「宇宙講座基礎コース(全五回)」開催レポート

宇宙に興味のある方必見!「宇宙講座基礎コース(全5回)」開催

近年飛躍的に利用が拡大している宇宙技術。
アメリカでは、スペースXをはじめとした多くの民間企業が参入して宇宙開発が加速するなか、
日本政府も宇宙ビジネスを成長戦略に位置付け、宇宙政策を推進しています。
これから様々なビジネスが見込まれる「宇宙」について、
専門知識がなくても楽しく学べる基礎講座を開催いたしました。

宇宙開発の歴史を紐解く

古来より人を惹きつけ続ける「宇宙」。憧れだった宇宙への旅は、1940年代以降、本格的に始まります。
ドイツのV2ロケットを皮切りに、旧ソ連、アメリカが競うように開発を行い、ロケット自体の技術革新はもちろんのこと、月面を目指したアポロ計画、世界初の宇宙ステーションであるサリュート計画など、国家事業として開発が推進されてきました。
 2000年代になり、国際宇宙ステーション(ISS)の運用が本格的にはじまると、各国が協調して宇宙開発をするようになります。
 民間企業の参入を積極的に推進するアメリカ、有人ロケット「ソユーズ」を保有するロシア、大型の商用ロケット分野をリードする欧州、そして世界最高水準の打ち上げ成功率を誇るH-ⅡA/H-ⅡBロケットや「こうのとり」で存在感を示す日本。今後は、宇宙空間や資源、技術をどう有効活用していくかという「宇宙利用」を検討する段階にきています。

 一方で、多くの国や企業が宇宙開発に参入してきた現在、宇宙ごみ(デブリ)の増加など、多くの問題も抱え始めています。国連は「宇宙空間平和利用委員会」を設置し、宇宙空間の平和利用を進めるために、幅広い分野の議論を行っています。

 初日は、宇宙開発の歴史や今後についてまとまられた、基礎コース初回にふさわしい、分かりやすい内容となりました。

    5月21日(土)15:00~17:30

     1.宇宙開発概論(1)
       宇宙開発の歴史と今後
       多様なロケット
       宇宙環境とは

     2.宇宙開発概論(2)
       人工衛星の基礎知識
       世界の宇宙機関/国連宇宙条約

各国宇宙開発における日本の役割

日本の宇宙開発は、アメリカの技術を学ぶことではじまり、その後は 独自の技術開発を進め、少ない予算の中でも数多くの成果を上げています。

 現在も高速で地球を周回している国際宇宙ステーション(ISS)には、最も大きなモジュールとなっている日本実験棟「きぼう」があります。宇宙環境での実験を通じて、宇宙放射線の影響に関する研究や、新薬開発、農作物研究など、今後の応用が期待されています。

 また、アメリカのスペースシャトルが運用を終了した現在、ISSに滞在する宇宙飛行士に物資を届ける重要な役割を担っているのは、日本が誇る「こうのとり」補給機です。

 第三回・第四回の講義は、ISSでの実験の様子や、日本の宇宙飛行士について、“宇宙博士“こと吉冨講師がJAXA勤務時代に実際に経験したエピソードを交えてお話頂き、質疑応答の時間は、この講義でしか体験できない非常に濃厚なセッションとなりました。

    6月11日(土)10:00~12:30

     3.日本の宇宙開発(1)
       日本の宇宙機開発の歴史
       宇宙機の種類と役割

     4.日本の宇宙開発(2)
       国際宇宙ステーション
       「こうのとり」
       日本のロケット

身近に活用されている宇宙技術とは?

森林資源の保護、海洋観測、違法操業などの船舶監視、農業の自動化支援、災害時の被害状況把握 等々・・・
広範囲を一度に観測できる衛星のメリットを生かし、宇宙技術と異分野を組み合わせることで、未来に向けた様々な応用が進んでいます。

 例えば、身近に利用されている宇宙技術の代表例であるGPS。数年前は、車の運転中にカーナビで位置を見るとそこは隣の道・・・というような誤差の大きいものでしたが、準天頂衛星「みちびき」の打ち上げにより、精度が大幅に向上します。
誤差のない位置特定が実現することで、正確なナビゲーションはもちろんのこと、料金ゲートのない道路交通システムや、精密な人の移動情報によるマーケティングの実現等に期待が寄せられています。
 
 第五回は、最終回にふさわしく、宇宙技術を応用したこれからの未来社会を考える内容となりました。

    6月25日(土)10:00~12:30

     5.宇宙技術を活用した社会応用
       地球観測衛星データの活用事例
 
     修了書授与式
     懇親会

宇宙ロマンあふれる熱いディスカッション ~懇親会の様子~

受講後のアンケートでは、全員の方が「非常に満足」または「満足」と回答。
「宇宙になんとなく興味はあるけれど、専門知識のない私には難しそうと感じていたが、実はGPS以外にも身近な技術に使われていると知って、より興味がわいた」
「宇宙はアメリカとロシアの独壇場なイメージがあったけれど、日本の貢献度も高いことを知って、今後にも期待したい」
「宇宙技術単独ではなく、宇宙技術×IT、宇宙技術×マーケティングなど、自分の専門領域と結び付いた話を聞いて、アイディアが沸いた」
といったコメントをいただきました。

▲講師の方々を囲んで乾杯!
 皆さん、全5講座お疲れ様でした!

▲講座参加のきっかけ、宇宙ビジネスのアイディアなど、
 話が弾みます!

▲宇宙利用の可能性について、積極的な議論が交わされました。

▲お互いの経歴紹介など、
 受講をきっかけに交流の輪が広がります。

▲参加者限定の宇宙グッズ特典。
 (バッチやクリップ、ペンシルロケットキットなど)
 宇宙好きには嬉しい限りの内容です。

▲講座終了後、受講者への修了書授与式が行われました。

講師紹介

今回開催した宇宙講座 基礎コースは、一般財団法人 日本宇宙フォーラム全面協力のもと、
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)作成のテキストを使用しています。

▼ご登壇いただいた講師からのコメント

第一回・第二回講師 若松 武史(一般財団法人 日本宇宙フォーラム 事業創造グループ主査)

この度は、宇宙講座にご参加いただきどうもありがとうございました。

パソナさんと共同で行う宇宙講座は今回初めての試みでしたが、多くのみなさんにご参加いただき、
また講義の後でたくさんの質問もいただき、とても充実した時間となりました。

宇宙講座の次のシリーズや、他の宇宙ビジネスの場などで、
またお会いできることを楽しみにしております。

第三回・第四回講師 吉冨 進 (一般財団法人 日本宇宙フォーラム 常務理事)

国際宇宙ステーション(ISS)での実験の様子や、日本人宇宙飛行士の話など、
日本の宇宙開発について講義させていただきましたが、いかがだったでしょうか。

日本の宇宙開発予算は、他の宇宙先進国に比べて少ないながらも多くの成果を上げてきました。

今後は宇宙を利用した様々なビジネスも期待されますので、
ぜひ一緒に盛り上げていきましょう。

第五回講師 小林 功典(一般財団法人 日本宇宙フォーラム 事業創造グループ長)

宇宙技術の利活用の現状と今後の社会への応用見通しについて、
楽しく講義させてもらいました。

参加いただいた方には熱心に聞いていただき、宇宙利用への期待を肌で感じました。
宇宙技術を使って世の中をよくし、持続可能な世の中のために使うことが大切だと思います。

これからも宇宙の利活用を推進するために僅かながらも尽力したいと思います。

今後のイベント情報

今後は、基礎コースに加え「パソナ宇宙講座中級コース」「パソナ宇宙講座上級コース」を順次開講予定です。

宇宙講座、および今後のイベント開催に関するご意見・ご要望がございましたら、
下記宇宙事業プロジェクトまでご連絡ください。

space@pasona.co.jp

主催

株式会社パソナ 宇宙事業プロジェクト

2015年7月より若手社員を中心に発足。ロケット打ち上げパブリックビューイングやセミナーを開催。
宇宙ビジネスの拡大、および宇宙ビジネスに関わる人材の育成を目指したプロジェクトを推進している。