ハイブリッドキャリア協会

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第2回シンポジウム
複線型キャリアと
組織のデザイン

~ハイブリッドキャリア人財を
活かすための仕組み創り~

ハイブリッドキャリア協会の第2回シンポジウムを2022年3月8日に開催。
個々人の働く価値意識と組織の在り方の変化や、ハイブリッドキャリア形成・人財活用の際のリスク回避方法について、
各社の事例や弁護士の観点からお伝えしました。

登壇者

一般社団法人Work Design Lab
代表理事
石川貴志氏

リクルートの事業開発部門のマネージャー等を経て、
都内事業会社の経営企画部門に転職。
会社員の傍ら2013年にWork Design Labを設立し、
全国各地の企業や自治体とのプロジェクトを数多く手掛ける。
総務省 地域力創造アドバイザー、
観光庁新たな旅のスタイル促進事業アドバイザーなども務める。

森・濱田松本法律事務所
パートナー弁護士
荒井太一氏

日本およびNY州弁護士。2003年森・濱田松本法律事務所入所。
2015-2016年厚生労働省労働基準局勤務を経て同事務所復帰。
ビジネス法務全般・労働法のほか、ベンチャー支援を
主要業務とする。
2017年、テレワークや副業の促進のための課題を検討する
厚生労働省「柔軟な働き方に関する検討会」委員にも就任。

*本レポートにおける「副業」及び「複業」の書き分けについて
「副業」:主となる仕事(本業)とは別に仕事を持つこと。本業に比べて副業の収入・時間・労力が少ない状態を指す。
「複業」:ひとつの組織の枠を越えて活動すること。複数の仕事を掛け持ちしながらもメイン・サブという序列をあえてつけず「どれも本業」という働き方を指す。「兼業」ともいう。

社員が複業で身に着けた知識・スキルを
持ち帰りやすい風土づくりが重要

一般社団法人Work Design Lab代表理事の石川貴志氏が、個人と組織の今後の関係性について講演登壇。金銭的価値だけでなく、複業の中でスキルの向上や社会貢献といった個人にとっての“非金銭的価値”をいかに設計するかが今後の組織デザインで重要となると実践者の声を交えて説明しました。

副業解禁により、本業からの離職を誘発するのではという企業の危惧の声を聞くことがあるが、肝要なのは複業する社員が社外で身に着けた知識・スキルを活かせるようにするための出発点と帰着点の設計(下図)をしておくことであると解説。組織としての意味づけ、キャリアの棚卸などを行いつつ、社員が社外で得たスキルを活かせる場所・風土を醸成することで組織強化できると述べました。

また、社員の興味開発を実施することが、自社のイノベーションに繋がると説明。大きく変化する個人の働き方に合わせて企業も変わることが必要だと発信しました。

副業は法的には原則禁止できない。
企業は過干渉に注意すべき

森・濱田松本法律事務所パートナー弁護士の荒井太一氏は、副業と法律の関係性について説明。そもそも法的には副業を原則禁止できないと裁判事例を交えて解説しました。

その上で企業がリスクを回避する方法として、事前に競合しないかについて確認し、誓約書によって禁止事項を理解させることなどを案内。

また、副業先での労働時間の把握義務はないため、他社での労働時間を把握しない等、過干渉しないスタンスを取ることで自社の管理リスクを低減する観点も紹介しました。

副業解禁・複業人財活用は、組織の在り方を見直す好機

「複業人財を活かすために風土づくりで重要なことは何か」という質問に対し、石川氏は「経営層が旗を振っても、上司の理解が得られないというケースもみられる。
企業の経営層、複業者の所属長ともに意義を認識し推進できるフレームを組むことが重要だ」と回答。上手に制度や風土整備をしている事例を紹介しました。また、複業人財を活用する上で気を付ける点として、荒井氏は「複業人財への依頼業務内容を具体的にし、事前に期待値の調整をすることがストレス低減になる」と回答。

石川氏は、「複業人財に、企業が提示した課題の解決を依頼することが多いが、その課題設定自体がずれていることもある。そのため、課題設定の段階から複業人財と一緒に考えていくとうまくいきやすい」と発言しました。

「複業推進により退職が増えてしまうのではないかという不安がある。企業はどう対応すればよいか」という質問が参加者から出ました。

石川氏は「複業を行い自分の組織を客観的に見たことで、外に出ていく人は一定数いるのは事実。その一方、所属している企業には資力・組織・ブランドなど様々なリソースがあることを改めて認識し、所属企業のフィールドをより活用する視点を得る方も多い」とプラスの側面を伸ばす重要性を説明。

荒井氏は、「個人においてもキャリアオーナーシップの考え方が進む中、企業としてもパーパス経営が重要となる」と述べ、ハイブリッドキャリア人財の活用を機に、組織の変革が進む観点も議論されました。

最後に、登壇者よりハイブリッドキャリア人財を志向する方に向け、「自分のキャリアを自分でつくる時代になってきた。ひとつの企業の仕組みにとらわれるのではなく、やりたいことがあれば複業でどんどんチャレンジすると良い」とメッセージがあり、第2回シンポジウムは盛況のうちに終了しました。


次回シンポジウムは4/22(金)18:30-20:00に開催致します。詳しくは協会HPをご覧ください。

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