導入事例

大鉄工業株式会社

#業務効率化  #DX推進 

大鉄工業株式会社

業界
建設
効果
業務改善

安全衛生日誌のデジタル化やCO2排出量の自動計算を実現。
テクノロジーで、未来につながる働き方改革を目指す。

DX推進で非効率から脱却し、スマートな働き方へ

社会や経済、そして私たちの日常生活には、道、橋、トンネルなどのインフラが欠かせない。日本では1950年代に多くのインフラ整備が進められたが、現在は老朽化が進んだことでリニューアル工事が行われ、建設業界では人材が求められている。しかし一方で少子高齢化の影響もあり、建設業界は慢性的な人材不足だ。

そのような状況のなか、国土交通省は2023年2月「DXに向けた取組」を発表。現場の非効率な業務形態についてICTを活用することで効率化し、働き方改革を本格的に進めることで人材不足解消を目指そうとしている。このような建設業界のDXの現状について、大鉄工業 土木本部 土木技術部の善山久徳氏はこう話す。

「建設業界では、紙ベースで運用している文書が現在進行形で使われています。例えば、建設現場では安全施工サイクルの一環として安全衛生日誌※1を毎日書いていて、作業内容や職種・人員、使用機械器具や搬入出車両、注意事項などを記入し、統括安全責任者が確認した印としてサインをしています。この安全衛生日誌はファイリングされると棚に収納され、再利用されることはほとんどありませんでした。日誌の内容をデータとして蓄積し、分析すれば経営判断に使える有用な情報があるにも関わらず埋没してしまっていて、データが利活用されることは無かったのです。」(善山氏)

例えばトンネルの修繕工事がある場合、過去の同種工事について分析ができれば、人員の過不足などについて判断ができるだろう。また、近年の激甚化している災害に対して、現場各所に配置されている重機械がリアルタイムで把握できれば、BCPへ活用できるだろう。しかしこれまでは、現場担当者の経験や感覚に頼るしかなかったという。さらに「安全衛生日誌に限らず、埋没しているデータは他にもまだまだあるはずです。」と善山氏は指摘する。

実は大鉄工業では、建設業界のなかでもかなり早い2017年頃からDXによる業務効率化に着目。当時から情報システム室の協力会社として付き合いのあったパソナに、デジタルデータの利活用をするための仕組みづくりを相談していた。

「2017年、デジタライゼーションを進めるべく、社内統一ツールとしてOffice365を採用しました。これにより、クラウド共有、Web会議、モバイルワークへの対応など、さまざまな機能を間接部門と現場部門の両方で効果的に活用できるようになり、業務のワークフローがさらに円滑に進むようになりました。その後、データ利活用の開発をローコードで検討した結果、マイクロソフト製品で統一することで親和性・互換性が担保できることから、開発ツールとしてPower Platformを選択し、パソナ様とデータの利活用を進めていくことになりました。」(善山氏)

※1安全衛生日誌…案件を請け負った建築土木業者が作業内容や手順、安全対策を記録し、統括安全衛生責任者が指示事項や確認事項を追記する重要書類の一つ。

優秀な人材と確かな基盤が選ばれた理由

社内情報システム室からの紹介を受け、パソナ(当時はパソナテック)と顔合わせを行った大鉄工業の土木部門。他にもDX推進の外部パートナー候補は数社あったが、パソナと打ち合わせをした際、自社の抱える課題解決に向けて最適な人材を紹介してくれたことに安心感を覚えたという。そして最終的にパソナに決めたのは、主に3つの理由からだったと振り返る。

1. パソナによる他社DX推進の成功事例を持っており、具体的な成果を示していた
2. Power Platformを扱えるエンジニアが在籍していた
3. 導入後のサポート体制も充実しており、長期的な支援が期待できた

ちなみに大鉄工業では、Power Platformを選択する前、いくつかのローコード開発ツールを試してみたという。しかし、どのツールも自動化したり、マクロとして使ったりする水準までは大差なく使いこなせる印象を持ったのだとか。「ツールの使い勝手が似たり寄ったりなのであれば互換性を重視しようという話になり、マイクロソフト製品であるPower Platformを選択することになりました。」(善山氏)
取り組みを開始した当時、Power Platformはリリースされて間もないアプリケーションであった。パソナのエンジニアもITの専門家ではあったが、大鉄工業とともに勉強会やセミナーへ一緒に足を運び、共に学びながら導入を進めていったという。

「システムを作り込んでいた時期はちょうどコロナ禍で、リモートワークが推奨されていたタイミングでした。少し開発を進めたころ、エンジニアの方から「現場の業務フローを理解できないとうまくシステムを作り込めない」という意見をいただいて、一緒に現場をまわったことがあります。そこで業務の流れを一通り見ていただき、このデータならば利活用する価値がある、と実感いただいたうえで作り込みを進められたのはシステムのユーザビリティ確保に役立ったと思います。」(善山氏)

安全衛生日誌の作成時間は大幅に短縮し、CO2排出量の自動計算化も実現

開発チームは、2021年から紙の安全衛生日誌のレイアウトを踏襲しながら開発を進め、2022年におおむねの形を完成させてリリース。導入の際は、開発チームがユーザーに向けた全体説明会を実施するとともに、普及のために各支店へ赴き、積極的に紹介を行った。以降、運用を通して利用者である現場からのフィードバックを受けて動作速度や利便性などの改善を行い、2023年に入るとユーザーが問題なく使用できるレベルに到達。途中Power Platformの仕様変更への対応やバグの修正を進め、2024年にはユーザーにとって使いやすい品質レベルとなった。

ただし、現在もPower Platformの使用が進まない現場も一部はあるという。例えば、施工現場が山奥のような場所にあるケースでは電波状況が悪いため、Power Platformは使用できない。また1週間~1ヵ月程度の短期現場の多いメンテナンス部門では、マスターデータ入力の少しの手間がかかることを敬遠して、普及が進まないケースも報告されている。そうした現場ごとの事情も考慮しながら、今後も現場担当者の負担が増えないように注意し、改善を見据えながら運用を続けていきたいという。
「リモートで説明するだけでなく、拠点に出向いて説明し、ユーザーの皆さんから直接フィードバックをもらえる機会を増やすことで、今後さらに機能改善に努めていきたいです。」(善山氏)

加えて安全衛生日誌の回覧もデジタル化したことで、関係者はスキマ時間にいつでもどこでも日誌を確認できるようになり、承認も着実に早く進むようになったという。
また、Power Platformの導入効果は安全衛生日誌のデジタル化だけではない。

大鉄工業株式会社 土木本部 土木技術部 善山 久徳氏 大鉄工業株式会社 土木本部 土木技術部 善山 久徳氏

「建設業界では施工段階におけるCO2排出量をトレースし、2030~2040年度のできるだけ早い段階で、2013年度比40%削減を目指す取り組みがあります。CO2排出量は、建設機械の種類や稼働時間によって計算することができます。例えば、バックホウ0.1㎥級を1台、6時間稼働した場合の軽油使用量は21.6ℓで、これに係数を乗ずることでCO2排出量が求まります。これまでは安全衛生日誌を1枚1枚めくって、現場スタッフがExcelで計算していました。Power Platform導入後は計算が自動化され、同時に関係者へも共有できることから省力化につながっています。」(善山氏)

土木部門での取り組みがDXを加速する火付け役に

大鉄工業が建設業界のなかでもいち早くDXが進んでいる理由について尋ねると「弊社が際立ってDX推進ができているわけではなく、むしろ遅れている方だと考えていますが、上司がパソナのエンジニアの方と一緒にDXの構想を練り、推し進めたことで今があります。長期的な視点で物事を捉えられているところは、仕事をする上でとても学ぶことが多いです。現在ではもう1名が加わり、パソナとワンチームでプロジェクトを進行しています。」と善山氏。

今回、Power Platformの導入を振り返ってみて良かったのは、システムを作り上げる段階から一緒に構想を練ったことだという。ITに精通していない建築土木業界の人間にとって良い経験になり、次に新たなシステムを構築する機会があれば、役に立てられそうだと話す。
「パソナ様には、さまざまな分野のスペシャリストやゼネラリストがいらっしゃいます。さまざまな知見を生かして、私どもへアドバイスしていただいたり、開発に従事していただいたりと、これからも長くお付き合いいただきたいです。土木部門以外でも、Power Platformを活用したいという声が上がっているので、社内でDX推進がより加速することを期待しています。」(善山氏)

今後、Power Platformにおいては安全衛生日誌システムと同時に開発している教育管理システムを社内研修教育・育成で活用したり、中期的にはナレッジ活用としてマルチモーダルAI技術を使い、蓄積された既存の施工計画や施工状況などの知見を実務に結び付けられるようにしたいという。また、現場ではウェアラブルカメラや固定カメラによって施工状況や運転手続きを記録しており、現在は人力で一からリスニングし、安全性などを評価していた。このカメラ映像から音声データを収集し、AIでテキスト・構造データ化することにより半自動で評価項目をチェックさせる仕組みなども検討していると展望を語る。

「国土交通省のi-Construction2.0や社会情勢を見据えて、今後もどういったソリューションが適しているのか検討し、働き方改革やDXを進めていこうと思います。例えば今では想像もできないほど、AIが進化して普段の生活から高度な思考まであたりまえのように活用されているかもしれません。AIも積極的に取り入れて業務効率化と省人化へ活路を見出していきたいです。」(善山氏)

大鉄工業株式会社

大鉄工業株式会社 土木本部 土木技術部 担当課長 善山 久徳 氏

インタビュー日時:2024年8月6日


開発メンバーからの声

松谷健司

松谷健司 (AIアプリ開発担当)

Azure上でAIアプリ開発を推進。技術課題もチームで突破し、顧客と共に理想に近づけた!

Azure上に業務支援 AI アプリのインフラ構築からバックエンド、フロントエンドまでを一貫して担当しました。Github Copilotを活用した開発や、アジャイル開発で毎週顧客と進捗を共有し、要望反映と改善を実施しました。Azureドキュメントの不明瞭さに苦慮しましたが、チームで協力して契約プラン選定や技術課題を解決しました。顧客の深い理解と協力に感謝しながら、AI活用への意欲に応えるべく開発を推進中です。

松谷健司
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(AIアプリ開発担当)

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Azure上に業務支援 AI アプリのインフラ構築からバックエンド、フロントエンドまでを一貫して担当しました。Github Copilotを活用した開発や、アジャイル開発で毎週顧客と進捗を共有し、要望反映と改善を実施しました。Azureドキュメントの不明瞭さに苦慮しましたが、チームで協力して契約プラン選定や技術課題を解決しました。顧客の深い理解と協力に感謝しながら、AI活用への意欲に応えるべく開発を推進中です。

金 東鉉

金 東鉉 (バックエンド&フロントエンド担当)

生成AIサービス開発で顧客要望に応えた。プロンプトを徹底調整し、理想の成果を実現した!

Azure上に生成AIを活用したサービスを作成しました。インフラリソース作成、バックエンド&フロントエンド開発をアジャイルで行い、顧客とのMTGを毎週設定することで、進捗共有と要望のヒアリングを密に行えるようにしました。顧客の要望に合わせてどうすれば良いサービスを提供できるかを開発チーム内で常に考えていました。 苦労した点はAIから欲しい結果が返ってこない時があり、プロンプトを調整して良い結果になるようにしたことです。

金 東鉉
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