導入事例

豊田通商株式会社

#自動化  #伴走型開発 

豊田通商株式会社

業界
総合商社
効果
DX推進

発注管理をデジタル化
長年の課題にアプローチ

利用サービス

BunkerNote(バンカーノートプロジェクト)

(1)紙の印刷(FAX含む)が主流だった船舶用燃料の受発注をクラウドで一元管理できるシステムを開発

(2)船舶燃料の受発注関係者間でリアルタイムな進捗共有と可視化

(3)書類の送付や保管/手入力による転記などの作業が不要となり、船員の労働負荷を大幅に軽減

船舶燃料業界に深く根付く、アナログな商慣習

トヨタグループの総合商社として、金属、ロジスティクス、自動車といった7つの事業領域をグローバルで幅広く展開する豊田通商。同社はカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の実現に向けた事業強化のために、2030年までに1.6兆円規模の投資を実施すると表明するなど、脱炭素時代のでも成長を持続する方針を打ち出し、サステナブルな社会の実現に向けた取り組みを加速させている。

これらの取り組みの一つとして、カーボンニュートラルフューエル部サステナブルソリューショングループに所属する吉田亮平氏が着目したのが、国内を航行する「内航船」の船舶燃料受発注に関する長年の課題だ。船舶燃料販売において豊富な実績を持つ吉田氏は、現状の課題をこう語る。

豊田通商株式会社//カーボンニュートラルフューエル部//サステナブルソリューショングループ//グループリーダー 吉田亮平 氏 豊田通商株式会社//カーボンニュートラルフューエル部//サステナブルソリューショングループ//グループリーダー 吉田亮平 氏

「内航海運業界の9割以上は中小・零細企業が占めているため、IT投資の余力が限られており、業界内のDX(デジタルトランスフォーメーション)が大きく遅れていることが長い間課題となっていました。また、船員の高齢化が進んでおり、半数以上を50歳代以上が占めていることも、IT化に遅れをとっている理由の一つだと思います。現場では電話やファックス、そして紙の資料を使用することが多く、アナログの商慣習がまだまだ根強く残っているのが現状です」(豊田通商・吉田 氏)

船舶用燃料の受発注にあたっては今でも主に電話やFAXが使われる。船員は電話で内容を把握した後、船上で発注書や納品書を手書きで作成し書類の処理や確認を行う。こうした一連の作業に多くの時間を要することは自明だ。

「ほかにも船舶業界ならではの特徴としては、関係者が非常に多いことが挙げられます。内航船会社や燃料サプライヤー、そして燃料配給船会社など、一つの取引に関連するステークホルダーが多いため、一社のみがデジタル化を進めても、総合的な効果につながりにくい。また、それぞれが個別の資料を作成していることで、確認や送付に時間がかかるといった問題も発生していました」(豊田通商・吉田 氏)

業界の課題をデジタルの力で解決する

こうした課題に対して吉田氏は、豊田通商社内の新規事業創出プロジェクト「Toyotsu Inno-Ventures Project(トヨツウイノベンチャーズプロジェクト)」を通じて、内航船舶向け燃料の受発注業務、そして納品受領書(Bunker Delivery Note:BDN)のデジタル化を発案。船舶燃料受発注を一元管理するクラウドサービス「BunkerNote」(バンカーノート)の開発を進めた。

その一環として、2020年からはパソナテックとともにPoC(概念実証)を開始。内航船会社へのヒアリングや実証実験を進めるなかで見つけた課題に一つひとつ向き合い、改善を続けた。プロジェクトの実施責任者としてシステム開発を担当したパソナのエンジニアの水野は、当時を振り返ってこう語る。

(左)BunkerNote(バンカーノートプロジェクト)//実施責任者 エンジニア 水野 将史//(右)株式会社パソナ X-TECH DoTank事業部//DXソリューション第1チーム 森川 稔也 (左)BunkerNote(バンカーノートプロジェクト)//実施責任者 エンジニア 水野 将史//(右)株式会社パソナ X-TECH DoTank事業部//DXソリューション第1チーム 森川 稔也

「我々パソナ側は、船舶の知識や関連する業務経験を全く持ち合わせていなかったため、実際に現場を複数回訪ね、船舶用燃料を供給する作業などに立ち会いながらシステム開発を進め、課題を洗い出していきました。

やはり現場に行かなければわからないことは、非常に多かったと思います。たとえば、船舶や海上では電波が非常に不安定になりやすいということが浮き彫りになりましたし、現場の方が使いやすいデザインを設計する必要性も痛感しました」(パソナ・水野)

これまで長い間紙の資料のやりとりに馴染みがあった現場の船員に対して、デジタル端末を使ってさまざまな操作を求めるのは難しい。そこで水野は、デザイン面での工夫を重ねていった。

「画面はできるだけシンプルに、そして文字を大きくするなど、使いやすさにできるだけ心を配りました。また、実際に記入を求める箇所は最小限にし、内容を確認して署名をするだけの画面設計にするなど、現場の方が本当に使いやすいシステムやデザインの実現に向けて、膝を突き合わせて実証実験に取り組みました」(パソナ・水野)

海外展開を見据えた、業界をリードするプロダクトを開発

こうしてPoCを終えた豊田通商は2021年6月、内航船会社や燃料サプライヤー、そして燃料配給船会社向けにバンカーノートの提供を開始。ブロックチェーン技術を活用した、船舶向けの燃料や潤滑油の受発注を一元管理するクラウドサービスは、業界初の試みだ。

現在提供しているバンカーノートでは、燃料の発注や受注にあたって、パソコンやタブレット端末から情報を入力できる。これまで紙と手作業で行っていた船舶燃料の発注から受注、納品確認、請求書発行、受領までをオンラインで処理できるほか、関係者間でリアルタイムに情報を共有できる。

「バンカーノートを導入していただくことで、船舶燃料の受発注業務にかかる作業時間を大幅に削減することができます。また、関係者間でリアルタイムに進捗を共有することができるため、書類の送付や保管、情報の整合性の確認、手入力による転記などの作業が不要となり、船員の労働負荷軽減につながります。こうした省力化によって生まれた新たな時間を使って、船の本業である安全運航業務にリソースを集中していただけるようになるのが、最大のメリットだと考えています」(豊田通商・吉田 氏)

さらに、燃料受発注に関わる取引情報をブロックチェーンでつなげることで、データの信頼性を担保している点も、バンカーノートの特徴の一つだ。これまでIT/デジタルの知識や経験は「ほとんどなかった」という吉田氏は、パソナテックと共同で行った一連のプロジェクトを振り返って、こう話す。

「プロジェクトの実施責任者である水野さん、そしてパソナテックさんには、私たちが“こういうことをしたい”と口頭で伝えていたイメージを一つひとつ具現化していただきました。プロダクトのイメージを感覚的に理解してくださったのも、非常にありがたかったですね。また、トラブルが生じた際にすぐにご対応いただけことも安心感につながりました」(豊田通商・吉田 氏)

こう聞いた水野は、プロジェクトの実施責任者として感じたことを続ける。

「船舶業界の長年の課題にアプローチしているバンカーノートの開発の一端に関わらせていただいたことを、非常に誇りに感じます。今後もより良いプロダクト開発を目指すなかで、ご一緒できる部分があれば嬉しいです」(パソナ・水野)

現在は国内の船舶燃料販売に特化して開発、そして展開しているバンカーノートだが、吉田氏はすでに世界を見据えてさらなるアップデートを検討している。

「船舶燃料の受発注業務の効率化はもちろんのこと、今後は船で利用する部品や船用品の調達なども行えるような機能の拡張を行いたいと考えています。

これまで手作業で時間をかけて行っていた業務のデジタル化を進めることは、船員の働き方を変え、業界内の働き方改革にもつながります。今後はバンカーノートを、船舶燃料に関わる事柄をワンストップで対応できるプロダクトに発展させ、世界を見据えて展開していきたいと思います」(豊田通商・吉田 氏)

船舶向けの燃料受発注を一元管理するだけでなく、関連する業務をオンラインで行えるクラウドサービスの開発、そして海外展開も視野に入れている吉田氏。脱炭素やDXというのは、協力者や仲間が多く集まれば集まるほど、実現がより現実的に、かつ具体的になる。そしてIT技術を活用して安全性や効率性を高めることは、船舶業界や関連する人々の未来を変えるに違いない。

※2022年10月1日、株式会社パソナテックは株式会社パソナを承継会社とする吸収分割を行いました。

豊田通商株式会社

豊田通商株式会社 カーボンニュートラルフューエル部
サステナブルソリューショングループ グループリーダー 吉田亮平氏

BunkerNote(バンカーノートプロジェクト)実施責任者 エンジニア 水野将史

インタビュー日時:2023年1月14日


関連サービス

今回ご紹介した事例に対してパソナでは以下のサービスで解決させていただいています。

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