“万博で働く”
という価値ある経験が
一生モノの成長と
自信をくれた
今回お話を聞くのは、2021年10月から6か月にわたって開催されたドバイ国際博覧会(以下、ドバイ万博)での就業を経験した三浦彩花。
80名にものぼる日本館アテンドスタッフのフォローアップを担当し、現在はベトナムで活躍しています。
そこで、大阪・関西万博で働く魅力や学び、求められるスキルなど、ドバイ万博を経験したからこそ知る裏話をご紹介します。
三浦 彩花(みうら あやか)
Pasona Tech Vietnam Co., Ltd
Hanoi Branch
Business Development Manager
新卒でパソナに入社し、関西で4年間派遣営業を担当。その後、希望していた東京グローバル事業部へ異動し、外国籍の方の人材紹介・ジョブフェアの営業を担当する。2020年、万博事業のためドバイで7ヶ月勤務。現在はベトナム・ハノイで、日系企業へベトナム人材や日本人の人材紹介・派遣、研修や人事コンサルなどHRサービス全般を担当している。


三浦 彩花(みうら あやか)
Pasona Tech Vietnam Co., Ltd
Hanoi Branch
Business Development Manager
新卒でパソナに入社し、関西で4年間派遣営業を担当。その後、希望していた東京グローバル事業部へ異動し、外国籍の方の人材紹介・ジョブフェアの営業を担当する。2020年、万博事業のためドバイで7ヶ月勤務。現在はベトナム・ハノイで、日系企業へベトナム人材や日本人の人材紹介・派遣、研修や人事コンサルなどHRサービス全般を担当している。
日本にいては、
なかなかできない
貴重な機会に
チャレンジしたい

※ベトナムのオフィスで働く様子(左:三浦さん 右:現地スタッフ)
海外に興味を持ったきっかけを教えてください。
最初は親のすすめもあって、小学生のころから英語の勉強をはじめました。
大学時代にせっかくなら海外へ行ってみたいと思い、バックパッカーの旅に挑戦。
東南アジアを中心に旅行するなかで、英語が話せると多くの人とコミュニケーションがとれたり、現地の情報源がチェックできたりと、自分の視野が一気に広がりました。
その後はますます英語の勉強が楽しくなりました。
海外で働くことを意識したのはいつごろですか?
パソナへの入社が決まっていた大学4年生のときに「せっかくならパソナの海外拠点にお邪魔してみよう!」と思い立ち、パソナインディアを訪問したことがあります。
その際に拠点立ち上げの話や海外でビジネスをする難しさなどを当時の拠点長に直接お伺いすることができて、鳥肌が立つほどにワクワクした感覚がありました。
その結果、質問攻めにしてしまって...(笑)。海外で仕事をしてみたいと思えたのはそのときです。
パソナ入社後は、ことあるごとに「海外拠点で働きたい!」と発信していたこともあり、ドバイ万博の出向スタッフとして声をかけていただきました。
期間限定のイベント業務ということで、思い描いていた“海外で働く”とは異なる形でしたが、海外に住み、海外の方々と一緒に働く経験が積めるなんて、日本では決してできないこと。
業務内容にとらわれず、まずはチャレンジしたいと考えてドバイ行きを決めました。
現在、ドバイ万博での業務を経て、パソナテックベトナムでHRサービスのお仕事をされています。実際にドバイでの経験が活かされていると感じることはありますか?
ドバイではやはり日本の常識とは異なる、衝撃的なことも多々ありました。
そういった経験があって自分自身の許容範囲が広がり、ベトナムでは予想外の場面に直面してもあまり驚かなくなりました。
異なる習慣を理解することで、出身国などを意識せず同じ目線で働くことができていると思います。
多様なキャリアの
人たちが
日本館スタッフ
として活躍

※ドバイ万博 日本館外観
ドバイ万博の雰囲気を教えてください。
中東地域で初めて開催される万博ということもあって、開催前にインフラ整備を進めたり、様々な文化施設やアミューズメント施設が誕生したり、UAE(アラブ首長国連邦)もかなり力を入れていた印象です。
万博には過去最多の192か国が参加し、街全体がお祭り会場のようでした。
地理的にも、ドバイはヨーロッパ・アフリカ・アジアのハブ的な位置にあります。海外来場者の誘致も積極的に行っていましたし、ドバイに住んでいる方であれば一度は来場しているのではないでしょうか。
日本館はどんなパビリオンだったのですか?
日本館は折り紙を思わせるデザインを施した真っ白な建物で、とても美しかったです。
館内では専用デバイスを一人ひとりに提供し、観覧の動きに合わせた案内を行ったり、美しい映像に没入できたりと、日本ならではの文化と技術を紹介。
ドバイ万博の中でもかなり人気のパビリオンとなり、展示デザイン部門で金賞を受賞しました。
人気が高すぎて途中から完全予約制となったのですが、その前は4時間30分待ちになったこともありました。
日本館のアテンドスタッフはどういった方たちだったのでしょうか?
日本館では、予め日本で採用された数十名のスタッフが日々の接遇の運営を担いました。
万博開幕の約1か月前にドバイ入りし、海外のおもてなしや中東のビジネスマナーを学ぶ研修を行いました。
集まったのは、将来英語を使った仕事がしたい方から万博自体に興味がある方まで、様々なバックグラウンドを持つ人たち。
準備期間含めて7か月にもわたる海外勤務でしたが、なかには大学を休学したり、仕事を休職したりして挑戦している方もいました。
基本的に、アテンドスタッフはお客様を案内しながら、お客様の質問に答えたり、トラブルがあった際に対応したりするお仕事です。
私はスーパーバイザーというポジションで、スタッフたちの業務フォローをしたり、導線を検討したり、主に現場の運用を任されていました。
一部のアテンドスタッフはVIP接遇担当も兼ねていて、世界から訪れる王族や著名人の案内などを担当していました。
スタッフ全員の
努力が
来場者の
笑顔を生む

※ドバイ万博にて運営スタッフと(中央:三浦さん)
実際にドバイ万博で働いてみて、どんな魅力を感じましたか?
ひとつの場所で、かつ限られた期間内で、様々な国の人や文化に触れる機会は、そうありません。
そして普段海外の方と出会ったとしても、いきなり会話を弾ませることは難しいですよね。
ですが、万博で働く人、万博に訪れた人であれば、同じ“万博”というコンテンツが会話のきっかけになってくれます。
仕事終わりに会場内のレストランを訪れ、積極的にコミュニケーションを取っていたスタッフの中には、英語が飛躍的に上達した方もいたほどです。
また、連日行列が続く日本館では、お客様を長時間お待たせしてしまうことも少なくありませんでした。
その待ち時間に少しでも日本文化へ触れていただけるよう、折り紙や福笑い、けん玉といった日本伝統の遊びを用意したことが、とても好評でした。
実は、このアイデアはアテンドスタッフから生まれたもの。
日本館で働く一人ひとりの声を積極的に取り入れてくれる環境も大きな魅力でしたし、私たち運営側も含めたスタッフ全員が「多くの人に日本の文化・おもてなしを体験してほしい」という想いで一丸となれていることを実感しました。
会期が終了したときに感じた達成感は、こういった日々の積み重ねだったのだと思います。
大変だったことはありますか?
待ち時間が長くなると、どうしてもイライラされるお客様がいらっしゃいました。
それがクレームになって、アテンドスタッフに届くこともしばしば。大変でしたが、心から謝意をお伝えし、ご理解いただきました。
一方で、日本館を訪れて喜んでくださる方も大勢いらっしゃいました。
「日本館が大好きで、今日で15回目の来場なんだ」「とても素晴らしかった。2025年の大阪・関西万博にも絶対行くよ」などと声をかけられたときには、疲れも吹き飛ぶくらい嬉しかったです。
人生に
一度しかない機会に
飛び込んで
みてほしい

※ベトナムのオフィスで働く様子(左:三浦さん 右:現地スタッフ)
2025年には、ついに大阪・関西万博が開催されます。
私も関西出身なので、とても楽しみにしています。会期中には絶対に一時帰国して、会場を訪れてみたいと思っています。
私はドバイ万博に携わるまで“万博=展示会”といったイメージを持っていました。
でも、実際に見て感じた万博は、もっとテーマパークのようなワクワクできる場所。
今はベトナムに赴任したばかりですが、大阪・関西万博についてベトナムの方に紹介していきたいです。
とはいえ、大阪・関西万博でのお仕事はハードルが高いと考えている人も多そうです。
確かに、ドバイ万博は海外開催ということもあり、日常会話レベルの英語力、7か月の海外赴任が最低限の応募条件でした。
しかし日本開催の大阪・関西万博であれば、英語力を求めないポジションも複数あると思いますし、自宅から毎日通勤することだってできるはず。
シフト制で勤務時間を調整しやすいこともあり、現在派遣スタッフとして働いている方や、何か新しいことをやってみたいと考えている方、学生さんもチャレンジしやすい環境なのではないでしょうか。
万博は、5年に一度だけ開催される国際的なイベントです。2030年のサウジアラビア開催は決まっていますが、 次に日本のどこかで開催されるのは何十年後になるのか、そのときに自分が働ける環境にあるのかは分かりません。
日本にいながら海外で働くような経験ができる、世界が注目するイベントに携われる、そんな貴重な機会なだけに「自分には難しいんじゃないかな」と考えて諦めてしまうのは非常にもったいないです。
興味や意欲があれば、必ず大阪・関西万博で得られるものはあるはず。
まずは、一歩踏み出していただければ、その先にはこれまで会ったことのない人との出会いや、学びにあふれています。
私がドバイ万博で感じた一生モノの体験を、ぜひ多くの人に経験していただけたらと思います。