導入事例

東亜建設工業株式会社

#業務効率化  #内製化支援 

東亜建設工業株式会社

業界
建設
効果
DX推進

小さくも確かな行動変容を促し、DXを一歩前へ。
共通課題の糸口を見つけたパソナの伴走支援

最新テクノロジーの活用を阻んでいた”二つの壁“

東亜建設工業株式会社は、大規模土木、港湾、空港、物流倉庫など、多岐にわたるインフラ整備を担う1908年創業の総合建設会社である。同社では長きにわたり会社独自の業務システムを導入してきたものの、システムそのものの老朽化や改修の難しさが課題として顕在化していた。データ入力負荷の増大、申請フローの硬直化をはじめ、日々の業務を圧迫する課題が蓄積。加えて情報検索の非効率性、規定変更や現場の要請に応じて迅速に改修できないという、構造的な問題も抱えていたのである。土木本部 設計部 第一課 課長の迫大介氏は「これまで使っていたシステムは入力が煩雑で分析しづらく、現場ニーズに対応しきれていなかった」と振り返る。

そこで土木本部設計部(以下、設計部)は2021年ごろより先行して、Power Platformによるアプリ開発内製化に踏み切った。受注後の国内工事支援、営業支援、人材リソースの可視化、現場から本社への申請のデジタル化など、紙やExcelに依存した業務フローを一つずつ解消していった。この取り組みは確かな成果を生んだが、領域拡大には二つの壁が立ちはだかった。「開発人材の不足」と「活用イメージの不足」である。迫氏も当時を振り返り「Power Platformで何ができるのか、部員の多くが十分に理解できていなかった」と話す。

転機となったのは2024年。Microsoftが提供するAIアシスタントツールCopilotの利用が社内で可能になったことだ。Microsoft製品を広く活用してきた東亜建設工業にとって、Power Platformとの相性が良く、生成AIの力を生かせるCopilotは自然かつ最適な選択肢だった。そして設計部はPower Platform導入時から伴走してきたパソナを、自社データの利活用推進に向けたCopilot Studio展開においても伴走パートナーに選び、新たな業務変革に踏み出した。

部門横断の学びと対話から見えてきた最適解

土木本部設計部第一課 迫 大介 氏 土木本部設計部第一課 迫 大介 氏

“AIをはじめとする最新テクノロジーを業務にどう活用できるか、具体的なイメージが湧かない”。これこそ、同社が長年抱えてきた本質的な課題だった。既存システムの限界を補うべく始まったアプリ開発の流れは、主管部署の合意を得て2024年以降はCopilot Studioを軸とした展開へと広がっていく。

2025年5月には、設計部・DX戦略部・パソナが協働し、約30名が参加する部署横断の業務改善ワークショップが開催された。ここでは部署ごとに8チームに分かれ、業務課題の洗い出しと、Copilot Studioによる実現可能性の検討が行われた。特に「過去案件データの検索性向上」「個人の設計経歴の可視化」など、これまでの事業運営の中で蓄積されたデータの利活用に関する白熱した議論が交わされた。

迫氏は「必要な情報にたどり着けない」「過去案件の情報が散在している」ことが、部門を越えた全社共通の課題だったと振り返る。現行データベースはキーワード検索に依存しており、図面や設計書の内容を横断的に検索することができないため、社内の知見活用が大きく阻まれていたのだ。

土木本部設計部第一課 府川 裕史 氏 土木本部設計部第一課 府川 裕史 氏

設計部第二課の江口三希子氏も「土木部門と建築部門は同じ課題を抱えている」と述べ、部門横断での共通認識が強まったと話す。また、同第三課の井上渉氏は「若手社員への技術継承が進まない背景には、情報整理の遅れがある」と指摘。さらに同第二課の河野涼凪氏は「過去のトラブル事例も検索できるようにしたい」と語り、ナレッジ継承と再発防止の観点からもデータ整備の重要性が浮き彫りになった。同第一課の府川裕史氏は「自分たちだけでは業務改革への突破口が見えなかったが、パソナ様の知見により現実的な解決策が見えた」と手ごたえを語る。

土木本部設計部第一課 渡邉 佳那依 氏 土木本部設計部第一課 渡邉 佳那依 氏

ワークショップを「他部署との初めての本格的な意見交換」と振り返るのは、同第一課の渡邉佳那依氏。「難しいと思っていた課題も、パソナ様の開発エンジニアから『すぐできます』と言われたことで、社内に眠るデータ利活用の可能性に気づいた」と振り返る。

このワークショップは単なる課題整理ではなく「過去情報の活用不足」「属人化」「ナレッジ継承の断絶」といった社内の構造的課題を全員で共有し、それらがCopilot Studioで解決可能であると実感する場になった。「必要な情報に迅速にアクセスできる環境こそが、技術力維持の鍵になる」という共通認識が生まれたことは、参加メンバーにとっての大きな成果だった。

日々の業務での小さな行動変容が与える、組織の変化

土木本部設計部第二課 河野 涼凪 氏 土木本部設計部第二課 河野 涼凪 氏

ワークショップ後、同社では“静かな変化”が組織内に広がり始めている。迫氏は「“使わなくてもいい”という姿勢から、“まずは一度使ってみる”という空気に変わった」と語る。一方で、部署横断の取り組みは道半ばであり「通常業務に加えて新システム構築に人員を割く難しさ」「どこから着手すべきか不明瞭な部署もある」ことを課題として挙げた。府川氏は「自分で調べる際にCopilotの利用も手段の一つになった」と、日々の検索業務の変化を実感している。河野氏もワークショップを機に「正直なところ、当初は自分たちの業務にAI技術は使えないのではないかと思っていたが、参加して一気に認識が変わった」と話し、理解が深まったことで自発的に学ぶ姿勢が生まれているという。

土木本部設計部第三課 井上 渉 氏 土木本部設計部第三課 井上 渉 氏

江口氏は「活用が身近になり、検索や情報整理の際に自然とCopilotを使うようになった」と語る。渡邉氏はワークショップが部門間連携を促進した点を評価し、他部門との交流が増え、DXに対する関心が広がったことで、社内の知識交換の幅が広がった点を実感。井上氏は「課題への危機感とDXの重要性を再認識したことが大きい」と振り返った。

こうした個々の業務における“小さな行動変容”は、組織全体の変化の原動力となる。急激な改革ではなく、静かに浸透しているというのが設計部のDXの現在地だ。

自走と伴走支援、両立を叶えるパソナのサービス

土木本部設計部第二課 江口 三希子 氏 土木本部設計部第二課 江口 三希子 氏

設計部はパソナによる伴走支援を、内製と外注の良さを両立できる現実的な支援として高く評価している。迫氏は「外注依存はブラックボックス化の懸念があるが、完全内製は専門性の確保が難しい」と語り「自分たちで作りながら専門家と前進できるのはありがたい」と続ける。

パソナの伴走支援は、ただ“使い方を教える”のではなく、社内人材が自走できるまで寄り添うスタイルを貫く。技術支援に加えて、業務整理や改善策の構造化、活用イメージの提示、人材育成まで一貫してサポートし、設計部の変革を後押ししている。

渡邉氏は「AIをどう使えば良いかわからない段階から一緒に考えてくれるのが心強い」と語り、府川氏も「現場の悩みに寄り添い、できるところから道筋を示してくれる」と評価する。河野氏は「私は毎回『これ以上は無理』と思うところまで作り込んで打ち合わせに臨んでいますが、パソナ様は必ず自分ではたどり着けない答えを提示してくれる。100点のつもりで持参した指示文も、期待以上に磨き上げてくれるので本当に頼もしい存在」と話す。

江口氏は「私は隔週でサポートを受けながら構築を進めていますが、毎回『ここを直せばもっと良くなる』と具体的な改善ステップを示してもらえるため、着実に前進できています。また、知識不足を補う勉強ツールも紹介いただき、自走力を高められていると感じる」と話す。こうした関わりを通じて、設計部では“改善を自ら生み出す文化”が徐々に育ち始めている。

未来への視界 ー技術と組織がともに進化していくためにー

迫氏は今後の展望として、データ活用を軸にした三つの取り組みを描いている。

  1. 未使用データを用いたデータベース構築

    使われてこなかったデータを有効活用し、業務全体に還元する。

  2. 過去設計事例・案件情報の検索高度化

    担当者の業務把握を効率化し、知見の再利用を推進する。

  3. ナレッジの検索機能拡充

    若手育成に直結する基礎情報へのアクセス性を高める。

また、パソナの建部 信幸は設計部の前向きな姿勢に強く共感し「今後はAzureの他AIサービスも組み合わせ、さらに高度なデータ活用に向け、技術面でより踏み込んだ伴走をしたい」と語り、伊藤 隼も「顧客の喜びを価値として返し、長く良い関係を築きたい」と述べる。

ワークショップでの共通認識形成と小さな行動変容を皮切りに、設計部では静かなうねりが確実に広がりつつある。設計部が今抱えている業務課題にどう向き合い、どんな未来を描いていくのか——技術と組織が共に進化する、その歩みから目が離せない。


パソナは、業務変革やDX推進を目指す企業に対し、課題発見から設計、システム開発までの一連のプロセスを内製化するためのご支援をいたします。
「業務変革内製化支援サービス」とは、パソナがお客様とワンチーム体制を構築し、DX基礎研修やDX人材開発、共創型開発(実装サポート)を一気通貫で伴走するソリューションです。これらの支援は、既存業務の効率化や業務改善だけでなく、既存事業の進化のための内製化、サービスの質の向上を目的としています。
業務変革内製化支援サービス

東亜建設工業株式会社

土木本部設計部第一課 課長 迫 大介 氏
土木本部設計部第一課 府川 裕史 氏
土木本部設計部第一課 渡邉 佳那依 氏
土木本部設計部第二課 江口 三希子 氏
土木本部設計部第二課 河野 涼凪 氏
土木本部設計部第三課 井上 渉 氏

インタビュー日時:2025年11月20日

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