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ジョブ型雇用とは?メリット・デメリット、メンバーシップ型雇用との違い

近頃、ビジネスシーンでよく耳にする「ジョブ型雇用」。日本でも日立製作所やKDDIなどを始めとする大手企業が導入を開始し、日々導入を検討する企業が増えています。しかし「ジョブ型雇用」とは、一体どんな形態の雇用なのでしょうか? 「ジョブ型雇用」のメリットとデメリット、導入方法などを紹介します。
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ジョブ型雇用とは何か?

ジョブ型雇用とは何か?

まず「ジョブ型雇用」の特徴、定義からご紹介します。

業務に即時対応できるスキル・経験を持つ人材を採用

企業が、これから伸びる人材を採用し、自ら教育するのではなく、人材を必要としている部署が求めるスキルや経験をすでに持っている人材を採用するのが「ジョブ型雇用」です。

基本的にジョブ型雇用で採用した人材は、業務内容や責任の範囲、勤務時間などを入社時に決め、雇用契約を結びます。入社後も転勤や、部署の異動などがないのが特徴です。

「ジョブ型正社員の雇用ルール確立」の定義

ジョブ型雇用の定義が確立されたのは、2017年、厚生労働省の規制改革推進会議で行われた公開ディスカッション「ジョブ型正社員の雇用ルールの確立」からだといわれています。

ここでの定義は、「職務・勤務地・労働時間などを限定して雇用される正社員(多様な正社員)」というものでした。

この会議には、厚生労働省、経団連、連合などが参加し、それぞれの立場で議論が重ねられました。その中で、これまでの正社員、非正規雇用の労働者という働き方だけでなく、今後は働く人の人生や、働き方などを考慮し、企業にとって優秀なリソースが確保できるシステムとして、多様な正社員という雇用を普及していく方向性でまとまりました。

参照:「内閣府 公開ディスカッション 議事次第

なぜジョブ型雇用が注目されているのか?その背景

この制度は欧米では従来からある一般的な雇用形態です。ここへきて、終身雇用、新卒一括採用を行っていた日本企業がジョブ型雇用の導入を検討し、制度の導入を進めている背景にはどんなものがあるのでしょうか?

経団連の提唱

日本の大手企業がジョブ型雇用の導入を検討し始めた要因の一つには、経団連の2020年「経営労働政策特別委員会報告(経労委報告)」があります。従来型の人事システムである「メンバーシップ型」と、欧米流の「ジョブ型」の組み合わせの推進が提言されました。

当時の経団連の会長だった日立製作所の中西宏明氏は、以前から「終身雇用制や一括採用を中心とした教育訓練などは、企業の採用と人材育成の方針からみて、成り立たなくなってきた」と発言をし、従来の「新卒一括雇用」や、「年功序列の終身雇用」などの「メンバーシップ型雇用」の限界を訴えました。

求められる世界との競争力

例えば、市場のグローバル化やDX推進といった戦略を取ろうとするとき、専門知識やAI・IoTなどの技術的スキルの高い人材が必要になります。その都度、社内から適性のある人材を選考したり、教育を始めたりしていては、時間やコストがかかり、機動性に欠けます。
世界の技術力の高さとスピードに負けないために、今必要な専門知識を、すでに持っている人材をどう採用するか、そうした人材の望む労働条件は何か?企業人事の仕組みを見直す必要が出てきたと言えます。

テレワークなど働き方の変化

新型コロナ感染拡大の影響で、テレワーク、リモートワークでの業務へ大きくシフトし、感染が落ち着いてもこうした働き方を継続する企業も増えています。そうした中で、従来の組織で動くビジネスの進め方ではコミュニケーションがうまくいかない、評価が難しいといった課題が出てきています。
その点ジョブ型雇用であれば、一人一人の業務内容や評価基準が明文化されており、そうした課題は解決されます。

またあらかじめ職種や勤務地・勤務時間などが決まっているジョブ型雇用であれば、子育てや介護など、事情があって休職や退職をせざるを得なかった人材の能力や専門知識の活用が可能になります。

ジョブ型雇用のメリット・デメリット

ジョブ型雇用のメリット・デメリット

ここで改めて、ジョブ型雇用の導入のメリットとデメリットについて見てみます。

ジョブ型雇用導入を検討する企業のメリットは?

ジョブ型雇用導入のメリットについては、以下のようなものがあげられます。

【企業側】

  • 担当職務の専門性やスキルの高い人材が採用できる
  • 業務が決まっているので、テレワーク勤務でも業務配分や評価がしやすい
  • 既にスキルを持っている人材を採用するため、人材育成・教育のコストがおさえられる
  • 職種、労働条件などが明確に明記されているので、入社後のトラブルが起こりにくい

【従業員側】

  • テレワークやフレックスタイム制度など柔軟な働き方ができ、ライフワークバランスがとりやすい
  • 業務内容、評価などが明文化されているので、適正な待遇・評価が受けられる
  • 職種、労働条件などが明確に明記されているので、入社後のトラブルが起こりにくい

ジョブ型雇用のデメリット・課題とは

一方で、ジョブ型雇用は日本においては2020年ころから大手企業が導入を始め、導入から数年しかたっていないため、まだ黎明期と言えます。従来の雇用制度からの切り替えで、見えてきた課題もあります。

【企業側】

  • 条件のいい他社があれば、すぐに辞めてしまう可能性が高い
  • 業務の閑散期に、ほかの業務のヘルプなどを頼めない
  • 組織の一体感をつくるのが難しい

【従業員側】

  • 業務が限定されているので、業務で関係のない他の部署、スタッフとのコミュニケーションが取りづらい
  • 雇用時に定められた業務が終了した場合には雇用契約が解除となる可能性があり、ライフプランが立てにくい
  • 職域や権限を広げ、キャリアアップを目指すには、転職するか、再雇用契約が必要

メンバーシップ型雇用との違い

メンバーシップ型雇用との違い

これまでの日本で一般的だった雇用形態「メンバーシップ型雇用」についても見ておきましょう。

メンバーシップ型雇用とは

メンバーシップ型雇用とは、働く人が企業を選び、入社後の配属部署は企業の判断によって実施される雇用形態です。入社後に配属された部署で教育・育成し、その働きを見て、その能力やスキルを評価されます。
その結果、必要に応じて所属部署の異動もあれば、転勤もあります。
新卒一括採用はスキルではなく、本人の意向やポテンシャルで採用し、教育・育成するメンバーシップ型雇用ならではの採用方法です。

メンバーシップ型雇用のメリットは?

長く日本でとられてきたメンバーシップ型雇用のメリットは以下のようなものがあります。

【企業側】

  • 事業計画に合わせ、人員を適宜配置することができる
  • 新卒一括採用などで、短時間で大人数を採用できる
  • 組織の一体感、チームワークが生まれやすい

【従業員側】

  • 雇用がある程度保障されているので安心して働ける
  • 雇用がある程度保障されているので安心して働ける 長く働くほど昇給し、社内でのスキルアップ、キャリアチェンジも可能

メンバーシップ型雇用のデメリットは?

一方で、ジョブ型雇用や働き方改革が必要になってきたメンバーシップ型雇用の課題感には、以下のようなものがあります。

【企業側】

  • 成果に関係なく、年功序列で給料も高くなるため、人件費がかさむ
  • 年功序列のため、優秀な若手の評価、権限移譲が進みにくい
  • 組織単位で仕事をすることが多いため、テレワークなどでの評価が難しい面がある

【従業員側】

  • 意図しない転勤や配置換えなどで、業務とのミスマッチが起こる
  • 勤続年数が浅いと、能力がなかなか評価されにくい

ジョブ型・メンバーシップ型雇用の比較

ジョブ型 メンバーシップ型
考え方 業務・職務に対して人を雇用 雇用した人に業務・職種を与える
職務 採用時に決定 総合職などで採用し、入社後変動
人事異動 異動・転勤は原則ない 会社側が決定する
教育 職務に関する社内外教育 集合研修やOJTなどで会社側が教育
報酬 職務給 職能給
配置転換 転職が一般的 異動願を出し、定期異動
キャリアアップ 職務実績のみ 勤続年数・年齢も加味される
解雇 職務がなくなれば契約解除 終身雇用が一般的

ジョブ型雇用、メンバーシップ型雇用のそれぞれのメリット、デメリットについて説明してきましたが、比較して大きく違うポイントを、表にまとめました。
企業側は、自社の業務にどちらの雇用形態がマッチしているのかを考慮して選択する必要があります。

ジョブ型雇用の導入を考える前に

今後ジョブ型雇用を導入していく前に、ぜひ確認していただきたいポイントをお伝えます。

ジョブ型雇用=成果が保証されているわけではない

職務に特化した人材を採用したとしても、企業の一員であることに変わりはありません。ジョブ型雇用で優秀な人材を確保したとしても、本人が力を100%発揮できないこともあります。先進技術にくわしい優秀なエンジニアが入社したとしても、現場が新規システムの導入に後ろ向きで、既存システム環境の運用、改修にばかり時間を取られてしまうような環境では、エンジニアの持っている技術を十分に活かすことはできません。ジョブ型雇用で採用した人材が業務を遂行するために、阻害するものは何か、期待する業務は何か?を社内に周知徹底し、既存の社員の協力のもと環境を整えることが必要です。

ゼネラリストの育成についてのスタンス

ジョブ型雇用は「スペシャリスト雇用」とも言えます。企業にはスペシャリストも必要ですが、その組織を効率よく動かせるゼネラリストがいなくては組織の力は最大化されません。将来のことを見据えると、ゼネラリスト人材の確保や育成をどうするかも検討が必要です。

急なリソース不足に対しての対応策

ジョブ型雇用を検討している企業も、全ての人材をこの方式で採用するとなると、一時的なリソース不足や、イレギュラーな事態への対応も準備しておく必要があります。
一方で、「どうしてもこの部署に、このスペシャリストが欲しい」というときのリソース不足の対応策としては、ジョブ型雇用は非常に有効です。

失敗しないための導入方法

失敗しないための導入方法

続いて、実際にジョブ型雇用を導入するためのステップを解説します。

1.職務内容の定義を明確にする

ジョブ型雇用で人材を採用するときは、「どの仕事を担当する人を採用するのか」「その仕事にはどのようなスキルが必要か」を社内ですり合わせておくことが大切です。また、業務マニュアルも整備しておく必要があります。
自社の当たり前は、他社の当たり前ではありません。これは当然のことだからわざわざ記載しなくてもいいだろう、という思いこみはトラブルの元となります。職務の範囲として想定している内容は、しっかり定義しておきましょう。

2.ジョブディスクリプション(職務記述書)の作成

ジョブ型雇用で人材を採用するときは、事前にジョブディスクリプション(職務記述書)の作成を行います。基本的な作り方は以下の通りです。

2-1.現場へのヒアリングをして、職務に関する情報を集める

この時、上長だけに聞いて作成すると実務ベースの事項が抜け落ちる可能性があります。現場で働くスタッフからの意見も加味して作成する必要があります。

2-2.集めた情報を精査する

集めた情報は、人事や、部署のマネージャーなどと話し合い精査していきます。この時、あれもこれもと並列で情報を並べるのではなく、優先順位をつけてリストアップすることが大切です。

2-3.ジョブディスクリプション(職務記述書)の作成

精査した情報をジョブディスクリプションにまとめます。A4の紙1枚に収まるようにまとめ、完成前に人事、部署のマネージャーなどに再度確認してもらいましょう。

実際に業務を行うと、「こんな項目も記載しておくべき」や、「この業務は必要ない」などの項目も出てきます。一度作ったらそのままではなく、定期的に見直すことも大切です。

3.人事制度の見直し

社内には「ジョブ型雇用」と、「メンバーシップ型雇用」の2つの制度で入社した社員が混在することになります。そのためどちらかの制度が有利になるような採用は組織の統制に影響がでます。メンバーシップ型雇用社員の労働時間、報酬などもこのタイミングで見直し、どちらを選択しても公平な働き方ができるルール作りをすることがポイントです。

4.評価・給与の設定

ジョブ型雇用で採用するときに、指揮命令者もしっかり明記する必要があります。業務の進捗は誰に報告をするのかだけでなく、給与に直結する評価は誰がするのかについても、明確にしておくことが肝要です。

5.ジョブ型雇用導入の社内周知

ジョブ型雇用で採用した社員は、働き方がメンバーシップ型雇用社員とはどうしても違うことがあります。組織運営を円滑に運ぶためには、メンバーシップ型雇用の社員にも「ジョブ型雇用」とはどういうものなのかを理解してもらうことが必要となります。人事は積極的にジョブ型雇用について周知し、従来から在籍している社員からの理解を得られるよう努力しましょう。

優秀な人材獲得の難しさ

優秀な人材獲得の難しさ

ジョブ型雇用についていろいろと説明してきましたが、ジョブ型雇用導入の難しさの一つに、求めているスキルを持った人材の採用があります。

優秀な人材を雇用するためにジョブ型雇用を選択したのに、なかなかいいリソースを確保できず採用コストがかかっているというケースもあります。優秀な人材と巡り合うのは「運」とあきらめる前に、多くの求職者が登録している人材紹介会社を利用することで、希望するスキルをもった人材とマッチングする可能性が高くなります。

パソナの人材派遣・人材紹介

パソナは、多くの企業の人事課題に対して支援を行い、ジョブ型雇用のノウハウも豊富にあります。
ジョブ型雇用に詳しい、経験のあるスタッフが人材獲得まで支援していきますので、企業にあった優秀なスキル、能力をもった人材を紹介、派遣することが可能です。

ジョブ型雇用を検討されているなら、ぜひ一度ご相談ください。
優秀な人材の紹介、派遣事業については、下記サービス資料も参照ください。

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