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パソナ ミュージックメイトコラム-MUSIC LIFE 第1回

(2014年04月18日)
ミュージックメイトコラム

パソナミュージックメイトでは、MUSIC LIFE-自分らしいオンガク活動とは-と題してコラムを始めます。
今を生きる音楽家に向けて、広がりつつある新たな可能性を全5回、毎月1回のペースで掲載していきます。
コラムを連載するにあたり長年、音楽シーンでご活躍されている永田純氏をお招きしお話を伺いました。


プロフィール

永田純 ナガタジュン 音楽エージェント/ プロデューサー。
1958年東京生まれ。70年代中頃よりコンサート 制作等にかかわり、79-80年、YMOのワールド・ツアーに舞台スタッフとして同行。84 年 坂本龍一アシスタント・マネージャーを経て、85年以降、矢野顕子、たま、大貫妙 子、レ・ロマネスクらをマネージメント、細野晴臣、友部正人、野宮真貴、マルセル・ マルソーらを代理した。プロデューサーとしては 東京メトロ、六本木ヒルズ、東急 文化村、J-WAVE、世田谷文化財団等の主催公演、NHK「みんなのうた」、セサミストリー ト日本版テーマ・ソング、スタジオジブリ「ホーホケキョ となりの山田くん」サウ ンドトラック等にかかわる。また、オーディオ代理店、音楽出版等を手がけ、2011年 秋に設立された“独り立ちするミュージシャンのためのパブリックサービス”一般社団 法人ミュージック・クリエイターズ・エージェント代表理事を務める。京都精華大学 ポピュラーカルチャー学部教授。有限会社スタマック代表。元・東京シュタイナーシュー レ理事。著書に「次世代ミュージシャンのためのセルフマネージメント・バイブル」 「次世代ミュージシャンのオンガク活動ハンドブック」。

第1回:FACT〜音楽と向き合う〜

第1回 FACT 音楽と向き合う
環境、時代が変化していく中で、今後、音楽家のあり方はどう変化していくのか。 個人がどう音楽と関わっていくのか、これからの音楽家の可能性について永田氏(以下、永)にお話を伺った。

「プロ」? 「アマチュア」?

----今、音楽家をとりまく環境で、一番変化していることはなんでしょうか?

永:それを考えるわかりやすい入り口として、僕の周りで最近死語になりつつある言葉があります。それは「プロ」・「アマチュア」という言葉なんです。 これまでは音楽で食べている人が「プロ」食べられないけど音楽が好きで、いわゆる趣味で活動をしている人が「アマチュア」と呼ばれていましたね。メインの仕事として音楽で食べているかどうかが、その人を音楽家と呼ぶ判断基準になっていたということです。 そういう中では、多くのケースではレコード会社や音楽プロダクションに所属することが前提となり、その枠組の中で居場所が作れないと表だった演奏活動をすることはできなかったし、CDを出すこともできなかった訳です。

----レコード会社や音楽プロダクションの影響力が強かったんですね。

永:そう、だからレコード会社の専属アーティストになることが最終目標で、夢だったりしたんですね。 それに対して、最近一番変わってきたことは、音楽家個人が自由に活動の方法を選択し、きちんと音楽を続けて広めることができるようになってきた、ということでしょう。 作品を届けることだけ考えれば、今はレコード会社と契約しなくても個人で簡単にCDを作って手売りすることもできるし、インターネットを使って配信しようと思えば、CDを作る費用さえいらなくなってきています。そういった意味では、もう流通・製造業の部分は考えなくても、作品を広めていくことができるようになってきたということでしょう。

----特に最近は、一般の音楽家に向けたサービスが広まってきていますよね。

永:ポップス系の分野には、"インディーズ"と呼ばれる音楽シーンがありますよね。一昔前でいう"インディーズ"は"プロ"になれないミュージシャンが、その予備軍として自費で活動していた、言い方を変えれば、音楽業界に入れないからインディーズで活動している、明らかに劣るものと認識されていた訳です。
ところが、今ではその差がなくなってきた。完全に並んでいると言ってもいいでしょう。違いがあるとしたら、それは音楽が向いている方向の違いだったり、音楽家として目指す成功の形の違いくらいです。これが最近の新しい動きでしょうね。最初の話に戻すと、音楽で"食べているかどうか"で線を引いていた時代ではなくなってきた、言い方を変えれば、すべての音楽家に対して可能性が開かれている時代だと言えるでしょう。そういう時代っていうのはかつてなかったと思います。

----今は色々な働き方をしながら、自分なりの目標を目指して音楽を続けていくという人も増えていますよね。

永:そう、しかも、そういう人たちの作品も同等にリスナーまで届く環境がきちんとできてきています。例えば僕が娘のヴァイオリンリサイタルを撮った映像でも、一旦YOUTUBEに乗せてしまえば、そこでベルリンフィルと並ぶ訳で、これはちょっと前までならありえなかったことでしょう?(笑)

●活動の場所はどう変わったか?

----音楽家の活動の場についてですが、どう変化していると感じますか?

永:これまでは、ある規模の採算性が最優先されてきたんですね。例えば、コンサートを開催するのに1,500人のホールでないと採算がとれないから、その規模での集客が見込めない人はその時点で演奏の場所を失っていたというような。けれど最近では、ライブハウスだけでなくカフェや生演奏のあるレストランなども増え、リスナーにとっても音楽がもっと身近になってきています。音楽家から見れば、演奏場所の選択肢はもうコンサートホールだけではなくなってきているんです。それこそ、作品を発表する場と考えれば、WEB上をメインの活動の場にしてもいいんです。つまりアイディア次第で、どういう形にも自分をプロデュースできるということですね。

----そうした考え方、いわゆる 『DIY (Do it yourself) 』の精神、価値観は広がってきているのでしょうか?

永:そもそも音楽って、歌を歌って、聞き手がいればそれで成立するものだと思うんです。だから一度原点に戻って、誰でも音楽をスタートできる可能性がでてきたということだと考えています。そこに戻ればいい。どんな形でも、まず人前で音を出せばいいし、音源を届けようと思ったらそのための様々なツールは揃ってきたということですね。もちろん、メジャーレーベルと契約するとか、コンクールで受賞するとか、ひとつの世界としてあり続けます。けれど、そこに入れないからと言って音楽そのものができないかというと全くそうではないということでしょう。

これからの音楽家とは?

---そう考えていくとここ数年で増えてきているのはどういうタイプの音楽家なのでしょうか?

永:大切に音楽と関わっていくことと、生活していくためのお金を得ていくことのバランスをとりながら、様々な形で音楽を続けている人たちの作品と出会う機会が増えてきたように思います。例えば、自分は死んでもギターを弾く以外のことはしたくない、ともかくギターで食べたいんです、って人もいれば、自分が好きなスタイルのギターしか弾きたくない、それが守れれば、音楽以外の仕事をすることくらい何の苦でもありません、という人もいる。その両方が存在できるし、その音楽がよければ確実にリスナーには伝わるんです。それ以外のことはリスナーには関係ない。今はそこの選択ができるし、そこには人の数だけバリエーションがあります。それこそが、今一番開かれてきている可能性だと思いますね。僕は、特に話が音楽である限りは、個人から始まればいいと考えているんです。ひとりひとりが自分に納得できる形で音楽に関わっていくこと。「まず、音楽を継続していくこと。そして、それをどう支えていくか考える」ことですね。

---音楽=ビジネスって言う考えじゃなくて、それぞれ分けて考えた方がいいってことですね。

永:これは音楽に限らないことですけれど、ビジネスって言葉を使った途端に、なにか拡大再生産しなくてはいけないという考えになりがちなのはすごく危険なことだと思っているんです。音楽を中心に考えた健全なビジネスっていうのは、それぞれのやり方で音楽を続けていけるようなサイクルを作ることこそが重要で、別にそれ以上の過剰なお金を生む必要はないんですね。だから売れたい、有名になりたいっていう気持ちが動機で音楽に対するモチベーションが上がるのであればそれもありでしょうけど、どこかでそれが逆になって、1万人に売れるものでないと音楽をしてはいけない、あるいはそういう音楽をしなきゃいけないとか、そうでないと音楽として認められない、となると本末転倒です。もう一度まとめると、音楽をすることと、生活に必要なお金を得ることのバランスをとる、つまり音楽を継続していくために必要なサイクルを作ることを、個人に根ざして実現することこそが、考えるべきビジネスだと僕は思うんです。

----自分にとって幸せな音楽との関わり方があれば、それが一番その人にとっての音楽活動ってことですね。

永:そう。そこに一回立ち返ると見えてくるものも広がるし、活動する上で気が楽になるでしょう?それで次に、一人ひとりが具体的にどういう活動をしていくかっていうことに関しては、どういう音楽がやりたいか、どういう音楽家を目指しているかによって変わってくるから、ある時点で目指している方向をはっきりさせておくことが必要になるんです。ただ大切なのは、それだけ可能性は広がっているから、意思と多少の技術があれば、それなりのことは実現できる時代になってきたということです。

●今後の音楽シーンとは?

----今後の音楽シーンはどのようなものになっていくと考えていますか?

永:これまでお話ししてきたように、様々な方法や場所、新しい発想で自由に音楽を楽しむ人が、リスナーにも音楽家にも増えています。そういう動きはちゃんと根付きはじめているし、これから芽吹く下地もできてきています。それはクラシックでもポップスでも同じです。これまであった価値観に基づくあり方は残っていくだろうけれど、それとは違う価値観に基づく音楽は確実に広がって、新しいシーンが出来ていくでしょう。すでに多くの兆しはあります。それは、ひとりひとりの音楽家から見たら、それこそ、「人の数だけやり方がある」ということです。そのための最低限の知識とものの考え方を、今後このコラムで発信していきましょう。

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