性や外国人登用が遅れていることも課題となっています。特に女性社外取締役のニーズは高まっているものの、日本社会では女性の出世が遅れていたために母数が少なく、女性を登用するなら3〜4年スパンで探さなければならないともいわれています。

現状不足している社外取締役を早期に獲得するには、総合人材サービス会社のネットワーク力を活用するとよいでしょう。各分野のスペシャリストが登録していること、自社の風土や今後の事業戦略に合わせた社外取締役をコンサルティングしてもらえることから、高い費用対効果が見込めることもポイントです。

まとめ

企業統治指針の改訂により、ますます必要性が高まる社外取締役。しかし、社外取締役の人数は不足している状況であり、すでに争奪戦が始まっているといえます。

自社に最適な社外取締役を獲得するには、高い費用対効果が見込める総合人材サービス会社のコンサルティングを早いうちに取り入れることをおすすめします。確かな経験力やネットワーク力を活かし、自社のニーズに合った候補者を紹介してもらえるでしょう。

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